愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

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今回は授業参観のお話となります

それでは本編どうぞ


人とは時に思わぬ力を発揮する

 

こんにちは、湊内咲良です。

 

今日は駒王学園にて父兄参観が実地される。正直、高校生にもなって授業参観ってどうなんだよと思う今日このごろ。正直ちょっとした恥辱案件だと思う。

 

まあ俺の場合は・・・・・

 

「咲良、視線!視線こっちにプリーズ!」

 

バズーカのようなレンズを付けたカメラを構えて、やたらとはしゃいでいる保護者を持った俺にとってはちょっとどころじゃなく、人生で思い出したくないランキングワースト3に確実に食い込む恥辱案件なのだが。

 

マジで何やってるんだよあのクソ爺・・・・・カメラ自体は百歩譲って許すとして、そんな馬鹿でかいレンズ、こんな狭い教室じゃ無用だろうが。邪魔なだけだろうが。周りの迷惑考えろよ。さっきからシャッター切りまくってるし。

 

「ねえ咲良、あんたのお爺さんって・・・・・」

 

「頼む桐生。何も言わないでくれ」

 

隣りの席の桐生がやたらと同情のこもった視線を俺に向けながら声をかけてくる。さすがの桐生も気の毒に思ったようだ・・・・なんというかもう泣きたい。

 

ちなみにだが・・・・

 

「おーいヴァーリ。もっと笑えって」

 

「・・・・はあ」

 

「ヴァーリ・・・・どんまい」

 

爺さんと同じぐらい馬鹿でかいカメラを構えてる人がもう一人・・・・・アザゼルさんだ。爺さんに負けず劣らずシャッターを切りまくってて目立っている。そんなアザゼルさんを保護者とするヴァーリは、珍しくげんなりした・・・・というより、恥ずかしそうな様子だ。イッセーはそんなヴァーリを慰めている。

 

「ふむ・・・・・授業参観というのは賑やかなものなのだな」

 

「ゼノヴィア、残念ながらこれは世間一般で言う授業参観の風景では断じてない。認識を改めてくれ」

 

桐生とは逆隣の席にいるゼノヴィアに間違った認識が植えつけられようとしてたので、やんわりと改めるように言う。はあ・・・・授業参観って普通こんなに疲れるものじゃないだろ。

 

ちなみに、授業内容は英語となっているのだが・・・・・なぜか俺たちは配られた紙粘土で創作活動に勤しんでいた。これでなんでもいいから作らなければならないのだ。

 

英語教師曰く『そういう英会話もある』らしいが・・・・・・なんでさ。声を大にして『ねえよっ!』って叫びたかったよ。流石に叫ぶのは自重したけど。というか、この前クッキー作り押し付けた家庭科教師といい、うちの学校の教師たちはどうなってるんだよ・・・・・教育委員会に報告したほうがいいような気がしてきた。

 

まあいい・・・・・ここで愚痴を並べても何一つ解決するわけではないのだから今は真面目に英語授業に取り組もう。紙粘土で創作ってもはや小学生の図工の授業としか思えんがな

 

「なにを作るかな・・・・」

 

思いついたものをなんでも自由に作れと言っていたが・・・・・正直それが一番困る。ある程度成約とか制限とかつけてくれた方がやりやすいのだが。

 

ともかく何か作らないと・・・・・真っ先に思い浮かぶのはやっぱりオーフィスなんだよなぁ。

 

出会った時から一切外見を変えないオーフィス。人間で言うところの10歳前後というところだろうか?小さいけれど色々なところは柔らかくて抱き心地いいんだよなぁ。髪もサラサラしてて撫でてるこっちが心地よくなるぐらいだし。

 

それになんといってもあの目だ。純真無垢でいてまるで深い闇のように輝く瞳・・・・あの眼で見つめられたらもう何もかもオーフィスに捧げてもいいと思えてしまう。

 

脳内で鮮明にオーフィスのことが思い浮かばれる。そしてそれは・・・・無意識に俺の手の動きに反映されていた。

 

「咲良・・・・・あんた本当に器用ね」

 

「え?何言って・・・・・あ」

 

呆れた様子の桐生に言われ気がつく・・・・・いつの間にか俺の紙粘土がオーフィスの像になっていたことに。

 

「いつの間に・・・・・」

 

「いつの間にじゃないわよ・・・・咲良、さっきからすごい勢いで紙粘土弄ってたのよ?」

 

「マジかー」

 

よもや無意識にオーフィスの像を作ってしまうとは・・・・・オーフィスのこと好きすぎだろ俺。というかこの像・・・・我ながら完成度高いな。俺の脳内のオーフィスを余すところなく再現されてる・・・・桐生の言うとおり器用な方だって自覚はあるけど、まさかこれほどのものが作れるとは。

 

「ふむ・・・・・これは見事なものだな。咲良は家事だけでなく芸術の才能もあるのだな」

 

ゼノヴィアは感心したように褒めてくる。ただまあ、このクオリティはオーフィスだからこそ出せたものであると断言できる。それ以外だったら無理だと自信を持って言えるな。

 

「確かに見事な出来だと思うわ。だけど・・・・・咲良、正直またあんたを見る目が変わりそうだわ」

 

解せぬ・・・・・と、言いたいところだが否定できない。だって俺傍から見たら『学校の授業で幼女の像を作る生徒』だもん。なんていうか・・・・・一部の人からすごく大きなお友達に思われるような気がする。

 

「・・・・・湊内」

 

「ん?」

 

俺がちょっとブルーな気持ちになっていると、クラスの男子が俺に声をかけてきた。そいつは話もそんなにしたことない、特に親しいわけでもないやつなのだが・・・・・

 

「湊内・・・・・頼む!それを五千円で売ってくれ!」

 

「・・・・・は?」

 

なんの用だろうと思っていたら、そいつは突然深々と頭を下げて俺にオーフィスの像を売ってくれと宣った。なんかもう、必死さがすっごい伝わってくる。まあ、あの超絶可愛いオーフィスの像なのだからほしがる気持ちはわからなくもないが。

 

「ずるいぞ!俺も狙ってたのに・・・・・俺は六千出すぞ!」

 

「俺は七千だ!こんな可愛い子の像欲しいに決まってる!」

 

「なんの!俺は八千だす!湊内さん、どうか俺に譲ってください!」

 

いつの間にか教室がオークション会場と化してしまった。若干目が血走っている数名の男子生徒が1000円単位で金額を釣り上げていきながら俺の創ったオーフィス像を狙う・・・・・お前ら、クラスの大半の女子生徒から白い目で見られてるんだがいいのか?

 

なお、教室の後ろの方で爺さんとアザゼルさんが腹を抱えて笑っている。そりゃそうだ。こんな光景、俺だって当事者でなければ笑っている。

 

というか・・・・・

 

「ふざけるな。これは何があっても絶対に売らないぞ」

 

勝手に値段を釣り上げてくれているが、俺はこの像を売るつもりは一切ない。当然だ。オーフィスの像・・・・ほかの誰にも渡してなるものか。

 

「そ、そんな・・・・そこをなんとか!」

 

「そうだ!こうなったら一万だそう!」

 

「値段じゃない。この像は俺にとって大切なものなんだ。だから売らん」

 

「お願いします湊内さん!私にその像をお恵みください!今日の夜のお供にしたいんです!」

 

「有効活用いたしますからどうか!」

 

おい、てめぇらオーフィスの像でなにやらかそうってんだ。

 

「なお手放す気が失せたわ!誰がなんと言おうとこのオーフィスの像は・・・・・あっ」

 

もう迂闊としか言い様がなかった。つい興奮してしまい、オーフィスの名前を口に出してしまったのだ。

 

恐る恐るとイッセーやヴァーリ、アーシアといったこのクラスでオーフィスのことを知らない悪魔連中の方へと視線を向けてみる。イッセーとアーシアは特に気にしていない、あるいは気がついていないという様子だったが・・・・・ヴァーリの表情は訝しげで、俺の方を見ている。おそらくオーフィスという名前に反応しているのだろう。

 

次に爺さんとアザゼルさんの方へと視線を向けてみると・・・・・あちゃー、といった感じで頭を抑えている。

 

「・・・・咲良、こういう時はどんまいと声をかければいいのか?」

 

俺の肩に手を置きながら、ゼノヴィアが慰めの言葉を投げかけてくる。

 

ああ・・・・・・やっちまったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっちまったな咲良」

 

「やっちゃったにゃん咲良」

 

「咲良、やっちゃった?」

 

「はい、やっちまいました」

 

帰宅後、オーフィスの名前を口にしてしまったこととオーフィスと黒歌に話した俺。爺さんと黒歌は苦笑いを浮かべながら、オーフィスはことの重大さがよくわかっていないようで小首を傾げながら俺に言ってきた。

 

「やっぱこれってまずかったかな?」

 

「んー・・・・まだ話すのは時期尚早ではあるからな。三種族会談が和平締結されるまでは隠しておこうと思ったんだが・・・・・まあ大丈夫だろ。大きな問題にはならないと思うし、今頃アザゼルあたりが言いくるめてるだろう」

 

爺さんが言うには、一応は大事にはならないそうだ。ただまあ、やはり迂闊ではあったわけだし・・・・本当なら爺さんにあの馬鹿デカイカメラについて説教しようと思ったが、多少なりとも面倒起こしてしまったのでそれはやめておこう。

 

「まあ、過ぎたことをとやかく言ったってしょうがないから切り替えるにゃ。私としてはいい加減それに関してツッコミを入れたいところだし」

 

そう言いながら、黒歌の視線は机の上に置かれた像に向けられる。俺が授業で作った・・・・オーフィスの名前を出すきっかけとなった像だ。

 

「これ紙粘土を手でこねて作ったのよね?いくらなんでも完成度高すぎるにゃ」

 

関心半分、呆れ半分で黒歌は言う。

 

「うん、まあ我ながらこの出来には驚いてるよ?まさかオーフィスへの愛がこのレベルに至らせるとは・・・・」

 

「咲良の愛・・・・我、嬉しい」

 

「それは良かった」

 

「急なイチャつきやめて。心の準備できてないから」

 

俺の胸に擦り寄ってくるオーフィス。そして当然のように俺はそんなオーフィスの頭を撫でる。そんな光景を目の当たりにした黒歌は、何やら胸焼けを起こしたような感じになっていた・・・・まあ悪いとは思ってるよ。やめないけど。

 

「と、そうだ。咲良、この像なんだが俺が魔術でコーティングしておいたからそう簡単に壊れることはないぞ。流石に二天龍クラスの攻撃には耐えられないが、龍王クラスの攻撃じゃビクともしないぐらいの強度にはしてある」

 

「マジかー。ありがとな爺さん」

 

珍しくいい仕事したな爺さん・・・・・でも、龍王クラスの攻撃でビクともしない像とはすげーな。

 

「それと、着色までしたいなら道具一式あるから貸すがどうする?」

 

「あ、なら貸してくれ。すぐに塗るわ」

 

「なんでそんな道具があるにゃ・・・・・」

 

黒歌は呆れているが、着色できるのは助かる。これでさらに完成度が上がるな。

 

その後、爺さんから道具を借りてオーフィスの像に着色を施した。1時間ほどかかったが、完璧に仕上がり、オーフィスの像は俺の大切な宝物となった。

 

 




うっかりオーフィスちゃんの名前を出しちゃった咲良さん。それだけあの像を守るのに必死だったということで

でもまあ・・・・・やっぱりほしいよね、オーフィスちゃんの像

それでは次回もまたお楽しみに!
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