愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

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サブタイはこんなですが本筋は別なところにあるという

メインは黒歌さんかな?

それでは本編どうぞ


咲良さんのパーフェクトお料理教室(クッキー編)

「・・・・・どうしてこうなった」

 

こんにちは、湊内咲良です。これから調理実習でクッキーを作るのだが・・・・・俺は思わず頭を抱えたくなる状況に陥っています。その状況というのは・・・・

 

「「「「よろしくお願いします湊内先生!!」」」」

 

「・・・・・はい、こちらこそよろしくー」

 

なぜか教壇に立たされ・・・・・皆にクッキーの作り方を教えさせられているのだ。

 

きっかけは朝のHR。家庭科の先生が現れて『私より湊内くんに教わった方がいいと思わない?』とトチ狂ったことを宣って・・・・それを大多数の生徒が賛同。そして今日の調理実習は俺の指導のもと行われることになったのだ。

 

流石に勘弁して欲しかったのでHR後に学園長に事の顛末を説明したのだが、学園長は『まあいいんじゃないかな』とまさかの発言。むしろ『面白そうだからやっちゃいなよ』と言って勧めてきたのだ。この学園どうかしてやがる。なお、教室に帰るときに偶然出会った生徒会長に事情を説明したら・・・・ものすっごい同情された。ようやく俺の苦心を理解できる人に出会えて嬉しかっと同時にものすっごい泣きたくなった。

 

「湊内くん、早く皆に指導してあげて」

 

家庭科の先生が俺に指示する・・・・・というか、なんであんた生徒に混じってんの?なんで教わる側の立ち位置にいるの?俺とあんたの立ち位置逆だよね?

 

くそっ・・・・・まあ、仕方がない。こうなった以上は与えられた役割を全うしよう。やりきれば今学期の家庭科の単位は保証されるらしいし。てか、単位を餌に授業を生徒にやらせるって教育委員会に報告したら相当やばいんじゃ・・・・・いや、悪魔がいる時点でそんな常識通じんだろうけども。

 

ともかく、作り方教えないと・・・・もっとも、クッキー程度なら大して教えることもないけど。

 

「基本的な材料、作り方は黒板に書いてある通りだ。料理っていうのは基本的にはレシピ通りに作れば問題なくできる。どうしてもアレンジしたいって言う人がいれば俺に声を掛けてくれ。可能な限りは教える。わかったか?」

 

「「「「はい湊内先生!」」」」

 

・・・・・皆、順応しすぎじゃね?

 

「それじゃあ作業開始」

 

俺の一声のもと、皆作業に取り掛かった・・・・・よし、俺もやるか。

 

俺も材料を出してクッキーを作り始める。教える側の立場なのになんで俺も作るかって?んなもんオーフィスや黒歌にあげるために決まってるだろ。学校で二人へのお土産のお菓子を作れる機会を俺が無下にするはずもない。クッキー程度なら教えながらの片手間でも十分に作れるから問題はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・と、思っていた自分が憎い」

 

調理実習を終え、教室に帰ってきた俺は机に突っ伏しながら言う。

 

「皆・・・・皆やる気に満ち溢れすぎでしょ。なんで過半数以上の生徒がアレンジ加えようとするの?数人ぐらいはいいけどなんで女子の過半数?プレーンなクッキーでは納得できませんか?」

 

「さ、咲良さん・・・・大丈夫ですか?」

 

「アーシア・・・・・大丈夫に見える?」

 

心配そうに声をかけてきたアーシアに、俺はそう返した。

 

「いえ、その・・・・・あんまり・・・・」

 

だろうね。実際ものすっごい疲れたもん。もう今日は何もしたくないもん。

 

本当に早く帰りたい。早く帰ってオーフィスに会いたい。オーフィスに会って癒されたい。

 

「まあ、確かに随分と大変そうだったからな。疲労困憊するのも無理もない」

 

「そうだな。特に銀髪の誰かさんにはものすっごい気を遣ったからね?」

 

そう、一番面倒を見たのはヴァーリだ。ヴァーリの奴、バターを溶かすのにレンジを使おうとするし、卵は力任せに叩き割ろうとするし、生地を焼くときはフライパンの上にクッキー乗せてコンロの火にかけようとするし・・・・訂正することが多すぎるんだよちくしょう。

 

「あはははは・・・・ヴァーリ、料理だめだめだから」

 

「これでも頑張ってはいるのだがな」

 

「頑張るのはいいことだ。だけど!お願いだから!最低限の知識は持っておいて!」

 

教える身としては溜まったものじゃないからなマジで。

 

「ホントにもう・・・・忙しくてクッキーこれだけしかできなかったし」

 

俺は机に置いておいてあるクッキーの包みを見やる。本当はこの倍はつくろうと思っていたのだが、皆して質問しまくってくるもんだからあまり自分の作業に時間を避けなかったのだ。

 

「むしろあの忙しさせ自分の分作れただけでも私としては驚きだけどね」

 

それは俺も同じだよ。というか、桐生よ。他人事みたいに言ってるけどお前もアレンジ加えるとか言って色々と聞いてきて忙しさに一役買ってるんだからな?ついでに言っちゃうとイッセーとアーシアも。

 

「まあそれはそれとして咲良、これもらってもいい?」

 

「桐生、今は冗談に突っ込む気力はない」

 

なんか桐生が戯言を言ってるが、気力不足で突っ込めない。

 

「いや、冗談じゃなくてマジで言ってるんだけど?」

 

「そうか。勘違いして悪かったな。そういうことならクッキーはやらんぞ」

 

「ケチ」

 

「ケチで結構だ。というか自分で作ったのあるだろうが」

 

「いや、だって咲良が作ったやつの方が絶対に美味しいじゃん?」

 

「「わかる」」

 

桐生の発言に、イッセーとヴァーリが同意した。そう言ってくれるのは嬉しいが、クッキーをやる気は一切ない。これはオーフィスと黒歌のなんだからな。

 

「えっと・・・・咲良さんってそんなにお料理上手なんですか?」

 

ただ一人、アーシアだけが首を傾げていた。そういえば、最近転入してきたばっかだから俺の料理食べたことないんだよな。ほかの連中は調理実習だったり俺の弁当のおかずわけてあげたりして知ってるけど。

 

「上手なんてものじゃないよアーシア。あれはもうプロ級だね」

 

「いや、下手なプロよりも上なんじゃない?」

 

「少なくとも、俺は咲良の料理以上のものを食べたことがない」

 

イッセー、桐生、ヴァーリが3人して俺の料理を絶賛してくれる。

 

嬉しいのだが・・・・・そこまでなのだろうか?俺としては適切な材料、適切な調理法、適切な味付けで作ってるだけだから特に意識はしてないんだよなぁ。

 

「そ、そんなになんですか・・・・・ちょっと気になります」

 

「んー・・・・・なら昼の時俺のおかずちょっと食べてみるか?」

 

「いいんですか?」

 

「まあ少しくらいならな」

 

「ありがとうございます」

 

笑顔で感謝の言葉を述べてくるアーシア。こういうのを天使の微笑みって言うんだろうな。オーフィスと一緒に居る時ほどじゃないけど、結構癒される。

 

「いや~、ありがとね咲良」

 

「これはお昼が楽しみだねヴァーリ」

 

「そうだなイッセー」

 

「ちょっと待って。お前たちにもやるなんて一言も言ってないよ?」

 

この悪魔共め・・・・俺の弁当のおかず食べ尽くすつもりか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく・・・・帰れる」

 

調理実習で精神疲弊したせいか、いつもより長く感じる授業がようやく終わった。俺はさっさと帰り支度をして、教室から出て行く。

 

ちなみにイッセーとヴァーリは今日は部活にでるそうなので一緒には帰らない。

 

「もう二度と・・・・もう二度と調理実習で教える側になってたまるか。何があっても断ってやる。もう単位は保証されてるから受ける理由なんてないから断って・・・おっと」

 

恨み言を言いながら歩いていたせいか、注意散漫になってしまった俺は誰かとぶつかってしまった。

 

「すまない、大丈夫か?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「・・・・あれ?」

 

ぶつかったのは高校生とは思えないぐらいに背の低い、白い髪の可愛らしい女の子だったのだが・・・・なぜかその子を見て、黒歌のことを思い出してしまった。

 

「どうしました?」

 

「え?あ、いや・・・・・ごめん。何でもないよ」

 

なんで黒歌のこと思い出したんだろ?雰囲気とか全是違うのに・・・・どうしてだ?

 

「はあ、そうですか。では・・・」

 

「あ、ちょっと待って」

 

その場をさろうとするその子を、俺は引き止めた。

 

「なんですか?」

 

「その・・・・これ。ぶつかったお詫び」

 

俺は包みからクッキーを一枚取り出し、差し出した。オーフィスと黒歌に上げるためのものなのだが・・・・なぜかこの子にもあげたくなってしまったのだ。

 

「・・・・ありがとうございます」

 

一瞬驚いたような表情をしたが、それでもクッキーは受け取ってくれた。そして女の子は受け取ったクッキーをそのまま口に含む。

 

「・・・・美味しい」

 

「そうか。それは何より」

 

どうやらクッキーの味はお気に召してくれたようだ。女の子は微笑みを浮かべている。そしてその微笑みは・・・・どこか黒歌に似ているように思えた。

 

「クッキーありがとうございました。失礼します」

 

女の子はぺこりとお辞儀をした後に去っていった。彼女の歩く先にあったのは旧校舎だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲良のクッキー、おいしい」

 

「そうか。そう言ってもらえると嬉しいよ」

 

俺の膝の上に座り、クッキーを美味しそうに食べるオーフィス。俺はそんなオーフィスの頭を撫でていた。それだけで今日の疲労は一気に癒される。

 

「本当に美味しいにゃん。咲良が作った料理やお菓子を食べられるだけでもここで暮らす価値があるわねん♪」

 

黒歌もまた、クッキーを食べてご満悦な様子だ。その黒歌の表情が、下校時に出会った少女となぜか重なる。

 

「んー・・・・似てなくもない・・・・か?」

 

「何の話にゃ?」

 

「いや、今日どことなく黒歌に似たような子と会ってさ。まあお前と違って小柄で髪の色は白かったけど」

 

「・・・・・え?」

 

俺の話を聞き、黒歌は驚いたような表情をして手にしていたクッキーを落としてしまった。

 

「黒歌、どうかした?」

 

急に様子の変わった黒歌に、オーフィスが心配そうに声をかける。

 

「その子・・・・咲良が会った子は多分、私の妹にゃ」

 

「黒歌の・・・・妹?あの子が?」

 

「特徴は一致してるから・・・・名前は聞かなかった?」

 

「いや、聞いてない。けど・・・・」

 

確かに名前は聞いていないが・・・・それでも、その子は間違いなく黒歌の妹なんだろうと思えた。黒歌の話を聞いて、なぜか確信が持てた。

 

「白音・・・・・咲良、白音は元気そうだった?」

 

「ああ。少なくとも、俺が見た限りでは元気そうだったよ」

 

「そっか・・・・・・それなら良かったにゃん」

 

安心したような笑みを浮かべる黒歌。だが、その表情はどこか寂しそうでもあった。

 

本当なら、妹に会いたいのだろう。だが、そういうわけにはいかない。黒歌は犯罪者として悪魔に追われているし・・・・・その妹だって、置き去りにされたと黒歌のことを恨んでるかもしれない。そのことは黒歌もわかっているだろうから・・・・・現状では会いにいくことはできないだろう。そう、現状では・・・・・

 

「・・・・・黒歌。今日、我と一緒に寝る」

 

「え?」

 

「咲良も。今日は我と黒歌と一緒に寝る。決定事項」

 

俺が考えにふけっていると、オーフィスが突然手を伸ばして黒歌の頭を撫でながら提案した。一瞬なんでそんなことを言ってるのかわからなかったが・・・・・すぐにオーフィスの意図は理解できた。寂しそうにしている黒歌を見て・・・・その寂しさを埋めようと提案したのだろう。

 

「・・・・・ああ、そうだな。今日は皆一緒に寝ようか。黒歌、それでいいか?」

 

「オーフィス、咲良・・・・うん。それでいいにゃ♪」

 

ニコリと、先程とは違う心から嬉しそうな笑顔で黒歌は返事を返した。

 

その日、俺達は3人寄り添って眠った。寂しさを埋めるように・・・・身を寄せ合って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、なぜ俺が真ん中だったのだろうか?こういう時普通は黒歌が真ん中じゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品は見ていて心温まる物語を目指しているようなそうでないような物語です

そして寂しがってる黒歌さんとその寂しさを埋めようとするオーフィスちゃん可愛い

それでは次回もまたお楽しみに!
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