現代っ子の現人神
東風谷早苗
登場
すてきな学校
「きりーつ、礼。着席ー」
ここは諏訪城東高校。
教師の飯島敏広が授業を始める号令をして、生徒がそれに従い、授業が始まる。
「さあ、今日はテストを返すぞー」
飯島の一言に生徒たちが「え~」と、気怠げな声を上げる。
「そんなこと言わずに、ほら。一番、阿野見一ー」
出席番号一番の生徒がテストを取りに行く。
そして、
「成三、お前スゴいじゃないか!クラスで二番目だぞ!」
飯島は嬉しそうに声を上げる。
「ありがとうございます!」
成三もまた、嬉しそうにテストを受け取って仕舞う。
「さて成三。後で進路指導室に来てくれ」
「は、はい!」
成三は席に戻っていく。
「さて、テストの解説だが………」
授業は進み、そして授業の時間は終わる。
その後、成三は飯島の言う通りに進路指導室に行った。
進路指導室では、大学の資料を広げた飯島が待っていた。
「さて、成三。お前が行きたがっている長野美術大学だが、今のままの成績で現状維持しておけば何の問題もなく合格するだろう。後は試験内容にデッサンが含まれているから、そこは自分で練習してくれ」
担任教師から称賛され、上機嫌でお礼を言って進路指導室から出て教室まで戻っていく成三。
帰りのホームルームも終えて荷物を纏める成三に、声を掛ける少女がいた。
「そうだ、成三。先生は何だって?」
成三が振り替えると、緑のロングヘアーの少女で成三の幼稚園時代からの幼馴染みである、東風谷早苗が立っていた。
「ああ、このまま行けば大丈夫だって先生が言ってたよ」
成三はそう、早苗に告げる。すると早苗は笑顔で成三を祝福した。
「スゴいじゃない!私も頑張らないと行けないわね…」
「早苗もキチンとやってるから、志望大学にも行けるさ」
「ありがとう、成三。でも、貴方ならもっと良いところにも行けたでしょうに…」
「いやいや、ボクは両親に移動費で迷惑は掛けたくないからね。それに遠すぎても問題だからね」
この付近で美術大学は長野美術大学だけである。
学費、移動費では親に負担がかかるだろう…と、配慮したのだ。
「なるほどね…。」
「さて、もうそろそろ部活の時間だからボクは行くね」
席を立ってカバンを背負う。
「あ、成三じゃあね。暇なときにでも、私の神社に来てよ」
早苗はそう言い残し、教室から出ていった。
成三も教室から出て、部室までの廊下で呟いた。
「…。二人、早苗と…ボクらと仲の良かった友達が行方不明になった…」
そう、早苗と成三にはもう二人の幼馴染みがいたのだ。
しかし、一人は中学生の頃に、もう一人は四ヶ月前に行方不明になっていた。
彼等の寄りそうな場所やその付近を探しても一向に見付からず、捜索から一ヶ月で断念されたのだった。
「はぁ…。アイツ等がいない今、ボクが早苗から離れるわけには行かないんだよね………」
成三は早苗を心配して付近の美術大学を選んだのを、移動費などの口実で感付かれない様にしていたのだった。
旧友たちを思い出した後、思考を現実に戻して美術室の扉を開けた。
「こんにちはー」
成三は挨拶しながら美術室の扉を開けた。
そして、自分の席についた。
スケッチブックを取り出して、色鉛筆を取り出す。
すると、声を掛けられた。
「お、成三くん。今日も頑張るね」
声の方を向くと、少し髪の長めな少年、詩野柚木(しのゆうぎ)が机に手を置き立っていた。
「柚木くんか。そりゃ絵を描くのは楽しいし、将来のためでもあるからね」
そう言いながら成三は絵を描き始める。
暫くして、早苗の絵を描き終えた。
「お、この子は…。君のクラスメートの早苗さんかな?」
「そうそう。何度も描いてるから慣れててね」
二人が話で盛り上がっていると、今度は少女…。
「あら、成三くん、こんにちは」
部長の振井英華が声を掛けてきた。
「あ、英華先輩。こんにちは」
「また早苗さんの絵?貴方もよく描くわね~」
「アハハ…。何時か、ちゃんと描いて早苗に渡すんですよ」
「なるほどね…」
そう言って、絵を見た後に成三に、「ま、これからも頑張ってよ」と言い、席に戻っていった。
そして、部員たちが描画、彫刻、塗装に没頭しているうちに、チャイムがなり、部活動はお開きになり、部員たちはそれぞれの家に帰っていった