『いずれ会おう』
ライディーンイーグルの記憶の中に深く刻まれたそれが十人のライディーン達が交わした最後の言葉だ。
互いに再開を誓いあった言葉。己の意思も魂も無くなる事は分かっている。それでも、再び出会う事を仲間と誓い合い、消えて行った。
来世、あるいは記憶と力を受け継いだ誰かとして、仲間と、戦友と再会する事を誓い合った。
その言葉は特にライディーンの記憶の中に刻まれている言葉で有るがゆえによく知っている。
言ってみればライディーン同士が互いを認識し合う合言葉に近いだろうか。
堕天使側に関係しているヴァーリにその伝言を頼むと言う事はライディーンクロウが堕天使側にいると言うことかと考えたが、それは違う気がする。
その謎が解けないまま勇気は帰路に着いていた。
(それに何より、このゾディアックオーブの秘密だけはどの勢力にも……いや、誰にも知られちゃいけない)
ヴァーリに伝言を頼んだと思われるクロウが何処かの勢力に属しているのなら、下手をしたらその勢力にゾディアックオーブの事を知られている可能性もある。ゼノヴィアには適当な事を言って誤魔化した上で回収したので知られていないが。
(白龍皇の事は、先ずは因縁のあるイッセーに頑張ってもらうか)
序でに目を付けられたヴァーリの事については全面的に白と赤の因縁の相手である一誠に丸投げする事にした。
戦いを挑んでくるのも良いが、先に自分の因縁に決着を着けてからにしてもらいたい。そもそも記憶によれば先代のイーグルとクロウに討伐されて決着付いてないのだし。
(ハーレム王とかやらになる前にヴァーリとの因縁を頑張れよ)
さて、翌日の駒王学園ではオープンスクールも兼ねた授業参観が行われていた。父兄だけでなく中等部の生徒も見学に来る為、他の生徒達はソワソワしている。
まあ、両親が海外にいる為に授業参観に来れない勇気はいつも通りと言う様子だ。
避妊用具を取り出して練習などと言う発言が飛び出したゼノヴィアの発言には慌てたが。どうも、教会での生活が長い為に妙に浮世離れしているゼノヴィアの言葉からそういう関係に見られそうな発言が飛び出した時には本当に心底慌てた。(一誠曰く最初の頃のアーシアも似た様な感じだったらしい)
なお、ゼノヴィアからそんな発言が飛び出した際に遠く離れた病院で眠り続けている歌姫様が再び#マークを浮かべていた。
…………恐るべし、女の勘。
英語の時間。勇気は渡された紙粘土を前に戸惑いを覚えていた。
「いいですかー、今渡した紙粘土で好きなものを作って見てください。動物でもいい、人でも家でもいい、自分が今脳に思い描いたありのままを表現してください。そういう英会話もある」
((ねえよ!))
クラスの全員と言うことは一人『なるほど』と納得しているゼノヴィアが居るので無いが、少なくとも一誠と勇気の心は一つになった。
「レッツトライ!」
(レッツトライ、じゃ無い! どこの世界に紙粘土を使う英会話が有る! どう考えても美術だろう、美術!)
順応して居るクラスのメンバーを見て居ると自分が間違ってるのかと疑問に思ってしまうが、一誠も紙粘土を握り締めながら納得できてない様な姿があった。
(うん、間違ってるのはオレだったな)
それを見て素直に状況に順応する事を選ぶ勇気だった。
一誠の行動が基本間違ってると確信して居るが故の反応で有る。まあ、大勢の前で大声で女子更衣室の覗きの相談をして立てた計画を、囮でも何でもなくそのまま実行して居る時点で何処から間違ってるかツッコミ処に困る。
覗きをするなと言うべきか、計画の相談は人気が無いところでしろと言うべきか、と言うレベルで。
心に浮かぶ物と言われて真っ先に思い浮かぶものを作り上げる。
一誠が見たら『ドライグ!?』とでと叫びそうな力尽きたドラゴンの頭に突き刺さるイーグルソード。傷付いたライディーンイーグルにドライグの頭に突き刺さったイーグルソードを握らせた姿。
ぶっちゃけイーグルとドライグの一騎打ちの最後の瞬間で有る。
紙粘土で作られた神器に封印される直前のドライグの姿であった。
嫌がらせとかではなく純粋に頭に浮かんだものだったのだが、
『ぎゃああああああああああ! あの時の光景がぁ!?』
(ド、ドライグゥ!?)
それを一誠が見てしまってドライグが神器の中で悲鳴をあげたのも単なる偶然で有る。そう、決してそれは狙ったものでは無い。
物凄くリアルで完成度の高い、プロの造形師にでもなれそうなレベルのリアスの裸婦像を作っている一誠が突然絶叫したドライグに大慌てしていたのだが、それはそれ。其処に何一つ勇気の意図は無い。………………多分。
なお、一誠制作のリアスの裸婦像には勇気達一部を除く生徒全員からのオークションが始まってしまった。六千から始まり万単位に突入していたが、結局売る事はなかった。