木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく   作:暁紅

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すみませんでした!!1ヶ月間休みというかサボ...野暮な事を言うのはやめよう。

さて、遅くなりましたがやっとの投稿で悪いのですが、また一週間ほど投稿出来なくなります。この時期にテストがあるのです。俺悪くない、テストが悪い。

現実逃避も程々にどうぞ見ていってください。Lisaのライブ当たって興奮して39度の熱出したなんて言えない。


最終決戦開幕、偽物VS復讐者

 

目の前に立つ男から放たれるオーラはオーフィスに似ている。言ってしまえば龍のオーラだ。

 

自称復讐者(アヴェンジャー)は明確な殺意をぶつけてきていて、額から汗がたれ落ちる。

 

「兵藤...一誠」

「そんな男は死んだ。ここにいるのは貴様を殺すためだけに生きてきた、ただの復讐者だ」

「僕を殺す」

「また演技か、ほとほとつまらないな。そこまでバレるのは嫌か、偽物という事」

「くッ!」

 

喋り続けようとする復讐者に急加速して夫婦剣を振り下ろすのだが、彼は避けることすらせずに身体で受け止めニヤリと口元を歪ませる。

 

「弱いな」

「そんな」

「お前が本気出して殺してこそ復讐は達成される。ここで、お前が本気出せないなら移動しよう」

 

彼は裕斗の首根っこを掴み床を踏み砕く。

 

とてつもない早さでビルから飛び出るので、その体にかかる負荷はとてつもない物で、どうにか身体強化でやっとのところを復讐者からは魔術の気配など一切なく生身で耐えていた。

 

身体から発せられる龍のオーラなどを合わせて考えると答えがすぐに出る。

 

(龍に身体を明け渡したのか。となると、もう戻れない)

 

虞淵から聞かされた話では龍にはその肉体を明け渡せばかなりの力を手に入れられるようで、復讐者は何かしらの龍に身体を渡したのだと推測できる。

 

ただ、弱い龍に身体を渡したところでここまで強力な力を得る事はまずできない。身体を超高温にしても耐えられ、強力なGにも耐えられる。

 

その事から強い龍に限られるが、まず龍王達はありえない。となれば考えられるのは最悪の予想。

 

「ここならいいだろ」

 

数秒の空の旅を終え辿り着いたのは少しだけ開けた森の中だった。時間的にも駒王町の近くなのは分かるがそれ以外は全く分からない。

 

復讐者は着地と同時に裕斗を投げ捨てる。それだけ戦闘がしたいとの事なのだろう。

 

「君は...お前はクロウ・クロワッハに身体を渡したのか」

「あぁそうだとも!神器を抜かれた俺では力が足りない。だから身体を差し出し力を得た...お前を圧倒的に超える最強の力をな!!」

 

両手を広げ先程のマンションの時よりも莫大な量の魔力を解放する。

 

オーフィスが無限に近い有限の魔力量だとすれば、復讐者の魔力は無限に届きうる魔力量だ。

 

さらに、とてつもなく禍々しく、邪龍であるクロウに身体を渡したのは明白である。

 

「マスター随分とお早い到着のようで...おやそちらの方が?」

「あぁ、そうだ木場祐斗もどきだ」

「なるほど」

 

空から現れたのは目を疑う程の美女であった。たとえ女神だと言われても信じてしまうほどに。

 

彼女は長いピンクの髪を靡かせ、腰にある二つの白い羽をピクピクと動かしている。頭の右側に小さな円状の紋様が浮かんでいて、その事からも天翼種(フリューゲル)だと分かる。

 

いや、そもそんな事を考えるまでもなく彼女を知っている。

 

(ジブリール...いや確かに天翼種を聞いたあたりから疑っていたけど、まさか本当にいるとわ。こう出てくると感動モノだな)

 

彼女の容姿や口調含め全て脳内の記憶と一致していた。

 

自分の知っている通りであれば戦闘においては天翼種トップであり、戦闘による負けも見たことがない。最強の天翼種である。

 

感動している場合ではないと首を横に振って改めて空を見上げると彼女は消えていた。

 

「アレ?どこに」

「止めろ。それは俺の獲物だジブリール」

「ええ分かっています。しかし、本当に宜しかったのですか?私程度の攻撃に反応できないこんな存在に命をご使用になって」

 

彼女は消えたのではなく高速で移動したに過ぎず、一瞬で背後をとると魔力で作り上げた鎌を首に当たる寸前で止めていた。

 

全く気づいておらず、復讐者の声により知覚した瞬間、命を刈り取られる恐怖が襲いその場から数十歩の距離を瞬時に離す。

 

今のアクションから彼女の力はサーゼクスやアジュカなどよりも圧倒的に強く、一対一であれば自分ですら勝てるか怪しいと喉を鳴らす。

 

「随分と逃げるのは早いようですね」

「逃げるが勝ちだからな」

「では、マスター結界の補助をしておりますので、何かありましたらお呼びください」

 

服の裾を少し掴み腰を軽く折って上品な挨拶をする。裕斗の事をガン無視して行いすぐさま飛び上がり消えていく。

 

それから殆ど待つことなくこの場を囲むように結界が張られる。

 

「さて、始めよう俺の復讐を」

「ふぅ...だったら先制攻撃貰うぜ。投影開始(トレース・オン)

 

夫婦剣ではなく巨大な二本のバスターソードを投影する。自身の身体より大きく長い獲物を片手ずつで軽く持ち上げ、両側から挟むように薙ぎ払う。

 

当たり前だが復讐者は避けることなく挟まれる。力一杯にへし折ろうとするが折れないので次の攻撃に移る。

 

二つのバスターソードの刃の部分には小さな凹凸があり、分かりやすく言うならばノコギリのようになっている。

 

その刃を肌に突き立て拘束で前後に動かす。確かに硬いのだろうが、これで少しは砕けるだろうと思っていたが顔の表情を一切変えずに、ゆっくりと前に歩き裕斗の腹部に右足蹴りを入れる。

 

「温いな」

「がハぁ゛!......だっ゛だら゛!」

 

蹴られた箇所を抑えながら後ろに吹き飛ばされるもどうにか立ったまま堪える。

 

蹴られたせいで骨が何本か砕け、食道を通して血が上がってくる。それでも止まらず血を吐き散らし長ら奥の手の一つを切る。

 

両手に無数の小さな剣を投影し全てに『次元切断(ディメンション・スラッシャー)』を付与させて復讐者目掛け投擲する。

 

あまりにも小さいそれらは裕斗の目ですら目視は不可能。そのため風向きなどにも細心の注意を払って投げた。

 

「確かにそれなら防御も意味無い...しかしそれも視た」

 

身体を少し逸らし大量に空気を取り入れ、体制を戻すと同時に口から獄炎を放つ。小さな剣たちは次元を切断することなく全て燃え尽きる。

 

これぞクロウ・クロワッハの恐ろしき点だ。

 

アイルランド人は過去にクロウを崇拝しており、金銀の銅像立てたその周りを十二の偶像で囲んだ。

 

この十二の偶像とは王道十二宮を指しており、その事から太陽神の神格も持ち合わせていると考えられていた。奏太の技を破ったのも神格の一環だと思われる。

 

その通り放たれた獄炎は太陽に匹敵し、裕斗は咄嗟に取り出したゲオルグ印のマントで全身を覆い熱波から身を守る。

 

「クロウやるぞ」

『いいだろう。俺の力を存分に使え相棒』

「はぁぁぁぁあああああ!」

 

両手を上に掲げ作り出したのは太陽そのもの。

 

顕現した太陽は結界内の草木を灰へと還しそのとてつもない熱量を物語っている。

 

まともに受ければ死は確実。となればまともに受けなければいいのだ。全身にオーフィスの魔力を巡らせる。

 

そもオーフィスとはウロボロスと呼ばれる自身の尻尾をくわえている龍である。

 

その事から自身だけで『死』と『生』を体現し無限を司っている。

 

さすがに魔力を巡らせれば不死者になれる訳ではない。だが、オーフィスの魔力は言ってしまえば何ものにも染まり、何ものにも慣れる純粋な魔力である。

 

太陽とは『生』である。その逆『死』を表せる月になれない通りがない。

 

「はぁぁぁぁあああああ!!!」

 

魔力は裕斗の中心で円を描くように集まり光を飲む闇『全てを消し去る渦(ブラックホール)』を作り出す。

 

太陽対月(全てを消し去る渦(ブラックホール))の激突の結果は裕斗の勝利に終わる。

 

「はぁはぁはぁ」

「太陽が消えた...なるほどなそう言う事か。戦闘以外視ていなかったのが仇になったか」

 

復讐者は右目を抑えながらボソリと呟く。左目の色はは鮮やかな青へと変化している。

 

「オーフィスがバックにいたか、どうするクロウ?」

『どうするだと?俄然やる気が湧いてきたさ、あの無限と戦えるのだからな』

「だそうだぞ」

「はっ、嬉しくとも何ともないな。けどおかげで大体分かった」

 

切れていた息を整えしっかりと直立する。

 

「魔眼だろ?過去を見ることの出来る」

「正解だ。『過去を見通す魔眼(フェアガンゲンハイト・バロール・ビュー)』と呼んでいる」

 

復讐者は余裕そうな表情でネタを明かす。

 

元の彼には魔眼など無かったが、クロウに身体全てを一気に明け渡した事により変質し、魔眼へと昇華したと思われる。

 

能力は名前の通り過去を覗け、過去に使った全ての技はまるでそこにいたかのように視られてしまっていたのだ。

 

ならばだ。過去に一度も使ったことの無い技を使えば対処ができないという事だ。

 

「だったらこれをお見舞してやるよ!集え我が剣よ」

 

右手を上空に掲げ言葉を告げる。

 

すると、裕斗の背後に津波が現れ復讐者を飲み込むように動き出す。否、津波ではなくそれらは全て剣の塊であった。

 

この世に存在する全ての剣。存在しない剣。その両方を無限にかき集めた技、さしずめ『無限の剣軍(アンリミテッド・ブレイド・ウォーズ)』である。

 

「くっ、そんな馬鹿な」

 

例え視なくても分かる。それら全てに『次元切断』が付与されていることなど。

 

咄嗟に防御の姿勢を取るが剣はすでに目標に狙いを定め降り注ぐ。まるで流星群のように。

 

一本や二本は躱せたが次第に増える剣に対処できなくなり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊戯か何かか?」

 

龍のように肌が鱗になり鋭く尖った爪になってしまった左手で軽く薙ぎ払うだけで、『無限の剣軍(アンリミテッド・ブレイド・ウォーズ)』は全て消える。

 

「確かに過去に使った事ない技を使えば対処は遅れるだろう。だが、そんな物所詮付け焼き刃。そんなんで倒せると思っていたのか?呆れるな」

 

徐々に復讐者は身体を龍へと変化させ、両手両足が完全に龍へと至ったところで第二回戦の火蓋が落とされた。

 


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