はたしてどうなるか・・・・・
それでは本編どうぞ
父兄参観が終わり数日後、今駒王学園で三種族会談が行われている。三種族の今後の行く末を決めるといっても過言でない大事な会談・・・・・爺さんの『平和な世界』という夢の足がかり。人間である俺でも会談がどうなっているか気になって仕方がない。
そして・・・・・会談の結末を気にしているものがここにもう一人・・・・
「会談・・・・・どうなったかにゃ」
それは黒歌だった。先程から落ち着きくそわそわしている。
「黒歌、少し落ち着いたほうがいい」
「うっ・・・・それはわかってるんだけど・・・・」
ついにはオーフィスに突っ込まれるほどだ。ちなみにオーフィスは大人しく俺の膝の上に座っている。まあいつもの定位置ってことだ。
「会談で和平が結ばれれば会談の出席者・・・・・白音がここに来るっていうから落ち着かなくて」
これが黒歌がそわそわしている理由であった。会談で無事に和平が結ばれた際、会談出席者はうちに来ることになっている。主な理由は俺やオーフィスの紹介と今後の他種族、他神郡との和平に関する説明をすること・・・・・あと、和平締結を祝っての宴会を行うためだ。これは爺さんとアザゼルさんが提案したことなのだが・・・・・提案したのがあの二人だから、後者の意味合いがすっごい強いように勘ぐってしまうのは仕方のないことだろう。
まあ、それはどうでもいいとして・・・・つまり、黒歌が落ち着かないのは、もうすぐ妹と会うことになるかもしれないからだ。会えるのは楽しみだが、離れ離れになった経緯が経緯だから気まずさもあったりと今の黒歌の心境は複雑なのだろう。普段飄々としているが、黒歌は精神的にちょっと脆いところがあるからなぁ。
「まあ気持ちは分からないでもないが、もうちょっと堂々としてたらどうだ?主である悪魔を殺した件に関しては既に調査を終えて減罪はほぼ確定してるわけだし」
そう、黒歌が主の悪魔を殺した件については既に悪魔側の調査は既に終えていた。やたら早いと思ったが、調査してみたらあっさり真実が露呈したそうだ。早めに調査が終わって良かったと思う反面、だったらはじめからちゃんと調査やっとけよと呆れもした。
ともかく、その件はあとは黒歌への事情聴取を残すのみとなっている。罪状に関しては悪魔側の非の大きさもあり、ほぼ確実に減罪される。だからこそ、会談が無事終われば黒歌が今回の会談出席者達・・・・というより、妹と会うことが許されたのだ。事件のことは会談が終わり次第サーゼクスさんの口から語られると爺さんが言っていたしな。
「わかってはいるけど、やっぱり私・・・・真実を知っても白音、私のこと嫌ったままかもしれないし」
黒歌としては嫌われてないか不安でしょうがないってことか。黒歌の妹のことは一度会っただけでどんな子なのか詳しく知ってるわけじゃないから『嫌ってるはずがない』だなんて軽々しく言うことはできないし・・・・・だったら俺ができることは・・・・
「黒歌、手出して」
「え?」
「まあ・・・・あれだ。気休めかもしれないけど手握っててやるから。人肌感じるとリラックスできるるって聞いたことあるし」
「なら我も。我も黒歌の手握る」
俺は黒歌に手を差し出しながら言うと、オーフィスも便乗して黒歌に向かって手を伸ばす。
「・・・・・わかったにゃん」
黒歌は俺とオーフィスの手を握った。手のひらから黒歌の体温を感じる。
「・・・・・咲良の言う通りにゃ。こうしてると・・・・・少し落ち着く」
「そうか。それはなによりだ」
「黒歌が落ち着けたなら、我嬉しい」
リラックスできたのか、微笑みを浮かべる黒歌。そんな黒歌を見て、オーフィスも同じように微笑みを浮かべ、俺も自分の口角が喜びで上がるのがわかった。
「二人共ありがとにゃ・・・・・白音と手を繋いでも、こんなふうに安らぎを感じるかしら?」
「きっと感じることができるさ。その子はお前のたった一人の家族なんだからさ」
「・・・・・そうね。そうだといいにゃ」
駒王学園にいる妹へと思いを馳せる黒歌。
爺さん・・・・・黒歌のためにも、会談はきっちりと成功させてくれよ?
ピリリりりりり♪
会談が終わるのを今か今かと待っていると、俺の携帯が着信を知らせる。ディスプレイに表示されているのは爺さんの名前だった。俺は通話ボタンを押し、携帯を耳に当てる。
「爺さん?会談は終わったのか?」
『ああ、ついさっきな』
「結果は?」
『多少話がこじれかけたりはしたが、無事和平締結だ。これで三種族の間で戦争が起こることはほぼないだろう』
電話越しに聞こえてくる爺さんの声は、どこか嬉しそうだった。まあ今回の三種族の和平締結で爺さんの夢である平和な世界に一歩近づけたのだ・・・・・嬉しく思う気持ちはわかる。
『予定通りこれから俺達はそっちに行く。ただ・・・・・』
「ただなんだ?」
『一人・・・・・頑なに行きたくないっていう子がいてな。その子は連れてこれそうにない』
ここに来たくない子・・・・・多分それは・・・・
「ゼノヴィアか?」
『ああ、その子だ。お前から事情は聞いていたが・・・・・いいのか?』
「無理に連れてきたって仕方ないだろう。ゼノヴィアの意思を尊重するさ」
三種族間の和平は結ばれたんだ。いずれイリナもこの街に来ることもあるだろう。その時・・・・二人できてくれればそれでいい。
『そうか・・・・お前がそう言うならいい。それはそれとして、宴会の準備は出来てるか?』
「問題なく出来てるよ。料理も酒も準備万端だ。俺達心の準備も・・・・な」
『そなによりだ。それじゃあこれから転移するから庭で待ってろ』
「わかった」
そこで通話は終了した。
「今からこっちに転移してくるそうだ。庭で待ってよう」
「わかったにゃ」
「・・・・・ゼノヴィアはやっぱり来ない?」
話を聞いてたのか、オーフィスが尋ねてくる。
「ああ、イリナがいないからな。でも大丈夫だ。和平が結ばれたんだからきっといつか二人で来てくれるさ」
「うん・・・・我、信じてる」
いつか二人でうちに来てくれる未来を信じるオーフィス。俺も同じように信じている。
「さて、それじゃあ庭の方に行こうか」
黒歌とオーフィスト一緒に、庭の方に向かう。
どうでもいいことだが、庭に転移してくると聞いていたので庭は昼間のうちに手入れしておいた・・・・・少しでも見栄えをよくしておきたかったからな。
庭で10分ほど待っていると・・・・・庭の地面に魔法陣のようなものが出現し輝きだした。そして程なくして十数名の団体が転移してくる・・・・・こんなにいるのに、顔も知らないひとの数の方が少ないとはな。俺も随分とまあ人間以外の知り合いが増えたものだ。
というか・・・・・
「黒歌・・・・何してんの?」
俺は俺の背中に隠れるように後ろに立っている黒歌に言う。
「だ、だって・・・・・白音が・・・・」
黒歌の視線の先には、小柄で白髪の女の子がいる。前にクッキーをあげた子・・・・・つまり黒歌の妹だ。
「せっかく会えたのに縮こまってたらダメだろ・・・・」
「うぅ・・・・」
俺は黒歌の手を掴み、前に出てこさせた。
「え、えっと・・・・・久しぶりにゃ白音。元気だった?」
「・・・・・・」
ぎこちなくではあるが笑顔を浮かべながら声を黒歌。だが、白音からの返事はない。
・・・・・・気まずい。これはかなり気まずい。気まずすぎて周りの人全員気を使って一言も発せずにいるほどだ。あのちょっと天然なオーフィスでさえ大人しくしているのだ。
「その・・・・あ、そうだ。せっかく久しぶりに会ったんだからお姉ちゃんが抱きしめてあげるにゃん♪」
「・・・・・・」
おおう・・・・・ここで無反応はきつい。気まずさが跳ね上がった。お願い白音・・・・・なんとか言ってあげて。出ないと気まずさで俺達息できないから。それ以前に黒歌が不憫で仕方がないから。
「ねえ・・・の・・・・か」
「え?」
ようやく白音は言葉を発した。だが、声が小さくて聞き取りづらい。
けどまあ・・・・・・何となく俺は察した。だってなんか・・・・・拳握ってわなわな震えてるもん。
「えっと・・・・・白音?」
恐る恐ると白音に近づいて声を掛ける黒歌。
そして・・・・・
「姉様の・・・・・・馬鹿っ!!」
「んにゃっ!?」
白音の右ストレートが、見事に黒歌の頬に炸裂した。相当な威力だったのか・・・・・黒歌の体は数m吹っ飛んだ。人間の俺だったら顔面陥没して死んでたな。
「ちょ、白音!?久しぶりに再会したお姉ちゃんの顔面にグーパンはいくらなんでもひどくない!?」
殴られた頬を手で抑えながら涙目で訴え掛ける黒歌。相当痛かったんだろうなぁ・・・・・まあ、こうなるって予期はしてたけどさ。
「黙ってください姉様。今のは正当な制裁です」
「だからってグーパンはあんまりにゃ!?せめてビンタでしょ!?」
「顔の傷は勲章です」
「それ男の子の理論にゃ!」
いや、黒歌よ・・・・・俺男だけどそんな勲章いらんぞ。
「・・・・・全部姉様が悪いんです。私に何も言わずに勝手なことして・・・・いなくなって。私がどんな目に遭ったと思ってるんですか?私が・・・・・・どんな思いをしていたと思ってるんですか?」
「・・・・・」
ポツリポツリと言葉を紡いでいく白音。そんな白音を、黒歌は悲しそうに見つめている。
「どうして何も言ってくれなかったんですか?どうして私を置いていってしまったんですか?どうして・・・・・私も一緒に連れて行ってくれなかったんですか?」
「・・・・・・私と一緒に来ても危ない目に遭うなんてわかりきってたにゃ。あの時は白音を置いていくのが一番だと思って・・・・・」
「私のことを姉様が勝手に決めないでください!ずっと・・・・・ずっと一緒に居たのに置いていかれて・・・・私・・・・・寂しくて・・・・」
「・・・・・」
「お姉様の・・・・馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿」
「・・・・白音」
ポロポロと涙を流しながら、黒歌に何度も馬鹿と言う白音。そんな白音を、黒歌は優しく抱きしめる。
「・・・・寂しい思いをさせちゃってごめんなさい白音。でも大丈夫にゃ。今は・・・・私は白音と一緒にいる。これからも・・・・・何度も会えるから。だから・・・・・大丈夫にゃ」
「お姉・・・・様ぁ」
ギュッと互いを抱きしめ合う黒歌と白音。その光景を、その場にいた全員が微笑みを浮かべながら見守っている。
ようやく仲直りすることができた黒と白の姉妹猫・・・・二人の仲が二度と脅かされないことを切に願う。
再会の挨拶はグーパンが基本
何はともあれ再会できてよかったよかった
原作と比べてちょっと弱々しいけどこんな黒歌さんも可愛いよね?もちろん可愛さならオーフィスちゃんがナンバー1ですが
それでは次回もまたお楽しみに!