ソードアート・オンライン~知られざる天才剣士~ 作:モフノリ
妖精の国へ
目を開けたレインの視界に広がったのは無機質な白い壁だった。
囚われていた組織の部屋を彷彿とされるその壁はレインの四方を取り囲み、窓もドアもないせいでかなり圧迫感がある。
一辺が十メートルもない真っ白な部屋に佇む黒は異様に目立っている。
レインは自分が寝ているのではなく、立っていることを疑問に思う。
現実世界に戻ったのであれば、ベッドで目を覚まし、頭にはナーブギアがはめられているはずだ。
そして、着ている服がアインクラッドで着ていた服だということに気がついたレインは盛大に顔をしかめる。
この異質な部屋と自分の着ている服などこの事を考えるに、ここはまだ仮想世界ということになのだろう。
試しに右手を降ってみる
しかし、すでに見慣れたウィンドウが出てくることはなかった。
一体どういう事なのだろうか。
先ほど、崩れゆく世界のまえで茅場晶彦は、じきに目覚めるの言っていた。
目覚める前にこの部屋には来るものなのだろうか。
にしては、世界観が違いすぎる気がしなくもない。
あれほどの世界を作り上げた男が、最後の最後にこれほどにもしらけてしまうようなことをするだろうか。
いや、彼はしないだろう。
でなければ、最後にあんな場所で会話をするとは思えない。
レインはなんとなく嫌な予感がし、立ったまま眉をひそめた。
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「君が手に入って僕は幸運だったよ。異邦人なんて最高の研究材料じゃないか」
にやりと醜い笑顔をさらして妖精王は言う。
「今僕らが君にできるのはこの世界のGM、オベイロンから君への干渉を遮断することと、君の知り合いのところに転移させることだけだ。これだけ遅くなったのにこの世界から助け出せなくてすまない」
現実世界から仮想世界にいる自分を助けようとしてくれている男がすまなさそうな顔をする。
「お前は無茶をしすぎだ!少しは俺を頼れ!」
違う仮想世界で共に戦った少年が怒る。
「私にはあなたの心を癒すことはできませんが、せめて寄り添わせてもらえないでしょうか?」
彼女に似た小さな少女が優しく微笑む。
レインは死ぬ事はない仮想世界で現実世界と同じ痛みを感じながらも恐れることなく剣を振るう。
己がこの世界から脱出するために。
囚われている人達を救うために。
自分の代わりに囚われた少女を救うために。
堕ちた黒い妖精の戦いが始まる。
-------------To be continued-----------