A県B市C町に、チューリップ商店街という商店街がある。
この商店街は、日本で一番有名な商店街である。
そこまでいけた理由は、雑貨屋、本屋、魚屋、八百屋、ゲームセンター等々、実に様々な店が並んでおり、また、それらの店は全て最高級のサービスを提供していることや、テレビ等で取り上げられる機会が多くなるうちにA県からも経済的な支援がなされ、その結果環境もよく整えられたからだ。
そんなチューリップ商店街は、毎日色んな人が行き交っている。けれども、このチューリップ商店街にはひとつの謎があるのだ。
その謎とは、雑貨屋と本屋の隣にとっっっても大きなスペースが空いていること。
因みに、他は何処もそんなに間隔は空いていない。
この謎については色んな人が色んな意見を出している。
昔何かの店があってつぶれたんじゃないかとか、設計のミスじゃないかとか、なにか意味があって意図的に空間をつくっているとか。。
だが、この謎の答えを知れる者は、大きな悩みを抱えている人、ただその人のみ。
何故かというと、その空間にはカフェがあって、でもそのカフェは大きな悩みを抱えている人にしか見えないのだ。だって、そのカフェは、美味しいものを提供しつつ、お客さんの悩みを聞いてなんとか一緒に解決するというのが目的のカフェだからだ。
悩みの大小というのは、『大切な人が亡くなったことと便秘なこと、前者の方が辛いから前者は大きな悩み、後者は小さな悩みだね。』と、そう決めるのではない。その悩みがその人をどれだけ苦しめているかで決まる。つまり、変な話ではあるが、大切な人が亡くなってもその人にとってそこまでの苦しみではないのならこのカフェは見えないし、便秘が死んでしまいたいほど辛いのなら、このカフェは見える、といったわけだ。
そして、大きな悩みを抱えていてこのカフェを見つけると、見つけた人は全員、不思議とカフェの扉を開けてしまう。
カフェ側から悩みを解決してあげたいという気持ちを強く発し、見つけた人も悩みを解決したいという気持ちを強く発する。これがその原因だ。
それで、このカフェは、一度入ると、病みつきになってしまう。
美味しいものを食べたり飲んだりしながら納得いくまで悩みを打ち明けると、そのカフェをたった一人で営業するマスターの井上徹(意外と普通の名前だった!!)は真剣な眼差しで話を聞いてくれ、全部聞き終わると、二人で解決方法を模索していく。で、必ず悩みは解決するようで、そうしたらマスターは必ず「あなたと話すのは一旦これで終わり。満足してもらえたかな?あなたの悩みは一旦解消されたので、もうこのカフェは見えなくなるだろう。だけどもし、また大きな悩みを抱えてしまったら、きっと此処が見えるだろうから、是非入っておいで。その代わり、このカフェのことは誰にも話さないと約束してくれ。そうしないと、あなたにはこのカフェは二度と見えなくなるから。最後に、代金は要らないよ。」といって、カフェ共々消えて、相談者は雑貨屋と本屋の間の空いた空間、てまりもといた場所に戻ってくる。
因みに、可笑しなカフェではあるが、外装内装だけ見ると何の変哲もないカフェである。
読んでくれてありがとうございます!