Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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やっとこの時が来ました。
以外にFateのサーヴァントと共通点の多いナンバーズの中でもトップクラスに相性のいいあのカードが登場します。


ナンバーズ86 二人の人造人間

ヘルタースケルターのスイッチがあるところへフランの案内の元、向かっているのだが……。

 

「ダメだ……フランの言葉が全然分からねえ……」

 

「私もだ……今度人造人間の言語を勉強しなければ」

 

「いや、どうやって勉強するんだよ?」

 

男性陣にはフランの言葉はちんぷんかんぷんであり、理解できる女性陣のマシュやモードレッドの通訳を聞く。

 

どうやらリモコンはウェストミンスターエリア、国会議事堂があるエリアにあるらしい。

 

そして、ウェストミンスターエリアに到着すると、今までよりも巨大なヘルタースケルターが出現した。

 

そのヘルタースケルターがリモコン……他の個体を操る宝具本体らしく、これを倒せればヘルタースケルターは全て停止する。

 

「こいつを倒せばヘルタースケルターは止まるんだな!」

 

「一気に決めろ、遊馬!」

 

「おう!俺のターン、ドロー!」

 

「遊馬くん、行きます!!」

 

マシュは一緒に強くなって力を託してくれた英霊を超えると言う目標で自信を取り戻し、心の力が体にも影響していつも以上の力を発揮し、見事ヘルタースケルターを倒した。

 

「よし!これでヘルタースケルターは全て止まるな!」

 

「よし、これで厄介事が一つ片付いたか。よくやった、フラン。お前のお陰で助かったぜ!」

 

「……ゥ、ゥ。ァ……」

 

モードレッドはフランを褒めて頭をわしゃわしゃと撫でる。

 

するとアストラルは倒したヘルタースケルターが今までと違う箇所を見つけた。

 

「これは……遊馬、このヘルタースケルターに製造者の名前があるぞ」

 

「え?本当か!?なんて書いてあるんだ?」

 

「……『Charles Babbage. AD.1888』……チャールズ・バベッジだと!??」

 

「チャールズ・バベッジ?」

 

「誰なの、チャールズ・バベッジって?」

 

チャールズ・バベッジという名に驚愕したアストラルにブーディカは尋ねた。

 

「チャールズ・バベッジは19世紀のイギリスの天才数学者であり、機械設計者だ。蒸気機関を用いた世界初のコンピューターを考案し、『コンピュータの父』と呼ばれている」

 

「コンピュータの父か……すげぇ頭いいんだな」

 

「へぇー、英国にそんな凄い学者がいるなんて私も鼻が高いね」

 

「だが、腑に落ちないことがある。チャールズ・バベッジが亡くなったのは1871年だ。しかしこのヘルタースケルターには1888年と刻まれている……10年前に亡くなったはずだが……」

 

「え?10年前に亡くなってる??」

 

「そうなんだ……帰ったら、ジキルに聞いてみたら?何か分かるかもしれないよ」

 

歴史が間違っているのか記録が間違っているのか不明だが、この時代の人間であるジキルなら何か分かると思い、急いでアパルトメントに戻る。

 

「……ゥゥ……」

 

そして、フランはチャールズ・バベッジの名前を聞いてから酷く落ち着かない様子だった。

 

 

アパルトメントに戻り、ジキルから早速チャールズ・バベッジの話を聞いた。

 

バベッジは公式の記録では1871年に亡くなっているはずだが、この時代ではなんと生きており、初代のヴィクター・フランケンシュタイン博士とは知己の仲だったらしい。

 

しかも今年の王立協会の年鑑に名前が載っており、ヴィクターもジキルに彼の話をしていた。

 

更には去年や今年の新聞にも発明品が載っているほどだった。

 

「どうなってんだこれ?」

 

「考えられる事はいくつかある。まずは歴史的記録が事実と異なっていた。二つ目は事象にズレが生じた……今までの特異点で実際にそれは起きているからな」

 

特異点の影響があらゆる時代に大きな影響を与えている。

 

これでは誰がこの時代の人間なのかそうでないのか判明が難しくなっていく。

 

すると、ジキルが慌てたように遊馬たちに報告をする。

 

「僕の情報網に引っかかったんだけれど、悪い知らせだ。完全に稼動停止していたヘルタースケルターの全てが──再起動した」

 

「何だ、またか。リモコンが他にもあったってことか?」

 

「これ以上、奴らの好きにさせるわけにはいかないぜ!みんな、行くぞ!!」

 

遊馬たちは今度こそヘルタースケルターを停止させるために再び行動を開始した。

 

前回と同じようにフランの案内でリモコンを探索しようとしたが……次々とヘルタースケルターと出くわし、案内する方向がコロコロ変わってしまう。

 

明らかに様子がおかしいフランにモードレッドとブーディカは思い切って尋ねた。

 

「フラン、お前リモコンのところに案内するつもりないだろ?それに何かを迷ってないか?」

 

「もしかして……フラン、あなたはチャールズ・バベッジと面識があるの?」

 

「……ゥッ!?ゥゥ……」

 

ブーディカの指摘にフランはビクッと震え、唇を噛み締めながら静かに語り出した。

 

ブーディカの指摘通り、フランは前にバベッジと会って話したことがあるのだ。

 

魔力を辿ることができるのはバベッジの気配のようなものを辿っているからだ。

 

しかし、フランはバベッジはこんなことをする人ではないと言う。

 

それを聞いたモードレッドはフランの迷いを振り切らせる為に言葉をかけた。

 

「……話は分かった。お前は庇ってる訳だな、フラン。だが、それは矛盾してる。バベッジって奴はこんなことはしないんだろ?」

 

「……ゥ」

 

「じゃあ後は簡単だ。……あのクソガキの言葉を使うのは癪だが、仕方ない。フラン。落ち着いて、想像力ってヤツを働かせてみろ。できるだろ。バベッジはこんな事はしない。なのにヘルタースケルターはうろうろしてやがる。なら、やっこさんは強要されてんだよ。こんなことをするように、な」

 

「……ゥ!」

 

「よし、いい子だ。じゃあ、お前が何をすればいいかもわかったか?」

 

「……ゥ、ゥ!」

 

フランはモードレッドの言葉でバベッジを信じ、そしてヘルタースケルターを止めるために今度こそリモコンの元へと案内する。

 

モードレッドのフランを慰め、そして奮い立たせたその光景にアルトリアは優しく微笑んで呟いた。

 

「モードレッド……あなたは変わりましたね。私がシロウと出会って変わったように、あなたにも良き出会いがあったのですね……」

 

他人を思いやるモードレッドのその姿にアルトリアは自然とうれしく思うのだった。

 

 

今度こそフランは迷うことなくバベッジの気配を辿って進んで行くと、魔霧の中でも分かる魔力の大きな塊が近づいていた。

 

今までとはまるで違う大型の魔力……魔霧の中、大きな足音と共に現れたのは……。

 

「──聞け。聞け。聞け。我が名は蒸気王有り得た未来を掴むこと叶わず、仮初めとして消え果てた、儚き空想世界の王である」

 

身長が3メートル近くある巨大なヘルタースケルターだった。

 

そのヘルタースケルターこそ、チャールズ・バベッジであり、彼からはサーヴァントの気配があり、どうやらこれが全てのヘルタースケルターを操る本体らしい。

 

「貴様たちには魔術師『B』として知られる者である。この都市を覆う魔霧計画の首魁が一人である。そして──帝都首都の魔霧より現れ出でた、英霊が一騎である」

 

「お前が魔霧計画の首謀者の一人!?」

 

「バベッジ……B……くっ、頭文字は同じだがこの時代の人間と聞いて見落としていた……」

 

バベッジは深紅の目を輝かせ、蒸気を放出しながら語る。

 

「我が名は蒸気王。ひとたび死して、空想世界と共にある者である。我が空想は固有結界へと昇華されたが、足りぬ。足りぬ。これでは、まだ、足りぬ。見よ。我は欲す者である。見よ。我は抗う者である。鋼鉄にて、蒸気満ちる文明を導かんとする者である。想念にて、有り得ざる文明を導かんとする者である。そして──人類と文明、世界と未来の焼却を嘆く一人でもある」

 

バベッジの言葉によりカルデアでは一つの仮説が立てられた。

 

バベッジ自身が既に固有結界となっており、分身としてヘルタースケルターを出し続けていたのだ。

 

バベッジの人理焼却を嘆くのならば対話が出来ると思い、遊馬たちは対話を試みる。

 

「バベッジ!あんたの言葉が本当なら、俺たちも同じだ!」

 

「未来は、焼却されてはならない……!」

 

「御託はいい。いいか、屑鉄。よく聞け。お前の知り合いの娘が、お前を止めに来た。話を聞いてやれ。大層な御託も何もかも、それからだ」

 

「……ゥ、ゥ!……ウ……ゥゥ、ァ……ア、ァ……!」

 

フランはバベッジに近づいて必死に声を出して語りかけた。

 

「──おお、おお。忘れるはずもなきヴィクターの娘。──そこにいるのか。お前は。可憐なる人造人間よ。造物主より愛されず、故に愛を欲す哀れなる者よ」

 

バベッジはまるで親戚の姪に会ったように嬉しそうに声を震わせた。

 

フランのバベッジへの止めて欲しいという必死の説得がバベッジの心に響いていく。

 

「嗚呼、お前の言葉が聞こえる。嗚呼、お前の想いが聞こえる。そう、だ──私は、我らは、碩学たる務めを果たさねば。我らは人々と文明のためにこそ在るはずだ。故にこそ、私は求めた。空想世界を。夢の新時代を。故にこそ……」

 

フランの必死の語りかけにより、想いが伝わり、バベッジの学者として人々と文明のためにあることを思い出した。

 

自分の過ちを認め、戦いを止めようとした……その時だった。

 

「グ……!?……グ……ゥ……ガガ、ガ……ガガ……!?」

 

突然、バベッジが苦しみ出し、深紅の瞳が怪しく輝き出して蒸気を激しく放出していった。

 

「これ、は……何だ……アングルボダ、の、介入か……!組み込んだ、聖杯……!そうか、『M』……か……この、私、さえも……!!」

 

「バベッジ!?何が起きているんだ!?」

 

「もしかして……Mが聖杯を使ってバベッジにサーヴァントの令呪のような絶対命令をしているのではないか!?」

 

令呪はサーヴァントの意思に反して絶対的な命令を下すことも可能であり、それに似た行為がバベッジを狂わせているのだ。

 

「ヴィクターの娘……!逃げ……ろ……!」

 

バベッジは必死に抗いながらフランに逃げろと呼びかける。

 

「……ゥ!」

 

フランは苦しそうなバベッジに駆け寄ろうとしたが、モードレッドに止められた。

 

「──もういい。フラン。お前は言うべきことを言ったし、あいつはあいつで応えた。よくやった。だが、こういうこともある。想いが届かず、刃で決着を付けざるを得ない──そういうことも、な。あるんだよ……」

 

「オオ、ォ……!」

 

バベッジはバーサーカーのように対話不能となって正気を失っている。

 

こうなっては止める方法は一つ……倒すしかなかった。

 

「フラン……うっ、な、何だ……?」

 

アストラルの体が突然輝き、一枚のカードが現れた。

 

そのカードを手に取るとアストラルは目を見開くほど驚いた。

 

「このナンバーズは……なるほど、これも奇縁だな。遊馬、このナンバーズを使うんだ!」

 

アストラルは遊馬にナンバーズを投げ渡し、遊馬はナンバーズを受け取ると同じように目を見開いて驚いた。

 

「こいつは……!なるほどな、フランの想いにこのナンバーズが応えたってことか。行くぜ、俺のターン!ドロー!」

 

遊馬はナンバーズの想いを感じ、その想いに応える為にすぐに召喚する手筈を整える。

 

「魔法カード『オノマト連携』!手札を1枚墓地に送り、デッキから『ガガガシスター』と『ゴゴゴジャイアント』を手札に加える!更に魔法カード『ガガガ学園の緊急連絡網』!フィールドにモンスターが存在しない時、デッキからガガガモンスターを特殊召喚出来る!来い、『ガガガマジシャン』!!」

 

デッキからガガガマジシャンを呼び出し、更に手札から妹分を呼び出す。

 

「ガガガシスターを召喚!ガガガシスターの効果発動!デッキから『ガガガ』魔法・罠を1枚手札に加える。俺は『ガガガリベンジ』を手札に加える!」

 

レベルを操り、様々なランクのモンスターエクシーズを導くガガガモンスター達の能力を最大限に発揮する。

 

「ガガガマジシャンの効果!1ターンに1度、レベルを1から8に変更できる。ガガガマジシャンのレベルを4から6にする!更にガガガシスターのもう一つの効果!ガガガマジシャンを選択し、2体のモンスターのレベルを合わせた数にする。これでガガガマジシャンとガガガシスターのレベルは共に8!!」

 

ガガガマジシャンのバックルの星が6つに輝き、ガガガシスターが鍵の杖を掲げるとレベルの星が合わさりレベル8となる。

 

「俺は闇属性レベル8のガガガマジシャンとガガガシスターでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

『『ガガガッ!』』

 

ガガガマジシャンとガガガシスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発を起こす。

 

「人の手に作られし愛を求める悲しき者よ、その悲しみと怒りを拳に込め、愛のためにその拳を振り上げろ!!」

 

光の爆発から現れた紫色の光が天に昇り、一つの大きな影が遊馬の前に降り立つ。

 

「現れよ、『No.22 不乱健(フランケン)』!!!」

 

『ウォオオオオオオオオオ!!!』

 

遊馬の前に姿を現したのは屈強な肉体に、『22』の刻印が刻まれた顔を隠すフードを被った巨漢だった。

 

「えっ?ま、まさか……そのナンバーズは……」

 

その名前にマシュは目を丸くして驚く。

 

「そう、このナンバーズは人々に語り継がれて来たフランケンシュタインの怪物の伝説から生まれた精霊の力が宿っている」

 

この世界のフランとは異なり、小説の通りに男性の『フランケンシュタインの怪物』の精霊の力が宿っているナンバーズ。

 

本来ならばナンバーズがこれほどまでに強い自我を出すことは希望皇ホープ以外はほとんどない。

 

しかし、時空を超え、同じフランケンシュタインの怪物であるフランのバベッジへの想いが届いたのだ。

 

「フランのバベッジへの強い想いにこいつが応える為に出て来たんだ。バベッジを止める為に……!」

 

不乱健は首を静かに動かしてフランを見下ろす。

 

「ァ……ゥァ……?」

 

フランは自身と同じフランケンシュタインの怪物である同胞を目にし、呆然として見つめていた。

 

『オォオ……』

 

不乱健は頷き、フランの為にも必ずバベッジを止める決意を固めた。

 

『ウォオオオオオオオオオッ!!!』

 

魂の奥底から吐き出すように気合の咆哮を轟かせ、全てを打ち砕く両手の拳を強く握り締める。

 

 

 

 




次回は不乱健と蒸気王の対決です!

フランケンシュタインの怪物を見直したら怪物は伴侶が欲しいんですよね。
漫画版で健ちゃんもガガガガールに愛の告白をしていましたし。
フランちゃんも聖杯にかける願いは伴侶を得ることですし。

あれ……?つまり、健ちゃんとフランちゃんは……お互いにお互いを……意外なところで願いが叶いそうですね。

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