どうしてこうなったのかは本編にてお確かめください
それではどうぞ
こんにちは、湊内咲良です。今日はオーフィスと一緒に食料品の買い出しに近所のスーパーに来ているのだが・・・・・
「・・・・はあ」
ぶっちゃけテンション低いです。その理由というのは買い出しがどうとかではなく・・・・・明日から学校が始まるからだ。
明日から高校2年。学生としては新学年としての学校生活に胸弾ませるだろうが俺はそうじゃない。いや、正確にはその気持ちがないわけではない。勉強も運動も嫌いじゃないし、友達だってちゃんといる。それなりに充実はしているのだが・・・やはりオーフィスと一緒にいられる時間が減るというのは正直嫌だ。
長期休暇が開けるたびにそんな気持ちに陥ってるが、今回は殊更だ。理由は先日のオーフィスとの結婚の約束にある。あの約束を交わしてからというもの、オーフィスへの愛おしさが跳ね上がってしまった。ずっとずっと一緒にいたいと、片時も離れたくないと思うほどにだ。
もちろん、だからといって学校に行かない、学校をやめるという選択肢はない。なぜなら、オーフィスとの結婚の約束は高校を卒業することを前提としている。故に卒業する為にも学校には通わなければならない。オーフィスもそのことは理解しているようで、明日から学校があると話したら悲しげな雰囲気を纏いながら『わかった。我、咲良が学校行ってるとき我慢して留守番する』と言ってくれている。
ちなみに、『咲良と一緒に居たい。我も学校に通う』と言ってた時期もあるが・・・・容姿的な問題で同じ学年、クラスは無理だと教えたら『ならいい』と即諦めたこともあったりする・・・・結構前のことだがまさかその時から俺を特別扱いしてくれていたのだろうか。
それと、俺が学校をやめない理由は他にもあったりする。実は昔、オーフィスと少しでも長く一緒にいたいという理由で学校を辞めたいと爺さんに言ったことがあるのだが・・・・・こっぴどく怒られてしまった。
『学校が嫌いだというなら辞めても構わん。だが、オーフィスを理由に、言い訳に捨てるのは許さん』
爺さんに言われたこの言葉はかなり効いた。なにせその通りだったんだからな。俺はオーフィスを言い訳にして、嫌いでもないことを切り捨てようとしてた。それは恥ずべきことであり、愚かなことだ。自分の見識を狭め、自分の可能性を潰して・・・・・・爺さんに怒られても仕方がない。
ちなみに・・・・・
『それと、仲がいいのは結構なことだがあまりオーフィスに依存しすぎるのも良くないぞ。世の中にはヤンデレという言葉があってそれは・・・・』
こんなことも言ってやがった。いいこと言って評価あげたかと思った矢先に大暴落である。なんであの爺さんは余計なことを教えようとするかね。まあ、その内容を一々律儀に覚えてる俺も俺なんだが・・・・
「咲良」
自己嫌悪に陥りそうになった俺に、オーフィスが声をかける。
「味噌切れかけてた。これ、いつもの」
そう言いながら、オーフィスは買い物かごの中に味噌を入れる。うちの冷蔵庫事情をしっかり把握していることに成長してるんだなぁと感嘆すると同時に、俺はオーフィスが味噌と一緒にかごに入れたチョコ菓子に気がついた。まったく、いつの間にこんな小ワザを身につけたのやら・・・・まあ爺さんが吹き込んだんだろうが。
「・・・・オーフィス?」
俺がチョコ菓子の箱を手にとって声をかけると、オーフィスはふいっとそっぽを向いた。その仕草が一々可愛くて、怒る気を失せさせる。まあ、はじめから怒る気なんてないんだけどさ。
「まったく・・・・あと一個」
「咲良?」
「あと一個好きなお菓子持ってきていいよ。それと、別に怒ったりしないから欲しいお菓子があるならちゃんとそう言いな」
「・・・・うん」
表情は変わらないが、雰囲気がパッと明るくなるオーフィス。そして、とてとてと小走りでお菓子売り場へと向かって行った。
「・・・・やっぱり可愛いよなぁ」
オーフィスの後ろ姿を眺めて出てきた感想がこれなのは、致し方ないことだろう。
「買い忘れはなし、と。よし、帰ろうかオーフィス」
「うん」
買い物を終え、買い忘れがないことを確認した俺は、オーフィスと一緒にスーパーから出た。
その直後・・・・
「あれ?咲良?」
俺に声をかける者が一人。振り返ると、そこにはメガネをかけた少女が居た。
「なんだ、桐生か」
彼女は桐生藍華。一年の頃のクラスメイトで、友人である。
「友達に向かってなんだとはなによ」
「あ~・・・・すまん。ところで、こんなところで何してるんだ?」
「親にお使い頼まれてね。そういうあんたは?」
「食料品の買い出しだよ。今終わったところだけどな」
俺は買ったものが入ったエコバッグを桐生に見せながら言う。
「ふ~ん・・・・・で、その子はなに?」
桐生は俺のすぐ隣にいるオーフィスを指差しながら言う。まあ、オーフィスのことは友人にも言ってないから疑問に思われても仕方がないだろう。
「ああ、こいつは・・・・」
「咲良、これ誰?」
オーフィスのことを紹介しようとしたが、それを遮ってオーフィスが俺に尋ねてきた。心なしか、どこか機嫌が悪そうに見える・・・・とりあえず、桐生を紹介する方が先か。
「桐生藍華。俺の学校の友達だよ」
「咲良の友達・・・・・わかった。ならいい」
・・・・何がいいのか気になったが、敢えて今は聞かないでおこう。
「えっと・・・咲良?結局この子はあんたのなんなの?」
今のやりとりに面食らってしまった・・・というより、一層オーフィスのことが気になったようで、桐生は再度聞いてくる。なので、オーフィスのことを話そうとしたのだが・・・・その前に、オーフィスが一歩前に出た。
「我、オーフィス。咲良の婚約者」
「ぶふぉっ!?」
オーフィスの自己紹介に、俺は思わず吹き出してしまった。
「待て待て待て待てオーフィス!?なんだその自己紹介は!?なんで婚約者!?」
「我、知ってる。結婚を約束した相手のことを婚約者っていう」
「それは間違ってないけど間違って・・・・・・ないなうん!」
確かにオーフィスとは結婚の約束をしている。なので、俺はオーフィスの婚約者ということになり、オーフィスの自己紹介はなにも間違ってないということになる。けどまさか、こんなところで堂々と言い放つとは思わなかった・・・・・まあ嬉しいけどな!
「・・・・ねえ、咲良」
俺が若干興奮していると、桐生が嫌に重い声色で声をかけてきた。なぜだかとっても嫌な予感がする。
「あんたって・・・・・ペドなの?」
「ロリコン通り越してペド!?」
嫌な予感は的中した。まさか友人からロリコンどころかペド呼ばわりされるとは思ってもみなかった。
「いや、だって・・・・オーフィスって言ったっけ?見た感じこの子小学生低学年ぐらいでしょ?年齢差10歳ぐらいはあるでしょ?だったらロリでは済まないわよ。ペド呼ばわりはしょうがなくない?」
「・・・・否定できない」
オーフィスは俺よりも年上である。それも年齢差10歳どころではすまない・・・・それに0をいくつもつけなければならないほどの年上だ。だが、それでもオーフィスの容姿はどう見ても幼い子供・・・・幼女だ。桐生の言っている事を否定するのは難しいと言わざるをえない。
だが・・・・それでもやはりペドは勘弁して欲しい。俺はオーフィスが幼女だから好きになったのではない・・・・一目惚れしてる時点で容姿も好きの要因に含まれてるため、説得力はないかもしれないが断じて違う。安っぽく聞こえるかもしれないが、俺がオーフィスを好きなのはオーフィスだからだ。
なので、ペドなどという不名誉な称号はなんとか払拭したいのだが・・・・・どうしたものか。
「・・・・違う。咲良はペドじゃない」
俺が頭を悩ませていると、オーフィスが口を開いた。そして、俺の名誉を守るために弁明を・・・・
「咲良はペドじゃない・・・・・我がショタコンなだけ」
その弁明に俺は度肝を抜かれた。
「オーフィスさん!?何を仰っているのですか!?」
重度の驚きにより、ついつい敬語になってしまったがそれを気に留める余裕は俺にはない。
「年下の男を好きなことをショタコンっていう。伊槻から勧められた本に書いてあった」
クソ爺ィィィィィィィィィィ!!純粋なオーフィスにどんな本勧めやがったぁぁぁぁぁぁ!!ていうか俺がペドじゃないって否定したってことはペドが何かって知ってるってことか!?マジにどんな本勧めたんだよふざけんな!!
「さ、咲良・・・・あんた私より年下なの?」
桐生は桐生はトチ狂ってありえないこと言い出すし!混乱しすぎて目がぐるぐるになってるし!
「・・・・・誰か助けてください」
無所にも、俺の助けを求める声に答えるものは誰ひとりとしていなかった。
「・・・・・」
「咲良、どうした?」
「なんでもないよー。気にしないでオーフィス」
桐生とのやりとりから十数分後、俺はオーフィスと家への帰路についていた。結局あのあと、オーフィスは最近見た漫画、アニメに影響されている(ある意味では間違ってない)と桐生に説明して強引に納得させることに成功した。まあ・・・・説得できてよかったと同時に、それで説得できていいのか日本と思ってしまったが。
ちなみに、オーフィスが婚約者であることに関しては何も言ってない。だって、間違ってないし・・・・もうそれはそれでいっかと思った。桐生は結構奇想天外な性格してるけど、やたらと言いふらすような奴ではないとは思うので大丈夫だろう。
問題は爺さんだ。爺さんが原因でオーフィスが覚えなくてもいい余計な知識を身につけてしまっている。純粋だからこそ染まりやすいオーフィスは影響を受けやすいというのに・・・・うん、やはり帰ってきたら説教をすべきだろう。それもトラウマになるレベルのハードな説教を。マジ覚悟しろよクソ爺。
「咲良」
俺が爺さんへ説教という名の制裁を下すと心に誓っていると、オーフィスが俺の服の裾を引っ張ってきた。
「どうしたオーフィス?」
「あれ」
オーフィスが指差す方へ視線を向ける俺。そこは我が家の門前であった。どうやらいつの間にか家のすぐ近くにまできていたらしい。
だが問題はそんなことではない。問題は・・・・その門前に、黒い猫耳に黒い尻尾を生やした女性がボロボロの状態で倒れていることだった。
「・・・・・マジかー」
どうやら、今日はまだまだ波乱が残っているようだ。
うちのオーフィスはとんでもお爺さん、湊内伊槻のせいで原作と比べていらん知識を身につけてしまっています
ただまあ、それでもオーフィスはやっぱり可愛い
それでは次回もまたお楽しみに