それでは本編どうぞ
「・・・・まじかー」
レーティング・ゲームの観戦中、俺はあまりの展開に声を出してしまった。周りを見てみると、全員(オーフィスを除く)呆れたような困惑したような表情をしている。あの爺さんでさえもだ。きっと俺も同じような表情をしているのだろう。
ゲームは俺の予想通り、制約ルールから力を発揮しきれないグレモリー眷属達が戦いづらそうにしていた。特にそれが顕著なのはイッセーとゼノヴィアだった。特にゼノヴィアの方は相手の策略に嵌ってしまい、割と早い段階で脱落してしまったようだしな。
そしてイッセーの方は、力を発揮しきれないとはいえ相当鍛えていたらしくシトリー眷属で同学年の匙を撃破していた。だが、匙は撃破はされていたものの、
そう、ここまでは良かったんだ。戦闘に置いて門外漢である俺でも見ごたえがあるゲームだと思うほどに。だが問題は・・・・・イッセーが発動させたあの技だ。
『
イッセーは女性ではあるが、女性の胸に対して並々ならぬ関心を持っている。そしてタンニーンさんとの辛い山篭り修行にて、おっぱいへの渇望極限まで高まってしまってこの技を編み出すに至ったそうだ。頭がおかしいのではないかと思う。これ、イッセーが女だからまだギリギリでセーフな気もするけど男だったか純然たる変態でしかない。
「あの・・・・・あれ、アリなんですか?」
「まあ・・・・正直微妙なところだな。頭の悪い技ではあるが効果は強力すぎる。下手すれば女相手なら封殺することも可能になるからな。今後使用制限がつく可能性がある」
アザゼルさんはニヤニヤと愉快そうに笑みを浮かべがらも俺に説明してくれた。まあ確かに、頭の悪い技ではあるが強力でもあるわな・・・・・・ほとんど読心術って言ってもいいし。
「ヴァーリ、お前は自分の嫁さんがあんな技を使うことに対して思うところはないのか?」
「あれは俺には到底想像もつかない技だ。そんな技を開発するとはさすがは俺のイッセーだな」
ダメだこいつ。イッセー贔屓が酷すぎてイッセーを讃えやがった。なんというか、こんなのを宿主にしてしまった今代の二天龍に結構真面目に同情する。
「・・・・・・」
「ん?どうしたオーフィス?」
何故か俺の方をじっと見つめてくるオーフィス。本当にどうしたんだ?
「咲良は我のことを愛してるって思ってる」
「へ?」
「咲良の胸の内を理解することぐらい我だってできる」
見事なまでのドヤ顔(傍目から見ると無表情)を披露するオーフィス。何故かイッセーの乳語翻訳に対抗意識を抱いてしまったようだ。まあ確かにそう思ってるけどさ。
「咲良も我の胸の内、わかる?」
「・・・・・俺の事愛してる?」
「正解。さすが咲良」
手を伸ばし、俺の頭を撫でてくるオーフィス。
うん・・・・・・もう可愛いからいっか。
「咲良、適当に投げ出さないで。周りのひとたち砂糖吐きそうな顔してるから」
俺の心情を察したように黒歌が言ってくる。砂糖吐きそうな顔って・・・・・どんな顔だよ。
それにしても・・・・・・
「あの、サーゼクスさん。聞いてもいいですか?」
「何かな?」
「このレーティング・ゲームって、その・・・・・そんなに大事なものなのでしょうか?」
言い方は悪いかもしれないが、正直俺には理解できなかった。グレモリー眷属もシトリー眷属も決死の思いで、覚悟で戦っている。特に顕著なのは匙だ。自分の命を削る勢いで戦っていた。だが、これはレーティング・『ゲーム』・・・・・そう、あくまでも『ゲーム』なのだ。命をかけた戦いとは違うものであるはずなのに、どうしてあそこまで必死なのかがどうしても俺には理解できなかった。
「彼らがあそこまで懸命に戦う理由が理解できないかな?」
「はい。その・・・・・すみません。戦ってる皆は真剣なのでしょうが俺は・・・・・」
「いいや、謝ることはないよ。いくら特殊な環境で育ったとしても君は戦いとは縁のない人間だ。理解できなくても無理はないし、理解できなかったとしても咎めるつもりはないよ」
サーゼクスさんはこの戦い・・・・・ゲームの重さを理解できていない俺を咎めることはなく、笑って許してくれた。
「このゲームは互いの夢を乗せたゲームなんだ。今戦っている彼らは、彼女たちは夢のために命をかけることを厭わない。だからあんなふうに決死の覚悟で戦っているのだよ」
「夢のために命を・・・・・」
サーゼクスさんから説明されたが・・・・・それでも俺は理解しきれなかった。
夢のために命をかける・・・・・それは素晴らしいことなのかもしれない。だが、夢というのは命あってのものだ。夢を叶えるためにその命を削るようなことをしてしまっては・・・・いずれどこかで後悔や哀しみが生まれてしまうような気がして・・・・・
周りを見てみると、誰ひとり疑問を抱いている様子はなかった。アザゼルさんもヴァーリも・・・・黒歌も爺さんも納得している様子だ。
やっぱり俺は、ここにいる皆とは根本からして違うのだろう。俺は戦士ではない。戦うことができない。戦いとはかけ離れている。だからこそ、戦っている者達の気持ちを理解しきれない。
それが正しいことなのか、間違ったことなのかはわからないが・・・・・・この中でただ一人そうだという事実が、少し俺に孤独感を与えた。
「・・・・・咲良、大丈夫?」
オーフィスが俺を見つめながら頭を撫でてくる。先程も撫でられたが、今のは少し違う。俺を心配して・・・・俺を慰めようとしてくれている。
「うん、大丈夫だよオーフィス。心配してくれてありがとう」
「咲良・・・・・咲良は咲良のままでいい」
「え?」
「戦えなくていい。戦いのことなんて何もわからなくていい。戦うひとの気持ちを理解できなくてもいい。咲良は今のままでいい・・・・・だから気にする必要はない」
本当に・・・・オーフィスは俺の胸の内を全て理解できているのだろう。理解して、その上で俺を肯定してくれている。俺を慰めてくれている。
「我は・・・・・我だけは咲良のこと理解してる。理解してあげられる。だから心細くならなくてもいい。寂しいって思わなくていい。咲良には我がいる」
「オーフィス・・・・そうだな。俺にはオーフィスがいる。だから・・・・・寂しくなんてないよ」
ギュッとオーフィスの体を抱きしめる。小さくて柔らかい体だけれど・・・・・それでもこの上ないほどの幸福感を感じる。とても暖かく・・・・・安心出来た。
そうだ、俺にはオーフィスがいるんだ。だからたとえ戦うひとたちの事を理解できなくとも構わない。オーフィスがいて、俺に寄り添ってくれるのだから。
ありがとう・・・・・オーフィス。
「さ、咲良・・・・・唐突の桃色空間やめて。不意打ちは耐えられないにゃ」
「我が孫ながらこんなところでイチャつくとは・・・・・」
「本当にラブラブじゃないですかヤダー・・・・・・」
なんか周りから色々と聞こえてくる気がするけど・・・・・まあ、あまり気にしないでおこう。
あの技からよもやこんな展開になろうとは・・・・・・・
咲良さんの胸の内を理解して寄り添おうとするオーフィスちゃんマジ良妻
それでは次回もまたお楽しみに!