Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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第三特異点は色々面倒な展開になるのでどう書いて行くか悩みますね。

まあ基本味方陣営は救済方針ですが。


ナンバーズ41 未知なる大海原へ!黄金の鹿号、出港!!

ドレイクの中から現れた金の杯……それは紛れもなく聖杯だった。

 

「ド、ドレイク船長!その聖杯どうしたんだよ!?」

 

「こいつかい?こいつに目をつけるとはお目が高い。金で出来たジョッキなんて悪趣味だが、こいつは別さ。汲めども汲めども尽きない酒だけじゃない。テーブルに置けばあら不思議、肉と魚がドカドカ盛られていきやがる。たまたま拾ったもんだけど、こんなご機嫌なお宝は他にないんじゃないかねぇ?」

 

「何言ってんですか姐さん、たまたまじゃねえ、とんでもない大冒険だったっスよ!」

 

部下の海賊の一人がその聖杯を手に入れた経緯を話した。

 

明けない七つの夜に海に破滅の大渦が現れた。

 

メイルシュトルムと呼ばれる大渦から海底に沈んだ伝説の古代都市であるアトランティスが現れた。

 

『時は来た。オリンポス十二神の名の下に、今一度大洪水を起こし文明を一掃する也……!』

 

と、騒いでいた巨人を相手に大立ち回りしてその聖杯を奪い取ったのだ。

 

海賊たちはよくわからないがドレイクは世界を救った英雄なのではないかと思っている。

 

「あぁあ〜?そんな大層な話だったかぁ、アレ?つーかむかついたから邪魔しただけさね。あのデカブツ、海神(ポセイドン)を名乗りやがって。船乗りとして許せないじゃないか。だから邪魔した。お宝もこうして奪ってやった。最後に都市ごと渦に沈めてやった!最っっ高!」

 

「ポ、ポセイドン!?ギリシャ神話の海と地震を司る神じゃねえか!?」

 

ギリシャ神話の最高神ゼウスの兄であり、それに次ぐ圧倒的な強さを誇る海神・ポセイドン。

 

ドレイクの持つ聖杯は魔術師たちが作った聖杯戦争の聖杯とは異なるポセイドンのオリジナルの聖杯である。

 

それを英霊でもない生身の人間でポセイドンをしばいて聖杯を奪い、アトランティスを海に沈めた……とんでもない人物にマシュたちやカルデアのみんなは驚き、開いた口が塞がらなかった。

 

つまりこの時代は遊馬たちが来る前にポセイドンによって人理定礎が崩壊しかけていた。

 

それをその場のノリと勢いでドレイクがこの時代を救ってしまい、聖杯に選ばれてしまった本当の意味での聖杯の所有者になってしまったのだ。

 

ところが……。

 

「あん?なんでこいつ、私とユウマを行き来してるんだ?」

 

聖杯は何故か遊馬とドレイクの間を八の字を描くように行き来していた。

 

「ほう、そういうことか……ユウマ!私と戦え!」

 

「はぁ!?な、何で!?」

 

「こいつは私かユウマ、どちらが相応しいか迷ってんだよ。だったら勝負して決めさせればいいだろ?」

 

「ええっ!?」

 

「お前の力……見せてみろ、ユウマ!!」

 

ドレイクは二丁拳銃を構えてまずは空に向かって威嚇射撃のように弾丸を放ち、海賊たちは邪魔にならないようにその場から引き下がる。

 

「ちっ!仕方ねえな!ジェットモード!」

 

遊馬は覚悟を決めてジェットローラーを起動し、ローラーを展開させて森の中を走り抜ける。

 

「遊馬君!?」

 

「マシュ!みんな!これはドレイク船長と俺の戦いだ!手出しは無用!」

 

ドレイクの性格から一対一の決闘を望んでいると遊馬は考えた。

 

聖杯はドレイクの体内に戻り、聖杯の力で英霊とまともに戦える力を宿したドレイクは遊馬の後を追いかける。

 

遊馬はジェットローラーで走りながらD・パッドとD・ゲイザーを投げ飛ばして変形させる。

 

「デュエルディスク、セット!D・ゲイザー、セット!」

 

デッキからカードを5枚ドローするとドレイクは走りながら銃を構える。

 

「オラオラ!逃げてばかりじゃ私に勝てないよ!」

 

銃から次々と弾丸を発射するドレイクだが遊馬は守りの手を打つ。

 

「相手の攻撃宣言時、手札から『ガガガガードナー』を特殊召喚する!」

 

遊馬の背後に大きな盾を持つ戦士が現れ、ドレイクの放つ弾丸を盾で受け止める。

 

「何だぁ!?突然男が現れた!?」

 

「こいつは俺と共に戦う仲間たちだ!」

 

遊馬はガガガガードナーと共に森を駆け抜け、砂浜に出る。

 

ジェットローラーをノーマルモードにして砂浜に立ち、デッキトップに指を置く。

 

「俺のターン、ドロー!ブリキンギョを召喚!効果で手札からゴゴゴゴーレムを特殊召喚!」

 

遊馬の前にレベル4のモンスターが三体揃い、ドレイクの相手に相応しいナンバーズを呼び出す。

 

「かっとビングだ、俺!レベル4のガガガガードナー、ブリキンギョ、ゴゴゴゴーレムの三体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

三体のモンスターが光となって地面ではなく海に潜り込むと光の爆発が発生する。

 

「現れよ、No.32!最強最大の力を持つ深海の帝王!その牙で全てのものを噛み砕け!『海咬龍シャーク・ドレイク』!!」

 

海中に『32』の数字が浮かび、巨大な魚の尾びれが変形して鮫を模した竜王が召喚される。

 

シャーク・ドレイクは海から飛び上がるとドレイクを睨みつけて咆哮を轟かせる。

 

偶然にもドレイクとシャーク・ドレイクに同じドレイクの名前を持っていた。

 

「シャーク・ドレイク……!?ははっ、私と同じ名前を持つ鮫か。生意気じゃないか!」

 

ドレイクは聖杯の力で自動装填された二丁拳銃を発砲する。

 

「迎え撃て!デプス・バイト!」

 

シャーク・ドレイクの口から鮫のオーラが放たれ、ドレイクの動きを封じ、怪我させないためにわざと外させながら攻撃する。

 

「派手にやってくれるじゃないか!だがな、どんなに凶悪な生き物でも!!」

 

ドレイクは普通に撃っても効果はないと判断すると大半の生き物の弱点を狙い撃った。

 

『グォオオオオオオッ!?』

 

銃弾はシャーク・ドレイクの目を撃ち抜いた。

 

「シャーク・ドレイク!?」

 

「目は弱点だよな!!」

 

シャーク・ドレイクは目を撃たれて悶え苦しみそうになるが、その身に宿る闘争心からまだ倒れなかった。

 

「まだ行けるか、シャーク・ドレイク!」

 

『ギュオオオオオオン!!』

 

「よっしゃあ!行くぜ、俺のターン、ドロー!シャーク・ドレイクをエクシーズ素材とし、カオス・エクシーズ・チェンジ!」

 

シャーク・ドレイクが元の魚の尾びれに戻り、海の中に潜ると更なる光の爆発が起きる。

 

「現れよ、CNo.32!暗黒の淵より目覚めし最強の牙よ!『海咬龍シャーク・ドレイク・バイス』!!」

 

シャーク・ドレイクの進化形態にして真の姿……刃物のような鋭い指爪を携え、純白の装甲に身を包んだ深海の竜王が降臨する。

 

肉体を再構築したことで両眼の傷は無くなり、シャーク・ドレイク・バイスはドレイクを強く睨みつける。

 

「何ぃっ!?今度は白くなっただと!?」

 

「これで決めるぜ!シャーク・ドレイク・バイスの攻撃!デプス・カオス・バイト!!」

 

シャーク・ドレイク・バイスの口から無数のレーザービームが放たれ、ドレイクが避けられない軌道で飛ぶ。

 

「くっ!?」

 

レーザービームは砂浜の砂を強く巻き上げ、ドレイクは両腕で顔を覆う。

 

砂で周りが見えなくなり動けなくなった次の瞬間。

 

チャキ!

 

「なっ……!?」

 

ドレイクの首に何かが突きつけられる感触が伝わる。

 

砂が全て落ちて視界が開けるとシャーク・ドレイク・バイスの爪がドレイクの首に当てられていた。

 

「ちっ……私の負けか」

 

ドレイクは二丁拳銃を落として両手を上げて降伏する。

 

遊馬はシャーク・ドレイク・バイスを消してデッキケースにしまい、ドレイクと共にキャンプ地へ戻る。

 

すると、聖杯はドレイクの中から出てくると遊馬の前で静かに止まった。

 

「お、おう……?」

 

「ははっ、そいつはユウマを主人と認めたようだな。ま、私に勝ったんだ。持ってけ持ってけ」

 

「え、えぇー……」

 

遊馬は複雑な心境で聖杯を持ち、マシュの盾の中にしまうが……。

 

「何も起こらないな……」

 

「変化ありませんね……」

 

聖杯を手に入れたが特異点の空間に変化が起こらなかった。

 

そこから考える結論は一つ、この時代には『聖杯が二つ存在』している。

 

一つはドレイクが手に入れたポセイドンの聖杯でもう一つはこの特異点を作りあげたレフが配置した聖杯。

 

レフの聖杯を手に入れない限りこの特異点を解決することはできないということだ。

 

遊馬は聖杯を眺めながらD・ゲイザーでカルデアのオルガマリーと話す。

 

「これが本物の聖杯か……所長、いいよな?」

 

『あなたの好きにしなさい』

 

遊馬はオルガマリーの意見を聞き、自分の意思で聖杯をドレイクに投げ渡した。

 

「いいのか……?私から勝ち取ったんだぞ?」

 

「聖杯はいらないよ。持ち主の願いを叶える願望器は俺には必要ない。自分の願いは自分で叶えるもんだ……この手で未来を掴むと誓ったからな!だから、その聖杯は船長が持っていてくれ」

 

「お宝をあっさり返す変な奴かと思ったが、なるほど……私好みの良い答えじゃないか。ユウマ、お前の事をますます気に入ったよ!よーし、お前ら!宴の再開だ!!」

 

遊馬の答えに満足げに頷いたドレイクは聖杯から大量の料理を出して楽しい宴会を再開する。

 

そして、遊馬はドレイクとの契約のためにラム酒を飲むことになった。

 

「本当に飲まなきゃダメか……?」

 

「飲め飲め!グイッといけ!」

 

「うっ……わ、分かったよ!!」

 

遊馬はジョッキを持ち、覚悟を決めてラム酒を飲む。

 

今まで味わったことのない味と衝撃が口の中に広がり、遊馬はそれを耐えながらジョッキのラム酒を飲み干すが慣れない味などで咳き込んでしまう。

 

「うげぇっ……コホッコホッ……!」

 

まだまだ子供である遊馬は初めて飲んだ酒……しかも海賊達が飲むアルコールが高いラム酒を飲んだことで一気に体が熱くなる。

 

「体が熱い……」

 

「ゆ、遊馬君、大丈夫ですか!?」

 

マシュは遊馬が倒れないか心配するが……。

 

「マシュ……」

 

遊馬は目がトロンとし、顔が真っ赤に染まって熱を帯びていた。

 

「ふにゃあ……」

 

「……えっ!?」

 

そして……遊馬はマシュの膝に自ら頭を乗せるのだった。

 

「えへへ……マシュの膝、あったかくて柔らかい……」

 

「ゆゆゆ、遊馬君!!?」

 

遊馬はマシュに甘えるように膝に頭を乗せて腰に抱きついた。

 

どうやら酒を飲んだことで遊馬の奥底に隠してある本性……誰かに甘える一面が出てしまったようだ。

 

「……のぉおおおおおっ!?何をしているのだユウマは!??」

 

「ありゃりゃ、マスターが酔っちゃったね!」

 

酔ってしまった遊馬の大胆な行動にネロは大慌てをし、アストルフォはケラケラと面白そうに笑う。

 

「いい匂い……何だか、落ち、着く……」

 

遊馬はマシュの腰に抱きつきながら急激な睡魔に襲われてそのまま眠りについてしまった。

 

「マ、マシュ!膝枕、余と代わってくれ!」

 

「しぃーっ。ダメです、遊馬君が眠っているんだから静かにしてください」

 

「そうだよ、ネロ。マスターを起こしちゃ可哀想だよ。いつも大変なんだから少しでもゆっくり寝させてあげなきゃ」

 

アストルフォの言うことはもっともであり、遊馬のことを想うと何も言えなくなりネロは嫉妬の眼差しをマシュに向けながらジョッキを持つ。

 

「むうっ……おのれぇ……羨ましすぎるぞ、マシュよ……」

 

遊馬に膝枕出来なかった悔しさから海賊達と共にやけ酒し始めるネロだった。

 

マシュは思わぬ幸運に心が弾み、笑みを浮かべる。

 

「フォウ……」

 

フォウもマシュの膝を借りて遊馬の顔の隣で眠りにつく。

 

「遊馬君、フォウさん。おやすみなさい、良い夢を……」

 

マシュは遊馬とフォウの顔を撫でながら自分も後ろの木に寄りかかりながら眠りについた。

 

ちなみにネロは海賊達と共に歌おうとしたが、ネロが音痴なのはカルデアでは周知の事実なのでアストルフォが頑張って抑えているのだった。

 

一方、カルデアでは……。

 

「お願いです!行かせてください!」

 

「ちょっとあんた達退きなさいよ!」

 

「旦那様に私が膝枕を!!」

 

遊馬が酔って甘えん坊状態になっていると知り、ジャンヌとレティシアと清姫がカルデアからレイシフトしようとしていた。

 

「戦闘でもなんでもないのに行かせる訳無いじゃない!みんな、頼むわよ!!」

 

そんな三人を止めるためにオルガマリーはマスターではないが比較的協力的なサーヴァント達にお願いして全力で三人を抑えてもらっている。

 

そして……。

 

「うぉおおおおおっ!退きなさい、小次郎!姉として酔っている遊馬の元に向かわないと!!」

 

「やめないか!宮本武蔵が若い燕の遊馬殿を襲う光景なんか誰も見たくないぞ!」

 

「襲わないよ!?姉として弟の遊馬をとにかく愛でるだけだから!」

 

「それが特に不安なのだ!今の貴様は特に!」

 

カルデアに遊馬へのショタコンを流行らせた張本人である武蔵が色々と危ない目をして息を荒げながら遊馬の元へ向かおうとしたが、宿命のライバル?である小次郎に全力で止められていた。

 

「はぁ、この先色々不安ね……」

 

既に遊馬に何度も膝枕をしてあげている小鳥は特に慌てることなかったが、四人の姿を見てこの先の作戦に色々な意味で不安を感じて大きなため息をつくのだった。

 

 

翌朝、ドレイク達海賊は宴会で酒をたらふく飲んでも酔わずに出航の準備を整えた。

 

遊馬は幸い二日酔いにならずにいつも通りの体調でマシュ達と共に海賊達の手伝いをしようとする。

 

しかし、遊馬達が雇い主なので海賊達はそんなことをさせるわけにはいかないと言われて大人しく休んでいた。

 

そして……。

 

「よし、出港だ!側を掲げろ、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)、出撃だ!」

 

遂にドレイクの船、黄金の鹿号が出港し、この世界の特異点を解決するための大航海が始まった。

 

航海日和の晴天に穏やかな海に遊馬はあることを思いつく。

 

「いい天気で荒波もない!よっしゃあ、アレを試してみるか!カルデアのダ・ヴィンチちゃん!ボードを頼むぜ!」

 

遊馬はD・ゲイザーでカルデアのダ・ヴィンチと連絡を取る。

 

『そうか、海で試すんだね。いいよ、思いっきり楽しむといい!』

 

すぐに遊馬の足元にカルデアからウィンドボードが転送される。

 

意気揚々とボードに乗り、起動すると宙に浮き始める。

 

「行くぜ!ウィンドボード、発進!」

 

遊馬はウィンドボードを発進させ、船から飛び出して海の上に走らせる。

 

ウィンドボードは陸だけでなく水の上でも宙に浮いて走れる水陸両用の万能型の移動マシン。

 

遊馬はウィンドボードをサーフボードのように乗り、その身に疾走感と心地よい海風を受ける。

 

「イヤッッホォォォオオオオウ!!!」

 

自然にテンションが上がり、遊馬が喉の奥から高らかに叫ぶと、皇の鍵が輝いてアストラルが隣に現れて一緒に飛ぶ。

 

「遊馬、こうして共に走るのも良いものだな」

 

「アストラル!おうっ!」

 

遊馬とアストラルの楽しい光景を見てアストルフォはピョンピョンと跳ねながら手を挙げる。

 

「いいねいいね!じゃあ、ボクも!おいで、『この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)』!」

 

アストルフォの隣に上半身は鷲、下半身は馬の幻獣であるヒポグリフが召喚される。

 

それはライダークラスであるアストルフォを象徴する代表的な宝具である。

 

アストルフォはヒポグリフに跨り、ヒポグリフは翼を羽ばたかせて空を飛び、遊馬とアストラルの隣に平行して飛ぶ。

 

「やっほー!マスター!アストラル!」

 

「アストルフォ!すっげー!それがお前の自慢のヒポグリフか!」

 

「素晴らしい、とても勇ましい幻獣だな」

 

「うん!それじゃあ、次の島まで競争だ!!」

 

「おうっ!!」

 

「ああ!」

 

遊馬はウィンドボード、アストラルは飛び、アストルフォはヒポグリフで次の島まで競争する。

 

ドレイクは対抗心から部下の海賊達に指示を出す。

 

「野郎ども!あいつらに負けるな!黄金の鹿号、全速前進だ!!」

 

「「「アイアイサー!」」」

 

ドレイクは遊馬とアストルフォの後を追い、黄金の鹿号を全速前進で進ませる。

 

 

 

.




次回はいよいよ下姉様の登場です!
メドゥーサちゃん、ファイトです!(笑)
早いところ桜ちゃんを呼ばないとメドゥーサちゃんのメンタルがやばくなりそうですね。

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