このストーリーで極限の戦いや様々なことが判明しますので楽しみです。
やはり海といえば遊戯王屈指の水属性使いのシャークさんや璃緒のカードが輝きますのでどんどん出していきたいです。
ナンバーズ40 第三特異点へ!果てしなき海と伝説の航海者!
第三特異点となる海……そこにレイシフトをし、遊馬は鼻に届く潮の香りに目を覚ました。
幸いにもそこは海では無かったが……。
「船の上っ!?」
まさかの船の上で遊馬は驚いてキョロキョロと周りを見渡す。
デッキケースが開き、マシュ達が出てくると遊馬と同じ反応をする。
マシュはD・ゲイザーを起動させてカルデアと通信する。
「所長、ドクター……何か弁明はありますか?」
『ごめんなさい、無人島にでもレイシフトしようとしたけど……どうしてこうなったのか……』
『ま、まあ良いじゃないか!すぐに使える船の上で!あはははは!』
オルガマリーとロマニもまさか船の上でレイシフトするとは予想外だったらしい。
「よくわからねえが……野郎共やっちまえ!」
気がつくといつの間にか遊馬達は海賊に囲まれていた。
「え!?リアル海賊!?ってことは海賊船!?」
「所長!ドクター!後で覚えておいてくださいね!!」
『ご、ごめんなさいっ!』
『ごめんよ、悪気はなかったんだよぅ!』
最近は成長してきたのか遊馬の影響か少し気が強くなったマシュにオルガマリーとロマニは必死に謝った。
「早速、こいつの出番だな!」
遊馬はソードホルダーから原初の火を引き抜いて右手に持ち、更に左手にホープ剣を作り出して二刀流で構える。
「マシュ、ネロ、アストルフォ、行くぜ!」
「はい!」
「うむ、行くぞ!」
「うん!任せて!」
マシュは盾を、ネロは生前に遊馬に託した後に改めて隕鉄を打って作ったもう一つの原初の火を、アストルフォは宝具でない細身の剣を構える。
「みんな、分かってると思うけど殺すなよ」
遊馬の意思に全員が頷き、海賊達と戦闘を開始する。
相手は海賊とはいえただの人間、サーヴァント達であるマシュ達の敵ではない。
更には大剣豪、宮本武蔵やその他のサーヴァントから日々修行を受けている遊馬のホープ剣と原初の火の二刀流は凄まじいもので海賊たちをあっという間に倒した。
海賊達を倒すと強者である遊馬達にひれ伏し、大人しく言うことを聞くようになった。
話を聞くと海賊達はいつのまにかこの謎の海域に漂流していたらしく、羅針盤も地図も役に立たない。
海賊達は食料と水を確保するために海賊島に向かう予定だった。
遊馬達は勝者の特権として海賊島に一緒に連れて行ってもらうことにした。
それから少し時間が経過し海賊島に到着すると美少女のマシュとネロ……ついでに見て目が完全に美少女のアストルフォを狙って海賊達が次々と襲ってきた。
その海賊達もあっけなく蹴散らすとこの状況を把握している人間がいるかどうか尋ねると海賊の一人が自慢げに話し出した。
「聞いて驚け……我らが栄光の大海賊、フランシス・ドレイク様だ!」
「フランシス・ドレイク……!?」
フランシス・ドレイク。
世界一周を成し遂げた偉大な航海者であり、大航海時代最強のスペイン軍の無敵艦隊を沈めた私掠船艦長及び艦隊司令官である。
遊馬達は海賊の一人に頼んでフランシス・ドレイクの元へ案内してもらう。
そして……海賊達が仮拠点としてキャンプをしているところに誰よりも男らしい人物がいた。
「こりゃまた、ずいぶんキテレツだね……しかも女子供ばかりじゃないか」
それは顔に大きな傷を持つ見るからに姉御肌を感じさせる綺麗な女性だった。
驚くことにその女性ことフランシス・ドレイクだった。
歴史ではドレイクは男と言われていたが、目の前にいるドレイクは紛れも無い女であり、アルトリア、ネロに続き実は女性だった人物の登場にマシュ達は驚いた。
すると遊馬は前に出てドレイクに話しかける。
「あんたがフランシス・ドレイク船長だな!」
「あぁ?そうだけど、アンタは?」
遊馬は自分の胸を軽く叩き堂々と自己紹介をする。
「俺は遊馬!異世界から来た世界一の冒険家夫婦の息子だ!!」
「「「ええっ!?」」」
いつもと違う自己紹介にマシュ達は驚き、ドレイクはピクッと肩を震わせる。
「世界一の冒険家夫婦の息子だと……?」
ドレイクは遊馬を睨みつけて立ち上がった。
そして……。
「あははははっ!いやー、中々の冒険をするじゃないか、アンタの両親!」
「ドレイク船長こそすげぇじゃねえか!やっぱり本物の冒険譚は本より本人の口から聞いた方が百倍おもしれえや!」
「言うじゃないか。だが、アンタの冒険譚も過激じゃないか。十三でそれだけの冒険が出来れば大したもんじゃないか!」
「へへっ、ドレイク船長にそう言ってもらえて嬉しいぜ!」
遊馬とドレイクがめちゃくちゃ意気投合していた。
実は遊馬は人類で初めて世界一周を成し遂げたドレイクのファンで冒険について話し合いたかったのだ。
ドレイクは遊馬が異世界から来たことをあっさり信じると遊馬は自身と両親、ドレイクは海の冒険などの冒険譚を互いに語り合い、いつしか海賊達と交えて大宴会が始まってしまった。
話に入り込めないマシュ達は大人しく食事をするしかなかった。
「ん……?面白い形の首飾りをしているじゃないか」
ドレイクは遊馬の首にかかっている皇の鍵に興味を持って指で持ち上げ、太陽の光に当てて輝かせる。
今まで数多くの財宝を見て来たが皇の鍵のような形をしたペンダントを見たことなかった。
「これか?これは皇の鍵って言って、父ちゃんから貰ったんだ!」
「へぇ、綺麗じゃないか。金にエメラルドが埋め込まれてるのかね?」
皇の鍵は金で作られたものではなく、異世界の摩訶不思議な鉱物で作られたものなのだがドレイクがそれを知る由もない。
黄金に輝く皇の鍵にドレイクが触れた瞬間、皇の鍵が輝き、中にいたアストラルが出て来た。
「アストラル、どうしたんだ?なかなか出てこなかったじゃないか」
「遊馬、大変だ。皇の鍵の飛行船が使えない」
「ええっ!?何でだよ!?」
「この特異点は今までの特異点と異なり空間の歪みが特に強い。そのせいで飛行船を安定して動かせないんだ」
「マジかよ!?」
アストラルはこの特異点に来てからなかなか出てこなかったのは飛行船に異常が出たのを察知して調べていたのだ。
「うーん、海だらけのこの世界でかっとび遊馬号が使えないのは痛いな……」
「ここは船で移動するしかないようだな。む?ところで遊馬、彼女は何者だ?」
「紹介するぜ。フランシス・ドレイク船長だ」
「何だと!?人類初の世界一周の航海者、フランシス・ドレイク!?まさか女性だとは……」
アストラルもドレイクが女性だということに驚きながら早速話をしようとしたが……。
「イ……」
「「い?」」
「イヤァアアアアアアアッ!!ゆゆゆ、幽霊ぃっ!??」
ドレイクは顔を真っ青にして絶叫した。
アストラルを幽霊と勘違いするなりドレイクは懐にしまってある銃を乱射してアストラルを追い払おうとする。
しかしアストラルは実体のない精霊なのでただの銃の弾丸が通用する訳がなく、弾丸は体をすり抜けて宙を舞う。
アストラルはグイッとドレイクに顔を近づけた。
「フランシス・ドレイクよ。私は幽霊などではない、精霊だ」
間近に近づいたアストラルにドレイクは顔を真っ青にして更に精神が追い込まれる。
「ギャアアアアアッ!?来るな来るな来るなぁっ!!」
「アストラル!ドレイク船長を怖がらせるなって!ほらこっちに戻れ!」
「私は幽霊ではないのだが……」
アストラルは自分が幽霊と言われていることにムッとしながら遊馬の元へ戻る。
怖いもの知らずの姉御肌のドレイクがまさか幽霊が苦手なことに遊馬達は驚いた。
部下の海賊達はそんなドレイクの姿にがっかりすると思ったが、寧ろ女性らしい一面が見られてほっこりしていた。
「ななな、何なんだよお前は!?」
「我が名はアストラル。遊馬の相棒だ」
「えっと、簡単に言えばアストラル世界っていう異世界の住人なんだ。幽霊みたいだけど幽霊じゃないから安心してくれ」
「で、出来れば私の前ではいないで欲しい……」
「……仕方ない。遊馬、彼女がいないときに呼んでくれ」
「すまねえ、アストラル……」
アストラルは完全にドレイクに嫌がられていることにショックを受け、大きなため息をついて粒子化して皇の鍵の中に入る。
「アストラルは真面目で天然でとってもいい奴なんだ。だから悪霊とかと勘違いしないでくれよ?」
「なら良いんだけど……」
「えっと……それでドレイク船長に頼みがあるんだ。この世界を救うために力を貸してくれ」
「世界を救うねぇ、海賊の柄じゃねえんだけど」
「でもこのままだとこの世界は必ず滅びる。そうしたら航海も、冒険も、宴会も全部出来なくなるんだ。海賊は自由でいるからこそ海賊だろ?その海賊の自由が奪われても良いのか?」
遊馬に諭され、ドレイクは目をパチクリとさせる。
「確かにそれもそうだが……」
「気分が乗らないって言うなら……俺がドレイク船長を雇うって言うのはどうだ?報酬はちゃんと払う、それでどうだ?」
考えの違いからなかなか重い腰を上げないドレイクに対し遊馬は説得ではなく交渉に乗り出した。
アストラルなら多分こう言うだろうと確信を持ちながら不敵の笑みを浮かべた。
「私を雇うだと?でも私は高いよ?アンタ、払えるのかい?」
「んー、とりあえずこれで足りる?」
遊馬はポケットからあるものを取り出してドレイクに投げ渡した。
「……え?こ、これは……!?」
投げ渡されて受け取ったドレイクはそれを見て目を見開いていた。
「うん、胡椒だぜ」
それはカルデアの食堂からエミヤに許可を貰って持ってきた胡椒瓶だった。
20センチ弱の胡椒瓶の中には挽く前の胡椒の粒がぎっしり詰まっていた。
そして……。
「……マジでぇええええええええええええええええええええっ!!??」
更なるドレイクの絶叫が響き、胡椒瓶を握りしめながら失神してしまった。
大航海時代、胡椒は非常に高い価値があり、同じ重さを金銀で取引されていた。
遊馬が渡した胡椒瓶を仮にこの時代で取引すれば豪華な家一軒が余裕で立ち、一生遊んで暮らせるほどの価値があるのだ。
海賊達もあっさりと胡椒を出した遊馬に恐れをなして軽くその場から下がっていた。
そして、数分後に復活したドレイクは平然を装いながら震えた手で胡椒瓶を持っていた。
「い、いいだろう……これだけあれば充分だ。アンタに私たちの命と船を預けよう」
「頼むぜ、ドレイク船長!」
ドレイクはジョッキにラム酒を注いで遊馬に渡す。
「よぉし、契約の証だ……一杯飲め!」
「え!?でも俺はまだ子供……」
「私の酒を飲めないなら、契約の話は無しだぜ?」
すると、ドレイクの胸元が金色に輝くと中から見事な装飾が施された金の杯が現れた。
その金の杯から酒が溢れるほど勝手に注がれ、遊馬達はその杯に目を疑った。
「えっ!?ドレイク船長、それって……」
「ま、まさか……」
「フォウ!??」
「聖杯、なのか……!?」
「えっ?えっ!?どう言うこと!?」
ドレイクの手にある金の杯……それは紛れも無い聖杯だった。
すると聖杯はドレイクの手から宙に浮くと何故か遊馬とドレイクの間を八の字を描くように行ったり来たりし始めた。
まるで聖杯自らが主人を選ぶかのように……。
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遊馬はやはり冒険家の息子で自身も大冒険を繰り広げているのでドレイク船長と話が盛り上がると思うのでこうしました。
そして早速秘密兵器の胡椒でドレイク船長を雇いました。
アストラルを幽霊と思って慌てふためくところは書いてて笑いましたよ(笑)
次回は遊馬達のいよいよ大航海の始まりです。
新たなサーヴァントとの出会いを楽しみに!