Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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先週は更新できなくてすいませんでした。
風邪を引いてしまい、年末に向けて仕事が忙しくてなかなか書く暇がありませんでした。
皆さんも体調管理に気をつけてください。

そして来週発売の年末箱でオノマトピアとホープダブルとシャイニングドローが……!
これはいつか必ず本編でも出したいですね。


ナンバーズ96 待て、しかして希望せよ

遊馬の魂が監獄塔と呼ばれる場所に閉じ込められ、謎の英霊・アヴェンジャーと相棒のアストラル、そして夢を渡り現れた空と共に監獄塔の攻略に挑む。

 

そして、最初の敵……ファントムを空は一刀の元、斬り伏せた。

 

「クリスティーヌ……」

 

「お休みなさい、怪人さん……」

 

ファントムは愛した女性の名前を呟きながら消滅していく。

 

「クリスティーヌ、我が愛、私は君を愛するが。クリスティーヌ、私は耐えられぬ。尊きはクリスティーヌ、君と共に生きる人々を。愛しきクリスティーヌ、君と同じ世界にある全てを。君と過ごす人々を、朝日のあたる世界を、私は、私は……時に、『妬ましく』思うのだ、狂おしいほどに……」

 

「はは、ははははは!はははははァ!!オペラ座の怪人、お前の嫉妬を見届けた。その醜さだけを胸に秘めてオレは征く!地獄で誇れ、お前こそが人間だ」

 

嫉妬の具現として現れたファントム……その言葉に宿る嫉妬の罪にアヴェンジャーは狂ったように笑い出し、そしてファントムの嫉妬を心に焼き付けた。

 

一方、遊馬はファントムの心の声を聞き、その場に座り込んで天井を見上げた。

 

「なあ、アストラル。ファントムはただ、クリスティーヌさんを愛したかった、一緒に居たかったんだよな……」

 

「……ああ。だが彼は自分の醜さから姿を隠し、クリスティーヌに指導をしていたが、オペラ座に脅迫や実力行使をしていた。そして、恋敵や信頼が揺らいだ為にファントムは殺人にまで手を染めてしまった」

 

フランスの有名小説のオペラ座の怪人……それは美しくも哀しい愛の物語である。

 

「愛って……難しいよな……それにファントムは人並みの人生を送りたかったんだよな……」

 

「そうだな……」

 

ファントムの哀しさが伝わり、アヴェンジャーとは違う意味でその思いを心に焼き付けて立ち上がった。

 

「空、凄え剣だったぜ。今度教えてくれよ?」

 

「そうね……気が向いたらね?」

 

「これで第一の番人は倒した。アヴェンジャー、残り六人を倒せば本当にここから出られるのだな?」

 

「……フッ。いいだろう。お前の疑念にはただ一言を以て返答するとしよう……『──待て、しかして希望せよ』だ」

 

それはオガワハイムでも聞いたアヴェンジャーの最後に良い残した言葉だった。

 

いまいちその意味がまだ分からない遊馬はため息を吐いて文句を言う。

 

「またそれかよ……お前、色々と面倒な奴だな」

 

「黙れ。いいから次行くぞ」

 

「へーい」

 

第一の扉を潜り、続く第二の裁きの間へと向かう。

 

扉に入ったのは良いが……。

 

「おい、最初の部屋に戻ってるじゃねえか」

 

そこは最初に目覚めた牢屋だった。

 

「心配するな。常に始まりの場所はここだが、行く先は異なる。行くぞ、第二の裁きがお前を待っている」

 

「おっしゃあ!善は急げだ、みんな行くぜ!」

 

「ああ!」

 

「ふふっ、魂でもやっぱり元気ね」

 

「だから待たんか貴様らぁっ!??」

 

元気良く走り去る遊馬の後をアストラルと空が続き、言いたい事が山ほどあるアヴェンジャーは叫びながら追いかける。

 

何故自分がこれほど慌てなければならないのかと悩んでいると、廊下で遊馬達が腰を下ろしていた。

 

「おい!あんた、大丈夫か!?」

 

「はい……」

 

遊馬は赤い軍服のような不思議な服を着て長い髪を三つ編みにした遊馬と同じ綺麗な赤い瞳の女性を支えており、その女性を介抱していた。

 

「……誰だ、その女は?」

 

「わかんねえ。なんか倒れてて自分が誰かも分からないみたいで……」

 

「助けたのか?それは正義感か?ははは、随分と余裕があるじゃないか」

 

「うるせえ。どんな状況でも助けを求めてるなら助けるべきだろ?」

 

「アヴェンジャー、遊馬にその類の説教は意味ないぞ。遊馬は敵だった男にも手を差し伸べて助けるからな」

 

「ふん……まあいい。好きにしろ。だがな警戒を怠らんことだ。死ぬぞ」

 

「ご忠告サンキュー」

 

遊馬はアヴェンジャーの忠告を聞きながら女性に話しかける。

 

「大丈夫か?何があったか教えてくれるか?」

 

「それが……」

 

女性から話を聞くが、どうやら記憶を失っているらしく、自分の名前や何故ここにいるのか分かっていないようだった。

 

恐らくはその軍服姿から近代に近い軍に所属していたと思われる女性サーヴァントだということは確かだったが、サーヴァントが自分に関するほぼ全ての記憶を失っていることはあまりにも珍しいことだった。

 

「私は自分の名前を思い出せない。私、ええと、なにか、大切なものを……探して……求めて……いたような……」

 

「フン。名と記憶を奪われた女か。面白い。ならばお前はメルセデスと名乗れ」

 

「メルセデス……」

 

「かつてこのシャトー・ディフにて、名と存在の全てを奪われた男にまつわる女の名だ」

 

アヴェンジャーが謎の女性をメルセデスと名付け、その名前にアストラルはこめかみを押さえながらため息をつく。

 

「アヴェンジャー……君は正体を隠す気があるのか?もはやそれで君の正体はほぼバレバレだぞ」

 

「こいつ意外とうっかりさんじゃねえのか?」

 

「そうみたいね。目立ちたがり屋みたいだし」

 

マイペース過ぎる三人に対しここまで心を傾けられ、アヴェンジャーの額に青筋が浮かぶ。

 

「貴様ら……良いだろう、その喧嘩を買うぞ?」

 

「喧嘩ならここを出てからだ。えっと、メルセデス。行くとこないなら俺たちと行こうぜ。もしかしたらあんたの探し物を見つかるかもしれないからさ」

 

「ありがとうございます……しかし、あなたたちは見知らぬ私のことを、助けて下さるのですか?」

 

「助けを求めてる人を見過ごせないぜ。旅は道連れ世は情けって言うしさ」

 

「それと、アヴェンジャーの言葉を借りるなら……『待て、しかして希望せよ』だ」

 

「アストラル?アヴェンジャーが言ってたそれってどう言う意味だ?」

 

「つまり、どんなに大きな困難が降りかかろうとも、希望を心に持ち、辛抱強く粘る……と言う意味だ」

 

「なるほど!俺たちにとっても良い言葉じゃねえか!」

 

「フフ。そうだ。その通りだ!如何なる状況であろうと、それだけが人間(オマエタチ)に許される!」

 

アヴェンジャーは『待て、しかして希望せよ』の言葉を気に入った遊馬達に対して何処か嬉しそうに声を上げた。

 

それから謎の女性サーヴァント……メルセデスと共に次の裁きの間へと向かった。

 

すると、アヴェンジャーから突然遊馬に問いかけた。

 

「──劣情を抱いたコトはあるか?」

 

「れつじょう?」

 

「他人に対し、性的な欲望や感情を抱くことだ……」

 

「そう言う意味?どうしたんだ、急に……」

 

「第二の裁きの間にてオレはお前に尋ねよう、マスター。一箇の人格として成立する他者に対してその肉体に触れたいと願った経験は?理性と知性を敢えて己の外に置いて、獣の如き衝動に身を委ねて猛り狂った経験は?」

 

遊馬に対して劣情の色々な問いをするアヴェンジャーだが、遊馬の性格を知り尽くしているアストラルと空は『無い無い』と否定しようとしたその時。

 

「無論あるとも!!!」

 

「は?」

 

話に割り込んで現れたのは屈強な肉体に螺旋状の大きな剣を持った戦士の姿をした男のサーヴァントだった。

 

「天地天空大回転!それこそ世の常、無論ありまくるに決まっていようが!獣欲のひとつ抱かずして如何な勇士か英雄か!俺の在り方が罪だと言うならば、ふはははは良いともさ!俺は大罪人として此処に立つまで!俺は!赤枝騎士団筆頭にして元アルスター王たる俺は!主に女が大好きだ!!」

 

いきなり色々な事をぶっちゃけている謎のサーヴァントに遊馬達は口が開いたまま唖然とする。

 

「何だあのダメな大人みたいなおっさんは……」

 

遊馬は何気にひどい一言を発する中、アストラルは男が言ったキーワードを元に真名を推測する。

 

「赤枝騎士団筆頭……アルスターの元王……そして大の女好き……そうか、遊馬。あの男の正体が分かったぞ」

 

「え?マジで!?」

 

アストラルは名探偵ばりにビシッと指差して男の真名を言い当てる。

 

「貴様はケルト神話の英雄、クー・フーリンの友にして養父にして叔父……赤枝騎士団の魔剣使い、『フェルグス・マック・ロイ』だな?」

 

男……フェルグスは自身の真名を言い当てられながらも堂々としていた。

 

「その通り!よくぞ俺の真名を言い当てたな!見事だ、精霊よ!!」

 

「クー・フーリンの叔父さんかよ!?通りで女好きだと思った……」

 

「色欲の罪なら納得出来るな。彼は美女には目がないからな。まあもっとも、フェルグスはその女関係のいざこざで最後は殺されたがな……」

 

「うわぁ……」

 

ケルト関係の書物はまだ読んだ事がないので知らなかったが、クー・フーリンやディルムッドは少なくとも女性関係が死因に絡んでいることはアストラルから少し聞いた。

 

ここまで露骨に女性関係が死因に絡むと流石の遊馬も引いた。

 

「うわぁ、ではない!抱きたい時に抱き、食いたい時に食う!それこそが人の真理!それこそが生の醍醐味であろう!」

 

「勝手に人の真理を語るな。人の真理はそう簡単なものではない」

 

「他にも生の醍醐味は色々あるにしても、それはどうなんだよ」

 

フェルグスの欲望剥き出しの台詞にアストラルと遊馬が鋭いツッコミを入れる。

 

しかし、フェルグスはそんな事を気にせずに遊馬の後ろにいたメルセデスに目を付けた。

 

「そこな女よ、俺には分かる!お前は尊敬に値し、組み敷く困難な女!具体的に言うと魅力的だ!特に、よく突き出た胸が実に良い!」

 

「わ、私、ですか……?」

 

「アストラル、あのおっさんは馬鹿じゃねえか……?」

 

「ああ、大馬鹿ものだ……」

 

フェルグスのセクハラ発言に遊馬とアストラルが呆れていると、フェルグスはメルセデスの隣にいた空に対し、更にとんでもない発言をする。

 

「ふむ、隣の女も良い!色気があっていいが……残念!胸が少々足りんな!」

 

ビキッ!!!

 

その瞬間、何かがヒビが入るような大きな音が響いた……気がした。

 

「……遊馬君」

 

「……はい、何でしょうか……空さん……」

 

遊馬は後ろを振り向くことはできなかった。

 

アストラルとアヴェンジャーも同じく振り向くことはできなかった。

 

何故なら……。

 

「あの男……斬り殺しても構わないかしら……?」

 

とてつもない殺気を放って刀を抜いており、おそらく発動しているであろう直死の魔眼を合わせただけでも殺されると思うほどだったからだ。

 

どうして自分の体の事……特に女性の体で一番象徴するところを他人にとやかく言われなければならないのか。

 

しかも会ったばかりで好きでも何でも無い無礼な男に言われれば流石の空も怒りを露わにするのも無理は無かった。

 

大胆不敵のアヴェンジャーですら目を合わす事を拒むように全力でフェルグスに目を向けていた。

 

「い、いや、あの、その!空さん!ここは俺たちに任せてくれませんかね!?」

 

「そ、その通りだ!我々があの男に鉄槌を下す!任せてくれ!」

 

遊馬とアストラルが必死に空を抑えようと自分たちでフェルグスを倒すと進言する。

 

すると、空は刀を鞘に戻して心を鎮めて殺気を消した。

 

「分かったわ。ここは任せるわ、遊馬君、アストラル。その代わり……全力でぶちのめしてね♪」

 

「「りょ、了解!!!」」

 

空のお陰(?)で緊張感が高まり、遊馬はデュエルディスクを構えてデッキからカードを5枚ドローする。

 

ようやく戦いの時間となり、フェルグスはメルセデスを奪うために遊馬達を殺しにかかる。

 

「その女は俺のものにする!真の虹霓をご覧に入れよう……! 『虹霓剣(カラドボルグ)』!!」

 

フェルグスの持つ渦巻く螺旋の剣が大地を穿つ。

 

巨大な剣光の衝撃波が周囲に一気に広がり、敵である遊馬達を粉砕する。

 

「遊馬!」

 

「相手の攻撃時、手札から『ガガガガードナー』を守備表示で特殊召喚!!更にガガガガードナーの効果!戦闘破壊される代わりに手札を一枚捨てる!!」

 

大きな盾を持った不良の戦士、ガガガガードナーが遊馬の前に現れ、盾を地面に突き刺して衝撃波を受け止める。

 

「危なかったな……」

 

「いきなりとんでもないものをぶっ放してくるな、あのおっさんは!」

 

「遊馬、今度は我々の反撃だ!相手が女好きなら……この二枚のナンバーズだ!」

 

アストラルが渡した二枚のナンバーズ……その効果から有力なコンボを瞬時に理解し、遊馬は一気に展開していく。

 

「こいつは……よし!俺のターン、ドロー!魔法カード『オノマト連携』!手札を一枚捨て、デッキから『ゴゴゴジャイアント』と『ドドドバスター』を手札に加える!ガガガガードナーをリリースし、ドドドバスターをアドバンス召喚!この瞬間、ドドドバスターの効果!アドバンス召喚に成功した時、墓地からドドドモンスターを特殊召喚できる!来い、『ドドドウォリアー』!」

 

ガガガガードナーをリリースしてドドドバスターを召喚し、墓地からオノマト連携でコストとして墓地に送ったドドドウォリアーを復活させる。

 

「レベル6のドドドバスターとドドドウォリアーでオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

 

『『ドドドォー!』』

 

二体の屈強な戦士のドドドモンスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発を起こす。

 

「氷を纏う正義を司る女神よ!氷の如き冷たく絶対なる評決を下し、愚者に裁きを与えよ!」

 

床に冷気が漂ってから一瞬で床が凍り、床から巨大な氷塊が突き出てきた。

 

「現れよ!『No.21 氷結のレディ・ジャスティス』!!」

 

氷塊が砕かれると中から美しくも麗しい正義の名を持つ氷の女神が姿を現した。

 

「おおっ!なんと美しい女!まさに氷の女神!」

 

『……フンッ』

 

レディ・ジャスティスはフェルグスに興味無しとそっぽ向く。

 

「良い!とても良いな!その反抗的な態度に中々良い体つき……是非とも抱きたいものだ!!」

 

「アホかぁっ!!どんなに色欲に飢えているんだアンタは!?ああもう!これだからダメな大人は!」

 

これほどまでに色欲に忠実な大人は初めてで遊馬はこんな大人には絶対になりたくないと強く念じながら次のナンバーズを呼ぶ。

 

「更に魔法カード『二重召喚』を発動してもう一度通常召喚を得る!『ゴゴゴジャイアント』を召喚し、墓地からゴゴゴモンスターを復活させる!蘇れ、『ゴゴゴゴーレム』!!レベル4のゴゴゴジャイアントとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

連続でエクシーズ召喚を行い、ゴゴゴジャイアントとゴゴゴゴーレムが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発を起こす。

 

「希望と共にある心優しき絶望の皇よ!紫電に轟く大剣を手に、守護の力を示せ!!」

 

紫電が轟き、闇を纏いながら絶望の名を持つ優しき心を持つ皇が姿を現わす。

 

「現れよ!『No.98 絶望皇ホープレス』!!」

 

希望皇ホープの抑止力である絶望皇ホープレスが現れる。

 

「絶望皇ホープレス……しかし、絶望と言う割にはあいつから光を感じるな」

 

アヴェンジャーは絶望皇ホープレスから闇の力の中に輝く光を感じ取った。

 

絶望皇ホープレスはまるで同胞であるレディ・ジャスティスを守るように前に出て堂々と立っていた。

 

「ふっ……そう来たか。その氷の女を手に入れなければ、まずは貴様を倒せということか!!」

 

「貴様は何を言っているんだ?」

 

「本当に女好きだなあんたは!?」

 

「必ずその女も手に入れる!虹霓剣!!」

 

フェルグスは再びカラドボルグを振り下ろし、虹に輝く剣光を放つ。

 

「させるか!絶望皇ホープレスの効果!相手の攻撃宣言時、オーバーレイ・ユニットを使い、相手を守備表示にする!ゼロムーン・バリア!」

 

ホープレスは大剣にオーバーレイ・ユニットを取り込んで地面に突き刺すと紫色の満月の形をしたバリアが現れ、カラドボルグの一撃を消し去る。

 

そして、紫電の雷撃を放ち、フェルグスを強制的に跪かせる。

 

「くっ!?な、何と!?」

 

「俺のターン!ドロー!これで決めるぜ!レディ・ジャスティスの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊する!!アブソリュート・ジャッジメント!!」

 

レディ・ジャスティスは氷の剣にオーバーレイ・ユニットを一つ取り込ませ、剣を振り下ろすと凍えるような吹雪を放つ。

 

「ぐぉおおおおお!?何という猛吹雪!だが、この程度ではやられぬぞ!!」

 

猛吹雪にフェルグスは凍りつきそうになるが、何とか耐えて立ち上がった。

 

「遊馬!ホープレスで決めるぞ!」

 

「ああ!装備魔法『最強の盾』をホープレスに装備!ホープレスの攻撃力を守備力分アップする!」

 

最強の盾がホープレスの体に取り込むと、攻撃力の上昇と共に紫電の雷撃が更に吹き荒れる。

 

「「絶望皇ホープレスの攻撃!!」」

 

絶望皇ホープレスは紫電の剣を掲げて刀身を紫色の光を輝かせて飛翔する。

 

「受けて立つ!!虹霓剣!!!」

 

フェルグスは凍りついた体で動きを制限されながらもカラドボルグを振り下ろし、虹色に輝く剣光を解き放ち、無数の光がホープレスを傷付ける。

 

しかし、ホープレスは最強の盾をその身に宿した事でカラドボルグの剣光を耐え、間合いに入ると同時に大剣を振りかざす。

 

「「ホープ剣・ディスペアー・スラッシュ!!」」

 

絶望皇ホープレスの一撃がフェルグスの体を切り裂いた。

 

「くっ……ここまでか……」

 

フェルグスは余程メルセデスを抱けなかった事を残念に思ったのか悔しそうな表情を浮かべながら消滅した。

 

第二の裁きの間の敵を倒し、一安心すると遊馬は色欲の罪について考えた。

 

「色欲か……」

 

「遊馬は絶賛思春期だが、そこのところはどうだ?」

 

「そうだな……もちろん、女の子がすぐ近くだとドキドキするぜ?小鳥やネロとキスした時とか、ブーディカに抱きしめられた時とか……でも、性行為は二十歳になるまで絶対にやらないぜ?」

 

思春期の男子ならば性行為に一番興味を持つ時期であるが、遊馬は二十歳になるまでしないと言う強い意志を持つ。

 

「何故だ?」

 

「いやー、姉ちゃんにキツーく言われてるからな。万が一にでも若い内に子供ができたら絶対に苦労してお互い大変だからさ。だから、そう言うことをするのはちゃんと俺が働けるようになって、責任が取れようになってから……その、好きな子とやるつもりだ」

 

母親代わりだった姉の明里の厳しい躾に遊馬に真っ当な考えが染み付いていた。

 

だからこそカルデアでいつも夜這いをかけようとしている清姫やネロを拒むことが出来るのだ。

 

「立派な考えね……ちなみに式は旦那さんと出来ちゃった婚なのよね」

 

式がほとんど語らない自分の過去を空がぶっちゃけてしまった。

 

「マジですか!??」

 

「まあそのお陰で式は旦那さんを婿養子にして結婚して、可愛い娘が生まれたんだけどね」

 

「へぇー、あの式がな。意外だな〜」

 

「色欲も決していけないものじゃないわ。人が変わるきっかけにもなるし、大きな命と深い愛も生まれるのよ」

 

「そっか。俺もいつか父親になるのかなぁ……」

 

「……遊馬、その発言はカルデアにいるみんなの前で絶対に言わないほうがいいぞ」

 

「間違いなく修羅場が発生して下手すればカルデアが崩壊するわね……」

 

アストラルと式は仮にカルデアで遊馬がそんな発言をした際には間違いなく遊馬に好意を寄せる女性達が集まり、修羅場となってカルデア崩壊の危機待った無しとなるだろう。

 

「みなさん、こんな状況なのに楽しそうですね……」

 

メルセデスは遊馬達の元気で楽しそうな雰囲気に戸惑っていた。

 

「こんな状況だからこそだよ。確かに不安はあるけど、不安になったところで状況は変わらない。むしろ悪くなるかもしれないだろ?だったら光に向かって行くだけだ。かっとビングだ!」

 

「かっと、ビング……?」

 

「ああ!メルセデス、記憶が無いのはすげえ不安かもしれないけど、心配するな。俺たちが守ってやるからさ!!」

 

「ユウマさん……はい!」

 

メルセデスは記憶を失い、暗い闇の中にいながらも光を見つけて笑顔で頷いた。

 

そんな遊馬とメルセデスの姿を見てアヴェンジャーは呟いた。

 

「……どうやら、絶望とは程遠いようだな」

 

「ん?そんな事は当たり前だろ、アヴェンジャー」

 

アヴェンジャーの言葉が耳に届いた遊馬はニッと笑みを浮かべて答える。

 

「だが、絶望したなら、もう戦えないと思ったなら直ぐに言え。七日を待たずにお前ををオレが殺してやろう」

 

「……俺にそんな必要が無いのはもう分かってるんじゃねえのか?『待て、しかして希望せよ』……だろ?」

 

「──ははは!その通りだとも、仮初めのマスター!」

 

アヴェンジャーは希望を見つめている遊馬の態度を気に入って高笑いをし、遊馬達は次の第三の裁きの間へと向かう。

 

 

 

 




フェルグスのおっさんは遊馬君の教育に良くありませんね(笑)
遊馬君がそういうことをするのは……本人の意思関係なく貞操を奪われそう(笑)

次回から色々と話を省略して進めようと思います。
あまり監獄塔を長くしたく無いので。
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