ソードアート・オンライン~知られざる天才剣士~ 作:モフノリ
ボスの出現場所である代々木公園の入り口でクラインたちと話しこんでしまった明日奈がぱたぱたと急いで広場に向かえば夜遅い時間にもかかわらず、多くの人が集まっていた。
これだけいればボス攻略もそれほど難しいものではないだろう。
「オーディナルスケール、起動」
小さく、しかしシステムが認識してくれる声量でつぶやけが、衣装が変わる。
準備を整えた明日奈は秋葉原UDX線のときにいた彼がいるのかとあたりを見ますと、目的の人物とは違うが黒衣の青年を見つけ、小走りで近づいた。
「レイン!」
声をかければすぐに振り向いてくれる。
「アスナか。こんな遅い時間に女が一人で出歩くのは看過できんぞ。キリトはいないのか?」
「キリト君はいないですよ。私は家が近くなんで来たんです」
笑顔で言えば、レインはため息をついた。
なんだかんだ女性には優しいレインのことだ。本当に心配してくれているのだろう。
「俺は事情で送れんが、変わりに知人を呼ぼう」
言うがはやく、レインはスマートフォンを取り出してメッセージを打ち始めた。
「大丈夫ですって!」
「俺が心配なだけだ。呼ぶ奴も俺を扱き使う奴だから気にしなくていいぞ」
簡潔な内容なのか、それとも打つのが早いのかは定かではないが、止める暇もなくレインはポケットにスマホを戻した。
いまさら止めることは無理だろう。レインの雑な優しさに変な人が来ないことを祈ることしかできなくなったことに苦笑する。
そんなことをしている間に時間になったらしく、現実世界がARによってファンタジーなバトルフィールドに変わっていく。
クラインたちは来ていないが始まってしまったのもは仕方ないとフィールドが切り替わったと同時に現れたボスを見据え、切り替える。
「みんな準備はいい? さあ戦闘開始だよ。ミュージックスタート!」
いつの間にか現れたユナにあわせて曲が流れ始めるが、どこか不穏な曲調にそわりとする。
だがそれも演出なのだろうと受け止める。
「レインは参加するの?」
「いいや、俺は前と」
不自然に途切れたレインの言葉に、ボスに向けていた視線をレインに向けると、彼はあさっての方向を見ていた。
「レイン?」
暗がりということもあり、レインが見ている方向に視線を向けても何も見えない。
しかし、彼には何かが見えているのだろう。そう思える程度に、レインは明日奈にとっても規格外の人間なのだ。
返事を待っていれば、静かに見つめていたレインが突然舌打ちをして、思わずびくりとする。
「すまん。野暮用だ。こっちのボスは任せた。大丈夫だと思うが、負けかけたら退けよ」
詳しく説明することなく、それだけ言ったレインは見ていた方向に駆け出した。
驚くほどすぐに小さくなってしまった背中に何か言うこともできず、明日奈はその場に立ち尽くすことしかできなかった。
◆
首をつかまれたクラインに襲い掛かるボスモンスターにレインは全力で切りかかった。
レインの剣は首を切りつけたが、HPを全て削りきれたわけではなかったため、ボスはレインから離れるために距離をとるだけに終わってしまう。
「なんだ、お前」
すでに気を失っているクラインを投げ捨てた男が不機嫌を隠さない声音でこぼす。
「そういうお前は何をしている。ここ最近病院送りになってるSAO帰還者はお前が何かやったな?」
わざわざ聞かなくても倒れる風林火山のメンバーを見れば一目瞭然だ。
だからといってレインが今できることはほとんどなく、無力さに握る手に力がこもる。
「そうだったらなんだ?証拠はないだろう。それともなんだ。お前もSAO帰還者なのか?俺の記憶にはないが」
つまり、目の前の男もSAO帰還者だということになる。
今は少しでも情報がほしいため、レインはボスにも警戒しつつ男と話を続けた。
「俺もお前は知らん。もとよりそれほどあの世界で交流してたのもごく少数だしな。最前線では名前だけ一人歩きしていたみたいだけどな」
「なら、お前も標的だな」
小さくつぶやいた男の声に反応するように、ボスが突然レインに襲い掛かってきた。
警戒していたレインは難なく振りかぶられてきた腕を一振りだけで切り落とす。
「フルダイブと現実は違うぞ。天才剣士」
すぐ後ろから聞こえた瞬間、レインの背中に男の拳がめり込み――
「なっ?!」
「それは俺がよく知っている」
――体を突き抜けた。
◆
難なくボスを倒した明日奈は来るであろう"レインの知り合い"という人を代々木公園の入り口で待っていた。
結局あの後、レインは帰ってこなかったし風林火山の人たちが来ることもなく、何かあったのかとレインが向かったほうに行きたかったが、明日奈はここに来るであろうレインの知り合いと連絡が取れるわけもなく、下手にここを動くことができない。
もどかしいことこの上ない。
まあ、彼らはアインクラッドで最前線をともにした人たちでもあるので大丈夫だろう。半ば無理やり自分に言い聞かせるように納得する。
「アスナさんですか?」
納得させた瞬間、声をかけられてどきりとする。
「は、はい!」
驚いて振り向けばごく一般的で素朴な男性と金髪の女性がいた。絹を思わせる金髪は女性である明日奈でも見ほれるほどのものだった。
「あ、あの~」
女性に声をかけられて我に返る。
「すみません!明日奈です!」
「良かった。レインから連絡きたんですけど」
レインの知り合い、といえば坂崎先生ぐらいしか知らず、目の前の二人のような知り合いがいたことに素直に驚く。
和人からも聞いたことがないので和人も知らないかもしれない。
「わざわざすみません。でも、レインはイベント始まってすぐ行っちゃいまして」
「あ~大丈夫大丈夫。俺たちオーグマー持ってないし」
「え?」
「ちょっと!」
「あっ」
確かに二人ともオーグマーをつけてはいないが、それが何か関係するのだろうか。
二人はなにやら言い合っているが、あまりにも小さい声のせいで聞き取ることはできない。
初対面でもあるため、声をかけるにもどうしたらわからず黙っていれば、男性が一発叩かれ、女性がこちらに向いた。
「すみません。私、レインの同僚のイヴといいます。こちらはツヨシ。」
「あっ、結城明日奈です。こちらこそすみません。わざわざ来てもらってしまって。家近いって言ったんですけど」
「大丈夫ですよ。今、いろいろあってレインがちょっと過保護になってるだけなんです」
ふわりと微笑む彼女は日本人離れしていてどきどきしてしまう。ALOで綺麗なアバターを見てきたが、所詮ポリゴンで作られたアバターということだろうか。あちらで見れるとは思えない綺麗という言葉だけでは表現できない。
「ちなみに、護衛の本命はイヴのほうなんだ。俺は一応男がいればっていうおまけ」
「えっ」
思わずイヴを見れば照れくさそうに苦笑いをした。
「レインには叶わないけど、私も異邦人だから」
その言葉に納得してしまったのは、レインという異邦人を知っているだけではなく、彼女の放つオーラや美しさが常人離れしているからだろう。
そんな彼女はレイン程ではないが現実世界で戦えるほどの力量の持ち主とは思えないほど華奢にみえる。
やはり、この世界の人間と異世界の人間では身体の作りが根本的に違うのかと、思考がずれる。
ずれた思考を慌てて戻す。
「それなら心強いです。でも、イヴさんも女性なのも変わらないですし、これ以上遅くなってしまうのも申し訳ないですから、家までよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げれば、そんなに畏まらなくていいよ、と言われる。
距離はそれほどないが、無言で歩くのも気まずいので適当に話を振る。それが必然的に互いに知り合いであるレインの話になってしまうのはどうしようもないだろう。
「お二人はレインと知り合ってどれぐらいなんですか?」
そうだな、と答えたのは剛だった。
「実は君たちがレインとSAOで知り合った数ヶ月前なんだ。というかあいつ、今みたいに丸くなかったからなぁ。実際にまともに話したのは数日だけだひ、SAOの1年間を思えば、君たちの方が付き合いが長いと思うよ」
それにしては親しそうな間柄に感じたので、なんだかんだ気のしれた関係なのだろうことは感じ取れる。
明日奈の知らないレインの一面に思わずソワソワしてしまうのは秋葉原UDXで見かけた、あの少女のこともあるからだろう。
この二人なら知っているのだろうか。
レインの腕に飛びついたあの少女のことを。
その事を聞こうかと口を開いたが、何となく、深い意味もなく、明日奈はやめた。
その結果、他愛のない話を振ったにも関わらず、レインが色々としでかしているとんでもない話を聞くことになった。
お久しぶりです。
オーディナル・スケールを書くのは難しいですね。
なんにしろ場面切り替えが多い!!
さて、アニメアリシゼーション。
とうとうあの場面まで行きましたね
号泣しました。
続きまでしばらく間空くのがつらい。
読み返すしかねぇ!ってやつですね
そしてあのシーンを思い出しながらぼんやり電車に乗っている時
レインのクロスオーバーさせ方が閃いてしまい
早く書きてぇ!!!書きてぇ!!!
となり、おかげでオーディナル・スケールの方もまとまり始め、書き進めることが出来ました。
つまり、
アリシゼーション編、書きます
すでにアリシゼーションの予告は書き終わっております。
いやーーーーーー早く書きたい。
オーディナル・スケールも書きたいですね!!!
書きますよ!!
相変わらず亀更新になるとは思いますが
よろしくお願いします。
最後になりましたが
ここまで読んで頂きありがとうございます。
お気に入り登録、感想も凄く嬉しいです
ありがとうございます!!!
これからもどうぞよろしくお願いいたします!
あと、あれです。
エクスキャリバー編とかやりたいと思いつつ、思いついておりませんので、思いついたら当然書くかもしれません