バンドリ!〜輝く星と白い球〜   作:VOSE

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どうも、VVVFです。
前書きは前編の方に書かせてもらっています。
では、本編どうぞ!


特別編〜激突!江戸川橋高校vs羽丘学園・後編〜

…嘘だろ?

俺は思わず声を上げたくなった。

低めのフォーク…

意外とギリギリを攻めたところなのに…健太さんは…

レフトのポールの内側ギリギリに入れるなんて…

羽丘学園のベンチは、かなり盛り上がっていた。

これで2-1…こいつはマジでやばいな…

雄介はそこまでメンタル弱いわけでもないが、強いわけでもない。

初めての先発で、春のセンバツ優勝校にここまで善戦して来ているわけだ。

この回で、中継ぎとして一彦にスイッチしても大丈夫だろう…

俺は雄介の元へ走っていった。

 

流星「雄介、大丈夫か?」

雄介「あぁ…すまねぇ…また打たれちまった」

流星「気にすることねえよ。あれは相手の方が1枚上手だった」

雄介「そうか…まぁ、とりあえずこの回は投げたいと思ってるんだが…」

流星「奇遇だ。俺もそれを考えてたとこだ。次からはカズに任せても大丈夫だな」

 

そんな会話をした後、俺はキャッチャーのポジションに入った。

一方の健太さんの方は…

 

健太「ふひぃ…今の打てて良かったわー」

 

と、ひと段落していた。

 

俊哉「今のよく打てたな…あいつ、重い球だったはずだぜ?」

 

正妻も先ほどの本塁打に驚きを隠せなかったらしい…

 

健太「まぁな。でもフォークだったし、多少低めは張ってたから、打てて良かったぜ」

 

その後、雄介は2アウト満塁にさせてしまうも、最後の打者を空振り三振に抑え、この回は2-1に留まることになった。

 

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あこ「やったー!けんた君打った!」

 

グラウンドの外で健太さんを応援しているあこちゃん達は大喜びをしており、香澄たちはちょっとがっかりとしていた。

 

沙綾「あちゃー…打たれちゃったねー」

有咲「ここで交代かもな…」

香澄「え!?流星君交代するの!?」

有咲「ちげーよ!ピッチャーが交代するって話だよ!」

 

…香澄のいつものボケで、また普段通りの香澄たちにはなったが…

 

りみ「大丈夫かな…」

たえ「点入れてくれることを信じよう」

 

と、手を合わせて、逆転してくれることを祈ったのだった…

 

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流星「お疲れ、雄介」

雄介「あぁ…何とか乗り切った…」

 

雄介は若干疲れてはいたが、それでもすがすがしい顔をしていた。

 

上島「坂口、お疲れ。今日はここで終わりだ。今日の反省点を次に生かすように」

雄介「はい!」

上島「次は山内で行く。山内は準備しておけ」

一彦「はい!」

 

ただ、続く6番、7番、8番は全員凡退に倒れてしまった。

健太さんがまたギアをあげていったからだ。

 

健太「ふぅ…」

俊哉「お疲れ、健太」

健太「あぁ。んで、相手の次のピッチャー変えるのか?」

俊哉「多分な。次は山内一彦ってやつが出るっぽいな」

大河「山内一彦?」

 

守備から帰ってきた大河さんが、二人の会話に入ってきた。

 

健太「知ってんのか?」

大河「噂では一応聞いたことあるんだ。確か、キレのあるスプリットで、完全試合一歩手前で打たれて負けたって」

健太「まるで西武の西口さんじゃねえか…」

大河「でも、そのくらいすごいピッチャーだってことは聞いてるぜ?」

俊哉「でも、なんでそいつがあんな高校に入ってるんだ?」

健太「さぁ?」

 

3人がそう言っている間に、一彦が6回のマウンドに入った。

一彦はスプリットとシンカーとカットボールを投げ、マウンドで息を吐いた。

 

流星(コンディションはよさそうだな…6回は4番からだ。強打者に強いのがあいつの武器だから…行けるだろ)

 

俺はそう思って、最初に投げるボールをサインで指示した。

一彦は初球、スプリットを投げ、それが低めに入りストライク。

2球目はカットボールを投げてボール。

3球目のストレートで詰まらせて、セカンドゴロになった。

 

流星「ナイスピー!」

 

その後、一彦は残りの2人をしっかりと凡退にさせていった。

一方の江戸川橋高校も、先ほどの本塁打が効いたのか、攻撃がかなり盛り上がってきた。

それが7回表…

 

流星(…最初のバッターをツーベースで打たれて、続くフォアボールでノーアウト満塁…辛いなぁ…)

 

先頭の7番打者がカットボールを叩いてツーベースにすると、その後の一彦が乱れて連続フォアボールでノーアウト満塁のピンチ。

ここで入るは1番の坂本さん。

 

流星(一番回したくないところで来ちまったか…どうしたものか)

 

坂本さんは1打席目で見事にヒット打ったからな…

と、考えていると、一彦が俺を呼んでいるのが見えた。

 

流星「す、すみません!タイムお願いします!」

審判「タイム!」

 

俺は走って一彦の元へ来た。

 

流星「どうした?」

一彦「どうしたもねぇ…今、何考えてた?」

流星「いや?次はどう抑えようかと考えてただけなんだが?」

一彦「なるほどな…俺の考え、いいか?」

流星「いいぜ?」

一彦「ここは…何も考えないでリードしてほしい。その方が投げられるような気がする」

 

俺はそのことを聞いて、逆に心が落ち着けた気がした。

思わず笑ってしまった。

 

一彦「…変なこと言ったか?」

流星「いや…それでいこう。俺が責任とる。だから、ちゃんと腕を振って投げてこい」

一彦「…責任は取らなくてもいい。俺も連帯だ」

流星「だな」

 

俺と一彦は笑い、俺はキャッチャーのポジションに入った。

 

大河(…笑ってる?)

沙綾(なんかいいアイデア思い浮かんだのかな…)

 

打席に立っている大河さん、外で見守っている沙綾が俺と一彦が笑っていることに気づいた。

 

流星(んじゃ…行くとすっか)

 

俺はミットをインコースに構えた。

一彦はそのインコースにカットボールを入れた。

大河さんはその球を見逃し、ストライクになった。

続く2球目は低めのシンカー。

これも見逃してストライク。

 

流星(これで後はバットを振るだけしかなくなる状況になった…一応、今までのは手を出してこなかったから、多分ストレートかスプリットに対応している…どちらも速いから、多分どちらにしても対応は可能だ…ということは…)

 

と、俺が構えた場所は…低めのアウトコース。

一彦はそれを見て…ボールを投げた。

 

大河(来た!)

 

と、大河さんはバットを振った。

 

大河(!?シンカー!?ヤバイ!)

 

大河さんはそのままバットを回し、ボールはバット先に当たった。

これがピッチャー前に転がっていった。

 

流星「ピッチャー!ホーム!」

 

俺がそう言うと、一彦はボールを取ってすぐに俺に投げた。

俺はそれを取った後、すぐにホームに滑り込むランナーにタッチした。

 

審判「アウト!」

 

審判の声が聞こえたので、俺はすぐに1塁に投げようと構えた。

が、やはり坂本さん。悠々に1塁に到達していた。

 

流星(とはいえ…これで1アウト…これでなんとかいけるな)

 

その後、一彦は2番をダブルプレーで打ち取り、3アウトチェンジにしたのだった…

 

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香澄「ふぅ〜…緊張した〜」

有咲「ライブほどじゃねぇけど、ほんとドキドキするな」

りみ「危なかったね…」

たえ「今のピッチャー、反応良かったね」

 

俺たちを応援している香澄達は、先ほどのピンチを凌いだことでかなり安堵していた。

一方のあこ達は…

 

リサ「大河、何してるの!?」

巴「あれは仕方ないな…」

あこ「もう一点入ると思ってたのになぁ」

 

と、少々落ち込んでいた。

 

巴「でも、健太のホームランで勝ち越しているんだ。このままいけば勝つんだから」

あこ「そうだよ!だから、あこは頑張ってけんた君を応援する!頑張れー!けんたくーん!」

 

と、あこが大声で健太さんに向けて応援すると…

 

香澄「あ!ずるい!私たちも応援しよ!頑張れー!流星くーん!」

有咲「ばっ!香澄!恥ずかしいからやめろ!」

たえ「頑張れー」

りみ「頑張ってー!」

有咲「ちょ、おたえにりみりんも!?沙綾もなんとか…」

沙綾「フレー!フレー!流星!」

有咲「…はぁ…頑張れー!流星!」

 

と、香澄達も応援し始めた。

その応援に、俺と健太さんは思わず苦笑いしていたのであった…

 

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…8回裏…

この回は8番の島川先輩からの攻撃…

島川先輩は1ボール2ストライクからの5球目のスプリットを打ってノーアウト2塁。

続く9番の雄介はストレートを弾くも、ピッチャー強襲の後のショートゴロという結果に。

そして、1番の俺に回って来た…

 

流星(…ここまで完投ペースの健太さん…一向に疲れを見せてないが…若干球威が落ちている…今なら!)

 

俺は打席に入ると…バントの構えを見せた。

島川先輩もそれを見て、思わずニヤリとしていた。

一方の健太さんは、やはり威圧感を与えながら俊哉さんのミットを見ていた。

 

流星(やっぱ怖えよなぁ…4打席目だけど、なかなか慣れねぇ)

 

そして、健太さんが投げた1球目…チェンジアップ…

俺はそれを…叩いた。

カキーン!

そんな快音が聞こえ、俺は走った。

ボールは右中間を深々と破っていった。

島川先輩は全力疾走で無事ホーム生還。

俺は2塁まで走り、ツーベースヒットにさせた。

江戸川橋ナインのベンチからはガッツポーズが見え、一方の羽丘ナインはちょっとがっかりしていた。

 

香澄「来たー!流星くん、ヒットだよ!」

有咲「ちょっ、騒ぐな!香澄!」

あこ「あー!打たれちゃった…」

リサ「もうそろそろ体力がないのかな?」

 

と、スタンドにいる香澄やあこ達も片方が喜び、片方が落ち込んでいた。

そして…

 

城ヶ原「ピッチャー交代!」

 

相手の城ヶ原監督が出てきて、ピッチャーの交代をしたのだ。

 

あこ「けんた君…」

リサ「でも、何も悔しそうにしていなさそう」

 

と、リサさんが言うように、降板させられた健太さんはどこか投げ切ったような表情を見せていた。

 

巴「健太、ちゃんと投げてきたんだから、あとは点が入るのを待とう」

あこ「そうだね…」

 

その後、クリーンナップが三者凡退という結果になり、試合は最後の9回に入ったのであった…

 

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…9回表…

この回、マウンドに上がったのは、辻上先輩。

ブルペンで温めていたので、すぐに投げられるような感じになっている。

さっきの一彦もそうだけどね…

そして、右打席に6番バッターが入った。

 

流星(1球目…お願いします!)

 

俺はアウトコースに球を構えた。

辻上先輩はそこに縦のスライダーを投げ、見逃してボール。

 

流星(流石に振りませんか…なら…インコース)

 

俺がインコースに構えると、辻上先輩はそこにツーシームを投げてきた。

ストライクゾーンから離れるような球で、それにバッターは振って三振。

1ボール1ストライク。

 

流星(…次は高めで)

 

俺が高めの球を要求すると、辻上先輩はストレートをインハイに入れてきた。

これもストライク。1ボール2ストライクだ。

 

流星(よし…これで、スローカーブ!)

 

俺はアウトローにミットを構え、辻上先輩がスローカーブを投げた。

バッターはそれにタイミング合わず、空振り三振にした。

 

流星「1アウト!」

 

俺はそう言って、この回抑えられることを確信した。

まぁ、案の定、スローカーブが冴え渡ってこの回無失点でサヨナラの望みを託すことに成功したけど…

最後も最後であっけなかった。

三者凡退…それで試合終了。

結局、2-2の引き分けでこの試合は終わった。

スタンドにいた観客も、いつのまにかポピパとあこちゃん、リサさん、巴さんしかおらず、彩さん達はそれぞれの事情で帰ってしまったとか…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「今日はありがとうございました!」

 

俺は健太さんの元へ行き、お礼を言った。

 

健太「いや、こちらこそ。今日はいい試合だったよ」

 

健太さんは笑顔で対応してくれた。

そして…

 

健太「今度会うのは夏の甲子園の都大会決勝。その時に決着をつけよう」

流星「もちろんです!今度は負けませんから!」

 

俺と健太さんで、甲子園の予選での再会を約束したのであった。




いかがでしたでしょう?
実は…本来僕の構想では、僕が前編、テラケンさんが後編の合作にしようという提案をしましたが、テラケンさんの都合により、今回は僕1人の作品になってしまいました。
本当に感謝しかないです…(T ^ T)
僕のただの好奇心でやらせてもらったような感じですが、それを見事受け止めてくださったテラケンさんには本当に、本当に感謝しかありません(←何回言うねん)
では、テラケンさんの小説も是非、読んでいってください!
以下にURL貼っておきますので、そちらからテラケンさんの小説も見て楽しんでいってください!
では、次回お会いしましょう!
協力してくださったテラケンさんのURL↓
https://syosetu.org/?mode=user&uid=135827
『白球に込める思い』のURL↓
現在リメイク中とのこと。

『デートチケット』編、見たい?

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