ソードアート・オンライン~知られざる天才剣士~   作:モフノリ

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残すモノ

 よくわからない薬を打ち込まれ、それに対しての耐性が付くまでめずらしく時間のかかったレインはGGOでの一件以降、数日の間のんびりと過ごしていた。

 薬品を打ち込まれた瞬間、ドラゴンスレイヤー力を抑えていたということも影響しているうえに、異世界の薬品はレインの体にとって少し特殊なようであの後、通常よりも動きが鈍り、その数日はレインの眉間には皺が浮かんでいた。

 しかし、それもどうにかなくなり、訓練場で体を動かしても変なところはないことを確認したレインは、この世界に来たときの服装を引っ張り出し小さな鞄につめた後、誰にも何も告げず、世話になった場所を後にした。

 

 

 

 

「レイン君!」

 

 誰にも何も言わずに元の世界に帰るつもりだったレインは盛大に顔をしかめた。

 施設の出入口で声をかけられるとは最悪だな、と息を軽く吐きつつ振り返る。

 それと同時にのろのろとやってきた車がレインの左側に止まった。

 

「あんたは」

 

「僕もいるよ」

 

 助手席に座って声をかけてきた坂崎のことは放置し、車の運転席側からひょこっと顔を出した眼鏡の男を見て、誰だっただろうかと記憶を探る。

 

「君と桐ヶ谷君が再会したときに桐ケ谷君といた菊岡です」

 

 胡散臭くにっこりと笑う菊岡をじっとりとした目で見返したレインは関わり合いになる必要はないだろうと再び足を進めた。

 

「待って待って!君が元の世界に帰るのを邪魔するつもりはないんだ!」

 

 菊岡のその言葉にレインは足は突然方向転換し、菊岡の運転する車の助手席に座っている坂崎側のドアの窓を結構な力で叩いた。

 もちろん、ガラスが割れないようには気をつけている。慌てて坂崎が窓を開ける。

 

「おい、そこの胡散臭い男はなんなんだ。今更異邦人だと知られたくないとは思わんし、お前が前に知り合いのように接してしたし知っててもおかしくない。だが、そいつはキリトとも絡んでる。GGOの件に巻き込んだのもそいつだ」

 

 レインはじろりと菊岡を睨む。

 

「キリトは、あいつらはこちら側の人間じゃないんだぞ」

 

「もちろんわかっている。あくまでも僕は彼に協力してもらっているだけだし、そのかわり僕も彼に協力している。それに、SAO帰還者というだけでいろんなものに巻き込まれるのはこちらとしてもどうすることも出来ないのもまた事実だ」

 

 GGOの一件もSAO帰還者の仕業だしね。と菊岡は付け加える。

 

「そこでだ。レイン君。この世界に君を残していくつもりはないかい?」

 

 優しそうに微笑む菊岡の顔はあまりにも胡散臭く、レインは眉間に皺をよせた。

 

 

 

 

 

 

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 ズズッという音をたてながらキリトは一定値から温度が下がらないコーヒーをすすった。どこかでケーキを食べたときは味などしなかったが、今回はALO内ということもあり強制的に味を感じている気がする。

 ああ、苦い。

 現実逃避に心の中で感想を述べる。口に出していわないのは目の前にいる女性陣に何か突っ込まれるのは嫌だからだ。

 

「キリト君。今日は逃がさないんだからね」

 

「絶対にレインさんのこと教えてもらうんですから!」

 

「BoBのとき、あいつ突然消えてたけど本当に大丈夫なの?」

 

「キリトくんだけ会ってたなんてずるい!」

 

 そう。つまりはそういうことである。

 四方を囲むアスナ、シリカ、リズ、リーファの視線を受けながら、キリトはすでにこの世界にいないであろうレインに向かって呪詛をはいた。

 

 

 

 女性陣からの質問攻めが始まったのはBoBが終わってからである。

 BoBは中継されていて、もちろんリアルタイムで配信されていて。キリトがコンバートしてBoBに出るということをアスナ達は知っていたため見るのも当然で。

 そんな中、あの全身真っ黒で、銃で戦う世界なのに肉弾戦をしていたかと思えば突然意味のわからない威力の弾を放ちだしたレインががっつりと映ってしまったのだ。

 SAOでレインを知っているものであれば、多少アバターの見た目が当時よりも大人びていようが、表情がころころと変わるようになっていようが、あの戦闘センスだけでは説明のできない強さを見れば本人だとわかっただろう。

 しかも名前もレインのままなので疑う必要もなにもない。

 あのレインが中継されていたことを知らないわけもないだろうが、アスナ達が見ていたかどうかまでは考えてはいないだろう。

 だから本戦であんなにも堂々と姿を現したのだ。会うつもりは無いと言っていたから分かっていれば姿を見せずにどうにか対処するようにしていただろう。

 そういうことに対してのレインの徹底ぶりはキリトはよく分かっている。

 いくらころころと表情が変わり気さくになったとはいえ本質は何も変わっていない。なにもかもレインは昔のままだった。

 ラフコフの話を聞いた時も、シノンが狙われた時も、何も変わってなどいなかった。

 だから、ならば、レインはもう彼の本来の世界に戻っているだろう。

 レインという男はそういう奴だ。

 

「俺だって本当はあいつともっといたかったさ」

 

 思わず呟いてしまった言葉はレイン本人には伝わるはずもない言葉。

 甘えたような言葉が出たのはレインのことを兄のように慕ってしまっているからで、レインと並んで戦うことが楽しかったからだ。

 

「悪いがたとえお前がGGOでの姿だとしても男には興味ないんでほかを当たってくれ」

 

「俺だって男に興味があるわけじゃねぇよ」

 

 自然に言葉を返したキリトはコーヒーカップを口に近づけたところで固まった。

 今聞いた声は幻聴なのか、それとも本当に聞こえたものなのかしばらく考える。

 

「そうじゃなきゃぶん殴ってたところだ」

 

 もう一度聞こえた声にキリトは勢いよく振り返った。

 

「よぉキリト」

 

 そこにはSAOとALOで見慣れた容姿でGGOで見慣れた不適な笑みを浮かべたレインが立っていた。




GGO編、これにて終わりになります!

続く気満々の終わり方。
続けたいとはおもっております。
ちょっと短めのマザーズロザリオをやりたいなとか、オーディナルスケールもぽろっとやりたいなとか

察しの良い方であれば、最後に現れたレインがどういう状況なのかおそらくわかってしまうでしょう。
そちらに関しては軽くネタバレになるので活動報告ですこし触れたいとおもいます。
ただ一言だけ。
ご都合主義ということで時間軸とかは許してくださいとだけ。


さて、GGO編。
間をあけまくったのにもかかわらず、ここまで読んでくださりありがとうございます。
最近では別ジャンルで漫画を描いたりしているのですが、やはり文字のほうがすぐに形にできるということもあって見切り発車型の私はやりやすいです。
このSAOレインシリーズはプロットなんて書いてないですからね!!全て脳内だけです!!

最後のBoB終わってからのひと悶着の部分がなかなか上げられなかったのは
基本的にはSAOのストーリと誤差を出したくないということからでした。
シノン助けさせるのはキリト、としたかったのです。
どうしたらどうしたら、とおもったのですが、無理でしたね。
あの場所で空気になってしまったキリトには悔いが残っております。


長いですね。
あとは活動報告のほうでべらべらとしゃべろうとおもいますw


最後になりましたが、ここまで読んでくださった方、お気に入り登録してくださった方、感想をくださった方、評価をくださった方。
本当にありがとうございました。

やりたいことが多すぎるうえに、次の話がそこまで固まっていないということもあいまっていつになるか分かりませんが
また、次の機会も読んでいただければとおもいます。
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