バンドリ!〜輝く星と白い球〜   作:VOSE

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どうも、VVVFです。
見てくれている人、ここ最近少なくなってきているような気がして…
とりあえず、今回からしばらく、最新話は一番下に置いておこうかと思います。
これで見てくれる人上がってくれ…評価上がってくれ…
という下心満載ですw
では、今回は短いですが、本編どうぞ!



野球編第3話〜…似てる?〜

…この日、俺は投球練習で辻上先輩の球を受けていた。

前にも言ったと思うが、辻上先輩は140キロの直球と100キロにも満たないスローカーブが特徴の選手だ。他にもツーシームとスライダーの横と縦を操る人だが…

 

康介「…流星!次カーブな!」

流星「わかりました!」

 

そんな辻上先輩が投じたスローカーブは、軌道がスラーブとほぼ変わらないような感じで、100キロ満たないという、かなりの『変則球』だ。

俺は小学校の時に、『魔球』使いの良太の球を受けていたため、辻上先輩のスローカーブも難なく受けていたが…

 

流星(…なんか…似ている?)

 

俺は何となく、辻上先輩のスローカーブと良太のスローカーブの球質が同じ感じがしてならなかった。

ただ、辻上先輩と良太のスローカーブの軌道は全く違うため、実際どうなのかはわからないでいた。

 

康介「…」

 

辻上先輩はそんな俺の様子を見て、少し目を光らせたのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の練習の合間のこと…

 

流星「お?おにぎりか」

真波「うん!よかったら食べて!」

 

真波ちゃんが補食のおにぎりを作ってきてくれたということで、俺ら1年生で早速食べようとしたが…

 

雄介「お、俺は遠慮しとくよ…」

亮一「お、俺もいいわ!別にそんなに疲れてるわけでもねぇし?」

良一「僕も…ごめんね」

 

…と、みんながかなり否定的だった。若干1名除いて…

 

尚之「なんだよ、お前ら。だらしないにも程があるぜ?」

 

尚之はそう言って、おにぎりを1つ取って食べた。

 

流星「…んじゃ、俺も」

 

と、俺も続けておにぎりを手にして、一口食べた。

その時、俺の口の中が見事に爆発した。

 

流星「っ!?しょっぺえ!水!水!」

蓮二「お前は初めてだからか…ほれ」

 

遅れてきた蓮二に助けられた俺は、ふと、尚之の思わぬ欠点を見逃していることに気がつき、忘れてた自分を心底恨んだ。

 

尚之「そうかぁ?これうめぇぞ?」

 

尚之はそういいながら、多分塩マシマシ状態からの追い塩をかけたようなおにぎりを、なんともない顔でひょいひょいと口の中に放り込んでいった。

 

一彦「全く…そんな飯食えるの珍しすぎだろ…あいつの舌、どうなってんだ?」

流星「あぁ…あいつ、かなりのバカ舌なんだよ…」

蓮二「そういや幼馴染なんだよな?あいつどんだけバカ舌なんだ?」

流星「俺もそこそこのバカ舌だって言われてるからなんとも言えねぇけど…小学校の頃、イタズラであいつに泥団子を食べさせたら、あいつ美味しいと言ってそのまま食っちまったんだよ」

一彦・亮一・良一・蓮二「!?」

 

俺の思わぬ爆弾発言に、味覚は普通の4人が凍りついた。

 

亮一「あいつ…舌がどうこう言う前に…口の検査やった方がいいんじゃねぇか?」

蓮二「バカ舌なのはなんとなくわかっていたが、まさかそこまでだとは…言葉に出来ない…」

流星「だから、あいつの『美味い』はアテにならねぇ…」

良一「それで…泥団子を食べた尚之はどうなったの?」

流星「食った後腹痛くなってトイレに行ったらしい。その後、俺とイタズラに参加したやつはこっぴどく叱られたよ。それで5試合出場停止とかになったっけな」

一彦「言語道断だな…」

流星「今では反省してるよ…」

 

ちなみに、この会話はバカ舌王…もとい、尚之と塩味の塩にぎりを作った真波ちゃんには聞かれていない。

そういえば、ついこの間…

 

真波「尚之くん!これ作ってきたんだ!よかったら食べて!」

尚之「お、サンキューな」

 

と、昼休みの時間に尚之の元に、2人分の弁当を作ってきた真波ちゃんが来て2人で一緒に食べてたことあったっけ…

その時、俺は香澄達からの依頼で、コードの手直しをしていて、終わった時にふと真波ちゃんの弁当を見てみたが…

まぁ、某侍が出てくる時代劇ギャグ漫画に登場する、かの有名な『ダークマター』程ではないけれど、見るからに不味そうな料理が並んでいた。

それを尚之が美味しそうにパクパクと食っていた。

多分、初めて美味しいと言ってくれた人だから、作って来てくれてると思うけど…真波ちゃん、そいつは世界に類を見ない超絶バカ舌だから…

俺はそう思いながら昼休み過ごしていたりした。

と、まぁちょっとした回顧をしていると…

 

康介「…おーい、流星いるか?」

 

辻上先輩がひょっこりと現れた。

 

尚之「ん、いますよ?流星!」

流星「え?」

尚之「康介先輩」

 

俺は尚之に言われて、辻上先輩がいることに気がついた。

 

康介「よぉ!ちょっといいか?」

流星「え、あ、はい」

 

俺はわけもわからず、辻上先輩の後についていった。

辻上先輩が来たのは、ブルペンだ。

 

康介「…さてと、ここでちょっと話しようかな」

流星「どうしたんですか?急に呼び出して…」

康介「まぁ、ちょっと流星の反応が気になってね…」

流星「俺の反応ですか?」

康介「あぁ…練習でスローカーブ投げた時な」

 

俺はその一言で、あ、と思わず口を開けた。

 

康介「あの時…何思ってたんだ?」

流星「あ、いえ…受けた球が俺の幼馴染に似てるって思っただけです」

康介「流星の幼馴染?尚之か?」

流星「いえ、別のやつです」

康介「名前は?」

流星「言ってわかりますかね…天野良太です」

康介「え?知ってるよ?」

流星「え!?」

 

辻上先輩からの衝撃発言に、俺は一瞬フリーズした。

 

康介「てか、中学同じだったし」

流星「え!?え!?辻上先輩、どこ出身ですか!?」

康介「名古屋だ。と言っても、そこまで名古屋弁は出ないけど」

流星「あー…だから、良太と…」

 

良太は親の転勤で名古屋に行ってしまっていたので、なんとなく合点が行く。

 

康介「そうそう。んで、俺の今のスローカーブは、良太くんのスローカーブを真似して投げているんだ」

流星「そうなんですか。だからなんか似てるなーって思ったんですよ」

康介「まぁ…でも、あいつの球はまさしく『魔球』だったよ。俺が真似して投げようと思っても、あいつのような球は投げられないし」

流星「俺も最初良太の球を受けた時は、全く取れませんでしたよ」

 

と、ここまで良太のスローカーブを持ち上げているが、実際どんな球かわからないだろう…

辻上先輩のスローカーブは、さっき言ったようにスラーブ気味で、それだけでも落差があって、三振を狙えるような球である。

良太のスローカーブの場合、あいつがリリースすると、一度どっちに投げてるの?という程大きく外れる。一瞬打者の頭の上を通り過ぎるんじゃ…と思った時に、それがまるでぐいっと地面に引っ張られるように、急に曲がっていき、最後は低めのコーナーにピッタリ来る…そんな落差があまりにも大きいスローカーブを、良太は毎試合投げている。

おかげでバッターはタイミングを完全に外されて、空振りしてしまう…というわけだ。

 

康介「あの球はあいつだから投げられるような球だからな…そんときの俺は、新参者の良太くんに先輩風吹かせて、ここの先輩は俺だから命令に従えっていうような感じでさ…」

流星「今の先輩からは考えられないですね…」

康介「まぁな。でも、あいつがあのスローカーブを披露した途端、一気に情勢は変わったよ、先発は毎回良太くん、その時からスタミナのなかった俺は抑えに回されて、悔しかったよ」

流星「それは…」

康介「でも、それで高飛車だった俺の気持ちも変わってね…あいつにスローカーブを教えてほしいと言ったんだ。土下座してね。そしたら快く教えてくれた…まぁ、それでも難しくてわからないけど」

流星「そんなことがあったんですか…」

康介「俺は、良太と出会って良かったって思ってる。ここに来たのは、自分の実力がどこまで発揮出来るかっていうのを調べたいからなんだが…結局、どこの高校にも行けなくて」

 

辻上先輩は頭をかきながら、笑顔で話をした。

俺はその後、つい疑問に思ったことを話した。

 

流星「そう言えば…辻上先輩って、なんであんなにスタミナないんですか?」

康介「あー…それ聞く?」

流星「そりゃ聞きますよ。聞いてわかったうえで、今後の組み立て方にも対応できますし」

康介「そうだな…まぁ、言ってもいいかな?」

 

辻上先輩はそう言って、おもむろにブルペンのベンチに座った。

 

康介「…実はな…俺は小さいころ、呼吸器官で病気を患っていてね…今でも後遺症が残っているほどなんだ」

流星「え!?後遺症!?」

康介「といっても、人より早く息が上がるって感じだ。おかげでずっと長距離走なんてできなくてね…」

流星「でも、なんで先輩は野球をやろうって思ったんですか?」

康介「小学校の時、病院で入院していた時、たまたまプロ野球の試合をやっていてね…その時に、かっこいいなんて思って、退院してすぐに親にやりたいといったんだよ」

流星「それで…親は?」

康介「反対していたよ。あんな埃だらけのところでやらせるわけにはいかないって。でも、俺は諦めきれずに、親に内緒で近くのビルの壁で投げていたんだ」

流星「そうなんですか」

康介「んで、転機が訪れたのが、それから1か月たったころかな?俺が壁当てしていたのをたまたま見ていたリトルリーグの監督が、ぜひチームに来てほしいって。俺は親が反対しているというと、その監督は技あざ俺の家に来て、親の前で土下座したんだ。その熱意と、面倒見させてくれるということで、俺は野球をやることができたんだ」

流星「そうなんですか…」

康介「まぁ、話の本筋から離れちまったけど、俺はまだ病気の残り香が残っているっつうことだ。これでどうだ?」

流星「ありがとうございます」

康介「んじゃ、戻るとすっか」

 

俺と辻上先輩はブルペンから出て、みんなのもとへ戻ったのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
結構見にくいかな…
とりあえずこれで勘弁してください…w
さてさて…実は実は、今とある作者様に(ハーメルン内の作家さん)合作をお願いしたところ、合作は無理だけど、自分の小説の設定を使って書いて大丈夫という、心温かいメッセージをもらったので、現在誠心誠意製作中でございます。
また懲りずにやってるよと思った方いるかと思いますけど…これが俺です!(威張るところではない)
まだ相手方の小説が進んでいないことから、発表はまだまだ先になるかと思いますが、ぜひともよろしくお願いします。
なお、今回承諾してくださった作者の方には、改めてこの場でお礼を申し上げます。
本当にありがとうございます!
では、長くなりましたので、次回、お会いしましょう!

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