愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

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長らく放置した挙句、また特別篇で申し訳ありません

今回はサブタイ通り餅つきのお話です

いつもより糖度低めのほのぼの(?)系となっております

それではどうぞ


特別篇 湊内家の餅つき

 

「行くぞオーフィス。準備はいいか?」

 

「いつでも」

 

「それじゃあ・・・・・・せーの!」

 

俺の合図とと共に、オーフィスは杵を振り下ろしもち米を叩く。そして杵を持ち上げると同時に、俺はもち米をかえし、またオーフィスが杵で餅をつく。

年が明けた翌々日。俺達は現在、庭で餅つきをしていた。今では行う家庭も減ってきているそうだが、我が家では毎年の恒例行事となっている。

 

「よし、こんなもんかな?もういいぞオーフィス。お疲れ様」

 

「我、頑張った」

 

「うん。おかげで今年もいい餅ができた」

 

無表情ながらどこか誇らしげに言うオーフィス。本当なら頭を撫でてやりたいのだが、餅をかえしていた手で撫でるわけにもいかないので、手を洗うまでは我慢しよう。

 

「咲良―。おろし醤油と生姜醤油持ってきたにゃん」

 

「こちらは黒蜜きな粉とあんこです」

 

「俺は酒を持ってきたぞー」

 

台所の方から姿を現す黒歌と白音、そして爺さん。3人には餅をすぐに食べられるように準備をしてもらっていた・・・・・・もっとも、約一名関係ないものを持ってきているが。

 

「ありがとう黒歌、白音」

 

「あれ?俺には礼はないのか?」

 

「明らかに餅に関係ないものを持ってきた奴に礼があると思ってるのかよ?」

 

黒歌と白音はちゃんと餅に合うものを持ってきたというのにこの爺さんは・・・・・・

 

「なんだと!?餅を肴に飲む酒は美味いんだぞ!なあ黒歌?」

 

「否定はしないけど・・・・・・私とお爺さん以外は未成年なんだから普通はわからないと思うにゃ」

 

「大丈夫だ。咲良は飲めるもんな?」

 

「未成年に堂々と勧めるな。確かに多少なら飲めるが今日は飲まないぞ」

 

昔からことあるごとに爺さんに勧められて多少は酒を飲むことはできるが・・・・・・さすがに未成年である手前積極的には飲みたくない。実際、今日は飲む気分ではないので飲まないが。

 

「そうか、まあ無理してまで飲ませる気はないが・・・・・・それじゃあ俺達大人は酒と餅を楽しむとしようか黒歌。ほれ」

 

「ありがとにゃん」

 

爺さんから酒の入ったお猪口を渡される黒歌。先ほどは呆れていたようだが、やはり酒は飲みたいらしい。

 

「咲良先輩、もう食べてもいいですか?」

 

一刻も早く食べたいと言った様子の白音が、餅を見つめながら俺に尋ねてくる。食欲旺盛な白音をこれ以上待たせるのはさすがに酷だろう。

 

「ああ、いいぞ。すまんな茶番に付き合わせて。冷めないうちに食べちゃおう。オーフィスもいっぱい食べな」

 

「我、いっぱい食べる」

 

食べやすい大きさに餅をちぎり、皿に乗せていく。その餅を、各々の好きな食べ方で食べていった。

 

「うん、柔らかいけど弾力があって美味しいにゃ」

 

「はい。やっぱりつきたては違います」

 

「毎年これが楽しみなんだよなぁ。咲良とオーフィスが作った餅は市販の奴とは比べ物にならないぐらい美味いからな」

 

「当然。我と咲良の共同作業で作ったものが美味しくないはずがない」

 

「そうだな。今年は特にうまくできた自信があるしな」

 

美味しそうに餅を食べる3人を見て思わず笑みがこぼれる俺とオーフィス(オーフィスはぱっと見、表情には出てないように見えるが)。まあ、今回は婚約してから初めての餅つきだし、それで例年よりもうまくできたっていうのがあるのかもしれない。

 

「だけどまあ、正直はじめ餅をついてる二人を見た時は色々と驚いたにゃん。オーフィスが杵で餅をついて咲良がかえすって・・・・・・」

 

黒歌の言いたいことはわかる。見た目幼女と男である俺・・・・・・普通であれば役割が逆であるように思えるだろう。まあ、一般的にそもそも幼女が餅つきに参加するということが珍しいのだろうが、それでも普通なら杵を持つのが俺であるはずだろう。だが、我が家にある杵は本格的なものであり、なかなかの重量がある。俺でも持つことはできるのだが、上手くつくにはパワー不足なのだ。その結果、龍神であるため俺よりも遥かに力のあるオーフィスがつく役をしているというわけだ。若干悲しくなるが、上手く作るためには致し方ない。

 

「役割に関してもそうですけど、私はあの速さに驚きました」

 

「あー・・・・・・わかるわ。ちょっと前にテレビで見た超高速餅つきに負けないぐらい速かったわよね。むしろあれよりも速いかった気がするにゃ」

 

黒歌が言ってるのは、この時期恒例の特番でやっているプロの餅つきの事だろう。確かにあれを見た時は速いなぁとは思ったが、どうやら俺とオーフィスの餅つきはそれ以上のスピードだったらしい。

 

「まあ、この二人は息ぴったりだからな。どれだけ早くてもタイミングがずれるなんてことは無いだろう。おかげで俺が餅つきに参加する機会は完全になくなったからなぁ」

 

「爺さんとの餅つきも別にやりづらかったわけじゃなかったけどな。ただ、オーフィスとやった方が息があるのは確かだな」

 

「我と咲良は一心同体。あれぐらい容易」

 

「それにしたってアレは速すぎます・・・・・・咲良先輩に至っては人間の反応速度超えてる気がしますし」

 

「たびたび思うけど、咲良ってオーフィスが関わると明らかに能力が上がるのよね・・・・・・」

 

どこか呆れた様子で言う黒歌と白音。俺としてはそんなことは無いと思うのだが。ただオーフィスに合わせているだけだし。

 

「まあ、おかげでこうして美味しいお餅を食べられてるからいいんだけど。やっぱりお餅にはおろし醤油が一番ね」

 

「私は黒蜜きな粉が好きです」

 

「我はあんこが一番」

 

「俺は生姜醤油だな。ちょっと辛いけどそれがいいんだ」

 

「確かにそれもうまいよなぁ。だけど俺はやっぱりアレだなぁ」

 

各々好きな食べ方を語る中、爺さんが俺の方をちらっと見てきた。

 

「豚汁だろ?ちゃんと作ってそこで温めてあるよ」

 

「さすが咲良、わかってるなぁ!」

 

喜々として用意していた豚汁をお椀によそい始める爺さん。本当にこれ好きだよなぁ。まあ、俺も好きだけど。

 

「豚汁にお餅ですか?お雑煮ならわかりますけど・・・・・・」

 

「それって美味しいにゃ」

 

「うまいよ。身体もあったまるしな」

 

「我も好き。つきたてのお餅に合う。二人も食べてみればわかる」

 

オーフィスに促され、黒歌と白音も豚汁に餅を入れる。

 

「これは・・・・・・確かに美味しいにゃ」

 

「お雑煮とは違う感じですが、私もこれは好きです」

 

「だろ?これで酒を飲むのもまた格別なんだよなぁ」

 

「豚汁飲みながら酒飲むってあまり聞かないけどな」

 

まあ、本人が合うと言っているなら構わないが。好きなように食べて漫喫してくれればいい。

 

「って、おお・・・・・・もうないのか」

 

皆が結構な勢いで食べ続けているためか、餅が尽きてしまった。まあ、今年は黒歌や白音もいるから無くなるのが早いのも仕方がないか。

 

「よし、それじゃあ2回目行きますか。どうせなら黒歌と白音もやってみるか?」

 

「そうね・・・・・・いつもなら面倒くさいって言ってるところだけど、白音と一緒ならやってみたいにゃ」

 

「では姉様はかえすのをお願いします。私が杵でつきますから」

 

どうやら二人共やる気になってくれているらしい。これは正直助かった。今年は和平の事もあって各方面にも贈るとか爺さんが言いだしたから、例年の倍以上つかなきゃいけなくなっている。少しでも負担が減るのはありがたい。

 

「大丈夫だとは思うけど・・・・・・白音、私の手も一緒についたりしないでね?」

 

「・・・・・・はい」

 

「なんか今見逃しきれない間があったにゃ!?」

 

「すみません。初めての事であまり自信が無くて」

 

「まあ、コツとかは俺とオーフィスが教えるからあまり気負わずにやればいいさ。爺さんも今日はたくさん作るんだから手伝ってくれよ?」

 

「うへぇ・・・・・・まあ、各方面に贈るとか言い出したの俺だし、やってやりますか」

 

「我も。もっと咲良とお餅つく」

 

「ああ。たくさん作ろうなオーフィス」

 

こうして、俺達はできたてのお餅を味わいながら、餅つきを続けていくのだった。




以上で、湊内家の餅つき風景となります

他にも正月らしいネタがある中餅つきになったのは作者の家では毎年餅つきをしているからです

少しでも楽しんでいただけたら幸いですが・・・・・・

それではこれにて失礼

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