「ただいま」
成三は家に帰る。
すると、料理をしていた母親が玄関に来た。
「あら成三、お帰りなさい。テスト、どうだったかしら?」
「ただいま、母さん。上出来だったよ。二位だってさ」
その事を聞いた成三の母は喜んだ。
「スゴいじゃない!で、先生はなんて?」
「このままだったら問題なく目当ての学校に入れるってさ」
「良かったじゃない!じゃ、ご飯が出来たら教えるね!」
「ありがとう」
そう言って、成三は自分の部屋に戻っていく。
「はあ、疲れた~…」
成三は気だるげに鞄を置く。
そして、鞄を開けてスケッチブックを出そうとする。が、出そうとした成三の手が止まり、目に留まった一冊の本を忌々しげににらむ。
その本は、少し変な表紙で明らかにおかしな雰囲気を放っていた。
それは、魔導書だった。
12年前に拾って交番に届けたが、届けた後に何時までも、何処でも付きまとうようになった。
それからだった。彼がいじめの対象になったのは。
魔導書が何処に置いても自分に戻ること、魔導書がおかしなオーラを放っていること、自分も少なからず魔法を使えるようになったことで、奇異な眼差しで見られるようになり、陰湿ないじめを受けるようになったのだ…。
「ま、それがもとで早苗とも知り合えたし、悪いことばかりじゃないのかもねぇ…」
同じ様に、神奈子達が見えた早苗もいじめられていた。
それを成三が慰めて早苗と親しくなり、辛いときも分かち合った。
だが、彼らも賢くなった。
中学校を上がる頃にはもう自分達がどうしたらいじめられなくなるかを考え、成三は魔力の流出を止める魔法で、早苗は神に対する言動を控えることで、いじめられる原因を隠したのだった…。
「成三、ご飯よ~」
「あ、は~い」
成三は母親に呼ばれて一階に降りる。
レストランでの仕事から帰ってきた父親にも、ご飯を食べがてら、先生から言われた現状を報告をするために…。
「ふぅ、スッキリした」
ご飯を食べ、風呂も済ませた成三はスケッチブックを開く。
「ハァ……」
早苗の他にも、行方不明になった親友たちが描かれていた。
「アイツら、何処行ったんだ…。早く帰ってきてくれよ……」
そう呟きながら、スケッチブックを閉じて勉強をした。
だが、親友たちの事を思い出してしまい中々集中出来なかったため、勉強を中止して、カレンダーに目をやる。
「明日は土曜日か…。守矢神社に行こうかな……」
成三は早苗に明日守矢神社に行く。とメールを送った。
許可の返信が来たため、布団を敷いて眠りに付いた