一人はアレですが…………
それでは本編どうぞ
タンニーンさんとの話を終えた俺達は、ある程度満腹になったこともあり、会場の隅の方で雑談に興じていた。まあ、小猫は一人だけまだ食べていたが・・・・毎度思うがすごい食欲だ。まあ、俺の料理とかも美味しそうに食べてくれるからいいのだけども。
「お?ツマンネーパーティだと思ってたがいい女がいるじゃねえか!」
雑談する俺達・・・・・いや、黒歌に声をかけるものがいた。それは少々野蛮にも見える外見の男の悪魔だ。
「・・・・・なにあんた?」
黒歌はあからさまに不機嫌そうに尋ねる。ここまで不機嫌な黒歌を見るのも初めてかもしれない。
「ちょっと付き合えよ。タノシイことしようぜ?」
「嫌よ。私そんなに暇じゃないの」
語尾にいつもの『にゃ』さえついてない・・・・これは相当怒ってるってことかな?しかもオーフィスも白音もこの男のこと睨んでるし・・・・・まあ、かく言う俺もあまりいい気分ではないがな。
「そう言うなよ。可愛がってやるからよ」
俺たちの気持ちなどお構いなしといった様子で、男は下卑た笑みを浮かべながら黒歌に向かって手を伸ばす。俺は黒歌と男の間に割り込み、その手を掴んだ。
「・・・・・あ?なんのつもりだクソガキ?」
「すみません、連れの女性がちょっかいをかけられてるのを黙って見ていられるほど物分りがいい人間ではないので」
「人間?お前人間かよ。だったらなおさら邪魔すんな。人間風情が悪魔様に逆らっていいと思ってんのか?」
人間風情、それに悪魔様・・・か。人間は所詮悪魔の糧ぐらいにしか思ってないんだろうなこいつは。まあ今はそんなことはいいけど。
「人間とか悪魔とかそんなのは関係ない・・・・・黒歌から離れてくれ。頼む」
「舐めた口聞いてんじゃねえよクソガキ!」
どうやら今ので男を完全に怒らせてしまったようで、男は俺の胸ぐらを掴む。今にも殴りかかってきそうだな勢いだが・・・・・それでも退けない。こんなやつに黒歌に手を出させたくない。たとえ殴られようとも俺は・・・・
「舐めた口・・・・それはあなたの方よ?」
「懲りないなゼファードル」
今まさに俺の事を殴ろうと拳を振り上げた男に、二人の男女が声を掛けて止めた。
「ちっ・・・・シークヴァイラにサイラオーグか」
二人を見た男は、忌々しそうに舌打ちした。というかシークヴァイラにサイラオーグ、それにゼファードル・・・・・なんか聞き覚えのある名前だな。確かリアス先輩やソーナ先輩と同じ有名な家柄の若手悪魔だっけか?
「ゼファードル、あなたが今ちょっかいをかけている相手は私達悪魔にとって大事なお客様。手荒なことをしないほうが身のためよ?」
「こんなガキが客だぁ?」
「そうだ。彼はあの伊槻の孫だそうだ」
「伊槻って・・・・湊内伊槻の!?」
爺さんの名前が出た瞬間、ゼファードルはあからさまに動揺してみせた。
「冗談じゃねぇ・・・・・あんなバケモノの身内と関わってたまるか!」
冷や汗を掻きながら、ゼファードルはそそくさとその場を去っていった。あの反応からして爺さん、ヤバげな意味で名前が広まってるようだな・・・・・まあ今回はそのおかげで助かったからいいけども。
「まったく、あいつは本当にどうしようもないわね・・・・・」
「すまなかったな。俺達の同期が失礼をした」
ゼファードルの素行に呆れるシークヴァイラさんと、俺に謝罪するサイラオーグさん。ゼファードルと同期ということらしいが、この時点で既に風格に差が見える。
「いえ、この通りなんともなかったので謝る必要は・・・・・」
「何を言ってるにゃ咲良!」
「え?」
何故か黒歌に怒鳴られてしまった。なんでだ?
「下手したら殴られてたかもしれないのよ?それなのになんともなかったの一言ですませて欲しくないにゃ!」
「・・・・無茶しすぎです咲良先輩」
「我、心配した」
どうやら3人に酷く心配をかけてしまったようだ。確かにあとになって考えてみれば危なかったかもしれない。オーフィスは俺の恋人だし、黒歌と白音は俺の護衛だから気が気でなかったのだろう。その気はなかったとはいえ、迷惑をかけてしまったな・・・・
「3人の言うとおりだわ。ゼファードルは気品の欠片もない、短気で野蛮で死んだほうがいいって思えるほどの男よ。私達が来なかったら本当に殴られていたかもしれないわよ?」
シークヴァイラさんにも咎められてしまった。というかこのひとゼファードルのこと嫌いなのか?死んだほうがいいって相当だぞ・・・・・
「確かに、あれは少々無茶が過ぎたかもしれないな。だが、俺はそんなお前の無茶を評価する」
「え?」
「伊槻からお前のことは聞いている。戦うための力も才能も一切備えていない非力な人間・・・・それが湊内咲良だと伊槻は言っていた」
爺さん・・・・事実だけどそんなにはっきり言わなくてもいいだろ。俺だって男なんだから結構傷つくぞ。
「だが、力はなくとも、誰が相手でも物怖じしない強い精神力の持ち主でもあると伊槻は言っていた。先程のゼファードルとのやりとりから、その一旦は伺い知れた。力がなくても真っ向から向き合うあの勇気は賞賛に値する。まったく、たいしたものだ」
「いや、それに関しては爺さんをはじめとしたその・・・・・言い方悪いですがやばい連中と付き合いがあるから感覚が麻痺しているというかなんというか・・・・別に精神力云々は関係ないかと」
正直もう、誰と会っても恐いとか感じそうにないんだよな本当に・・・・・なんかそれはそれで人間離れしてるようで不安になってくるが。
「そんなことない、咲良はすごい。我が保証する」
なぜかオーフィスが抱きしめながら否定してきた。今ので自分を卑下しているように捉えられてしまったのかな?
「・・・・そか、ありがとうオーフィス」
「ん」
ひとまずお礼を言いながら頭を撫でると、オーフィスは満足げに俺に擦り寄ってきた。やっぱり可愛い。
「あの
「婚約もしていると聞いたが、やはりお前は大物だな」
オーフィストのやり取りを、シークヴァイラさんは驚きながら、サイラオーグさんは笑いながら見ている。オーフィスの存在自体に驚いていないところを見ると、婚約の話とかはもう広まってるのかな?
「気に入った。お前とはじっくり話がしたいものだ。いずれバアル家に招待しよう・・・・・おっと、そういえばまだ名乗っていなかったな。俺はサイラオーグ・バアル。これでもバアル家の次期当主だ」
「私はシークヴァイラ・アガレス。アガレス家の次期当主で次期大公候補でもあるわ。他種族との和平の仲介役となるあなたとは今後も付き合いがあるでしょう。末永くよろしくね」
改めて自己紹介をしてくるサイラオーグさんとシークヴァイラさん。こうして家名まで出されるとやはり貫禄がすごいな・・・・サイラオーグさんは言ってないけどバアルって確か大王の血筋らしいし。
おっと、そんなことよりも俺も自己紹介しないと・・・・
「俺からも自己紹介させてもらいますね。俺は湊内咲良。ご存知のとおり湊内伊槻の孫で和平における仲介役を務めさせていただいております。不束者ですが以後よろしくお願いいたします。それと、爺さんに何かされたら言ってください。説教してやりますから」
「あの伊槻に・・・・」
「説教・・・・ですって?」
サイラオーグさんもシークヴァイラさんも、何故か戦慄し、表情を驚愕に染めた。一体どうしたというのだろうか?
「伊槻に説教とは・・・・・俺が思っている以上に大物なのかもしれないな」
「そうね。あの理不尽の塊、魔王様でさえ御しきれない伊槻に説教ができるなんて・・・・・・途轍もないわ」
「あの・・・・・爺さん一体何やらかしたんですか?」
これは真面目に気になる・・・・・魔王の居城に堂々と乗り込んだって話は聞いたが、この調子じゃほかにも色々とやらかしていそうだ。
「伊槻はやっぱりハチャメチャ」
「そうだな。もういっそすぐに見つけてこのパーティ会場の真ん中で土下座させたほうがいいかもしれないな」
「「おぉ・・・・・」」
爺さんを土下座させると言ったら、何故かサイラオーグさんとシークヴァイラさんが崇めるように感嘆の声を漏らす。
とりあえず爺さんの今度の夕食のメニューはタバスコ大量にかけた唐辛子の盛り合わせにしてやると心に決めた。
イチャイチャ成分が足りなくて申し訳ない(土下座)
にしても……イとも容易くコネ作るってやっぱりチートだ
そしてオーフィスちゃんの可愛さを全人類に知って欲しい(切実)
それでは次回もまたお楽しみ!