ハイスクールデストロイヤー2019   作:シロシンタ

1 / 1
なんとなく思い付いた。


晴風出港!

無限に広がる大宇宙...ではなくそう錯覚してしまいそうな大海原。

死ぬ命もあれば、救われる命もある。

そう、海は生きているのだ。

 

 

愛はそれなりくらいにあればいいんじゃない?

 

ー以上、モンゴル海軍提督ズオーダー氏の発言より抜粋ー

 

 

 

 

異常気象

 

 

ブロック経済

 

 

海面上昇

 

 

崩壊する北極

 

 

経済戦争

 

 

連帯の強化

 

 

近未来、大戦が起こらず航空兵器が存在しない世界線。

アジアの武装中立国となった日本は太平洋の安全保障軍として国民皆兵を進めた。

海賊等の脅威から海上通商を防衛する防人の穂先、それがブルーマーメイドと呼ばれる特別国家公務員。

独立した指揮権と強大な打撃力として海上の治安の双璧を成した彼女達、そんな中に運命の悪戯である人達が居たら歴史がどう変わっただろうか?

これはそんな発想で生まれた話である。

 

ーー

 

戦艦大和。

世界で類を見ない大型戦艦であり、浮かべる要塞。

その中の艦長室で、若々しい英気溢れる青年と。

老獪な雰囲気を漂わせる白い髭を口元に蓄えた老人が居た。

 

「古代戦術長、退艦致します!」

 

堂々と敬礼し、古代進戦術長。

もとい今日から再編成と士官の訓練も兼ねて駆逐艦霧島先任将校(副長)を勤める予定だ。

 

「うむ...。」

 

この老人の名前は沖田十三。

大和艦長であり、第二次沖縄環礁紛争の指揮官として艦隊戦でも名をはせた将校だ。

ただ駆逐艦疾風の艦長だった息子を亡くし、天涯孤独の身だが...。

沖田艦長は古代に背を向けつつ、ゆっくりと、何処か悲しそうに言った。

 

「...身に、気を付けてな。」

「はッ!」

 

報告を終えて、タラップを降りていく古代の足音が少し沖田には悲しく思えた。

だが、私が育てたこの艦の乗員は皆が皆粒ぞろいの精鋭であるし、そう育てたと言う自信はそれを拭い去った。

 

 

霧島が停泊しているのはクウェゼリン島、トラックと御近所で少し行くとウェークやグアムもある。

海上の要衝として信託統治領土で、周辺にはフィリピン(1934年に独立法が制定されておりもとより独立予定を日本のせいで1945年になった。)と、

グアムくらいしか外国の土地がない。

そこまでは練習航海としてトラックに向かう駆逐艦に便乗、トラックからはサンパン(木製の小型船舶)で向かう。

 

「進!」

 

港で艦長服を身に纏った男が声をかける。

目元や鼻などが進とそっくりな彼の兄、古代守だ。

今では第八護衛総隊の第17駆逐隊所属の雪風の艦長だ。

 

「兄さん!」

「お前霧島の先任将校になったそうじゃないか!あと少しで俺を追い抜けるぞ、おれも嬉しいよ!」

「て、照れるな...」

 

兄と沖田艦長にはこの先も敵いそうにないと思いっていると、守が軽巡洋艦矢矧と駆逐艦冬月を越えた先にいる駆逐艦を指さす。

あれが晴風、識別DDBM-219。

陽炎型と言う艦隊戦闘に向いた艦艇で大型艦艇だって接近されて魚雷を叩き込まれてしまえば一撃の酸素魚雷等の兵器もある。

...ダメージコントロールには向かない設計だけど。

具体的に言うと機関が密集していて、一撃喰らったら全滅する。

アメリカみたいに分散させていないからだ。

 

「兄さん、珍しいね内地に戻れてるなんて」

「うん、どうやら呉軍港とラバウルで何かあったらしくてね。

デフコンが上がったんだ」

「今度は何が騒いでいるのやら...面倒事は避けたい」

「本当にな」

 

すると、小さな薄茶色の長い髪をした少女が現れる。

 

「あのー!古代進殿はどちらでしょうか」

「あぁ、僕だけど...もうこんな時間だ!それじゃ!」

「気を付けてなー」

 

守はそう言って自艦に戻っていく。

その少女は岬と名乗り、晴風艦長らしい。

まあ学生の練習艦艇として運用されているから驚く事でもない。

 

「全員乗艦確認!」

 

晴風の先任将校(駆逐艦の場合副長とは言わない。)は書類にサインを終えて、もやいを放って錨を上げる用意をさせる。

音楽隊の見送り演奏と共に練習航海を開始した旗艦愛宕以下武藏、比叡、摩耶、笠置、浅間、伊吹、鞍馬の主力艦艇と。

戦隊旗艦として神通、酒匂、が各駆逐隊達を纏めている。

合計して34隻!壮観な出港は港の近隣住民達の暇潰しと、子供の将来の目標を作るのに最適と言える。

行進曲軍艦と共に港を出で立つ艦隊は三列の縦陣を組んで進んでおり、中央の縦陣の最後尾に晴風は居た。

そんな艦橋では、大型艦艇乗り組みの乗員が来た事により非番の人間...と言うより暇をもて余した火器管制官達が古代の部屋に押し寄せようとしていた。

 

「ダメなもんはダメだ」

 

先任将校の宗谷ましろは、ウッキウキで遊びに行こうとしていた西崎と言う水雷長の首根っこを掴んでいた。

ぶー垂れている西崎と、文句を跳ね返して動じない宗谷の会話を聞いて古代は扉から顔を出して言った。

 

「今は勤務中、非番の時はいいと思うからその時に!」

 

年功序列の組織に於いて階級年齢共に勝る者の言葉は大きいものだ。

一応の解決策が示された事で職務に復帰した水雷長と、同じく復帰する先任将校を確認すると古代はやることもなく一眠りすることにした。

到着するまでどう短くしても数日、ゆっくりとしていく事にしよう。

 

 

 

仮眠中の古代を眠りから起こしたのは、乗員の揺さぶりではなく至近に着弾した砲の衝撃波だった。

脱いだ上着に袖を通して、教練中に習った艦内構造を思い出して艦橋へ駆け上がっていく。

 

「敵襲か!状況は?!」

「敵襲...敵襲かは分かりませんが発砲されてます!」

 

宗谷の言葉を聞いて双眼鏡を手に取ると、そこにはあきつき型護衛駆逐艦むつきが砲を向けていた。

 

「教官遅れたことに相当怒っちゃって無警告射撃してきてます!」

 

岬艦長の言葉を聞いて「wafentSSの訓練じゃあるまいし」と粒やきつつ、宗谷が頭下げるしかないと進言する。

外れたのは恐らく警告射撃と脅かしを兼ねていると、その時はそう思っていた。

だが謝罪の発光信号と発砲中止を要請する信号を出して、帰ってきたのは76mm弾であり。

左舷の掃海用25mm機関銃に演習用の装薬のない砲弾を命中、25mmと周辺の部分は完全に破壊された。

運動エネルギーだけでも洒落にならない、沈める気で撃ってることを確信した古代は意見具申した。

 

「意見具申!

当艦艇は生命の危険を脅かす危害射撃を受けております!

自衛権を行使し敵艦艇から戦闘能力を喪失させるか戦闘不能にさせる事を進言します!」

 

それを聞いて全員が動揺しつつも、立石砲術長は射撃を用意させていく。

岬は友軍、それも教官の艦艇との交戦と言う想定にない突発的事態に動揺しつつも、深呼吸をして西崎水雷長に言った。

 

「魚雷、信管は遠隔!。

凪いだ海だから早爆しないと思う、撃てる!?」

「出来るよ!でも実包は一発しかありませんッ!!」

「出来るか出来ないかを聞いているんだよ!」

「出来ますしやってみせます!」

 

威勢よく答える水雷長に岬は頷く。

安全装置を先任将校と艦長は鍵を回し、砲搭の砲術員たちは『実装』と赤い背景に白い厳かな字体で書かれた文字を見て引き金を引く用意をする。

搭載された火器管制計算機の補正を受け、電影クロスゲージ照準眼鏡には『捕捉』の文字が写る。

TDC(魚雷情報管制)からも捕捉したことを、水雷長に伝える。

 

「目標、捕捉!

照準よろし!!

砲雷同時戦用意よし!」

「撃ちィー方ァー初めェッ!!」

 

岬の悲鳴に近い声と共に、水雷長の「テェッ!」と大声が伝声管で伝わる。

魚雷は勢い良く射出され、水面に着水した衝撃で破損せず正常に目標へ突き進む。

 

「魚雷、正常に射出された。

目標へ進行中」

 

双眼鏡を掴んで、食い入るように見つめる。

酸素魚雷は軌跡を残さない、信号によりタブレットの海図上の進路は確かに目標へ向かっている。

 

「魚雷、着弾まであと5秒!」

 

カウントが始まり、弾着まであと1秒のその時。

自爆ボタンを勢いよく岬は押し込んだ。

正常に自爆信号を確認した魚雷は、狙い通りにスクリューと舵を破壊した。

フラフラと蛇行し速度も落ちている様子に、水雷長は万歳三唱して大喜びだ。

 

「艦長、漂流中のむつき乗員を救出致しましょう。

その上で...佐世保或いはグアムへ向かい事情を報告、負傷者収用用意も具申致します。」

 

古代がそう言うと、少しして岬ははっと自分を取り戻し、漂流者救出を命令する。

そして宗谷先任の肩を叩いて言った。

 

「じゃ!私は陣頭指揮してくるから!」

「「ええっ!?」」

 

そう言って高速で艦橋から降りていく艦長の背中を、二人は唖然としながら立ち尽くす。

後ろでは水雷長が主計に水雷担当者と砲術員への桃缶詰めの特配を頼んでいた。

機関出力を停止し、離艦を開始した乗員達を乗せ、晴風は緊急避難として最も近いトラックを目指すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京都千代田区霞が関1丁目2番2号、海軍省の内部は大騒ぎになっていた。

なにせ文字通り半世紀振りのクーデターが、それも"同時多発"で発生したのだ。

 

『クウェゼリン駐留部隊応答なし!』

『サイパン島は異常ありません。』

『呉軍港の燃料集積地が炎上してます!』

 

異常事態は海上及び海上部隊の根拠地で群発していた。

これを契機として以前から関係が悪化していた警察との決裂は決定的となり、予防検挙に等しい事例が頻発。

治安出動した国防軍は戒厳令を首都圏に布告したが、周辺諸国に動揺を見せれないと言う国政的理由により通信規制を敢行。

夜間外出を禁止し、速やかな統制を敷いた。

 

「まったく、とてつもなく異常事態だ」

 

土方司令長官は、地下二階総合指揮所では関係官僚たちの<武力蜂起に於ける緊急対策会議>が行われていた。

芹沢軍務局長は現在までに分かっている損害の書かれた書類を叩きつつ言った。

 

「とてつもなく異常事態じゃないよ君ィ!!

幾つ官僚の首が飛ぶと思ってるんだ?!」

 

それを聞き土方は呆れた顔をし、憤慨した声で言った。

 

「貴様ァ今大事なのは国体と生徒と教官たちの命だ!!

官僚なんぞ知ったことか!」

「鶏卵前後論争している場合じゃないでしょうが...」

 

ため息をついて宗谷の呟きがこぼれ、会議は踊れど有効な結論は全く出なかった。

一方その頃国防軍西部方面軍、水陸機動海兵団は潜水艦そうりゅうと共にまず混乱の渦中であるトラック方面へ移動する事にした。




土方さんは本土勤務なんで苦労人なんです。
因みに現実でも海保と警察と自衛隊は仲良くないよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。