Fate/Zero──Act.All Fiction 作:むい
ホントに良い加減にしないと……
ノリで決めるから悪いんですけどね!
……いや真面目にスミマセン。
そして、ご感想ありがとうございます。
完結に関してのものが目に留まりましたので、この場で説明させていただきます。
結論から言うと。
このままのペースで投稿を続けて、初投稿より一週間
──大体06月15日前後には完結させるつもりです。
このままお付き合いいただければ幸いです。
では、本編どーぞ!
時間は少し、巻き戻る。
キャスター──ジル・ド・レェがセイバーを『聖女ジャンヌ』と誤解し、城にまで『迎えに来た』のだ。
キャスター迎撃に出たセイバー。
そして、後に合流したランサー。
三者が向かい合う中、魔導書より溢れる魔力は一瞬も絶える事がない。
──対軍宝具『螺湮城教本』プレラーティーズ・スペルブック
ジル・ド・レェの持つ、人皮で装丁された魔導書。
本人に魔術の心得は一切なく、キャスターのクラス適性は皆無。
そんな彼が魔術を行使できるのは、単にこの宝具のお陰だ。
厳密に言えば彼は魔術を行使しておらず、この宝具が代理で行使している。
魔力炉を内蔵した魔導書により、海魔を召喚・使役するのが彼の戦術だった。
際限なく召喚される海魔はキャスターへの道を阻み、剣撃は届かない。
「──『風王鉄槌』!」
十数の海魔が暴風に呑まれる。
しかし、その数は依然として増えるのみ。
白兵戦で使用できる『風王鉄槌』さえ、この有様なのだ。
セイバーでなくとも辟易する。
しかし、状況を打破する方策はあるのだ。
ただ、それを使って良いものか──と、思案する。
『風王結界』に覆われた、彼女の『有名すぎる剣』──それを抜けば、この泥試合は一撃で片付くだろう。
「セイバーよ、何やら思案しているようだな……策があると見たが?」
「……ランサー。貴方との戦いで負傷した左手が一時動かなかったのですが、貴方の宝具ですか?」
ランサーは顔に出さないまでも驚愕する。
傷と共に与える、不癒の呪い。
それによってセイバーは動きを制限されていると思っていたのだ。
洗練された剣技を見ればすぐに思い至たっただろう。
しかし、それを先入観が邪魔していたのだ。
「……不癒の呪い。『必滅の黄薔薇』が付けた傷は、この槍が手折られるか使い手の俺が倒れるまで癒えない──それが癒えているというのは不可思議だ」
「……ランサー。策がある。良いか?」
「聞こう。騎士道の為に」
「おいおい、球磨川くん。
どれだけ僕の事が好きなんだい? うん?
こんな短時間に四回目の敗北とは恐れ入る。
こんなに勝てない君が、魔導師を打倒できるのかな?
否。『大嘘憑き』さえあれば、打倒する必要もないか。
今はただ、君が自動発動で蘇生する為の道具としか使っていないようだけれど──さて。
君は本当に、やる気があるのかな?
ドラゴンボールを七つ集めるより楽な道中じゃないか。
六騎のサーヴァントを倒すだけだぜ?
場合によってはそのマスターも相手にしなければならないけれど……
君に言っても詮ない話か。
とにかく、さっさと復活しなよ──不死身の怪物、球磨川くん」
がくん。
という擬音と共に、死体が痙攣する。
通常、サーヴァントに死体は残らないのだが……
アサシン──球磨川禊に限っては、半分しか該当しないらしい。
身体を不規則に揺らしながら、彼は立ち上がった。
銃創の痕は消えているが、ボロボロになった学ランは戻っていない。
球磨川禊の宝具は、傷に対して効力を持つものだと推測していたのだが──
『おいおい。適当なことを言わないでよ、衛宮さん。……治癒能力なんて前向きな「もの」が、僕のような負完全から、生まれるはずがわけだろう』
球磨川禊は、かつて言った台詞をそのまま流用する。
彼の大好きな週刊少年ジャンプに登場する悪役のように──絶望を振りまきながら。
『僕はただ、みなさんのがんばりを。僕が倒されたという現実を「なかったこと」にしただけさ』
彼のボロボロだった学ランが、VTRの逆再生のように『戻って』いく。
『現実を虚構に。
「すべて」を「なかったこと」する。
それが僕の「大嘘憑き」だ』
──対■宝具『大嘘憑き』オールフィクション
球磨川禊の所有する、因果消滅の能力。
『現実(すべて)を虚構(なかったこと)にする』とは、本人の言。
その性質は、時間軸ではなく因果律に関与する能力。
故に、球磨川禊の匙加減によっては『世界そのものをなかったことにしちゃう』と言う。
「馬鹿な──アサシン! 貴方はそんな宝具を持っている事をおかしいと思わないのか! 英雄が人々の築き上げた成果を抹消して良いはずがないと思わないのか!」
『許されるも許されないも──できるんだから、やって良いでしょう?』
「────っ!」
その一言で、セイバーは悲嘆に暮れる。
しかし、衛宮切嗣は違った。
因果消滅。
それは、衛宮切嗣の願望を叶える可能性だった。
闘争本能を持つが故に戦争を繰り返す人類。
しかし因果消滅の起点によっては『争いのない世界』の現実に繋がるだろう。
そんな衛宮切嗣の思惑を知らず、セイバーは怨嗟を紡ぐ。
「…………化け物め」
『酷い言われようだね。僕はまだ、君たちに何もしていないだろう? ──僕は被害者だ』
「貴様…………ぁ、ああ……あああ……あああああ!!」
──倒さねばならない。
潔癖なほどに純粋な、この怪物を。
混沌さえ明るく思える程の狂気を孕む、この男を。
セイバーは激情に任せて『剣』を抜く。
黄金に輝く、神が──星が鍛えた聖剣。
その銘を
「────『約束された勝利の剣』!!」
──対城宝具『約束された勝利の剣』エクスカリバー
アーサー王が湖の精霊から貸与された、星の鍛えた神造兵装。
人々の「こうあって欲しい」という願いが地上に蓄えられ、星の内部で結晶・精製された最強の幻想──ラスト・ファンタズム。
神霊レベルの魔術行使を可能とし、魔力を光に変換、集束・加速させることで運動量を増大、光の断層による『究極の斬撃』として放つ。
威力・攻撃範囲ともに大きい為、常に周囲への配慮が必要とされるのだが──
彼女はそんな些細な事を気にしていられなかった。
一刻でも、一秒でも早く──あの怪物を倒さねばならないと己の内の『何か』が叫ぶ。
しかし、真名解放を行ったにも関わらず『奇跡の具現』が起きない。
それを見ていた球磨川は、へらへらと笑いながら話し掛ける。
『うわっ! セイバーさん、急に叫んでどうしたの? もしかしてアレかな? バトル漫画でよくある必殺技みたいな。だとしたら楽しみだなー。セイバーさんの必殺技はどんなのだろう? やっぱりベタなのは、孫悟空の「かめはめ波」だよね──』
すっ と表情が消え。
へらへらとした、わざとらしい笑顔も消える。
『──「大嘘憑き」。セイバーさんの宝具の解放を「なかったこと」にした』
球磨川禊は、無表情でそう言った。
『解放までタイムラグのある宝具は、集束した魔力を霧散させるだけで妨害できるんだよ』
その言葉に、セイバーは戦慄する。
言葉の上では簡単だろう。
魔力の操作は基礎であると言っても良い。
ただしそれは、準備や才覚などの前置きが必要な技術だ。
それを、球磨川禊はあの一幕でしてみせたのだという。
──否。彼の宝具ならば、そんな事は造作もないというべきか。
『……そもそも、セイバーさん。激情に任せて剣を抜くなんて後先考えなさすぎだぜ。僕が止めなかったら城ごと倒壊するのは確実だろ? ダメだよ。もっと考えてから行動しなきゃあ』
まったく──と呟きながら、球磨川禊は爽やかな笑みを浮かべる。
『……どうして僕はこうも運がないんだろうね。キャスターには逃げられるし、戦いたくもないセイバーさんとは二度も戦わせられている。他の四騎とは、そもそも戦うことさえ出来ていない。本当に、まったく』
また勝てなかった。
その言葉を最後に、霊体と化して去って行った。
次回「工房の騎兵」
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