Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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お待たせしました、ついに遊馬の力が全盛期状態のフルパワーとなります!
やっぱり遊馬君は彼がいないとですね!


ナンバーズ4 希望皇、降臨!

遊馬達の前に姿を現したサーヴァント、長身の魔法使いの姿をした男……キャスター。

 

本来ならメドゥーサと対峙した遊馬たちに加勢するはずだったが、遊馬の使う見たことない魔術の力を見てみたいという理由で傍観していた。

 

そして、見事に遊馬の未来皇ホープがライダーを打ち倒し、こうして姿を現したのだ。

 

キャスターはデミ・サーヴァントであるマシュに興味を持ち、体をジロジロみながら早速とんでも無いことをしてきた。

 

「ひゃん……!?」

 

キャスターは突然マシュの体をペタペタと触るセクハラを行い、マシュは顔を真っ赤にしながら慌ててキャスターから離れた。

 

「おう、いい体してるじゃねえか!役得役得っと……」

 

ヒュン!グサッ!!

 

「……あだぁあああっ!?な、何だ!?手にカードが刺さった!?」

 

キャスターの左手の甲にグサリとカードが突き刺さり、激痛が走って大慌てをする。

 

「マシュ、大丈夫か?」

 

それは遊馬のカードでデッキトップからドローする勢いと手首のスナップを効かせた空を切り裂くようなスピードでカードがキャスターの左手の甲に突き刺さったのだ。

 

「は、はい。ありがとうございます、遊馬君。凄いですね、カードを投げ飛ばすなんて」

 

「へへっ、デュエリストなら当然だぜ」

 

「何が当然だ!?カードを暗器のように投げるたぁ、どんな技術だ!?」

 

「あんたさぁ……女の子の嫌がることすんじゃねえよ。それでも大人かよ」

 

「うぐっ!?」

 

ジト目で睨みつけている遊馬に正論を言われキャスターの心にグサリと刺さる。

 

「英霊とはいえ立派な大人なんだからさ、そういう事は恋人か奥さんにしろよ」

 

「う、うるせぇ!お前だってあのお嬢ちゃんのいい体を見たら触りたくと思わないのか!?」

 

「はぁ?触って何になるんだよ。今度マシュが嫌がる事をしたら今度は頭に投げるぜ」

 

再びデッキトップに手を添える遊馬にキャスターの悲痛な声が響く。

 

「やめろぉ!なんかそれ地味に痛いんだよ!?本当にそれはただのカードか!?」

 

「ただのカードだよ。そんじゃ、止めることだな」

 

「あだっ!?」

 

遊馬はキャスターの手に刺さったカードを引き抜いてデッキに戻す。

 

するとマシュは遊馬のカードの投擲術に感動して目を輝かせた。

 

「遊馬君、是非ともそのカードの投擲術を教えてください!」

 

「ああ、良いぜ!後で詳しく教えるけど、カードを投げる時は手首のスナップがポイントだぜ!」

 

「なるほど、手首のスナップで勢いをつけるのですね!」

 

「そうそう!」

 

楽しそうに話し出す遊馬とマシュにオルガマリーは年長者として咳払いをしてこの場をまとめる。

 

「あの、そろそろ良いかしら?キャスター、あなたの話を聞かせてちょうだい」

 

「お、おう……」

 

キャスターはオルガマリーと通信機で話すロマニとの情報交換を行う。

 

キャスター曰く、突然この冬木の街が一夜にして炎に覆われ、人がいなくなって残ったのがサーヴァントだけだった。

 

するとセイバーが暴れ出してキャスター以外の全てのサーヴァントが倒されてしまったが、先ほどのメドゥーサのように闇に侵食されて暴走していた。

 

生き残ったサーヴァントはセイバーとキャスターのみでセイバーを倒せばこの聖杯戦争が終わるとキャスターは睨んでいた。

 

しかし、キャスターだけではセイバーに勝つことは出来ないので遊馬達と協力関係を結ぶことにした。

 

遊馬はマシュと契約を結んでいるのでキャスターはオルガマリーと契約しようと思ったが、オルガマリーにはマスターの適性が無く、キャスターと契約することが出来ない。

 

オルガマリーはマスターの適性が無いことにかなりの劣等感を抱いていたが……。

 

「私はカルデアの所長です!マシュと遊馬、二人を指示し、導くのは私の役目です!!上に立つ人間としてやる事を全力でやるだけよ!!」

 

「おお!燃えてるな、所長!かっとビングだぜ!」

 

「こんな所長、初めて見ました……」

 

遊馬の諦めない心、かっとビングに触発され、劣等感を捨て去って心を奮い立たせていた。

 

キャスターは早速遊馬と契約を結ぼうとしたが、その前にマシュが気になるものを見せた。

 

「遊馬君……あの、私の右手の甲を見てください」

 

「えっ?お、おい!これって、ナンバーズの刻印じゃないか!?」

 

遊馬はマシュの右手の甲に刻まれた独特な形をした『00』の刻印に目を疑った。

 

「しかもこれって未来皇ホープの……何で……?」

 

すると今度は遊馬の右手が金色に輝き、令呪も強い真紅の輝きを放った。

 

「令呪が……遊馬君、私の手を握ってください」

 

マシュは遊馬に右手を差し出す。

 

「手を……?」

 

遊馬は恐る恐るマシュと手を握ると『00』の刻印が翡翠色から鮮やかな蒼色に変わり、次の瞬間……マシュの体が光に包まれるとモンスターエクシーズのカードになってしまった。

 

「……えぇええええっ!?マシュがカードになったぁ!?」

 

「ちょ、ちょっと!?どういう事よ!?マシュが何でカードになるのよ!?」

 

『マシュ!大丈夫なのかい、マシュ!!』

 

マシュがカードになってしまい、困惑して大騒ぎをする遊馬達。

 

すると、カードが勝手に動き出して遊馬の手に収まると白紙のカードに絵柄が浮かび上がった。

 

それはマシュが左手で盾を構え、右手を差し出している姿のかっこよく、なおかつ可愛くて綺麗な絵だった。

 

すると、カードから光の粒子が現れるとマシュが姿を現した。

 

「マ、マシュ!大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫です、心身共に問題ありません。どうやらそのカードが私と……サーヴァントとマスターである遊馬君との契約を交わした結晶のようなものです」

 

「このカードが俺とマシュの契約の結晶?」

 

「私も詳しくはまだ分かりませんが、そのカードは遊馬君のデュエルモンスターズと言う戦いの力と、私のサーヴァントとしての力が合わさって生み出されたと思います。先ほどのメドゥーサのカードも何か意味があると思います」

 

カードになったことで遊馬自身の力とサーヴァントの力が合わさったものだと推測するマシュ。

 

それを見たキャスターが面白いと思いながら自分の右手を開いた。

 

「ふーん……なるほどな。おい、小僧。俺と手を握れ」

 

「えっ?あ、おい!」

 

キャスターは無理やり遊馬の手を握ると、右手の甲に『07』の赤い刻印が刻まれてマシュと同じようにカードになった。

 

カードにはキャスターが左手には杖、そして右手には見た事ない赤い槍を持った姿が描かれており、マシュの時と同じく名前と効果は書かれていなかった。

 

カードからキャスターが出てきて体を伸ばしながら納得したように頷いた。

 

「これで俺と小僧……マスターとの契約は完了だな。どうやら、このマスターとの契約は長ったるい詠唱とかいらねぇみたいだな。まあ、そのカードが真の力を発揮する条件は分かんねえけどな」

 

本来ならサーヴァントと契約する為には専用の詠唱をマスターが唱えなければならないが、何故か遊馬との契約にはそれが必要が無いらしく、更には謎の力を秘めたモンスターエクシーズのカードが現れる。

 

これには魔術やサーヴァントなどの専門の知識を持つオルガマリーとロマニも頭を悩ませる予想外の事態となり、ひとまずそのカードの解析はこの特異点の調査が終了し、カルデアに戻った後に行われることとなった。

 

遊馬が色々試した結果、謎のカードには契約したサーヴァントの緊急避難みたいな効果が付与されていた。

 

それは遊馬が来いと念ずるとそのサーヴァントが光の粒子となって一瞬で肉体と魂がそのままカードに入り込むもので、撤退などもしもの時に使える効果だった。

 

その後、遊馬達はセイバーがいる大聖杯と呼ばれるものがある場所、柳洞寺へ向かった。

 

山奥の寺にある大きな洞窟、遊馬達は警戒しながら進んだ。

 

そして、セイバーを守る門番のように赤い外套を纏ったサーヴァント、アーチャーが佇んでいた。

 

「ふむ……未熟だな、歳は十五には達して無いながこれほど幼いマスターは初めてだ。そして、キャスター……今までこそこそ逃げていたお前がやってくるとはな」

 

「永遠に終わらないゲームなんざ退屈だろう?この面白え小僧と一緒にお前らを倒しに来た」

 

「本気か……それにしても、そのマスターは幼いながら覚悟を秘めた目をしているな」

 

「当たり前だろ、あんた達を倒して世界の未来を守るんだ!ゴゴゴゴーレムを召喚!攻撃だ!」

 

遊馬は先手必勝とばかりにゴゴゴゴーレムを呼び出し、背中のブースターを放出しながら攻撃する。

 

「これが未知の召喚法か……面白い。だが!」

 

アーチャーは持っていた黒弓を捨てて白と黒の二色の夫婦剣、干将・莫耶を出現させた。

 

干将・莫耶を振るい、ゴゴゴゴーレムを細切れにして破壊した。

 

ゴゴゴゴーレムが破壊され、衝撃波を受けてダメージを受けた遊馬は目を見開いた。

 

「ぐあっ!?ア、アーチャーが剣を!?」

 

「弓兵でも剣を使うぞ!」

 

「お嬢ちゃん、行くぜ!」

 

「は、はい!」

 

「させん!」

 

アーチャーは大量の剣をどこからともなく出現し、矢のように一斉発射してマシュとキャスターの動きを封じた。

 

「マシュ!キャスター!ぐあっ!」

 

アーチャーは遊馬の懐に入って拳を叩きつけて壁に激突させる。

 

「遊馬君!!」

 

「ちっ!マスター!」

 

マシュとキャスターは剣を退けようとするがアーチャーは更に剣を出現させて発射し、二人の動きを封じる。

 

そして体に痛みが走り、すぐに動くことができない遊馬に対し、アーチャーは何かを試すように静かに問う。

 

「少年よ、何故戦う?」

 

「決まってるだろ!この世界の未来を守るためだ!!」

 

アーチャーは目を細めて更に問う。

 

「……貴様は正義の味方にでもなったつもりか?全ての人間を救うつもりか?」

 

「正義の味方とか、そんなつもりはない!全ての人間を救うことは俺一人では出来ないし、それは不可能なことかもしれない……だけど!俺は目の前で起きていることから逃げたくないだけだ!その為に仲間を守る!この世界の人類の未来を守る!!」

 

アーチャーの問いに対し、遊馬の純粋で揺らぐことのない真っ直ぐな思い。

 

しかしその思いがアーチャーの癇に障った。

 

「まるで私に対する当てつけのような言葉だな……だが少年、力無き想いは無力と知れ!理想を抱いて、溺死しろ!」

 

アーチャーの干将・莫耶が振り下ろされ、遊馬の命が絶たれようとした……その時だった。

 

ガギィン!!

 

「何!?」

 

振り下ろされたアーチャーの干将・莫耶を遊馬がデュエルディスクを盾にして受け止めていた。

 

遊馬は諦めを知らぬかのような強い意志を秘めた瞳でアーチャーを睨みつけていた。

 

「死ねるかよ……こんな事で死んだらあいつに、みんなに顔向け出来ないだろ!!」

 

遊馬の諦めない想い……希望を信じる心が奇跡を起こす。

 

皇の鍵から煌めく金色の光が放たれ、謎の衝撃波によってアーチャーを吹き飛ばした。

 

「くっ!何だこの光は!?」

 

「遊馬君の皇の鍵が、光ってる……!?」

 

「おいおい、何が起きるんだ?」

 

サーヴァントたちが驚いて見ていると、皇の鍵の先端から光線のようなものが天井に向けて放たれると空間に歪みが発生して大きな穴が開き、そこから異世界への扉を開いた。

 

空間の穴から青白い光の塊が現れて飛来し、遊馬の前に激突して美しい光の粒子が溢れ出す。

 

そして、遊馬の前に現れたのは青白く光り輝く体を持ち、体中に不思議な文様が刻んでいる少年の姿をした謎の生命体だった。

 

何だ、あれは……?

 

敵味方関係なくこの場にいた誰もがそう思った。

 

見たことのない謎の生命体……精霊のようにも見える謎の存在に呆然としている中、遊馬は顔を歪めていた。

 

「お前……何で……?」

 

今にも泣きそうな顔でくしゃくしゃになっている遊馬を謎の生命体は優しく微笑んだ。

 

「君の危機に、私が駆けつけない訳がないだろう?君と私は一心同体の存在だ……遊馬」

 

「アストラル!!!」

 

遊馬は謎の生命体……アストラルに抱きついた。

 

アストラル、それは運命に導かれて遊馬の元にやって来た異世界のデュエリスト。

 

ぶつかり合いながらも絆を深め、共に多くの敵と戦い続けた遊馬の最高の相棒である。

 

一方、まるで離れ離れになった恋人同士が再会したような光景に敵であるアーチャーすら軽く思考停止をしていた。

 

「遊馬……私も再会を喜びたいが、今は目の前の敵を倒そう」

 

「あっ、そ、そうだな!悪い、アストラル!」

 

遊馬は慌ててアストラルから離れてデュエルディスクを構える。

 

「敵はあの男か?どうやらこれはデュエリスト同士の戦いでは無いな。しかも、あれは普通の人間ではない……」

 

「詳しいことは後で話す。だけど、今の俺のモンスターじゃアーチャーには敵わない」

 

「そうか。だが、『我々のモンスター』なら話は別だな。勝つぞ、遊馬!!!」

 

アストラルが手を伸ばすと遊馬のデッキケースが輝き、エクストラデッキに新たなカードが宿る。

 

「久しぶりにやろうぜ、アストラル!」

 

「ああ!行け、遊馬!」

 

「おう!俺のターン、ドロー!!」

 

遊馬は戦いの最中だが、アストラルと共に戦えることを心の中で喜びながらドローをする。

 

「来た!俺は魔法カード、『ガガガ学園の緊急連絡網』を発動!効果でデッキからガガガモンスターを特殊召喚出来る!来い、『ガガガマジシャン』!」

 

『ガガガッ!』

 

ガガガモンスター達を象徴する校章でもある『我』と大きく描かれた魔法カードの効果により、デッキからガガガマジシャンが特殊召喚され、続いて手札のモンスターを呼ぶ。

 

「更に、『ガンバラナイト』を通常召喚!」

 

『ガンバァ!』

 

両手に大きな盾を持った攻撃力を持たない守りの戦士を呼び出し、これで全ての条件は揃った。

 

「かっとビングだ、俺!レベル4のガガガマジシャンとガンバラナイトでオーバーレイ!二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとガンバラナイトが光となって地面に吸い込まれ、遊馬とアストラルの始まりのモンスターエクシーズを呼び出す。

 

「「現れよ、No.39!」」

 

空中に独特な形をした『39』の赤い数字が一瞬だけ描かれる。

 

そして、今までのモンスターエクシーズとは大きく異なり、地面から中心に青い円の水晶のようなものが見える白い塔が、二つの金色のオーバーレイ・ユニットを纏いながら出現した。

 

「「我が戦いはここより始まる!」」

 

白い塔がまるでロボットのように人型に変形していく。

 

「「白き翼に望みを託せ!」」

 

白の双翼に黄と白の鎧、左肩のプロテクターには先ほど空中に浮かんだ『39』の赤い数字が刻まれ、胸には遊馬の皇の鍵に似た翡翠色の球体が埋め込まれている。

 

腰には二振りの剣が携えられ、凛々しくも逞しい顔が現れると遊馬と同じ赤い瞳を輝かせている。

 

そして、全ての変形が完了すると遊馬とアストラルの希望の戦士が現れた。

 

「「光の使者、『希望皇ホープ』!!!」」

 

『ホォオオオオオープ!!!』

 

希望の名を持つ遊馬とアストラルの絆の象徴であり、未来を守るために共に数々の敵と戦い続けて来た歴戦のエースモンスター、希望皇ホープ。

 

今までとは大きく異なるオーラを放つ希望皇ホープにこの場にいる誰もが驚愕する。

 

「な、何よあれ……どうしてあの子がこれほどの力を……!?」

 

『す、凄いエネルギー値だ!英霊に匹敵するパワーを秘めているぞ!?』

 

オルガマリーは遊馬が希望皇ホープを何の障害もなく召喚していることに信じられないと言わんばかりに驚き、ロマニは希望皇ホープから放たれるエネルギー値に目を疑うほどに驚愕している。

 

「はははっ!なんか知んねえけどやるじゃねえか、マスター!」

 

キャスターは遊馬とアストラルの二人で召喚した希望皇ホープを見て戦いたいと体をうずうずさせていた。

 

「綺麗……希望皇ホープ。それに、未来皇ホープに似ている……」

 

マシュは希望皇ホープと未来皇ホープが似ていると思ったがそれもそのはず。

 

未来皇ホープは希望皇ホープの未来の姿であり、希望皇ホープは幾つものの進化を秘めたモンスターエクシーズで始まりの姿でもあるのだ。

 

「何だこれは……!?」

 

そして、希望皇ホープと対峙しているアーチャーはその美しい輝きに目を奪われ、敵だということを思わず忘れるほどに魅了されてしまった。

 

まるで世界を救う為に現れた『英雄(ヒーロー)』に対峙したような気分だった。

 

「マシュ!キャスター!後は俺たちに任せてくれ!」

 

「遊馬君……」

 

「今までと違って強気になりやがって。良いぜ、お前達の力を見せてもらうぜ」

 

マシュとキャスターは遊馬の強気で自信満々の思いを信じていつでも対応できるように警戒しながら下がった。

 

遊馬とアストラルは二人同時にアーチャーを指差しながら希望皇ホープに攻撃の指示を出す。

 

「「行け、希望皇ホープ!アーチャーに攻撃!!」」

 

希望皇ホープは左腰に携えられた剣の柄を持ち、アーチャーに向けてブーメランのように勢いよく投げ飛ばす。

 

「くっ!熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」

 

アーチャーは光で出来た七枚の花弁の盾を投影し、投げ飛ばした剣を受け止めて花弁の一枚を破壊した。

 

剣は盾に弾き飛ばされて宙に舞うが希望皇ホープは剣をキャッチしながら勢いよく振り下ろす。

 

「「ホープ剣・スラッシュ!!!」」

 

投擲からの剣撃への連続攻撃にアーチャーの盾に大きな衝撃を与えて七枚あった花弁が次々と破壊されて三枚までとなってしまった。

 

「ふっ、残念だったな。貴様らの希望の剣は私には届かないぞ!!」

 

アーチャーは攻撃が終わった希望皇ホープを倒すために武器を投影しようとしたが、遊馬とアストラルは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「「それはどうかな?」」

 

「何!?」

 

「「手札から速攻魔法!『ダブル・アップ・チャンス』を発動!!」」

 

遊馬は手札から大量のコインを放出しているスロットマシンが描かれた魔法カードを発動した。

 

それは遊馬とアストラルが数々のデュエルで繰り出してきた希望皇ホープの必殺のカードといっても過言でもないものだった。

 

「ダブルアップ、チャンス!?」

 

「「モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターの攻撃力を二倍にして、もう一度攻撃が出来る!!!」」

 

希望皇ホープの攻撃がアーチャーの盾で防がれた事で攻撃を無効になったとして扱われ、ダブル・アップ・チャンスの発動条件を満たしたのだ。

 

希望皇ホープは右腰に携えられたもう一つの剣を左手で抜いて構え、ダブル・アップ・チャンスの効果を受けて二つの剣の刃が眩い金色の光を放つ。

 

「攻撃力を二倍だと!?」

 

デュエルモンスターズでは数あるモンスターの中でも元々の攻撃力で最大の数値は5000である。

 

希望皇ホープの攻撃力は2500、つまりダブル・アップ・チャンスで攻撃力は2500の二倍の5000まで上昇しているのだ。

 

「「希望の光よ、闇を斬り裂け!!」」

 

ただでさえ強力な攻撃を放つ希望皇ホープの攻撃力が二倍になることは凄まじいもので希望皇ホープの体から闇を照らすような金色の光を放っていた。

 

「「希望皇ホープ!!ホープ剣・ダブル・スラッシュ!!!」」

 

希望皇ホープは二つの剣をばつ印を描くように全力で振り下ろし、熾天覆う七つの円環の全ての花弁を破壊した。

 

アーチャーは再び干将・莫耶を出現させて希望皇ホープの双剣を真正面から受け止めた。

 

しかし、攻撃力が二倍となった希望の剣の前に干将・莫耶が耐えきれなくなって砕け散り、希望皇ホープはそのままアーチャーを叩き斬った。

 

アーチャーは胸に大きな十字傷を受け、そのまま吹き飛ばされながら壁に大きく激突した。

 

遊馬とアストラルの思いが込められた希望皇ホープの全力の攻撃を受けて無事でいられるわけがなく、アーチャーの体が光の粒子となっていく。

 

「見事だ、少年……」

 

アーチャーは立ち上がり、遊馬とアストラルを見つめて二人の力を認めて称賛した。

 

「貴様の信じる道を歩む為の力、それはその精霊と二人で一つの力のようだな……ふっ、私の完敗だ」

 

「アーチャー……」

 

「少年、そして精霊よ……二人の名を問おう」

 

「俺は九十九遊馬だ!」

 

「我が名はアストラル!」

 

遊馬とアストラルは堂々と名乗り、その二つの名を心に刻んだアーチャーは微笑みながら静かに目を閉じた。

 

「遊馬、アストラル……幼いながらも強く、優しいその希望の光は私には眩しく見える。その心の輝きを失わないでくれ……」

 

アーチャーは光の粒子となって完全に消滅した。

 

そして、メドゥーサと同じように白紙のモンスターエクシーズのカードが残され、遊馬は静かにカードを拾った。

 

「遊馬、そのカードは……?」

 

「分からない。ただ今みたいにサーヴァントを倒したらモンスターエクシーズのカードが残るんだ。それから俺と契約したサーヴァントからも同じカードが……」

 

「サーヴァント……?どうやら君は新たな戦いの運命に巻き込まれたようだな。遊馬、今君が知っていることを全て教えてくれ、情報を整理しよう」

 

「ああ。だけど、その前に一言だけ言わせてくれ」

 

「何だ?」

 

遊馬は右手を差し出してとびっきりの笑顔を向けた。

 

「おかえり、アストラル」

 

「……ただいま、遊馬」

 

アストラルはその言葉に嬉しさが込み上げて遊馬の手を握り、同じように笑顔を向けた。

 

遥か昔に別れた二つの魂が出会いと別れを繰り返した。

 

そして、再び果てしない戦いの運命に飛び込む為、世界を越えて再会を果たした。

 

「あの、遊馬君……そちらの精霊さんはどちら様ですか?」

 

「マシュ、アストラルが見えるのか?それならちょうどいいぜ!アストラル、紹介するぜ、俺の新しい仲間のマシュだ!」

 

「え?あ、は、はい!初めまして!マシュ・キリエライトです!」

 

「マシュ・キリエライト……記憶した、私はアストラル。遊馬の相棒だ」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「よろしく頼む」

 

遊馬はマシュにアストラルを紹介し、互いに自己紹介をする。

 

ここから、全てが始まる。

 

異世界の希望と未来を司る二人で一人の絆の英雄と運命に導かれた少女。

 

三人の出会いが人類の未来を救い、英霊と絆を結ぶ、長き旅の物語が幕を開ける。

 

 

 

.

 




満足したぜ……。
やっぱり希望皇ホープはかっこいいですな、私の使っているデッキもホープデッキなので。
次回は騎士王様との対決ですがやっぱり騎士王様なので、あの聖剣の名を持つモンスターエクシーズの活躍も見せたいなと思います。

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