愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

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今回は真剣な話・・・・・と見せかけて可哀想なお話です

どういう意味かは見てのお楽しみ

それでは本編どうぞ


時として、カッコつけるのは命がけ

 

「やはり咲良の料理は絶品じゃの。腹一杯になるまで食べたのは久しぶりじゃ」

 

「それはなによりです」

 

夕食を食べ終え、俺はオーディンさんと二人で食後のお茶を飲んでいた。部屋には俺とオーディンさんしかいない。なんでもオーディンさんが俺と二人で話があるそうだ。そのためオーフィス、黒歌、ロスヴァイセさんにはお風呂に入ってもらっている。

 

「それよりもオーディンさん、俺に話ってなんですか?」

 

「ふむ・・・・・咲良、伊槻から聞いたがお前さんは三種族と他神郡との和平の仲介役を任されているそうじゃがそれは本当かの?」

 

いやに神妙な面持ちで俺に尋ねてくるオーディンさん。その表情から、よほど真剣な話なのだということが伺い知れる。

 

「ええ。そうですよ」

 

「それは自分の意志かの?それとも伊槻に強制されたのか・・・・」

 

「自分の意思です。俺は俺の意思で仲介役を引き受けました。少しでも爺さんの願いを叶える手助けがしたい・・・・・それが俺の願いだから」

 

「咲良なりに考えて自分の意志で協力しているというわけじゃな。ならばいいが・・・・・咲良」

 

オーディンさんはどこからか槍をを取り出し、俺につきつけてきた。

 

「咲良・・・・お前が選んだその選択は、お前を危険な目に合わせる可能性がある。今みたいにな」

 

少しでもオーディンさんが手を動かせば、俺はこの槍に貫かれることになるだろう。

 

「価値観の違う他種族同士が手を結び、平和を願う・・・・それが和平。確かにそれはいいことなのだろう。じゃが、世界にはそれを望まんものは数多存在する。そういった連中にとって咲良は忌々しく見えるじゃろうな。それこそ殺したいほどに。お前が和平の仲介役であれば、こういった命の危機に何度も遭遇することにもなりかねん。お前はそれをわかっておるのかの?」

 

真っ直ぐに俺を見据えながら聞いてくるオーディンさん。これは脅しじゃなく忠告だ。オーディンさんは俺を思ってくれているがゆえに、俺に槍を突き立ててくれているんだ。

 

ならば、俺は俺の想いを伝えなければならない。

 

「オーディンさん、俺だってそれぐらいのことは理解していますよ。理解していながら俺は選んだんです」

 

「死ぬ覚悟は出来ているということかの?」

 

「いいえ、そんな覚悟持ち合わせていませんよ」

 

命を賭けるつもりなんて毛頭ない。そんな覚悟、持つわけにはいかない。

 

「死ぬ覚悟もなしに、選んだというのかの?それはまた随分と安い覚悟じゃの」

 

「死なない覚悟が死ぬ覚悟よりも安いとは俺は思いません。俺は俺が死んだとき、悲しむひとがいることを知っています。それを知っていながら死ぬ覚悟を持つ事を正しいことだとは思いません。オーフィスも爺さんも・・・・そんな覚悟を持つことを望んでいるとは思わない。だから俺は死なずに仲介役を果たす覚悟で臨んでいるんです。それでもオーディンさんからしたら・・・・これは安い覚悟ですか?」

 

「・・・・・・ふっ。なるほどの。確かにその覚悟を安いとは言えんの」

 

小さく微笑みを浮かべるオーディンさん。そして槍を下ろそうとしたその瞬間・・・・

 

「咲良、無事?」

 

勢いよく開くふすま。ふすまを開いたのは・・・・・・びしょ濡れで全裸のオーフィスだった。

 

「・・・・オーディン。咲良に何してる?」

 

突然現れたオーフィスに声をかけようとした俺であったが、それよりも先にオーフィスはオーディンを睨む。ものすっごくドス黒いオーラを纏ってるように見えるのはおそらく気のせいではない。

 

「オ、オーフィス、これはその色々あっての。決して咲良に危害を加えようとしていたわけでは・・・・」

 

「槍を咲良に向けてる。説得力皆無。我、オーディン殺す」

 

手をオーディンさんに向かってかざすオーフィス。オーディンさんはシャレにならないとばかりに冷や汗を流している。

 

「ちょ、待てオーフィス!俺は大丈夫だから!事情説明するから落ち着け!」

 

「わかった。じゃあオーディンを消したあとに話聞く」

 

「それじゃあ意味ないんですけど!?」

 

「後生じゃオーフィス!頼むから話を聞いてくれ!」

 

今にもオーディンさんを消そうとするオーフィスを、俺とオーディンさんは必死に説得するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「生きているって素晴らしい・・・・・・」

 

「まったく・・・・・何をしているんですかオーディン様」

 

疲れた表情で生の素晴らしさを実感するオーディンさんに、ロスヴァイセさんは呆れた様子を見せる。

 

あのあと、どうにかオーフィスを説得することができ、事なきを得た。まあ、それでもオーフィスは若干不機嫌になってしまったため、現在俺が頭を撫でてご機嫌とりをはかっているのだが。ちなみにちゃんと服は着せている。

 

「突然お風呂から飛び出して走り出したからどうしたのかと思ったら・・・・本当にオーフィスは咲良のことに関しては敏感にゃ」

 

苦笑いを浮かべながら言う黒歌。どうやらオーフィスは俺がオーディンさんに槍を突きつけられたのを感知して急いでお風呂を飛び出してやってきたらしい。まあ婚約者的にはものすごく嬉しいが・・・・危うくオーディンさんが召されるところだった。

 

「咲良の覚悟を試そうと思ったのにまさかこんなことになるとはの・・・・・というより、オーフィスの咲良に対する執着を甘く見ておった」

 

まあ、オーディンさんからしたら予想外だったんだろうな。ああなあ内容にわざわざ二人で話をしようとしてたわけだし。

 

オーディンさんが俺に槍を突き立てたのは、俺の覚悟を試すためのものだった。危険な和平の仲介役という任を果たすのに、俺が十分な覚悟を備えているのかをオーディンさんは知りたかったのだそうだ。まあ、そのおかげでオーディンさんは死にかけたわけだが・・・・もしここでオーディンさんが死んでたら絶対に和平に影響が出てただろうなぁ。

 

「というよりオーディン様、ああいうことをなさるなら事前に私に言っておいてください。そうすれば入浴中にオーフィスさんに話してこのような事態にもならなかったというのに」

 

「いや、話したらお前は止めるじゃろ?なにせお前は咲良を・・・・」

 

「オーディン様?」

 

「ごめんなさいなんでもないです」

 

ニコリとものすっごい黒い笑顔を浮かべるロスヴァイセさんを見て、オーディンさんは敬語で謝った。この光景だけ見たらロスヴァイセさんが本当にオーディンさんの付き人なのかどうか疑わしくなる。

 

「はあ・・・・これでは格好つけてあわよくば咲良の第二の祖父になるという計画が水の泡じゃの」

 

「このお爺さん、そんなこと考えてたのかにゃ・・・・」

 

「いや、だって咲良は儂からしたら孫のような存在だからの」

 

オーディンさん、そんな風に思ってくれてたのか・・・・嬉しいけど俺、神様にそんな風に思われるほど上等な存在じゃないんだけどなぁ。

 

それに・・・・

 

「オーディンさん、そういうふうに思ってくれるのは嬉しいですけど、俺にとって爺さんは『湊内伊槻』ただ一人です。ですから・・・・・ごめんなさい」

 

「そうか。まったく、こんないい孫を持てて伊槻は果報者だの。儂以上に破天荒なくせに」

 

確かに爺さんはありえないほどに破天荒だ。だけど、それでも爺さんは誰よりも優しく、思いやるがあるのも事実。だからこそ俺を拾って育ててくれて、多くのひとに会わせてくれたわけだしな。

 

「それはそうと咲良、お前さんの覚悟はしかと見せてもらった。和平の仲介役・・・・多くの神と縁を持つ咲良でも簡単にはいかぬかもしれぬ。じゃが、お前さんなら大丈夫じゃろう。儂等との和平の時にも色々と働いてもらうぞ」

 

「それって・・・・北欧の神々は三種族と和平を結ぶことに賛成ということですか?」

 

「確定ではないがの。前向きに検討はしておる。まあ、問題もあるがの・・・・ともかく、その時が来たら頼むぞ?」

 

「はい。わかりました」

 

三種族と北欧の神郡との和平か・・・・俺の最初の仕事になるかもしれない。出来るだけのことはしないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで咲良・・・・いつまでオーフィスを撫でておるのだ?」

 

「えっと・・・・オーフィスが満足するまで?」

 

「我、咲良にもっと撫でてもらいたい」

 

「長くなりそうじゃの・・・・」

 

 




哀れオーディンさん・・・・・フリとはいえ咲良さんに槍を突き付けたらそらオーフィスちゃん怒ります

まあ、咲良さんのために怒るオーフィスちゃんはやはりジャスティスですが

それでは次回もまたお楽しみに!
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