Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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遊戯王ARC-V最終回記念に速攻書き上げて投稿しました。
遊戯王ZEXAL最終回を思い出しますね、未来皇ホープとホープドラグーンの戦い、胸熱なのを今でも思い出します。



ナンバーズ2 長き旅と戦いの幕開け!

遊馬はマシュを探してカルデアの廊下を走り続けていた。

 

先程まで同じ部屋にいたロマンは発電所に向かっており、遊馬に避難するよう大声で叫んだが、マシュを探すためにそれを無視した。

 

マシュを含めたマスター適性者たちが集まっている場所は地下の管制室で遊馬は災害時のエレベーターは危険だと思い、乗らずに非常階段で一気に下まで降りた。

 

しかし途中で道が分からなくなり、迷いそうになったが遊馬は目を閉じてある気配を探した。

 

「……こっちか!!」

 

それはマシュに渡した『FNo.0 未来皇ホープ』のカードの気配だ。

 

そのカードは遊馬自身が作り出したものなので、その気配を察知することができる。

 

遊馬は全力で廊下を駆け抜け、遂にレイシフトをする管制室に到着した。

 

「マシュ!!」

 

遊馬は扉を開けて部屋の中に入った瞬間、言葉を失った。

 

部屋は見るも無残に破壊され、瓦礫の山と火の海が広がる人がいられないような地獄と化していた。

 

「……くっそぉっ!!マシュ!何処だ!何処にいるんだ!!」

 

早くマシュを見つけないといけないと遊馬は自分を奮い立たせて大声で叫んだ。

 

「フォウ!フォウー!」

 

「っ!?この声はフォウか!?」

 

それは少し前に出会った不思議な生物、フォウの鳴き声だった。

 

ただ、最初に聞いた鳴き声とは違って、泣いている様な声だった。

 

遊馬はマシュを気に入っているフォウがいる場所にきっとマシュもいるはずだ、と考えてフォウを探して走り出す。

 

「何処にいるんだ、フォウ!」

 

フォウの鳴き声と未来皇ホープのカードの気配を頼りにマシュを探す。

 

そして、灼熱の火の海を潜り抜けて、遂にマシュを見つけた。

 

「マシュ!!フォウ!!」

 

「フォウ、フォーウ!」

 

マシュは倒壊した瓦礫に下半身を下敷きにされており、フォウはマシュの顔を舐めたりして意識を呼び起こそうとしていた。

 

マシュは辛うじて意識はあるのか、その瞼が薄く開かれていた。

 

「マシュ!」

 

「遊馬君……!?」

 

どうしてここにいるのかと困惑しているマシュに遊馬は急いで駆け寄った。

 

「待ってろ、今、コイツをどかしてやる!」

 

「遊馬君、私の事は、構わないで……すぐに待避してください……私は、助かりません」

 

息も絶え絶えに、マシュは自分の下半身に目をやる。

 

瓦礫に押し潰されているのか、おびただしい量の血が溢れていた。

 

これでは下半身が潰れてもおかしくなく、この状態で生きているのは単に運がいいだけではなかった。

 

マシュに渡した未来皇ホープのカード……そのカードが持つ理解不能なエネルギーがマシュの命を繋ぎとめていたのだ。

 

「遊馬君……フォウさんを連れて、逃げてください……せめてあなただけでも……」

 

マシュは出会ったばかりとはいえ弟のように思っている遊馬と仲の良いフォウと共に逃げて生き延びて欲しいのだ。

 

しかしそれを聞いて素直に頷く遊馬ではなかった。

 

「諦めるんじゃねえ!!!」

 

遊馬は瓦礫を持ち上げようと、瓦礫に手を潜り込ませる。

 

しかし、火災で人が触れられないほどの強い熱を持っている瓦礫に触れただけで、遊馬の手から焼けるような音が鳴る。

 

「ぐあっ!?」

 

「や、やめてください!!私の事は構わないでと言ったじゃないですか!?」

 

「絶対に嫌だ!俺はもう、目の前で大切な仲間が死ぬのをただ黙って見ているなんて出来ねえ!!」

 

「仲間……?私が、ですか?」

 

遊馬がマシュを仲間と呼び、目を丸くして呆然とした。

 

「そうだ!マシュ、お前は俺の大切な仲間だ!俺は絶対に仲間を見捨てない!必ず助ける!!」

 

「遊馬君と私は会ったばかりなのに……」

 

「時間なんて関係ない!マシュは俺の大切な仲間だ!だから、絶対に諦めない!見捨てない!それが俺の、かっとビングだぁっ!!」

 

それは父から教えてもらった遊馬の信条にして格言、そして精神……絶対に諦めない心……かっとビングが遊馬に力を与え、僅かに瓦礫が浮き上がる。

 

「かっと、ビング……?」

 

その時、マシュの胸ポケットに仕舞われていた一枚のカードが光り輝き、勝手に動き出して遊馬の前に出てきた。

 

「未来皇ホープ……!?」

 

それは遊馬がマシュに渡した未来皇ホープのカード、遊馬はその名を叫んだ。

 

「頼む、力を貸してくれ!現れよ、FNo.0!未来皇ホープ!!」

 

遊馬の背後の空間が歪み、そこからカードに描かれたモンスター……遊馬に似た姿をした翼を持つ戦士が現れる。

 

それは無限の可能性を持つ遊馬が作り出したモンスター、未来皇ホープだった。

 

「カードに描かれた未来皇ホープが具現化した……!?」

 

魔術を使わずにカードに描かれたモンスター……魔物を召喚した遊馬にマシュは目を疑った。

 

「ホープ……頼む、マシュの上の瓦礫を斬ってくれ!」

 

『ホォープ!!』

 

遊馬の指示に従い、未来皇ホープは腰に取り付けられた二振りの剣を構える。

 

「ホープ剣・フューチャー・スラッシュ!!!」

 

未来皇ホープは二振りの剣でマシュの上にある瓦礫を一瞬で細切れに斬り裂き、遊馬は一気にマシュを引き上げる。

 

「マシュ!!」

 

マシュの下半身は血塗れだったが遊馬は目を瞑って反らし、とにかく一刻も早く助けるために部屋から脱出しようとする。

 

「遊馬君……」

 

「マシュ!すぐに先生の元に連れてってやる!もう少し頑張れ!」

 

遊馬はマシュをロマンの元へ連れて行こうとしたがマシュは何かを悟ったかのような安らかな表情を浮かべて遊馬の頰に手を添えた。

 

「遊馬君、あなたに会えてよかった……」

 

「ば、馬鹿野郎!こんな時にそんな事を言うんじゃねえ!!」

 

「最後にお願いがあります……手を、握ってくれませんか?」

 

「マシュ……くっ……あ、ああ……」

 

遊馬は最後のマシュの願いに応え、自分の頰とに添えられたマシュの右手を自分の右手で強く握りしめた。

 

すると、遊馬が入室してから聞こえていたが無視していたアナウンスが終わると周囲に無数の光の粒子が溢れた。

 

そして、未来皇ホープは遊馬とマシュを守るように翼を広げて優しく抱きしめた。

 

まばゆい、全てを包み込もうとする光に遊馬が瞼を閉じた時……機械的な音声が響く。

 

『レイシフト開始まで、3、2、1、0。全行程完了。ファーストオーダー、実証を開始します』

 

光に包まれた遊馬とマシュはカルデアから姿を消してしまった……。

 

 

また生暖かい何かが頬を舐めている。

 

遊馬はそれがフォウの舌である事に気付き、瞼を開いた。

 

まるで初めて会った時の様にマシュが自分を見つめていた。

 

「遊馬君!しっかりしてください、遊馬君!」

 

「えっ……マシュ!?」

 

遊馬はすぐに起き上がってマシュの全身を眺める。

 

服装は最初に出会った時とは打って変わり、眼鏡を外し、黒いライダースーツの様なモノを身に着けていた。

 

「マシュ、お前、体は……!?」

 

瀕死の重傷だった体がまるで生まれ変わったかのように怪我がなく綺麗だった。

 

「大丈夫です、ちゃんと生きてますよ」

 

「あっ、あぁ……マシュ!」

 

「きゃっ!?」

 

遊馬は喜びのあまり、涙を流しながらマシュへと抱きついた。

 

「ゆ、遊馬君……?」

 

「良かった、本当に本当に良かった……!」

 

自分の為に本当に心配し、涙を流して喜んでいる遊馬にマシュは微笑みながら自分も涙を浮かべる。

 

「遊馬君、ありがとうございます……」

 

マシュは遊馬を優しく抱きしめ、まるで姉か母のように頭を優しく撫でた。

 

少しして泣き止んだ遊馬は状況を整理する為に一つずつマシュに質問する。

 

「なあ、マシュ。その大きな盾とその服装は何だ?」

 

マシュの手には普通の人が持つ事は出来なさそうな大きな十字の形をした盾を軽々と片手で持っている。

 

しかも見たことない服装を着て、何より怪我が治っていることが遊馬には不思議で仕方なかった。

 

「……それについては後ほど説明します。その前に、今は周りをご覧ください」

 

「え?」

 

遊馬が振り向くとそこには骨で作られた人型の形をした骸骨のモンスターが何十体も蠢いていた。

 

「あれはモンスターか!?」

 

「言語による意思の疎通は不可能、敵性生物と判断します。任せてください、私が戦います」

 

「マシュ、戦えるのか!?」

 

「はい。今この身には英霊の力が宿っていますから」

 

「英霊……?」

 

盾を構えるマシュに遊馬も何かできないのかと焦りだす。

 

「くっ!どうしたら……」

 

遊馬の焦る気持ちに応えるかのように胸元と腰から金色の光が溢れる。

 

「これは!?」

 

「遊馬君のペンダントとデッキケースが光ってる……?」

 

それは遊馬の胸元に煌めく皇の鍵とデッキが収められたデッキケースから強い光を放っていた。

 

「まさか……よぉし、かっとビングだ!俺!」

 

遊馬は今までの経験からこの場を乗り切る遊馬だけの戦いの力を顕現させる。

 

ポケットからD・パッドとD・ゲイザーを取り出して自分の頭上に向けて投げ飛ばす。

 

「行くぜ、デュエルディスク、セット!D・ゲイザー、セット!」

 

D・パッドが変形し、小型のデュエルディスクへと変形して左手首に装着され、D・ゲイザーはバイザーとイヤホンマイクが合体したような形に変形し、遊馬の左目に装着する。

 

「遊馬君、何を……!?」

 

マシュが呆然と見守る中、遊馬はデッキをデュエルディスクにセットしてから5枚のカードをドローして手札にするとその中から1枚のモンスターを選んだ。

 

「見てなって!俺はガガガマジシャンを召喚!」

 

遊馬の前の空間が歪み、中から目つきが悪く、まるで不良の格好をした魔法使いが現れた。

 

それは遊馬が幼少期よりデュエルを始めてから一番長く使っているフェイバリットモンスター、自身のレベルという名の星を操る魔法使い・ガガガマジシャン。

 

「モンスターが実体化した!?それに、この魔力は……!?」

 

カード自体はただの紙で作られ、何の力も感じられなかったがデュエルディスクに置いた瞬間から魔力が発生し、ガガガマジシャンが実体化していた。

 

「行っけぇ!ガガガマジシャン!ガガガマジック!」

 

『ガガガッ!!』

 

ガガガマジシャンは拳に魔力を込めて放出し、骸骨を粉砕した。

 

「よし!ここは異世界だからデュエルモンスターズの力で戦える!」

 

「凄い……これなら行けます。遊馬君、一気に行きましょう!」

 

「ああ!このまま突っ切るぜ!」

 

遊馬は愛するモンスターの力、マシュはその身に宿した英霊の力で異変が起きている地……『冬木』を駆ける。

 

遊馬とマシュ……二人の運命の戦いが始まった。

 

数多の世界の歴史を巡り、そこに現れる英霊と出会い、戦いながら異変を解決する長い旅の幕開けだった。

 

 

 

.




さあ、始まりました!
遊馬とマシュのファーストオーダー!
本格的なバトルは次回からです。

ちなみに、遊馬がマシュに抱きついたときにマシュの胸がもちろん当たっていますが・・・・・・もちろん遊馬にはやましい気持ちはありません(笑)
過去にも明理姉ちゃんにぶつかったときや生け贄になりかけた璃緒を助けたときにも胸が当たってましたからね。
おのれハーレム系ラッキースケベ主人公め・・・・・・(爆)
遊馬は遊戯王主人公の中で一番女性に囲まれている主人公だと思います。

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