人間のクズ?……あ、それ私の好きな人です。〜ロリエが、クズい『三木 プルオ』を好きな50の理由〜   作:ウソツキ・ジャンマルコ

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三木 プルオ

 

 

このカラオケ『オハコ』は、夕方までは、お客さんけっこう少ないんです。

駅から離れている事と、利用料もチェーン店のようには安くないからだと思います。

でも、馴染みのお客さんは、すごく多いんです。

カラオケって、こんなに普通のお店みたいに、お客さんと触れ合うと思ってなかったから、

少しカルチャーショックでした。

でも、それは、この『オハコ』だからかも。

 

とにかく、お客さんが少なくても、お仕事はあるんです。

明るい時間は、基本的にお掃除とお料理の仕込みがメインのお仕事になってます。

 

でも私は、掃除を120%のスピードでやって、早く終わらせちゃいます。

だって、そうすると、キッチンでお料理の仕込みをしている、プルオ店長のお手伝いができるから。

そして、仕込みをしながら、二人っきりでおしゃべりをする。

それが、今、私の至福の時間なんですよ。

 

午後3時過ぎ。

お客さんは、ヒバリさんと、顔なじみの高校生グループが3組。

予定通り、急いで掃除をすませ、カウンターでの仕事も終えた私は、裏のキッチンに入って、プルオ店長をお手伝いします。

 

私が、キッチンに入ると、プルオ店長は、まだ眠そうな目で、ピザ生地をこねてます。

 

だけど、プル店長は、さっきまでのうす汚れた野良犬みたいな、プルオ店長じゃありません。

まるで、別人みたいにキリッとするんです。

そのギャップにも……ロリエ……ドッキュン……♪

 

整えた髭を少しだけ、あごと鼻の下に生やして、コンタクトに伊達メガネ《ドライアイなんです》

細く切れ長な目が、優しそうに垂れています。《眠たいだけ?》

 

プルオ店長は30代って聞いてたけど、正直年齢不詳な雰囲気です。

大人のようで、どこか子供っぽい。

 

そんな、ちょっとミステリアスな感じも、私の乙女心をくすぐられちゃってます。

まぁ、子どもの頃から、男の趣味が変だと言われ続けている私が言っても、説得力はゼロらしいけど……。

 

「プルオ店長、何かお手伝いする事ありますか?」

 

「ああ、ありがと。じゃあ河合は、今、火にかかってるピザソースが焦げないように混ぜててもらえるかな?」

 

「はい」

 

この『オハコ』は、ピザのソースや生地なんかも全部手作りしてます。

他の料理も、冷凍食品はなるべく使わずに、手作りをしてるから、味も見た目も良くて、お客さんに大人気なんです。

私は、オハコ特製のピザソースを混ぜながら、

 

「プルオ店長、昨日は誰と飲んでたんですか?」

 

「うん?昨日?……えっと……誰だったかな……?」

 

「えぇ?覚えてないんですか?」

 

「飲み始めた時は、スタッフ四人だったけど、後半は近所の店の人もいたからなぁ……誰がいたっけな?」

 

「どっかの飲み屋さんに行ったんですか?」

 

「いや、ここで飲んでたよ」

 

「ああ、いいなぁ……それなら電話してくれたら、私も来たのに……」

 

「最初は桐原が河合も呼ぶって言ってたけど……」

 

桐原 薫子(きりはら かおるこ)さんは、私と同じ大学の3年生で、サークルの先輩なんです。

そして、このアルバイトを紹介してくれた人でもあるんですよ。

 

「え?…でも薫子さんから、連絡ありませんでしたよ?」

 

「そりゃそうだよ。だって、俺が呼ぶなって言ったからね」

 

「なんでですか?」

 

「俺は、今日の昼のシフトが俺と河合だって知ってたから。

 もし、河合まで飲み過ぎて遅刻じゃ、お店開けられないから、ダメだって言って止めておいた」

 

「え〜、じゃあ最初から、プルオ店長は遅刻する気だったんですか?」

 

「うん」

 

「……プルオ店長……そんなハッキリと……躊躇がないですね……」

 

「聞かれたからさ」

 

「もう……普通は店長って役職の人は、遅刻なんかしたらダメなんじゃないですか?」

 

「そうだよ」

 

「わかってるんだ」

 

「そんなの、当たり前だよ」

 

「えぇ……それ、プルオ店長が言いますか……」

 

「言うさ。

 だって今後、河合が大学を卒業して、どこかの会社に就職した時に、社会人は俺みたいに、いつも遅刻しててもいいんだって、

 勘違いされちゃ、困るから。

 それに河合は、真面目でよく働いてくれるから、きっと出世すると思うしね」

 

「え〜、エヘヘへ……そんなことないですよ〜」

 

「いや、きっとそうだよ。

 河合は、アルバイトだからって、手を抜かずに、自分から積極的に仕事を覚えようとしてるだろ?」

 

「はい。何も知らないので、早く仕事覚えたいし……でも、それって普通のことじゃ……?」

 

「そんな事ないよ。

 俺が、アルバイトだったら、時給がおんなじなんだから、頑張らないで、なるべく仕事の時間を延ばしたりとか、

 責任がないんだから、てきとーにしよーって思うもん。ぜったい。」

 

ホント………プルオ店長……クズいなぁ……。

 

「だけど、河合はそんな事、しないだろ?」

 

「それは、まぁ……」

 

「だったら、河合は、きっと会社に入っても、自分から積極的に仕事に取り組むと思うんだ。

 河合みたいに真面目で、しっかり者で、積極的で、そのうえ可愛い子が会社にいたら、

 同僚達も負けてられないって思って、頑張るだろうから、相乗効果が生まれる。

 そうなれば、会社の業績も上がるだろうから、その会社の幹部も、

 河合を絶対に手放したくないって思って、出世させるはずだよ」

 

河合を手放したくない!?……やだ、録音したい!

 

「ほんとですか!?

 プルオ店長、そんなに私の事を、評価しててくれたんですか?」

 

「うん」

 

「ありがとうございます!私、まだ一ヶ月の新人ですけど、もっと仕事を覚えて、頑張りますね!」

 

「うん、応援してるよ」

 

「はい、プルオ店長♪」

 

「じゃあ、せっかく河合がやる気になってくれてるなら、シフト……もっと入れてもいい?」

 

「はい!」

 

「じゃあ、新しいシフト、帰りに渡すわ」

 

「イエス・マイ・ロード!」

 

これで私のシフトは、週3から週4に変わりました。

その結果、プルオ店長の自由時間が増えたらしいです。

なんか、ズルイな……プルオ店長。

そういえば、プルオ店長は、口がうまいから気をつけろって、薫子さん言ってたな。

もっと、違う形で私を騙して欲しいのに……。

 

でも………プルオ店長が褒めてくれたから、まぁいっか。

 

ズルくて、クズい、プルオ店長に私はなぜか、ほの字組です。

 

 




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