東方幻想奇録   作:大栗蟲太郎

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マンカツ!〜マンガカカツドウ!〜

家の掃除を終え、漫画を描いている成三。

そんな彼の家の扉をノックする者が現れた。

 

「すみませーん、田口成三さんのお宅でしょうかー」

 

と元気な声が聞こえた後、またトントン、と規則正しいリズムで扉がノックされる。

 

そのノックの音が耳に届いた成三は、慌てたように扉まで駆け寄っていく。

そして、申し訳なさそうにお辞儀をしながら扉を開ける。

 

「あ、すみません。漫画を描いていたら夢中になってしまいまして」

 

後頭部を掻きながら弁解する。

そんな成三の訪問者は、鴉天狗の射命丸文だった。

 

「どうもお馴染み、清く正しい射命丸です!本日は新聞の宣伝に来ましたー」

 

自己紹介するなり元気よく用件まで一息で纏めた射命丸に、成三は面食らってしまった。

 

「し、新聞の宣伝ですかぁ!?」

 

驚いて復唱してしまった成三。

その後に自分にはお金はないです、と付け加えておく。

 

しかし、射命丸はそれでも食い下がらずに尚も話を続ける。

 

「いえ、大丈夫ですよ!出世払いで後で払って下されば宜しいので!」

 

「え、えっと……」

 

全く勢いの下がらない話し相手にたじろぐ成三を前に、もうひと押しと確信した文はとどめにマシンガントークを始める。

 

「まだ田口さんは幻想郷に来てからそんなに経っていませんよね。この場所を深く知る為にも文々。新聞をご購読になって理解を深める事が賢明だと思うのですが!」

 

笑顔を崩さずに詰め寄っていく文に成三は根負けしてしまい、購読をすることを決めてしまった。

 

「ありがとうございます!それでは、明日に最新情報をお届けしますのでお待ちください!」

 

新聞契約を済ませた文は満面の笑みで成三の家の扉から飛び去っていく。

 

「……」

 

その有無を言わせぬ勢いを体感し、暫くへたり込む。

そして、コップに水を注いで勢いを付けて飲み込んで、文との会話で乾いた喉を潤す。

そして漫画を描く作業を再開していった。

 

「……よし!完成したぞ!」

 

暫く経って仕上げの作業を終わらせた成三。

原稿を見て万歳のポーズを取り、伸びをする。

 

「入稿は……明日にしていいかな。今日は寝よう!」

 

ライトや電気を消して布団に横たわる。

そうしてまた、一夜が更けていくのであった……

 

夜が明け、ベッドから降りて外に出る成三。

 

「……お?きちんとあるな……」

 

ポストを開ける成三。

そこには文々。新聞が投函されていた。

 

「へえ…」

 

家の中に入って新聞を読む成三。

特に言うべき事はなく、いつもの日常が書かれていた。

 

「よし!入稿しにいくぞ!」

 

新聞を読み終え原稿を持ち、意気揚々と外に出ていくのだった


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