Fate/Zero──Act.All Fiction 作:むい
次からはバトルなので!!
……大事なことなので2回言いました。
ざっくり言うと、次からは。
分量がこれまでの2倍にはなります。
(2話合計で4000文字いかないとかありえねえ……)
前置きが長くなりましたが、本編をどうぞ。
璃正は召喚されたアサシンに対して一目で匙を投げ、一人で教会へと戻って行った。
詳細は省くが、彼が憤慨するようなことがあったことだけは明記しておこう。
しかし、綺礼は違う。
彼と対するだけで己の内にあった苦悩が薄くなり、埋まるはずのない何かが埋まっていくかのような感覚さえあった。
そんな不思議な雰囲気を、少年はまとっていた。
「……お前の真名を訊いても良いか?」
綺礼が発した第一声は、大抵のマスターが発するだろうものだった。
しかし、それはアサシン以外のクラスで召喚されたサーヴァントが対象だ。
本来、アサシンはハサンの血族しか召喚されない。
しかし、この英霊はアサシンのクラスで召喚されたという。それだけで正規の英霊ではないとわかる。
学ラン姿の小柄な少年。
サーヴァントは英霊の全盛期の姿で召喚されるのが常。
この少年のどこにアサシンのクラス適性があったのだろう。エクストラクラスと呼ばれる英霊のほうがマシなのではないだろうか?
だがそれ以上に──
『えー? 真名? 何それ?』
「……」
流石に絶句する。
サーヴァントは聖杯から知識を与えられているはずなのだが……
仕方なく説明してやると、少年はどうでも良さそうな表情で会話を続ける。
『あぁ……本名のことか。僕の名前は球磨川禊。それで? きみの名前は?』
「言峰綺礼。お前がアサシンだと言うのなら、とりあえず私はマスターということになる」
『ふーん。マスター……ね。どうせなら女の子が良かったな。筋骨隆々の男の人じゃなくてさ』
……いきなりツッコミどころが満載な会話になってしまっているが、先を続ける。
そもそも、綺礼に『球磨川禊』などという英雄の名は記憶にない。
そして学ラン姿で限界しているということは、近代ないし未来の英雄だということだ。
「すまないが、アサシン。私にはお前に関する知識がない。躊躇なく真名を明かしたのも未来の英霊だからではないのか?」
『え? 自分から名乗れないほど堅苦しい戦争なの? 少人数しか呼ばれないのに? うわー。週刊少年ジャンプのキャラクターみたいに決めポーズと一緒に名乗りたかったのになー』
嘘か本当かわからないようなセリフと共に大袈裟な反応をしてくる。
冬木の聖杯は東洋の英霊を召喚できないはずなのだが……
それとも、この球磨川という少年。東洋人というだけで未来では世界中に信仰されるような偉業を成したのだろうか。
だとすれば、ぞっとしない話だった。
『ねえ、綺礼ちゃん。歩きながら話そうよ。こんな瓦礫を前にしたままなんて、テンションが上がらない。僕は既に意気消沈しているんだ。あーあ。バトル展開だと思ってたのになー』
そう言いながら、球磨川は既に何処かへ向けて歩き始めていた。教会とは逆方向だったが、少し遅れて綺礼も続く。
しかし、誰が見ても軽くシュールな画が出来ていた。
「そう嘆くな、アサシン。まだ聖杯戦争は始まっていない。お前を召喚したのは師がサーヴァントを召喚したというので私も便乗したようなものだ」
『あはは。決定の意志が薄いね、綺礼ちゃん。璃正ちゃんとは大違いじゃないか』
「……そうだな」
『まあ、安心しなよ』
球磨川は少し語気を強めて言った。
『聖杯戦争なんて、僕が引っ掻き回してやるぜ』
「そこは私や師の指示に従って貰うがな」
『やれやれ。僕は自由に動くことも出来ないのか。いくら勝っても操り人形でしかないなんて、優勝してもただの駒と同じだ。──また勝てなかった』
そのまま球磨川は霊体となって姿を消した。
その場所は奇しくも二十四時間営業のコンビニ──しかし、その雑誌の棚に週刊少年ジャンプはなかった。
次回「開幕の鐘」
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