Fate/Zero──Act.All Fiction 作:むい
規約の一「原作の大幅コピー」に該当しないよう、説明は削るつもりですので……
ご了承ください。
聖杯戦争。
魔術の上に位置する七騎の使い魔『サーヴァント』を使役し、万能の願望器『聖杯』の所有権を賭けて魔術師が競い合う儀式。
〝彼〟に与えられた知識は、その程度でしかなく、サーヴァントに与えられるとされる知識の十分の一にも満たなかった。
しかし、それで十分だったのだろう。
『願いを何でも叶えてくれる──ね。ドラゴンボールみたいで素敵じゃないか。是非とも僕の願いを叶えてほしい。なに、多少の徒労なら厭わないさ。それで? 僕は何をすれば良いのかな?』
結果、喜んで参戦の意を示した──……
言峰綺礼。
此度の聖杯戦争監督役を父にもつ、元代行者。
そして、第四次聖杯戦争に参加するマスターの一人。
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に」
彼は魔法陣と聖遺物を用い、サーヴァントの召喚儀式を行っている途中だった。
しかし、彼にとって──否。
それを傍で見守っていたであろう父・言峰璃正にさえ予想出来ようはずもない事態が起きた。
──馬鹿な。天井が……?
そう。天井に入っていた亀裂が大きさを増し、倒壊の危険性を上げ、今にも崩れんとしていた。
──何故? 何故急に? しかし儀式が終わってからでも遅くはあるまい
「我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──」
璃正が判断を下したその時、最後の一節を唱え終わる。魔法陣が放つ光は激しさを増し、不規則に輝く。
綺礼と璃正は、アサシンの召喚を狙っていた。
遠坂時臣。
聖杯戦争御三家の一角・宝石魔術の遠坂家の当主であり、綺礼の師。
また、当然のことながら聖杯戦争に参加するマスターの一人。
綺礼は父より聖杯戦争においては彼をサポートするよう言われていた。
諜報活動に有利なサーヴァントを綺礼が。戦闘に有利なサーヴァントを時臣が使役することで勝利を狙うという。
ある意味ではありふれた戦略。同盟とは言い切れぬまでも、他の参加者も結託することはあるだろう。
しかし、綺礼と時臣は違った。
綺礼に令呪が宿った綺礼が聖杯に託すべき『望み』を見出せないことを知った父は、監督役というスポーツにおける審判役を演じながら親子の助力によって時臣を勝利させる──なんて反則紛いの計画を立てた。
綺礼に幸いしたことと言えば、そのすべてが己の苦悩に直接は関係しなかったことだろう。
しかし、それもここまでだった。
彼が召喚せしめたのはアサシンだったが──諜報活動に有利な英霊ではなかったのだから。
後に気づいたことなのだが、この時に触媒となったのは用意した聖遺物ではなく──儀式場倒壊の前兆として起きたヒビ割れ。
その際に転がり込んできた、小さな螺子だった。
魔法陣が発光している最中だったが急いで退避した言峰親子は、瓦礫の山となった儀式場を見つめている。
暫くすると、咳き込みながら一人の少年が這い出てきた。
『やあ。こんな招き方をされるなんて思ってなかったよ。よっぽど非道な人なんだろうけど──おっと、勘違いしないでおくれ。こんな扱いでも、僕は馴れている。あと。一応、訊いておきたいんだけれど──僕は誰の味方をすれば良いのかな?』
次回「冬木の夜」
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