Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
いやー、FGOの第2部が始まりましたけど、ヤバすぎて怖いですね。
まあ、こっちには遊馬くんとアストラルがいますからなんとかなりそうですけど。
やばくなったらカイト達やエリファスを呼んで奴らを殲滅しましょう(笑)
衛宮さんちの今日のごはんが私の癒しです。
さて、今回はネロちゃま大活躍のお話です!


ナンバーズ48 真紅の薔薇と純白の白薔薇

イアソン率いるアルゴノーツの強大な力を持つ二大英雄、ヘクトールとヘラクレスを対処するために、まずは遊馬とネロの二人でヘクトールを討つ。

 

ネロは遊馬が無事に自身をフェイトナンバーズで召喚するためにヘクトールを相手にして時間を稼ぐ。

 

「よし!俺は『ガガガマジシャン』を召喚!更に魔法カード『二重召喚』!もう一度通常召喚権を得る!『ガガガガードナー』を召喚!!」

 

魔法使い族のガガガマジシャンと戦士族のガガガガードナーが並び立ち、これで召喚条件が揃った。

 

「行くぜ、ネロ!来い!」

 

「うむ!」

 

ネロがヘクトールから離れると光の粒子となってフェイトナンバーズの中に入る。

 

「かっとビングだ、俺!レベル4魔法使い族のガガガマジシャンとレベル4戦士族のガガガガードナーでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとガガガガードナーが光となって床に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「炎のようにその心を熱く燃やし、真紅の薔薇の如く、絢爛豪華の舞台に舞い降りろ!!!」

 

光の爆発の後に戦場を彩るように無数の美しい薔薇の花弁が舞い、真紅に輝く『0』の刻印が宙に描かれる。

 

「現れよ!『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』!!」

 

そして、舞う薔薇の花弁の中から未来皇ホープのプロテクターを装着したネロが現れた。

 

ネロの右手には原初の火、左手にはホープ剣が握られており、遊馬と同じバトルスタイルである二本の剣による二刀流となった。

 

「ネロの効果!このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキからフィールド魔法を1枚選択して発動できる!俺が発動するフィールド魔法はこれだ!!」

 

「レグナム カエロラム エト ジェヘナーー築かれよ我が摩天、ここに至高の光を示せ!」

 

デッキから真紅に輝くカードを手札に加えてそのままフィールドに発動する。

 

「我が才を見よ!万雷の喝采を聞け!座して称えるがよい…… 黄金の劇場を!! 」

 

「フィールド魔法、発動!!」

 

ネロが一輪の薔薇を取り出して上に投げ、原初の火を床に突き刺すと巨大な魔法陣が展開され、周囲が光に包まれる。

 

「「『招き蕩う黄金劇場(アエストゥム・ドムス・アウレア)』!!!」」

 

ネロと遊馬とヘクトールを閉じ込めるように空中に黄金と真紅に輝く巨大な劇場が一瞬で建築された。

 

「な、何だこれは!?まさか、固有結界か!?」

 

ヘクトールは船の上から突然見たことない劇場の中に閉じ込められて困惑する。

 

それはネロの願望を達成させる絶対皇帝圏。

 

生前のネロ自らが設計しローマに建設した劇場『ドムス・アウレア』をフィールド魔法の効力とネロの魔力によって再現したものである。

 

本来はネロの魔力で作り出すものであり、自分の心象風景を具現した異界を一時的に世界に上書きして作り出す『固有結界』とは似て非なる大魔術である。

 

そしてこの劇場の主役はネロ……つまり、ネロにとって有利に働く戦場となるのだ。

 

「フィールド魔法、招き蕩う黄金劇場の効果!自分フィールドに『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』がモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力は半分になる!!」

 

「美しく可憐な紫の花を狙う無粋なる輩よ、我が力にひれ伏せ!!」

 

「何!?ぐがぁっ!?」

 

ヘクトールは黄金劇場の効力によってネロに敵対する存在の力を大幅に削ぐ。

 

「行くぜ、ネロの効果!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて発動!ネロが相手モンスターを攻撃したダメージ計算後にその相手の元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!!」

 

ネロがオーバーレイ・ユニットを原初の火に取り込ませると、原初の火とホープ剣から膨大な炎が吹き荒れる。

 

「更に招き蕩う黄金劇場のもう一つの効果!1ターンに1度、自分フィールドの『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』を対象に発動出来る!手札のカード1枚を除外する度に対象モンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする!!俺は手札1枚を除外!よって、ネロの攻撃力は1000ポイントアップする!!」

 

遊馬は次の一手を考えながら3枚の手札の内、1枚の手札を除外してネロに力を与える。

 

ネロの身に宿る魔力が爆発するように膨れ上がり、赤い光を纏いながら原初の火とホープ剣を構える。

 

「行くぜ、ネロでヘクトールを攻撃!!」

 

ネロは滑るように床を走り、炎を纏う原初の火とホープ剣を振り下ろした。

 

「『童女謳う華の帝政(ラウス・セント・クラウディウス)』!!!」

 

振り下ろされた二つの剣は十字の炎刃となり、ヘクトールは槍で防御の態勢を取る。

 

炎刃が巨大な炎の竜巻と化し、ヘクトールを呑み込んで焼き尽くす。

 

「ぐぁああああああっ!!?」

 

ネロの攻撃と効果が同時にヘクトールに襲いかかり、大ダメージを与える。

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!!」

 

2枚のカードを伏せ、ヘクトールの攻撃に備える。

 

「いやー、やるじゃないの……小僧と小娘相手にここまでやられたら……オジサン、本気を出さなければならないよな!!」

 

ヘクトールの魔力が爆発し、手に持つ槍……ドゥリンダナの柄を短くして剣のような形にし、その刃から眩い光が放たれる。

 

宝具が解放され、トロイヤ軍伝説の英雄の力が放たれる。

 

「喰らいな!『不毀の極剣(ドゥリンダナ・スパーダ)』!!!」

 

振り下ろされたドゥリンダナから巨大な斬撃の光が放たれ、ネロに襲いかかる。

 

ネロの後ろにいた遊馬は咄嗟に走り、ネロの隣に立ちながらそのままネロを抱き寄せて左手を前に出す。

 

「ユ、ユウマ!?」

 

「任せろ!罠カード発動!『ドレインシールド』!!」

 

円形の盾が現れ、ドゥリンダナの斬撃を正面から受け止めてその膨大なエネルギーを吸収して攻撃を無効にした。

 

「なっ!?馬鹿な!?」

 

「ドレインシールドの効果!相手の攻撃を無効にし、その攻撃力分だけ俺のライフを回復する!!」

 

盾に吸収した膨大なエネルギーを変換し、遊馬のライフポイントを大幅に回復させる。

 

「これを防ぐか……!それなら、これならどうかい!!」

 

更にヘクトールの魔力が爆発し、ドゥリンダナの柄を伸ばして槍にする。

 

ギリシャ神話の伝説ではヘクトールの槍は世界のあらゆる物を貫くと讃えられており、それがヘクトールのもう一つの宝具にして切り札である。

 

「標的確認、方位各固定……『不毀の極槍(ドゥリンダナ・ピルム)』!!!吹き飛びなぁ!!!」

 

ヘクトールが投擲の構えに入ると同時に籠手を着けた右腕から噴射炎のようなものが発生し、そこからドゥリンダナをミサイルのように放つ。

 

「まだだ!罠カード発動!『ナンバーズ・ウォール』!!ネロ、踏ん張れ!!」

 

「うむ!!」

 

空中に真紅の『0』の刻印が浮かび、ネロの背後に未来皇ホープの幻影が浮かぶ。

 

遊馬はネロと共に原初の火を持ち、飛んでくるドゥリンダナを受け止める。

 

「「うぉおおおおおおっ!!!」」

 

ドゥリンダナを受け止める原初の火から火花が派手に散り、その大きな衝撃に耐える。

 

「「はあっ!!!」」

 

そして、ドゥリンダナを弾き返してヘクトールの切り札である宝具を打ち破った。

 

弾き返されたドゥリンダナを回収したヘクトールは飄々とした態度から一変して僅かに恐怖の表情をする。

 

「ば、馬鹿な……ドゥリンダナが破られた!?」

 

本来なら不毀の極槍を防ぐにはギリシャ神話の大英雄・アキレウスの『蒼天囲みし小世界』かエミヤも使用しているアイアスの『ロー・アイアス』……あるいはそれらに匹敵する防御宝具を使うしかない。

 

「ナンバーズ・ウォールは自分フィールド上にナンバーズがいる時に発動出来る!このカードがフィールド上に存在する限り、ナンバーズは効果では破壊されず、ナンバーズと名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない!!つまり……こいつのお陰でネロは破壊されないんだ!!」

 

ナンバーズは異次元の力を持つ特別なモンスターでナンバーズ・ウォールはそのナンバーズに強固な耐性を与える。

 

その特別なモンスターの力の恩恵を受けた英霊……フェイトナンバーズもナンバーズ・ウォールの効果の対象となり、ネロの破壊を防いだのだ。

 

「おいおい、マジかよ……オジサンの本気の宝具を全て止められるなんて……」

 

ヘクトールは二つの宝具を全て真正面から打ち破られてかなりのショックを受けていた。

 

「ネロ、これで決めるぜ!」

 

「さあ、劇の終焉……余の新たな劇場を見せようではないか!」

 

「俺のターン、ドロー!かっとビングだぜ、俺!!」

 

遊馬はエクストラデッキからもう一枚のフェイトナンバーズのカードを取り出してデッキからカードをドローする。

 

「このカードは手札1枚を除外し、自分フィールドの『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』をエクシーズ素材として、エクシーズ召喚することができる!!」

 

ドローしたカードを除外し、『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』の上に光り輝くフェイトナンバーズを重ねる。

 

ネロは祈るように手を組み、光となって地面に吸い込まれる。

 

「アナザー・コスチューム・エクシーズ・チェンジ!!!」

 

光の爆発が起きると純白に輝く白薔薇の花吹雪が吹き荒れる。

 

「孤高なる魂の皇帝よ、純真無垢な白薔薇の美しき光を纏いて夢と願いの式場に舞い降りろ!!」

 

そして、真紅の『0』の刻印が純白に輝き、白薔薇の花吹雪の中から美しき花嫁が姿を現す。

 

「現れよ!『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』!!」

 

ローマ帝国第五皇帝・ネロ……たった一人の愛する男、遊馬と結ばれるために純潔を守り、自ら作った花嫁衣装を纏った姿である。

 

その手には真紅から純白に輝く原初の火とホープ剣を構え、未来皇ホープのプロテクターに加えて背中に双翼が装着されており、その姿はまるで戦う天使のように美しく、そしてとても勇ましかった。

 

「ネロの効果!このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキからフィールド魔法を1枚選択して発動できる!」

 

「更なるフィールドを展開するのか!?」

 

現在発動している『招き蕩う黄金劇場』は『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』がいないとその効果を発動出来ない。

 

しかし、ネロ・ブライドがいる事で発動できるもう一枚の専用のフィールド魔法がある。

 

デッキから白銀に輝く一枚のカードを手にして発動する。

 

「春の陽射し、花の乱舞。皐月の風は頬を撫で、祝福はステラの彼方まで !開け!!」

 

ネロが今度は白薔薇を取り出して上に投げ、原初の火を床に突き刺すと巨大な魔法陣が再び展開され、招き蕩う黄金劇場が純白に、そして華やかに彩る。

 

「「『招き蕩う結婚式場(ヌプティアエ・ドムス・アウレア)』!!!」」

 

それは招き蕩う黄金劇場が遊馬との結婚を望むネロが思い描いた結婚式場である。

 

更にこの結婚式場は元となった黄金劇場と同じくネロがいる限り、相手モンスターの攻撃力・守備力は半分になる効果を持つ。

 

「さあ、ユウマよ!そなたもコスチュームチェンジだ!」

 

「は?」

 

ネロが白薔薇の花吹雪を操ると遊馬の体を包み込むと、お気に入りの私服姿であるTシャツと白ズボンと赤い上着が結婚式で新郎が着用する白いタキシード姿となった。

 

「うわっ!?俺の服が白タキシードに!?」

 

「似合っておるぞ、ユウマ!」

 

白タキシード姿の遊馬にネロ自ら考えて着用したウェディングドレス姿。

 

ネロは戦いの最中だというのに遊馬への想いを抑えきれずに堂々と高らかに宣言した。

 

「さあ、しばし私情を語ろう……改めて、告白するぞ!!余はユウマが、大好きだっ!!!世界で一番、そなたを愛しているぞ!!!」

 

「ええっ!?いや、知ってるけど……まあ、その、ありがとう……」

 

遊馬はネロの熱烈な告白に顔を真っ赤にする。

 

「……何だこれ……?」

 

ヘクトールは何故戦闘中に敵のマスターとサーヴァントの告白劇を見なければならないのかと頭を悩ませる。

 

遊馬は気を取り直して進化したネロの効果を使用する。

 

「ネロの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスター1体を選択し、その元々の攻撃力分、俺のライフポイントを回復する!」

 

ネロが純白の原初の火にオーバーレイ・ユニットを取り込み、ヘクトールの攻撃力分の数値、遊馬のライフポイントを回復させる。

 

「ユウマ、余の愛を受け取るのだ!」

 

ネロは投げキッスをして小さなハートが遊馬の胸に当たるとドレインシールドに加えてライフポイントが更に大幅に回復する。

 

遊馬は顔を赤くしながら発動したフィールド魔法の効果を使う。

 

「招き蕩う結婚式場の効果!1ターンに1度、自分フィールドの『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』を対象に発動出来る!自分のライフポイントを好きな数値だけ支払い、支払った分の数値分だけ、ネロはエンドフェイズ時までを攻撃力をアップする!俺は……俺のライフを100まで残して全てのライフを支払い、ネロの攻撃力を高める!!ネロ、受け取れ!!!」

 

遊馬が胸を強く握り締めるとドレイン・シールドとネロの効果で回復した分を含めたほぼ全てのライフポイントをネロに捧げた。

 

それにより、先ほどの招き蕩う黄金劇場よりもネロの攻撃力が何倍にも上昇した。

 

「感じる……感じるぞ。ユウマの命の輝きを。今、余とユウマの命が一つに合わさってる……」

 

ネロから白い魔力の光が迸り、遊馬のライフポイント……命の輝きを受け取った事で溢れんばかりの大きな力を得る。

 

今のネロは令呪でサーヴァントのランクをブーストで強化されたように力が沸き起こり、今なら誰にも負ける気がしなかった。

 

「覚悟は良いな……ヘクトールよ!!!」

 

「オジサンも覚悟を決めようか……無駄だと思うが、何もしないよりはましだよな!!」

 

再びドゥリンダナの真名を再び解放し、最後の一撃を放つために魔力が迸る。

 

ネロは遊馬のライフポイントによって強化された命の輝きを純白に輝く原初の火とホープ剣が注ぐとアルトリアの約束された勝利の剣と同等の美しい星の光を放つ。

 

そして、ネロとヘクトールは同時に床を蹴り、互いに全力で宝具を解き放つ。

 

「『不毀の極槍(ドゥリンダナ・ピルム)』!!!」

 

「謳え!!『星馳せる終幕の薔薇(ファクス・カエレスティス)』!!!」

 

ネロは白薔薇の花吹雪を纏いながら突撃する。

 

ヘクトールが投擲したドゥリンダナをネロは横に回転しながら勢いよく振り上げたホープ剣で弾いた。

 

そして、一気にヘクトールの間合いに入ったネロは原初の火を振り払う。

 

「はあっ!!!」

 

ヘクトールに全力の斬撃を撃ち込み、その衝撃にヘクトールは式場の壁に叩きつけられた。

 

「はぁ〜……ここまで派手にやられたのはアキレウスの時以来だよ。いやー、お強いね。お二人さん……」

 

ヘクトールは遊馬とネロに賞賛を送りながらその体が消滅していく。

 

「ヘクトール、もし答えられるなら教えてくれ。イアソンがエウリュアレを狙う理由はなんだ?聖杯を手にしながら何故エウリュアレも狙う?」

 

遊馬はイアソンの目的は分かっているが何故エウリュアレを狙うのかまだ分かっていない。

 

「……いいさ、教えてやろう」

 

ヘクトールは消滅する前に自分を倒した遊馬とネロに褒美としてエウリュアレを狙う理由を教えた。

 

「エウリュアレを……『神を生贄に捧げる』……それが目的だ」

 

「神を生贄に!?」

 

「エウリュアレは女神としての神性はあるが……だが、一体何にだ!?聖杯には必要ないとしたら、何にエウリュアレを生贄に捧げるのだ!?」

 

「『契約の箱(アーク)』。それが目的さ……」

 

「アーク……?」

 

「それは……いや、まさか……」

 

「それから最後に一つ……メディア王女に気をつけろ」

 

「メディア?もしかして、イアソンのところにいる幼いメディアか?どういうことだ!!?」

 

遊馬は謎が解けるどころか、謎が深まるばかりでもっとヘクトールに話を聞こうとしたが、既にタイムリミットとなっていた。

 

「悪いな、もう時間だ……敵だが、これだけは言わせてくれ……頑張れよ……お前さん達なら何とかできるかもしれねぇな……」

 

ヘクトールは敵ながらも遊馬達に大きな可能性を見つけ、最後にエールを送りながら静かに消滅した。

 

消滅した後に残ったヘクトールはフェイトナンバーズを取り、最後に忠告されたメディア・リリィがイアソンにも隠している何かを抱えている可能性が出てきた。

 

そして、遊馬が夢で見たあの光景……この戦いには裏があり、それをメディア・リリィが何かを握っていると遊馬は直感した。

 

「あの幼いメディアはイアソンに何かを隠している……!?」

 

「ユウマよ、早く皆の元へ戻るぞ!」

 

「ああ!!」

 

遊馬は結婚式場のフィールド魔法を解除してネロと共に黄金の鹿号に戻る。

 

しかしそこは想像を絶する壮絶な戦場と化していた。

 

「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ーー!!!」

 

斧剣を手にバーサーカークラスに相応しく狂乱に暴れまわるヘラクレスはアルトリアとエミヤ、そしてアストラルが召喚した希望皇ホープとフェイトナンバーズのマシュを中心に全力で抑えていた。

 

「アストラル!」

 

「遊馬、ネロ!どうやらそっちは片付いたようだな!」

 

「ああ!ばっちりだ!」

 

「うむ!アストラルよ、そちらはどうだ!」

 

「ヘラクレスの方は見たままだ。竜牙兵はメディア達でなんとかなってる!!」

 

一方、アルゴー船の上ではメディア・リリィが召喚した骨の兵隊・竜牙兵が黄金の鹿号に進軍しようとするが、それをメディアの魔術と宗一郎の体術で破壊していった。

 

「宗一郎様!行きます!!」

 

「……分かった!」

 

宗一郎が下がるとメディアは展開した魔法陣から一気に魔力砲撃を放ち、竜牙兵を一掃した。

 

「今です、宗一郎様!!」

 

「……行くぞ」

 

宗一郎は鍛え抜かれた肉体で一気にイアソンに近づき、拳を強く握りしめる。

 

「ひいっ!?来るな、来るなぁあああああっ!!」

 

イアソンは船を操る航海技術だけは超一流だが、戦闘能力は皆無であるため逃げようとするが、船の上で逃げ場がある訳がない。

 

「貴様に恨みはない……だが、貴様はメディアに数え切れないほどの悲しみの涙を流させた……その罪は重い!」

 

限定的な状況下ならサーヴァントを凌駕する

その蛇のような動きをする軌道の拳を使う不思議な体術でイアソンをこれでもかと言わんばかりに徹底的に体中をボコボコに殴り、そして最後に頬殴り飛ばした。

 

「グボラァッ!?」

 

イアソンは壁に叩きつけられ、全身があざとタンコブだらけになり、美男子が台無しになるほど見るも無残な姿となった。

 

「終わりだ……」

 

宗一郎がイアソンにトドメを刺そうと手を手刀にして振り下ろそうとした……その時だった。

 

「だめぇっ!!!」

 

メディア・リリィがイアソンを庇うように宗一郎の前に立ち塞がった。

 

「っ!??」

 

宗一郎の目にメディア・リリィの姿が映った瞬間、振り下ろした手を止めてしまった。

 

メディア・リリィは魔法陣を展開して近距離で魔力砲撃を放った。

 

「うがっ……!?」

 

魔力砲撃を近距離で受けてしまい、大きなダメージを受けながら吹き飛んだ。

 

「宗一郎様!!」

 

メディアは吹き飛んだ宗一郎を受け止めた。

 

「宗一郎様、大丈夫ですか!?小娘……よくも!!」

 

メディアは宗一郎を攻撃したメディア・リリィを睨みつけた。

 

宗一郎を傷つけられた怒りから自分の過去の存在とはいえ、メディア・リリィを今にも殺しそうな勢いだった。

 

メディア・リリィは竜牙兵を繰り出してメディアと宗一郎を襲わせる。

 

すると、遊馬のデッキケースから藍色の光が飛び出してメディアと宗一郎の前に現れた。

 

「アサシン……参上!」

 

それはメディアと何故か関わりがある佐々木小次郎だった。

 

「秘剣……燕返し!!!」

 

背中の太刀を抜いて構えると、小次郎だけが使える唯一無二の秘剣を放つ。

 

円弧を描く三つの軌跡と、愛用する太刀の長さが生み出す不可避の剣技……その宝具に匹敵する秘剣で竜牙兵を斬り裂いた。

 

「佐々木!?」

 

「アサ、シン……?」

 

「久しいな、宗一郎。魔女よ、今はこれ以上力を振るう必要はない。そうであろう、マスター!!」

 

「小次郎……アストラル!!」

 

「ああ!出番だ、アストルフォ!アステリオス!!」

 

アストラルが叫ぶと、予め上空でピポグリフに乗って待機していたアストルフォが一気に急降下してものすごいスピードでヘラクレスの間合いに入った。

 

「うぉおおおおっ!!触れれば転倒!!!」

 

黄金の馬上槍がヘラクレスの体に触れた瞬間、その効果でヘラクレスの膝から下が強制的に霊体化してバランスを崩した。

 

「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ーー!?」

 

いかに世界にその名を轟かせる大英雄のヘラクレスとはいえ、その嵐のように激しい攻撃を生む動きの起点である足を封じればパワーダウンは免れない。

 

「アステリオス!!!」

 

「うぉおおおおおおっ!!!」

 

エイリークの時と同じように強烈なアッパーでヘラクレスを打ち上げてアルゴー船に送り返した。

 

「ドレイク船長!!」

 

「あいよ!野郎ども、面舵いっぱい!全速前進!!この場から撤退するよ!!」

 

「「「アイアイ姉御!!」」」

 

敵が全てアルゴー船に戻り、現状でほぼ戦闘不能に追い込んだので撤退するためにドレイク達は全力で黄金の鹿号を操作する。

 

アストラルは安全に逃げられるようにマシュのフェイトナンバーズの効果で選んだ魔法カードを一枚デッキトップに置いており、そのカードをドローしてすぐに発動する。

 

「私のターン、ドロー!魔法カード発動!『光の護封剣』!!」

 

敵の攻撃を封ずる聖なる光の剣城がアルゴー船の周囲に現れ、イアソンたちの行動を封ずる。

 

「遊馬!」

 

「おう!メディア!葛木先生!小次郎!戻れ!!」

 

遊馬がメディアと宗一郎と小次郎のカードを掲げると三人は光の粒子となってアルゴー船からカードの中に入る。

 

そして、黄金の鹿号は全速力でアルゴー船から離れて撤退した。

 

イアソンは勝てると思っていた戦いだが、大事な戦力であるヘクトールをあっさり失い、自分はこれだけ痛めつけられ、実質大敗したことにかなり苛立っていた。

 

「くそっ、くそっ、あいつら……よくも……!!」

 

「大丈夫です、マスターが聖杯を持ってる限り、彼らは必ずまたやって来ます。今治療しますのでジッとしてください……」

 

メディアはすぐにイアソンの治療を行うために宝具を発動する。

 

「ーーーーーーーー……」

 

一方、いまだに足が元に戻らないヘラクレスは座りながら静かに黄金の鹿号が撤退した方角を静かに見つめていた。

 

 

余談だが、カルデアでは……。

 

「あ、あんなに大胆に告白するなんて許しません!!ハレンチです!!」

 

「あんの、色ボケ皇帝がぁあああああっ!!」

 

「許しません許しません許しません……ふふふ、私の炎で燃やしてあげましょうか……!?」

 

ジャンヌ達が再び暴走して戦闘でもないのに出向こうとしていた。

 

「そう言う色恋は遊馬達が帰ってからにしなさい!!」

 

オルガマリーは引き続きサーヴァント達に頼んでジャンヌ達を抑えてもらっていた。

 

「むぅ、ネロさん良いなぁ……私も遊馬が帰って来たら頑張らなきゃ!!」

 

小鳥は嫉妬にかられないよう我慢しながら遊馬が帰って来たらイチャイチャ出来るように頑張ろうと誓った。

 

 

 

.




あの万能英雄のアキレウスが苦戦したヘクトールですが……ぶっちゃけやりすぎたぐらい遊馬&ネロちゃまコンビの前に倒れました(笑)

今回の登場カードはこちらです。

FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/炎属性/戦士族/攻2500/守2000
魔法使い族レベル4モンスター+戦士族レベル4モンスター1体ずつ
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキ・手札・墓地からフィールド魔法を1枚選択し、自分フィールドに発動することが出来る。
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。このカードが相手モンスターを攻撃したダメージ計算後に発動する。その相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。



招き蕩う黄金劇場
アエストゥス・ドムス・アウレア
フィールド魔法
このカードは自分フィールドに『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』がいる時に発動出来る。
自分フィールドに『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』がモンスターゾーンに存在する限り、 相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力は半分になる。
1ターンに1度、自分フィールドの『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』を対象に発動出来る。手札のカード1枚を除外する度に対象モンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。この効果は相手ターンでも使用できる。



FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000
光属性レベル4×3
このカードは手札のカードを1枚除外し、自分フィールドの『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』の上に重ねてエクシーズ召喚する事が出来る。
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキ・手札・墓地からフィールド魔法を1枚選択し、自分フィールドに発動することが出来る。
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。相手モンスターを1体選択し、そのモンスターの元々の攻撃力分の数値分、ライフポイントを回復する。



招き蕩う結婚式場
ヌプティアエ・ドムス・アウレア
フィールド魔法
このカードは自分フィールドに『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』がいる時に発動出来る。
自分フィールドに『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』がモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドのモンスターは相手の効果の対象にならず、相手モンスターの攻撃力・守備力は半分になる。
1ターンに1度、自分フィールドの『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』を対象に発動出来る。自分のライフポイントを好きな数値だけ支払い、支払った分の数値分を対象モンスターの攻撃力をエンドフェイズ時までアップする。この効果は相手ターンでも使用できる。

ヤバイ強すぎた(笑)
ネロちゃまの遊馬への愛が強すぎてこんなカードになってしまいました。
EXTRAのアニメもスタートするので良い感じの効果を詰め込みました。
やっぱり一番の目玉はフィールド魔法をどこでも発動出来るところですね。
黄金劇場と結婚式場もいいですけど、他のフィールド魔法でも使えるのがいいですね。
ヘラクレスなどのバーサーカーにとって一番辛いアストルフォのお陰でアステリオスの死亡イベントは回避されました。
次回はアタランテちゃんの登場です!
やっと出せます、子供の守護者である彼女が13歳の遊馬を見てどう感じるか見ものです。

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