それでは本編どうぞ
「ふう・・・・・夜風が気持ちいいな」
「そうだな。最近は蒸し暑い日が続いてたから特にそう感じる」
以前のように、縁側に腰を下ろして酒を飲む俺と曹操。オーフィスがここにいないのは、曹操がどうしても二人で話がしたいというので席を外してもらっている・・・・・あとで埋め合わせが大変そうだ。
「それで?さっきの相談以外に一体何の話があるって言うんだ?」
「咲良・・・・・英雄派に来て欲しい」
「断る」
神妙な面持ちで切り出してきた曹操に対し、俺は即答した。
「わかってはいたが取り付く島もなしか」
「すまないな。誘ってくれること自体は嬉しいよ。だけど、俺はオーフィスと一緒に居たいからさ」
「そのオーフィスも一緒にと言ったらどうする?」
「それは無理じゃないか?英雄派って人間だけの組織なんだろ?反対するやつが多そうなんだが」
「だろうな・・・・となるとやはり諦めるしかないか」
曹操は残念そうに肩を撫で下ろす。
「前から思っていたが、なんでそう俺を英雄派に入れたがるんだよ?交友関係はおかしいかもしれないが、俺は大した力を持たない平凡な人間だぞ?」
まあ、なぜか最近は平凡扱いされなくなってきてるけどな。黒歌とかにはよくオーフィスのことが絡むとおかしくなるって言われるが・・・・・そんなことないと思うんだがなぁ。
「確かに咲良には戦う力はない。だが、相手が神だろうがなんだろうが物怖じしない胆力がある。戦えなくてもその素質は十分に英雄にふさわしいものだと俺は思ってる」
「買いかぶりすぎだと思うんだが・・・・単純に神だろうがなんだろうが爺さんに比べたらマシって思ってるだけなんだが。爺さん並に破天荒なのなんてそういないし」
「それは否めないな」
いろんなのに会ってきたけど、爺さん以上のはいなかったから・・・・・多分そのせいで変な耐性ができて物怖じしなくなったんだろうなぁ。
「けどまあ、やはり君が来てくれないのは残念でならないな」
「まだ言うか・・・・・しつこい男はモテないぞ?」
「そうか?これでも英雄派の女性からはそこそこモテているんだが?」
「あ、さいですか・・・・・」
まあ曹操はイケメンだし強いからモテてもおかしくはないけど・・・・・うん、俺にもオーフィスがいるけどこういうふうに言われるとちょっとムカッと来るな。
「・・・・なあ咲良。君は俺のことを親友だと思ってくれているんだよな?」
「ん?まあそうだけど・・・いきなりどうした?」
「俺も咲良のこと親友だと思っている。だが・・・・同時に、君と一緒にいるとき、兄弟がいたらこんな感じなんだろうなとも思っていたんだ」
兄弟?俺と曹操が?
「俺は家族というものに縁がなくてね。俺を生んだ両親は大金を得るために俺を売った・・・・・まあ、引き渡される前に逃げたがな。原因はこの槍さ」
曹操は聖槍を出しながら言う。
「この槍を求める者は数知れない。俺は幼少の頃から色々な者達に狙われたよ。そして両親に売られたことを機に、俺の日常は孤独と戦いに染められた。今でこそ英雄派の仲間がいるが・・・・・正直に言うと、心細く感じることが多々あった」
「お前が心細く?」
「力を持っているといっても俺だって人間だからな。そう思うときもあるということさ」
力を持っていても人間・・・か。まあ、人間誰だって孤独の中にあれば心細く感じることだってあるに決まってる。曹操もそうだったということだろう。
「だが、最近はその心細さは一切感じなくなった」
「英雄派の仲間がいるからか?」
「それもあるが・・・・何より咲良がいたからだ。君と過ごす時間は、そう長くはないけれど俺にとっては充実したものだった。君の作る料理を食べるのは何よりも楽しみだったし、君との語らいは俺の心を和ませてくれた。この感覚は・・・・俺を売る前に両親と過ごした日々に近かった。俺にとって君は家族、兄弟のような存在になっていた」
俺が曹操の家族・・・・・兄弟か。俺にとっての家族は爺さんだけってのは変わらないけどそれはそれで嬉しいかもしれない。(多分)一人っ子だからちょっと憧れてたこともあるし。
けど・・・・・
「俺とお前が兄弟だって言うならどっちが兄でどっちが弟なんだろうな?」
「む・・・・それなら俺の方が年上なんだ。兄は俺だろう」
「年齢の上では確かにそうだが、頼りになる兄っていうのはああいう相談を弟にしないと思うんだけどな?」
「それを言われると反論できないが・・・・だがしかし俺が弟というのは・・・・・」
自分が弟というのが納得いかない様子の曹操。こんな曹操が見られるのも兄弟の特権というやつかな・・・・
「まあ、この際どっちでもいいだろ」
「え?」
「どっちが兄でどっちが弟でもいい・・・・対等な兄弟ってのも悪くはないんじゃないか?俺とお前は親友であると同時に兄弟・・・・・それでいいんじゃないか?」
「・・・・ああ、そうだな」
納得してくれたようで、曹操はふっと笑みを浮かべる。
「さて、そろそろ戻るかな。オーフィスが部屋で待ちくたびれてるかもしれないし」
「そうだな。これ以上は俺がオーフィスに文句を言われそうだ。俺もこれで失礼させてもらおう」
「帰るのか?別に泊まってってもいいんだぞ?前の時も泊まらずに帰っちまったし」
「申し出は嬉しいが、英雄派の皆には外出するとはいったが外泊するとは言っていなくてね。俺が無断外泊するとうるさい連中も多いんだ」
・・・・英雄派の連中って思った以上に口うるさいのか?それだけ曹操を大事に思ってるてことだろうが・・・・
「それじゃあまたな咲良」
「ああ。またな曹操」
手をヒラヒラと振りながら去る曹操。俺はそんな曹操の後ろ姿を見送った後、自分の部屋へと向かった。
「・・・・・」
「あ~・・・・オーフィス?」
「・・・・・」
部屋に戻るなり、俺はオーフィスに抱きしめられてしまった。声をかけて返事はない・・・・・これはちょっと不機嫌かな?
「・・・・咲良、曹操と何話した?」
数分ほど経って、ようやくオーフィスは口を開く。
「まあ男同士のちょっとしたお話・・・・かな?」
「また秘密?」
前にも曹操と話したことの内容を秘密にしていたが・・・・これはその時のこと根に持ってるぽいな。
仕方ない・・・・ちょっとだけ話すか。
「また曹操に英雄派に入らないかって誘われたんだ。もちろんちゃんと断ったけどな」
「他には?」
・・・・・ちょっとだけのつもりだったが、どうやら洗いざらい話さなければならないようだ。
「曹操、俺の事兄弟みたいに思ってくれてるんだと」
「咲良はどう思ってる?」
「俺もまあ・・・・それもいいかなって思ったよ」
「・・・・・」
俺を抱きしめる力を強めてくるオーフィス。
「オーフィスは俺が曹操のことそういうふうに思うのは嫌か?」
「曹操は好きじゃないけど、咲良がいいって思ってるなら我は否定しない。けど・・・・我より曹操を大切にしたいって思ってるなら嫌」
これは・・・・嫉妬かな?龍神に嫉妬されるとか、それはそれで英雄を志す者としては凄まじいかもしれないぞ曹操。
「安心しろオーフィス。確かに曹操の事を大切に思ってることは否定しない。だけど、俺が何よりも大切に思うのは、愛してるのはお前だよオーフィス」
「・・・・本当?」
「ああ、本当だよ。まさか疑ってるのか?」
「だって咲良、全然我と子作りしてくれない・・・・」
「それはせめて結婚するまで待ってくれ」
俺だってそういうことはしたいけども、結婚する前にしてしまうと歯止めが効かなくなりそうだからな・・・・・爺さん、今のオーフィスなら俺との間に子供が出来てもおかしくないって言ってたし。
「とにかく、曹操に嫉妬なんてする必要はないさ。俺全てはお前に釘付けなんだからな」
「・・・・ん」
頭を撫でてやると、心地よさそうにしながら俺の方に体を預けてくるオーフィス。ああ、もう・・・・ほんっと可愛いな。
「さて、そろそろ寝ようか。いつも通り、一緒に」
「うん。我、咲良と一緒に寝る」
オーフィスは抱きしめていた腕を解き、布団入る。そして俺が布団に入ると、また俺を抱きしめてきた。
「おやすみ咲良」
「おやすみオーフィス」
その日は、オーフィスに抱きしめられたまま一夜を明かした。
片や龍神の婿、片や英雄派のリーダー・・・・とんでもない兄弟である
そして嫉妬するオーフィスちゃん・・・・・ちくしょう、可愛いじゃねえか
それでは次回もまたお楽しみに!