Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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今回で空の境界編、最終回です。
何とか終わることができました。
しかし次も更なるコラボ……第4章を早く書きたいっす。


ナンバーズ58 一欠片の希望の光

行方不明となったサーヴァント達を無事に全員連れ戻し、後は特異点の元凶と思われる闇のサーヴァントと対峙するだけとなり、遊馬達は戦いの前の一休みをしていた。

 

「遊馬、戦いの前に一つ頼みがある」

 

「頼み?何だ?」

 

「オレをお前のサーヴァントにしてくれないか?」

 

それは遊馬とのマスターとサーヴァントの契約を結ぶものであり、全く契約する気がなかった式の頼みに遊馬達は驚いた。

 

「えっ?良いのか、式。それってこの戦いが終わってもカルデアに来てもらうことになるけど……」

 

「構わない。戦いが終われば夢が覚めると思っていたが、そうでもないらしい。それに、お前達の話が真実なら、人理焼却でオレは一度死んだ。擬似サーヴァントになった理由はわからないけどな」

 

式はナイフを鏡にして自分の顔を見る。

 

「人理焼却をしたのが誰かは知らないが、勝手に人類を滅ぼした奴……特に人様の大事なものを消した奴にケジメをつけなきゃいけない。オレも遊馬に触発されたのかもな……」

 

「俺に?」

 

「オレに旦那と娘がいるのは知っているな?オレは旦那と娘を取り戻す……大切な人を取り戻したいその気持ちを遊馬、お前が気付かせてくれた」

 

式の大切な旦那と娘……その二人は人理焼却で恐らくは死んでいる。

 

しかし、人理を修復すればその二人を取り戻すことができる。

 

遊馬が仲間を……特にブーディカを救うために全力で立ち向かう姿を見て、二人を取り戻すために遊馬と契約を交わす決心をついた。

 

「分かった。俺達とこれからも一緒に戦ってくれ、そして……式の大切な人たちを必ず取り戻そう!よろしくな、式!」

 

「ああ……よろしくな、マスター」

 

遊馬と式は握手を交わし、式が光の粒子となって新たなフェイトナンバーズが誕生する。

 

それは夢の後で手に入れた式のもう一つの人格?と思われる存在とは別のフェイトナンバーズだった。

 

「式さん、これからもよろしくお願いします!」

 

「よろしく頼む、両儀式。いや……式」

 

「フォウ、フォーウ!」

 

「ああ、改めてよろしくな。マシュ、アストラル、フォウ」

 

式が遊馬達の仲間となり、テンションを高めながらオガワハイムの最後の戦いに挑む。

 

それは最上階へと続く扉……今までの扉には鍵がかかってなかったのにこの扉だけは鍵がかけられていて開けられなかった。

 

そこでフォウが見つけた鍵を取り出して試しに差し込んで見ると……。

 

ガチャ!

 

「開いた!」

 

「ようやく、黒幕とご対面か」

 

「恐らくはあの闇のサーヴァント……」

 

「では、仕事とやらを邪魔しに行こうか」

 

どのクラスにも属さない謎の闇のサーヴァント……遊馬達は決着をつけるために戦場への扉を開いた。

 

遊馬達が出た場所はオガワハイムの屋上。

 

見上げると空がとても近く、静かに輝く月に手が届きそうなほどの高さだった。

 

「よくできてる。まるで巫条ビルの屋上だ。明け方が近いな。おい、仕事とやらは終わったのか、そこの黒いの」

 

式が何もないところを睨み付けるとそこから闇が溢れ出して中から例のサーヴァントが現れる。

 

「終わるものか。我が恩讐が晴れることはない。永遠に。確かに、この塔は消え去るだろう。お前達の手によって無に帰すだろう。だがオレの仕事は終わらない。絶望の島。監獄の塔。財宝の城。それらの姿を思い出すまでは、決して」

 

「絶望の島、監獄の塔、財宝の城……?」

 

闇のサーヴァントの口から語られる重要なキーワードだと思われるものをアストラルはしっかりと記憶していく。

 

「遊馬君、戦闘準備を!敵サーヴァント、確認しました!アレはーーこの世にいてはいけない英霊です!」

 

「ーークッ。はは、ははははははははは!この世にいてはいけない英霊とは!舌を焼かれるぞ、デミ・サーヴァント!死霊も英霊も同じものだといずれ知れ。我らは共に、この世に陰を落とす呪いなのだと」

 

死霊も英霊も確かに人間が死んだ魂の存在……しかし遊馬は首を傾げてその言葉に違和感を感じた。

 

「……俺はそうは思わないけどな。死霊も英霊も、みんなが呪いの存在とは思わないけど」

 

「相変わらず光ばかりを見つめるな、貴様は……ならば、これが相手だ」

 

闇のサーヴァントは地上で対峙した強力な力を秘めた亡霊を呼び出した。

 

「あれは以前の巨大ゴースト!?まだいたんですね……」

 

「いたのではない。消えないのだ。消えないのだよ、呪いというヤツは。これはすでに完成された呪いの循環(システム)だ。魔術の王がオレに押しつけた人間(オマエタチ)の負債だ。他人がいる限り、殺し、その犠牲者の憎しみが次の糧を生み出す。つまり永遠だ。無限、無間に生きる地獄だ。敬虔深いものならばこう祈るだろう。決して殺せない不滅の現象ーーいと深き場所の神、と」

 

神は決して殺せない、そう断言する闇のサーヴァント。

 

しかし、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー殺すよ。生きているのなら殺す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死の線を見通すことができる直死の魔眼を発動させ、瞳を赤青く輝かせた式はナイフを構える。

 

「ーーほう。不滅の現象を、オマエは殺せると言うのか」

 

「一万年か一億年か、それ以上の年月在るとしても、それが人間には不老不死に見えるだけの話だ。万物には綻びがある。未来永劫に不変のものなんて、この宙には有り得ない。消えろ復讐鬼。どれほど長く、偉大な命であろうとーーそれに終わりがあるのなら、オレは神様だって殺してみせるーー!」

 

それは自分の中に存在していた大切なものを失い、直死の魔眼を手に入れた式の決意と覚悟。

 

その強い決意と覚悟に遊馬も感化され、アストラルと共に行く。

 

「かっこいいな、式。俺たちも負けられないな、アストラル!俺たちだって、神を何度もぶっ飛ばしてきたからな!」

 

「ああ、行くぞ!遊馬!」

 

「俺のターン、ドロー!相手にモンスターが存在し、自分にモンスターが存在しない場合、手札から『ドドドバスター』を特殊召喚し、レベルを4にする!更に『ガガガマジシャン』を召喚!レベル4のドドドバスターとガガガマジシャンでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

ドドドバスターとガガガマジシャンが遊馬とアストラルの前に現れ、2体が光となって床に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「「我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!現れよ、光の使者!『No.39 希望皇ホープ』!!!」」

 

『ホォオオオオオープ!』

 

大切なものと世界を守るため、数多の神々をその剣で斬り裂いて来た光の使者……希望皇ホープが現れ、その身から輝く光に闇のサーヴァントはギロリと睨み付ける。

 

「この力……やはりその魔物は神殺しを宿しているな、忌々しい」

 

「神殺し……ほぅ、ホープは神を殺したことがあるのか?」

 

希望皇ホープに神殺しの力を宿したと言う闇のサーヴァントの言葉に式が興味を持つ。

 

「殺したと言うか、倒したんだけど、まあ何度か」

 

「神を倒すとは恐れ入ったよ。遊馬、それでこそお前はオレのマスターに相応しいな!」

 

式が改めてサーヴァントである自分にとって遊馬が相応しいと言葉にしたその時、デッキケースが開いて中から純白に輝くカードが現れる。

 

「これ、式のフェイトナンバーズ……」

 

それは先ほど契約した式のフェイトナンバーズで白紙のカードに真名とイラストと効果が判明した。

 

「ふーん、オレのカードか。遊馬、召喚してみろ!」

 

「式、分かった!」

 

遊馬は式をフェイトナンバーズに入れてすぐに召喚する手はずを整える。

 

「魔法カード『二重召喚』!通常召喚権を増やし、『フォトン・クラッシャー』を召喚!更に『カゲトカゲ』を特殊召喚!かっとビングだ、俺!レベル4光属性のフォトン・クラッシャーとレベル4闇属性のカゲトカゲでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

光と闇……二つの相反する属性を持つモンスターが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「闇の中に煌めけ、全ての死をその眼に映す直死の魔眼!全てを……未来を斬り開く刃となれ!」

 

光の爆発の後に光と闇が混ざり合うような不気味な霧が立ち上り、『103』の刻印が描かれると同時に一瞬で霧が切り裂かれる。

 

「現れよ、『FNo.103 直死の魔眼 両儀式』!」

 

そして、霧の中からドレスと和服を折衷したかのような妖艶で美しい衣装を身に纏い、その手に透明な水晶のような刃を持つナイフを構えた式が現れた。

 

「……何だこれ?」

 

式は自分の姿を見てそう呟いた。

 

「何だこれって言われても……」

 

「ふざけるな、何だこの衣装は?こんなのをあいつらに見られたら……死ねる、恥ずかしすぎて死ねる」

 

フェイトナンバーズ時に衣装や武装などの姿が変わることを知らなかった式は激しく後悔した。

 

「とんでもありません、式さん!とっても素敵です!」

 

「うんうん、むしろ旦那さんと娘さんに見せたら?」

 

マシュと遊馬は式のフェイトナンバーズの姿に似合っていると褒めるが逆にそれが式を追い詰める。

 

「夢なら覚めてくれ、頼む……」

 

「意外なところでメンタル弱いな……まあいいや。とりあえず、式の効果!」

 

「仕方ない……行くか」

 

式はナイフでオーバーレイ・ユニットを斬って取り込む。

 

「オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスター1体を裏側表示で除外する!」

 

式は直死の魔眼で亡霊の死の線を視て一番確実に殺せる線を見つけて走り出す。

 

亡霊は巨大な大きな腕を振り下ろして式を攻撃するが、式は軽やかな動きで回避すると同時に腕に乗り、そのまま登っていく。

 

そして、亡霊の肩に乗った瞬間に足に力を込めて高くジャンプしてナイフを振り上げる。

 

「浮世は終わりだーー先に逝ってろ」

 

振り下ろしたナイフで亡霊の死の線を的確に斬り裂いた。

 

次の瞬間、亡霊は絶叫すら上げる暇もなく一瞬で消滅していった。

 

「おっしゃあ、亡霊撃破!」

 

「これで終わりだ、行け!希望皇ホープ!」

 

亡霊を倒し、残る敵は闇のサーヴァントのみ。

 

希望皇ホープは赤い瞳を輝かせて腰のホープ剣を引き抜いて滑空する。

 

「「ホープ剣・スラッシュ!!!」」

 

これが最後の攻撃……そう思ったその時だった。

 

「ふっ、甘い……甘いぞ!光の者達よ!」

 

闇のサーヴァントが不気味な笑みを浮かべると、突然屋上全体が闇に覆われた。

 

「な、何だ!?」

 

「まずい、この闇は危険だ!」

 

アストラルが警告するが、それよりも闇の方が早く中から無数の亡霊が現れて遊馬達を捕まえるようにまとわりつく。

 

遊馬達だけでなく闇のサーヴァントに攻撃しようとした希望皇ホープも亡霊に捕まってしまう。

 

「う、動けねぇ……」

 

「なんて事だ……」

 

「ち、力が奪われて……」

 

「フォ、フォウ……」

 

「くっ……数が、多すぎる……」

 

遊馬達は亡霊達によって力を徐々に奪われて動けなくなっていく。

 

更に亡霊達に宿る人間の様々な負の力が精神に負荷をかけていく。

 

「ははははははははっ!これこそが、永遠に消えない人間の持つ心……人の悪の力だ!」

 

闇のサーヴァントは嘲笑うかのような悪の声が空に向かって木霊する。

 

人の悪は永遠に不滅なのか。

 

闇の力の前に光は屈してしまうのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もが諦めかける中……一人だけ、光を信じていた。

 

「何?」

 

「俺は……人間の心にある光を信じている」

 

それは亡霊に体を押さえつけられながらも一切諦めていない心を持つ少年……遊馬だった。

 

「確かに、人間は負の心、悪に負けちまうほど弱い存在なのかもしんねぇ……だけど、俺は知っている。自分以外の誰かの為に命をかけて戦う人を、弱くても大切な人達を守ろうとする強い心を持つ人を……」

 

遊馬の脳裏に浮かぶのは大切な仲間達、戦ってきたライバル達……彼らは心の中で必死に戦いながらも自分の守りたいものを必死に守ってきた。

 

「人間は誰でも心の中じゃ、良い心と悪い心が戦ってるんだ。でも、そこから逃げ出さなきゃ、きっとどんな事だってやり直せる。誰とだって、分かり合えるんだ!」

 

「遊、馬……」

 

遊馬の言葉に隣にいたアストラルはしっかりと耳を傾ける。

 

そして、遊馬の言葉に闇のサーヴァントはそれは戯言だと切り捨てるように反論する。

 

「分かり合えるものか!人間は全て身勝手で欲深い存在だ……この永遠の地獄は決して終わることはない!!」

 

「俺は、信じている!人間の心に宿る光を!!そして、誰もが分かり合える未来を!!!」

 

人間の光を信じる遊馬の想い。

 

その想いがアストラルの心に響き、遊馬とアストラルの体が光り輝く。

 

「ア、アストラル!?」

 

「遊馬……君が人の持つ光を信じる心が私を、いや……私達の魂を更なるランクアップへと導いた!遊馬、これを!」

 

アストラルの右手から光り輝くカードが生まれ、それを遊馬に手渡す。

 

「えっ!?こいつは!?」

 

「我々の新たな力……未来を導く新たな光だ!」

 

「未来を……よっしゃあ!行くぜ、アストラル!」

 

「ああ!」

 

遊馬とアストラルは光り輝くカードを一緒に持って掲げる。

 

「「このカードは自分フィールド上の希望皇ホープの上に重ねてエクシーズ召喚する事ができる!」」

 

「ホープレイと同じ召喚方法!?」

 

それは希望皇ホープレイと同じ、対象のモンスターエクシーズの上に重ねてエクシーズ召喚をする方法だった。

 

「「希望皇ホープ!!シャイニング・エクシーズ・チェンジ!!!」」

 

「シャイニング・エクシーズ・チェンジ!?」

 

それはカオスの力でナンバーズを真の姿へと進化させるカオス・エクシーズ・チェンジとは異なる新たなエクシーズ・チェンジだった。

 

光り輝くカードを希望皇ホープの上に重ねると希望皇ホープは自身を囲む亡霊達をホープ剣と双翼で勢いよく吹き飛ばすと、その体が光に包まれて空高く登り、光の爆発を起こす。

 

「「宇宙の秩序乱されし時、混沌を照らす一筋の希望が降臨する!」」

 

光の爆発の中から金色の光が垂直落下して遊馬達の前に降り、金色から真紅に輝く『39』の刻印が空中に浮かぶ。

 

「「見参!SNo.(シャイニングナンバーズ)39!!」」

 

金色の光が弾け飛ぶと新たな黄金と白銀の装甲と菱形の八つの翼、そして両刃の大剣を背負う希望の戦士が現れる。

 

「「『希望皇ホープONE』!!!」」

 

それは一欠片の僅かな光から希望へと導く新たな希望皇。

 

カオスナンバーズと異なる道のシャイニングナンバーズという新たなランクアップの象徴だった。

 

「な、何だ!?何だこの光は!??」

 

闇のサーヴァントは新たな光の力を得た希望皇ホープONEに驚愕の声を上げた。

 

全ての闇を打ち払うかのようなその輝きに闇のサーヴァントは驚愕と同時に恐怖を抱く。

 

「綺麗……光の希望皇ホープ……」

 

「フォウ……」

 

「闇を照らす希望の光、か……」

 

希望皇ホープONEのその美しく、神々しい姿にマシュ達は見惚れてしまう。

 

「「希望皇ホープONEの効果!オーバーレイ・ユニットを三つを使い、ライフポイントを10ポイントになるように払って発動!」」

 

希望皇ホープONEは三つのオーバーレイ・ユニットを胸の水晶に取り込み、遊馬のライフポイントを僅か10になるように支払い、その効果を発動する。

 

「「相手フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、ゲームから除外する!パンドラーズ・フォース!!」」

 

背中の八枚の翼から眩い光を放ち、取り込んだ三つのオーバーレイ・ユニットと遊馬が支払ったライフポイントの力を余すことなく全て解放する。

 

闇を打ち払う黄金と白銀の二色の混ざり合う眩い光。

 

その光でこの場にいた全ての亡霊を破壊し、二度と蘇らないようにした。

 

それにより、マシュ達にまとわりついていた亡霊から解放された。

 

「す、凄いです!あれだけの大量のゴーストを一瞬で全て消し去るなんて……!」

 

「フォ、フォーウ!」

 

「やるな、希望皇ホープONE……」

 

「「そして、この効果で除外したモンスターの数×300ポイントのダメージを相手に与える!!」」

 

「な、何!?ぐぁああああああっ!?」

 

破壊した亡霊の数のダメージが希望皇ホープONEから放たれる光の波動となって闇のサーヴァントに襲いかかり、膝をついてしまう。

 

「これで決めるぜ!!」

 

「行け、希望皇ホープONE!!」

 

希望皇ホープONEは背中のホープ剣を引き抜いて両手で持って構え、闇のサーヴァントに向かって飛翔する。

 

「「ホープ剣・シャイニング・スラッシュ!!!」」

 

振り下ろした大剣が闇のサーヴァントを捉える。

 

しかし、振り下ろした大剣が触れるか触れないかの瀬戸際で闇のサーヴァントが霧となって消えた。

 

「消えた!?」

 

「何処だ、何処にいる!?」

 

闇のサーヴァントの姿が消え、遊馬とアストラルは必死に周りを見渡すがその姿が何処にもない。

 

「少年よ、今回はお前の勝ちだ。だが、次は必ずオレが勝つ」

 

闇のサーヴァントは自らの敗北を認めて撤退したのだ。

 

「じゃあ次戦うときはその姿をちゃんと見せて名前を教えてもらうぞ!!」

 

「オレの元までたどり着けたらな……だが、名を名乗る代わりにこう答えようーー待て。しかして希望せよ」

 

「っ!?その言葉は……」

 

闇のサーヴァントが答えたその言葉にアストラルは耳を疑った。

 

「フッ……待っているぞ、光の者達よ」

 

「俺は遊馬、九十九遊馬だ!この名前を覚えておけ!!」

 

「……我が名はアストラル!」

 

「わ、私はマシュ・キリエライトです!」

 

「フォウ、フォウ!!」

 

「……両儀式だ」

 

遊馬達は闇のサーヴァントに向けて名を名乗る。

 

闇のサーヴァントはそれらの名前を自らの魂に刻み込むと静かにこの特異点から消えていった。

 

特異点の元凶である闇のサーヴァントが消えるとオガワハイムも消滅していく。

 

長い夜が夜明けを迎えるのだ。

 

「よっしゃ、それじゃあ帰ろうぜ!」

 

「そうだな」

 

「はい!」

 

「フォウ!」

 

「カルデアか……退屈しないといいな」

 

事件が解決したので遊馬はアストラルを皇の鍵へ、マシュと式をフェイトナンバーズに入れてデッキケースへ、フォウをフードにしまうと所長に頼んでカルデアに帰還する。

 

オガワハイムからカルデアに戻り、遊馬がコフィンを出るとマシュ達も出て来る。

 

「ふぃー、疲れたぜ……」

 

「お帰りなさい、みんな。そして、ようこそ両儀式さん」

 

「おう、ただいま!所長!」

 

「ただいま帰りました!」

 

「ここがカルデアか……まるで昔見たSF映画みたいな感じだな……」

 

オルガマリーは遊馬達を出迎え、式はカルデアの近未来的な施設にSF映画を思い浮かべながらキョロキョロと見渡す。

 

「遊馬、アストラル、お帰り!すごくカッコよかったわ、新しいホープ!希望皇ホープONE!」

 

小鳥は新しいホープ……希望皇ホープONEに興奮していた。

 

「おう!やっぱホープはカッコいいよな!」

 

「シャイニングナンバーズ……ホープがまだまだ未知の進化を持っているようだ」

 

ぐぅ〜っ。

 

「あー、やべぇ……腹減った。小鳥、デュエル飯を頼む〜」

 

遊馬は戦いの連戦の疲れと緊張が解けてしまい、腹の虫が大きく鳴った。

 

「あははっ、分かったわ。ブーディカさんも戻ったし、たくさんご飯を作るわ!」

 

「おう!式も来いよ、カルデアの食事は美味いんだぜ!」

 

「ふーん……そうか。まあ、行ってやるよ。だが、私の舌を満足させられるかな?」

 

遊馬達は食堂に向かって食事を取ろうと思った……その時だった。

 

ブオーン!ブオーン!!ブオーン!!!

 

突如、警告音が管制室に鳴り響いた。

 

「今度は何だ!?所長!」

 

「待ってて、今調べる……これは、そんな、ありえない!」

 

オルガマリーは急いでパソコンを操作して何が起きているのか調べると予想外の事態が起きた。

 

「こんなにも早く新たな特異点!?」

 

「嘘だろ!?」

 

「しかも私達が初めてレイシフトをした特異点『F』と同じ場所……冬木市よ!」

 

カルデアの初めての戦い、特異点『F』と同じ冬木市で起きる新たな特異点。

 

そこで行われた聖杯を巡るサーヴァントとマスター達が行った聖杯戦争。

 

その結末に起こる最悪のバッドエンド。

 

バッドエンドを回避する為、その聖杯戦争に因縁を持つカルデアのサーヴァント達が立ち上がる。

 

 

 

 




これにて空の境界編は終了です。
次回はZero編です!
あの最悪な展開が続くZero世界をとにかくブレイクします(笑)

そして、やっと出せました!
SNo.39希望皇ホープONE!
人を信じる遊馬の心が生み出すならここかなと思って、出せて嬉しいです。

今回登場したフェイトナンバーズはこちらです。

FNo.103 直死の魔眼 両儀式
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/戦士族/攻2300/守1800
光属性レベル4モンスター+闇属性レベル4モンスター1体ずつ
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。相手フィールド上のモンスター1体を選択し、裏側表示で除外する。この効果を使用したターン、このモンスターは攻撃できない。

直死の魔眼を使って殺すからこんな感じかなと思ってやりました。
裏側除外が強すぎですね……遊戯王的にほぼ帰還が不可能になりますので。
103は元ネタの神葬零嬢から思いつきました。
神を殺す、あとお嬢なのでピーンと来ました。
「両儀式」さんのフェイトナンバーズは今後判明しますのでお楽しみに。

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