とりあえず本編のほうをどうぞ
夏休みもあと二日。この日、俺は帰ってきた爺さんを居間で正座させていた。
「あ~・・・・・咲良?なんで俺は正座させられてるんだ?」
「なんでだと?オーフィスにいらんことを吹き込んでくれたりと最近結構やんちゃしてくれたから、なあなあになってたの含めて溜まりに溜まった分一気に精算するために説教しようと思ってな」
「・・・・マジかー」
「それ俺の口癖だぞ」
いや、口癖っていうほど言ってない気もするが・・・・・それはあまり気にしないでおこう。
「さて、覚悟はできたか爺さん?」
「や、やだなー咲良さん。あっしは決して悪気があってやってたのではございませんよ?あっしは咲良さんのためにと思ってオーフィスに色々と教えてたわけでして・・・・・」
俺に媚を売るよな口調で許しを請おうとしてくる爺さん。だが、そんな爺さんの態度は余計に俺をイラつかせるだけであった。
「爺さん・・・・・そろそろ始めようか?」
「・・・・・・はい」
観念したようにガックシと頭を下げる爺さん。さぁて・・・・・・・それじゃあこれまでの分、一気に説教させてもらいますか。
「おじいさ~ん、生きてるにゃ?」
「・・・・・・・」
「返事がない。ただの屍のようだ」
「・・・・・・・哀れすぎです」
一時間ほどして説教を終え、まるで死んだかのように倒れ伏す爺さんを指でつつくオーフィスと黒歌、そして白音。しかし、どうやら説教で精魂ともに尽き果てたようで爺さんからの反応はなかった。
「私も咲良の説教を受けたことはあるけど・・・・・・今回はあの時の比じゃないわね。本当に恐ろしかったにゃ」
「咲良先輩の説教・・・・・・恐ろしすぎます」
「我でもあれを受けたら伊槻と同じようになってたと思う」
俺の説教の恐ろしさに戦慄している3人。それだけ恐ろしいのなら効果はあるのだろうけども、3人にそういわれると何とも複雑な気分である。
「安心しろオーフィス。あのレベルの説教をするのは爺さんに対してだけだ。そもそも、俺はオーフィスには説教するつもり一切ないし」
「贔屓にゃ」
「贔屓ですね」
贔屓結構。オーフィスは俺にとって特別なんだからな。
「本当に?本当に我にはしない?」
「ああ。本当だとも」
「それならよかった」
安心したようで、俺にすり寄ってくるオーフィス。今日も俺の恋人は可愛いなぁ。
「咲良、ちなみに私には・・・・・・・」
「(時と場合によるけど基本的には)しないよ」
「何か今見逃しきれない前置きがあったような気がするにゃ」
おっと、鋭いな黒歌。
「普段の行いの差です姉さま」
「否定しきれないのが辛い・・・・・・・」
白音に突っ込まれ、肩を落とす黒歌。だがまあ、安心しろ。よほどのことをしでかさない限りはあんな説教はしない。あれ俺も結構疲れるし。
「・・・・・・あの、咲良さん」
あ、爺さん復活した。思ったよりも早かったな。
「なんだ爺さん?」
「いえ、咲良さんのお耳に入れなければならないお話があるのですが・・・・・」
爺さんがやけにへりくだった態度で俺に声をかけてきた。
「話?なんだ?」
「いえ、その・・・・・話す前に一つお願いがありまして。どうか何を聞いても説教しないと約束していただけないでしょうか?」
念を押すほどに説教が嫌なのは当然なのだろうからまあ置いておくとして、わざわざ先に言っておくということは・・・・・・
「それは俺に説教される可能性があることを話そうとしてるってことでいいか?」
「いや、あの・・・・・・場合によっては?」
「爺さん、あんたな・・・・・・」
もうここまでくると呆れや怒りを通り越して感心するレベルだ。
「とりあえず言ってみてくれ。説教するかどうかはその時考える。あと違和感凄いいから口調戻してくれ」
俺としても別に説教したいとは思わないが・・・・・・・やはりそこは内容次第だからな。
「いや、まあそのなんだ・・・・・・・この家に同居人が数人増えることになってな」
同居人?
「それって白音みたいな咲良の護衛ってことかにゃ?」
「まあそういうことになる」
俺の護衛ねぇ・・・・・・・また随分と急な話だ。説教されるかもしれないと思ったのは、それが俺が知らない間に決まったことだからだろう。ただまあ、そのこと自体で説教することはさすがにしないけども。
ただ・・・・・今だって俺の傍にはオーフィスに黒歌、白音が居るっていうのにどうしてさらに増やすことになったんだ?
「爺さん、護衛自体はまだいいとして、俺の傍にはこの3人がいるんだぞ?どうしてそこからまたさらに増えるって話になってるんだ?」
「・・・・・・北欧の神話群との和平会談が近いうちに行われることになった」
「北欧?それってオーディンさんの・・・・・・」
「そうだ。その会談で咲良には一仕事してもらうんだが、向こうにはどうも和平に反対な奴が少なからずいるようでな」
「そいつらが咲良先輩の命を狙う可能性がある・・・・・・・ということですか?」
「ああ。だから念のため護衛を増やすってことになった。北欧の神の中には厄介なのもいるからな。護衛は多いに超したことはないってことだ」
なるほど、それで護衛が増えるってことか・・・・・・・急なことだが事情が事情だし仕方がないのだろう。むしろ俺なんかのために人手を割かせてしまって申し訳なく思ってしまう。
「それでその・・・・・咲良、説教の方は・・・・・・・」
「いや、さすがにそれを聞いて説教しようとするほど俺も鬼じゃないから。むしろ感謝しかないよ。護衛の話、爺さんが俺のために取り付けてくれたんだろ?ありがとうな」
「・・・・・・ああ。まあ、お前は俺にとって唯一の肉親だからな。それぐらい当然だ」
どこか照れくさそうに頬を掻きながら言う爺さん。普段なら年甲斐もなくとか言ってるところだが・・・・・・・・まあ今はやめておくか。
「ところでお爺さん、護衛って誰が来るにゃ?」
「ああ、護衛は悪魔、天使、堕天使が一人づつ来ることになってる」
「3種族からそれぞれって・・・・・・随分とまた変わった共同生活になりそうだ」
「咲良先輩、それについてはオーフィスとずっと以前から一緒に住んでたことを考えると今更です」
「確かにそうにゃ」
「我、一番咲良との付き合い長い」
一番付き合いが長いことを誇らしげに言うオーフィス。確かに、しょっちゅう爺さんが家を空けることがあったから、実質一番付き合いが長いのはオーフィスかもしれないな。
「ともかく、三種族からそれぞれ一人づつうちに来るってことだな。爺さん、それっていつからだ?」
「明日からだ。学校に始まる前に荷ほどきしたいそうだからな」
ん?学校?
「もしかして、その3人って駒王学園に通うのか?」
「そりゃまあ、お前の護衛なんだから、学校でも一緒にいれた方がいいだろ」
「確かにそうだけど・・・・・・となると色々と準備しておかないとな。俺ちょっと買い物行ってくる」
「これは明日はご馳走を期待できそうね♪」
「楽しみです」
準備と聞いて、歓迎のための料理を思い浮かべたであろう黒歌と白音はあからさまに嬉しそうにしている。こういうところは姉妹らしいんだよなこの2人は。
「買い物行くのは構わんが、行くならちゃんと3人も連れて行けよ?さっきも言った通り北欧の連中がお前を狙ってるかもしれないんだからな」
「そりゃ当然私たちもついていくけど、そういうお爺さんはどうするにゃ?」
「俺はやることがあるから一緒には行けん。北欧との会談が始まるまではまた留守にするしな」
「随分と爺さんもあわただしいな」
「これでも会談では咲良と同じぐらい重要なポジションについてるんでな」
まあ、爺さんはいろんな方面に顔が利くから和平となると忙しいのも当然か。
「結界があるからあまり意味はないが、一応の戸締りとかはやっておくからお前たちは買い物に行ってくるといい」
「わかった。それじゃあ行こうか」
戸締りを爺さんに任せて、俺はオーフィスと黒歌、白音を連れて買い物に向かった。
咲良さんの説教はこの世界で最強である伊槻お爺さんをも屈服させます。マジで恐ろしい・・・・・・・
そして増える同居人に関しては・・・・・まあ、そこまで難しい人選ではないので予想してみてください
そしてオーフィスちゃん・・・・・・・・マジサイコーに可愛い
それでは次回もまたお楽しみに!