愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

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今回は咲良さんと曹操さんの会話がメインです

正直曹操さんの口調これでいいか不安だけどね・・・・

それでは本編どうぞ




英雄とは色を好んでこそである

「やっぱりここだったか」

 

四人での賑やかな食事を終え、食器を洗い終わった俺は縁側に座っていた曹操に声をかけた。ちなみに、オーフィスと黒歌は二人で風呂に入っている。

 

「お前、うちに来るたびに庭眺めてるよな」

 

「ああ。この庭は趣があって見ごたえがあるからな。酒の肴にはぴったりだ。君もどうだ?」

 

そう言いながら曹操は傍らに置いてあった瓢箪を手に取り、逆の手に持っていた杯に酒を注いで俺につき出してきた。

 

「未成年者に酒勧めるなよ。というかお前成人してたか?」

 

「ふっ」

 

「笑って誤魔化すなよ・・・・ったく」

 

俺は杯を受け取り、曹操の隣に腰を下ろしながら酒を飲んだ。

 

「文句を言う割には飲むんだな」

 

「その手の悪い遊びは爺さんに教わって慣れてるんでな。にしてもこの酒強くないか?」

 

「伊槻にもらったものだからな。多少は強いだろうな」

 

「爺さんからもらった酒かよ・・・・どうりで」

 

あの爺さんとんでもねぇ酒豪だからな。とにかくキツイ酒ばっか飲みやがる・・・・・そのうち肝臓ぶっ壊れんじゃないかって思う。

 

「にしても、そんなにうちの庭が気に入ってるのか?」

 

「さっきも言ったが酒の肴にぴったりなほど趣があるからな。君が手入れしているのか?」

 

「俺とオーフィスの二人でだよ。オーフィス、結構そっちのセンスあるからな」

 

正直、庭の手入れに関しては俺より上だと思う。

 

「ゲームに庭の手入れが得意な龍神、か。世の神々が聞いたら目を丸くして驚きそうだな」

 

「ははっ。確かにな。でもいいじゃないか。誰かが困るわけでもないしな」

 

「まあ、そうだな。それはそうとして、君も中々隅におけないじゃないか」

 

「は?どういう意味だ?」

 

突然の話題転換。曹操の言ってることの意味が分からず、俺は首を傾げた。

 

「黒歌のことだ。オーフィスという最愛がいながらタイプの違う女も侍らせるとはやるじゃないか」

 

「黒歌は事情があってうちに住んでもらってるだけで別にそういう関係じゃないよ。あんまりからかうなよ」

 

「はははっ、からかってなんていないさ。ただ、英雄色を好むという言葉もあるし、君にはやはり英雄派に来てもらいたいと思っただけだ」

 

「こじつけにも程があるだろ・・・・・」

 

曹操のあまりの言い分に俺は呆れ返ってしまう。何度も断ってるのに、コイツはまだ俺を英雄派に引き入れようとしてるのか。

 

「というか英雄色を好むっ言ったけどあれは・・・・・」

 

「色とは風情、情緒、趣をさし、それらを好むということは世界を好み、己の見聞を広めること・・・・・だろ?」

 

俺が言おうとしていたことを、曹操は自慢げに先に言った。

 

「俺も伊槻に聞いた。今の俺にとっては格言に近いものだ。伊槻のその言葉のおかげで、俺は世界に目を向け、以前の自己満足だけの英雄観から脱することができたのだからな」

 

「そっか。それはなによりだ」

 

この言葉に関して言えば、俺は素直に爺さんに感心した。色とは色欲だけではない。世界を華やかにする風情や情緒、趣もまた色であり、そういったものを好んでこそ英雄・・・・・それには俺も感銘を受けた。曹操も同じように感じるものがあったからこそ、そういったものを求め、真の英雄らしい心構えを身につけたのだろう。

 

もっとも、爺さんは色欲に関しても相当だけど・・・・

 

「でもまあ、それを知ってた上でさっきの言ってたとするとタチが悪いぞ?」

 

「英雄たるもの、小粋な冗談の一つも言えなければな。頭の固い英雄など誰も憧れを抱かないだろう?」

 

「冗談とかよく言う・・・・俺の返答しだいじゃガチで英雄派に入れようとしてただろうが」

 

「さて?どうだろうな?」

 

わざとらしくとぼける曹操。まあ、こういう気質もまた、英雄には必要なのかもしれないな。

 

「にしても、曹操って本当に爺さんの影響受けまくってるよな」

 

「当然さ。なにせ伊槻ほど英雄らしい英雄は他にはいないからな。強く聡明で、冷静でありながら柔軟な発想力も兼ね備えた人格者・・・・・俺は彼のような英雄になりたいと思うよ」

 

随分とまあ爺さんのこと高く買ってやがるな曹操・・・・・・言ってることは間違ってはいないだろうが、俺の場合は爺さんの余計な遊び心(主にオーフィスに吹き込んだいらんこと)には結構ガチ目にうんざりしてるところもあるから勘弁して欲しいんだがな。

 

・・・・・なんか思い出したらムカムカしてきたな。今度説教してやろう。

 

「というか、爺さんから酒もらったってことは最近会ったってことか?」

 

「ん?ああ・・・・・一週間ほど前にな」

 

返事を返す曹操。そして、何かを考え込むかのような表情を浮かべた。

 

「どうした?」

 

「・・・・・俺が今日ここに来たのは、君の料理を食べたいからというのもあるが・・・・一番の理由は伊槻の予言にあるんだ」

 

「爺さんの予言・・・・だと?」

 

それを聞いて、俺は多少なりとも驚いた。というのも、爺さんはたまに予言めいたことを口にするのだが、その的中率が異様に高いのだ。

 

たまに予言と違うことが起きることもあるが、それでも大筋から外れることはなく、予想や状況からの推理では片付けられないほどに正確だ。そしてその予言は、大事であることが多い。

 

「爺さんはなんて言ってた?」

 

「『もうすぐ駒王町を中心にして今後の世界の有り様を変えるほどの事が連続して引き起こされる。英雄を志すのなら、それを間近で見るといい』・・・・・伊槻は俺にそう告げた」

 

「この町を中心に?確かにこの町は少し特殊だけど・・・・・世界の有り様を変えるほどの事って一体・・・・・?」

 

「それについての詳細に関しては伊槻は話してくれなかった。けれど、伊槻の言うことだから何かが起きるというのは間違いないだろう」

 

早々の言うとおりだろうなだろうな・・・・・爺さんの予言が完璧に外れるだなんてことまずないだろうし、世界を変える程の何かは必ず起きるだろう。それがなんなのかはまったく見当もつかないが。

 

「俺は伊槻の言葉を信じて、それを見届けようと思っている。この家に来たのは、しばらくの間この街に滞在する時間が長くなりそうだったから君に挨拶しておきたくてね」

 

「なるほど。今後この家にくる頻度も多くなるかもしれないからよろしくってことか」

 

「まあそんなところだ。それと、君も何らかの形で巻き込まれる可能性もあると思ってね。なにせ君にはオーフィスを筆頭に異端な知り合いが多いからな。昨日からこの家で暮らし始めたという黒歌のことも含めて」

 

それについては否定しない。というよりできない。神様やらドラゴンにも知り合いいるからなぁ・・・・・世界を変えることが起きるって言うなら、そいつらも何らかの関わりを持つかもしれないし、俺も巻き込まれてしまうかもしれない。

 

「あんまり大事に巻き込まれるのは勘弁なんだけど・・・・・」

 

「それは諦めたほうがいいと思うぞ?血の繋がりはないとはいえ、あの伊槻を祖父に持ってしまっているのだからな。そもそも君は自分が自覚していないだけで、すでに様々な大事に関わっているだろう」

 

もっともすぎて反論の余地がない・・・・・あんな世界トップクラスのバケモノで、いろんなことに首つっこみまくってる爺さんの身内なんだから、巻き込まれる可能性は高い。というか曹操の言うとおり俺が知らないだけど多分すでに色んなことに巻き込まれてる。

 

「まあ、あまり心配することはないだろうがな。君には世界最強の龍神や世界一の英雄である伊槻がついている。俺ももしもの時は君に力を貸すし、俺の他にもそういった考えをもつ者達は多いはずだ。巻き込まれたとしても、命を脅かすような危機に直面する機会は滅多にないだろう」

 

「確かに、頼もしさは半端ないな・・・・・もっとも、オーフィスにはあまり荒事に関わって欲しくはないんだが」

 

「オーフィスが一番傷つく可能性が低いと思うんだが?」

 

「だとしても、好きな子には平穏無事でいてもらいたいんだよ」

 

いざという時は仕方ないにしても、普段はなるべく荒事から離れて、平穏な日常を過ごしてもらいたいからな。その隣に俺がいれば、もう言うことなしだ。

 

「ふっ・・・・かつて君ほどオーフィスを案じ、心を寄せた人間はいなかっただろうな。逆に君ほどオーフィスに想いを寄せられた人間もまた・・・・・・」

 

「それが俺にはわからないんだよなぁ。オーフィスは確かに特別な存在かもしれないけど、そこまでとっつきにくいわけでもないと思うが?」

 

「そう思っているのなら、やはり君は英雄気質なのかもしれないな」

 

「は?」

 

いやいやいや、どういうことだよ?なんでそこで俺が英雄気質だって話が出てくるんだ?

 

「さて、俺はそろそろ失礼させてもらおう」

 

曹操は瓢箪と杯を片付け、立ち上がりながら言う。

 

「泊まってかないのか?」

 

「やめておく。宿泊先は既に確保しているし・・・・・何よりオーフィスに睨まれそうだからね」

 

「はははっ。それは否定しないけどな」

 

無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)に睨まれる、か。人によっては恐ろしい限りだろうな。

 

「近いうちにまた来る。またな咲良」

 

「ああ。またな」

 

俺に背を向け、手を振りながら曹操は玄関口に向かっていった。

 

「あらん?曹操は帰ったのかにゃ?」

 

声のする方に振り返ると、そこにはお風呂上がりのオーフィスと黒歌がいた。なお、オーフィスは昨日と違ってちゃんとパジャマを着ている。昨日の(黒歌への)説教と曹操が来ていたというのもあってさすがに昨日みたいな着こなしはやめておいたようだ。

 

「ああ。ただ、しばらくこの町にいる時間が長くなりそうだから、ちょくちょく来るってさ」

 

「別に来なくてもいい」

 

うわぁ・・・・いっそ清々しいほどに辛辣だなオーフィス。

 

「ところで咲良、曹操と男同士で何を話していたにゃん?」

 

「ん?まあちょっとな・・・・・」

 

「男同士で内緒の話?これは怪しい香りがするにゃ」

 

「黒歌、明日から昼食は弁当作るんだけど、黒歌の分は赤白反転の日の丸弁当でいいか?」

 

「ごめんなさい勘弁してください」

 

さすがに梅干で埋め尽くされた弁当は嫌なようで、黒歌は速攻で謝ってきた。

 

「・・・・我にも内緒?」

 

「まあ、今回はな」

 

話の内容が内容だからなぁ・・・・・難しいかもしれないけどオーフィスにはあまり関わって欲しくないし、やっぱり内緒かな。

 

「むー・・・・・」

 

内緒にされたのが気に障ってしまったのか、オーフィスは頬を膨らませて怒っていた。その仕草はただただ可愛いとしか思えない。

 

「わかった・・・・・内緒なら仕方ない。だけどただでは許さない」

 

「ただでは・・・・・っていうと条件ありってことか」

 

「うん。今日、我と一緒に寝てもらう」

 

おっと、そうきたか。今日は一緒に寝ないってことになってたんだがな・・・・

 

「一応聞くが、それって週三の中には・・・・」

 

「含まない」

 

ですよねー。でも、こうなったらオーフィス引かないからなぁ・・・・

 

「わかったよ。今日一緒に寝るよ」

 

「うん、それでいい」

 

俺が観念してオーフィスの要求を飲むと、オーフィスは満足げに微笑んだ。

 

「それじゃあ我、先に咲良の布団の中で待ってる。咲良は早くお風呂に入る」

 

そう言ってオーフィスはその場を去っていった。

 

「咲良、からかうとかそういうの一切抜きで聞くけど、好きな子が自分の布団で待っててくれるってどんな気分にゃ?」

 

「最高」

 

「うん、だよね」

 

だって好きな子が、自分の布団の中で待っててくれてるんだぞ?まだかまだかって待ち構えてるんだよ?最高以外なにものでもないじゃん。

 

「それじゃあ俺お風呂入ってくるか」

 

「はーい。行ってらっしゃい」

 

黒歌に見送られ、俺はお風呂に入りに行くのだった。

 

 

 




曹操さんは伊槻さんのことを理想の英雄だと思っています

ある意味では、本作中で伊槻さんの影響を最も受けているのが曹操さんですので

それはそうとして、難癖つけて咲良さんと一緒に寝ようとするオーフィスちゃんめっさ可愛い

それでは次回もまたお楽しみに!
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