それでは本編どうぞ!
冥界入りした翌日、俺は魔王主催のパーティーの会場に来ていた。他種族との和平の仲介役を担っているので来賓として参加を促されたのだ。もちろん、オーフィスと黒歌も一緒に参加しており、白音も俺の護衛ということで行動を共にしている。もっとも、その二人は今食べ物と飲み物を取りに行ってくれているのだが。
にしても・・・・・爺さんからの勧めということもあり、一応参加してみたものの正直こういった場は初めてなのでどうにも落ち着かないな。場違い感が半端ない。
「咲良、どうかした?」
どうやら落ち着かなかったのがオーフィスにもわかったようで、尋ねてくる。
「あー・・・・・こういうのに慣れてなくてちょっとそわそわしちゃってな」
オーフィスの頭を撫でながら俺はそう返した。
なお、今のオーフィスはグレモリー家が用意してくれた黒を基調としたドレスを着ているのだが・・・・・ぶっちゃけ似合いすぎてて眼福にもほどがあった。パーティーには馴染めていないけれど、オーフィスのこの姿が見られただけでも来た価値があるというものだ。
ちなみに俺も一応礼服を着ているのだが・・・・・正直大して容姿がいい訳でもないと自負しているので似合っている気がしない。オーフィスや黒歌は似合っていると言ってくれたが、それは身内の色目が入ってるように思えてならない。
「咲良、オーフィス。食べ物と飲み物を持ってきたにゃ」
「大量です」
料理と飲み物を取りに行っていた黒歌と白音が戻ってきた。黒歌は飲み物の入ったグラスが乗ったトレイを手にしており、白音は料理が盛り付けられた皿を持っている・・・・・料理の量が異様に多い気がするが、そこは目をつぶろう。
それと、当然だが二人もドレス姿だ。二人共美女美少女らしくよく似合っているのだが・・・・・・姉妹にしてはプロポーションに差が・・・・・
「咲良先輩、今失礼なこと考えませんでしたか?」
「いやまったく」
ジト目を向けながら尋ねてくる白音に、俺は即答した。うん、やっぱりこんなこと考えるのは失礼だよな・・・・・ごめん白音。
「・・・・・まあいいです。それよりも早く食べましょう」
「そうね。はい、咲良」
「ありがとう黒歌・・・・ん?」
黒歌からグラスを受け取ったのだが・・・・・少々おかしな点に気がついた。他のグラスに比べて、俺のものだけほんの少しだけ飲み物の量が少なかったのだ。
「どうかしたかにゃ咲良?」
「いや・・・・なんでもない」
黒歌に対してそう返す俺。もしかして黒歌がちょっと飲んじゃったりしたのかなと思ったが、こんな飲み放題食べ放題みたいなパーティーでそんなことする意味がないし・・・・・まあ、たまたま少なかっただけなんだろうなきっと。
「咲良先輩、こちらもどうぞ。美味しいですよ・・・・・咲良先輩の料理には劣りますが」
「いやいや、それはさすがにないだろう」
白音が小皿によそってくれた料理を受け取りながら、俺は思わず苦笑いを浮かべそうになった。こんな上等なパーティーで一流食材を使い、一流の料理人が作ったであろう料理より俺の料理の方が美味しいだなんて・・・・
「そんなことないにゃ。これも美味しいけど、やっぱり私は咲良の料理が一番だわ」
「我も同じ。咲良の料理の方が我好き」
「マジかー」
白音の言葉に、黒歌もオーフィスも同意する。正直ここの料理を作ってくれた人には申し訳なく思うが、めちゃくちゃ嬉しい。
よし、こうなったら揃いも揃って嬉しいこと言ってくれた皆には家に帰ったらとびきりのご馳走作ってやらないとな。
「咲良、ちょっといい?」
料理を食べながらオーフィスたちと談笑していると、イッセーが声を掛けてきた。近くには当然のようにヴァーリもいる。
「なんだイッセー?」
「咲良に会わせたいひと(?)がいるからちょっと来て欲しいんだけど」
「あと、オーフィスもだな」
なんか『ひと』のところにハテナマークがついてた気がする・・・・・いや、厳密に言えばこの場に純粋な『人』は俺かどこかにいるであろう爺さんだけだろうから間違ってないのかもしれないが・・・・・・
「俺は別に構わないが・・・・・3人ともいいか?」
「咲良が行くなら我も行く」
「別に私たちに遠慮する必要はないにゃ」
「私も構いません」
オーフィス達に確認をとってみると、皆了承してくれた。
「よし、それじゃあ行くか。イッセー、ヴァーリ。案内してくれ」
「うん、こっちこっち」
イッセーとヴァーリに案内され、俺達が連れてこられたのはテラスであった。そこにいたのは・・・・・・巨大なドラゴンだ。
うん・・・・・確かにこれはハテナマークついても仕方ないかもしれない。
「タンニーン、久しい」
「そうだな、オーフィス」
どうやらこのドラゴンとオーフィスは顔なじみのようだ。というかタンニーンって・・・・
「黒歌、タンニーンって確か・・・・・」
「龍王の一角を担うドラゴンにゃ。今は悪魔に転生してるから正確には元龍王なんだけど」
こっそりと黒歌に聞いて確認を取る。
彼のことは爺さんから聞いて知っていた。ドラゴンでありながら悪魔に転生し、今では転生悪魔の中では最強クラスの最上級悪魔だとか・・・・・・これまたとんでもないひと・・・・もとい、ドラゴンが出てきたな。
「ふむ、お前が湊内咲良か?」
タンニーンさんの大きな目が俺に向けられる。
「はい。俺の事をご存知で?」
「ああ。伊槻から聞いている。あと、こいつに修行をつけてやった時にもな」
イッセーを指差しながらタンニーンさんは言う。イッセーが言ってた修行で戦ってたドラゴンってタンニーンさんだったのか・・・・・うん、そりゃ精神まいちゃっても仕方ないよな。
「あの伊槻の孫で多くの修羅神仏と交遊を持ち、その上オーフィスと婚約しているからどのようなバケモノなのかと思ったが・・・・・」
ああ、やっぱり俺ってそういう認識されてるのがデフォルトなのか。俺本当に至って普通の人間なのに・・・・というかイッセーはその辺り訂正してくれなかったのか?まああるいはそんな余裕がなかったのかもしれんが。
「まあ俺はこの通り到て普通の真人間ですよ。特別な力を持っているわけでもありませんし際立った長所があるわけでもない平凡な男です」
「「「「それはない」」」」
何故かイッセー、ヴァーリ、黒歌、白音に否定されてしまった。いやいやいや・・・・・俺本当に普通なんだけどなぁ。
「だがまあ、確かに何か大きな力を持っているわけではなさそうだ。てっきり伊槻並とはいかなくても俺以上の力を持っていると思っていたが」
「自慢じゃありませんが、俺戦闘においてはこのパーティー会場にいる誰よりも弱い自信があります」
そもそもオーフィスが言うには俺って戦闘の才能皆無らしいし。男の子としてちょっと泣きたい情けなさである。
「しかし、その一方で俺を目の前にしても一切平常心を失っていないことには感心する。お前の言う普通の人間など俺を目にしたら恐れおののくのが常であったからな」
「そのへんの感覚は爺さんのおかげで色々と耐性が付いてしまってるようで・・・そうでなくても胆力が異常だって言う奴はいますが。あと、オーフィス以外にもドラゴンの知り合いがいるのでタンニーンさんに対してはそれほど驚きはなかったというのもありますが」
「ほう?俺やオーフィス以外のドラゴンに知り合いがいるのか?」
「はい。クロウ・クルワッハっていうドラゴンなんですが・・・・・」
「「クロウ・クルワッハ!?」」
クロウさんの名前を出したら、タンニーンさんとヴァーリは異常に驚いてみせた。
「あの伝説の邪龍と知り合いとは恐れ入った・・・・・一体どうゆう仲なのだ?」
「どういうと言われても別に特別なことはありませんよ?たまたま知り合ってたまにうちにご飯を食べに来る程度なのだ」
「あと、我ともたまに戦う」
「・・・・・どう考えても普通はありえないのだが?」
説明したら何故か呆れられてしまった。どうしてだろうか?
「ふむ、つまり近い将来クロウ・クルワッハと会うことができるかもしれないということか。それはいいことを聞いたな」
「いいこと?どういうことだヴァーリ?」
「以前からクロウ・クルワッハとは戦ってみたいと思っていてね」
「ヴァーリ、事あるごとに言ってたもんね・・・・」
なるほど、そういえばヴァーリって結構な戦闘狂聞いたからなぁ・・・・・イッセーが苦笑いしてるし、相当なレベルなんだろう。
「クロウ、かなり強くなってる。今は全盛期の二天龍より強い」
「それはいいことを聞いた・・・・ますます戦うのが楽しみだ」
オーフィスの言葉でさらに高揚したのか、好戦的な笑みを浮かべるヴァーリ。全盛期の二天龍以上って多分今のヴァーリよりだいぶ強いってことだよな?それでも楽しみとか・・・・・・
「なあイッセー、俺余計な事言ったか?」
「かもね。まあ変に暴走しそうになったら私が止めるからそこは安心していいよ」
「そ、そうか」
それって暴走する可能性があるってことだよな?安心しきれないんだが・・・・・
「まあ、クロウ・クルワッハのことは一端置いておくとして・・・・・湊内咲良、お前に聞きたいことがある」
「なんですか?」
「お前は・・・・・オーフィスの事を心から愛しているか?」
いやに神妙な面持ちで尋ねてくるタンニーンさん。その真意は掴めないが、俺も真剣に答えた方が良さそうだ。
「はい。俺はオーフィスを愛してます」
「・・・・・過去に人と龍が交わったということは無くはない。だが、俺の知る限りはそのいずれも苦難と困難に妨げられていた。しかもお前が愛したオーフィスは最強のドラゴン・・・・龍神だ。お前が想像にもしない障害がこの先待ち受けているかもしれない。それでもお前はオーフィスを愛し通すことができるか?」
タンニーンさん・・・・・きっと俺の事を心配して言ってくれてるんだな。あったばかりだというのに・・・・・親切で優しいドラゴンだな。
なら、俺もちゃんと示さないとだな。
「関係ありませんよ。この先何があるとしても、俺はオーフィスを愛し続けます。この想いが変わることはありません」
「そうか・・・・・オーフィス、お前はどうだ?」
「我も同じ。咲良の事愛し続ける。ずっとずっと・・・・・永遠に、無限に我は咲良を愛する」
オーフィスもまた、俺を愛し続けると言ってくれた。ただ・・・・・その思いは、全て同じというわけではないが。
「ふむ・・・・・多少不安もあるが、それでも想いが本物であるということは十分に伝わった。すまなかったな、突然こんなことを聞いて。だが、一体のドラゴンとして人と龍神の交わりが気になってしまってな」
「いえ、タンニーンさんのお心遣いは嬉しいです。ありがとうございます」
「なに、礼を言うことはない。湊内咲良、そしてオーフィス・・・・・お前たちの行く末、見届けさせてもらうぞ」
ふっと笑みを浮かべ、タンニーンさんは俺とオーフィスに告げた。
俺たちの行く末を見届けてくれるドラゴンもいる。その事実は、妙に嬉しかった。
ドラゴン界随一の良心枠タンニーンさんマジ最高
まあ実際問題ドラゴンとしては咲良とオーフィスがどうなっていくのかは気になると思う
そしてオーフィスマジ可愛い(ネタ切れ感)
それでは次回もまたお楽しみに!