東方如月録 〜とあるスタンド使いが幻想入り〜 作:クロス・アラベル
第6話、Side 暁です!
どうぞ!
川のほとり。そこで焚き火をしている人が3人いる。
暁「……………」
一人は俺、翔宝 暁だ。
黒須「♪~~~♪~~~~~~~♪~~~」
変な鼻唄を歌いながら、魚の焼き加減を見ている人間。確か、如月 黒須…………だったか。
紫「………………」
そして、一人小さくなって俺の様子をうかがいながら座っている妖怪少女。
今回の依頼で、捕まえるか殺せとの事だったが、今、無言で向き合っている。
……………何故こうなった?
こうなった原因は、10分程時間を遡る。
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落ちている俺の妖刀。
俺の目の前に立つ人間。
その後ろから俺の首に半透明の細剣(レイピア)をつきつける銀色の鎧を身に付けた守護霊。
そう………俺は、負けたのだ。
俺は負けたことが無い。
たった今、初めて負けた。
俺にとって、『敗北』は汚点でしか無かった。
暁「………………………殺せ」
黒須「…………………」
俺は負けて苦しむよりも、ここで殺してもらったほうがいい、そう思った。
殺してくれるだろう………………俺がここにいたって意味がない……………そんな風に諦めていた…………
しかし、この人間は俺の予想とは全く違う答えが返ってきた。
黒須『…………だが、断る。』
暁「なん………だと……!?」
この男………今、何て言った!?
敵である俺を殺せる絶好のチャンスのはず………
暁「…………何故、殺さない………………?」
黒須「…………お前にとやかく筋合いはねえ………俺の好きにさせてもらうだけだ。」
暁「敗北した姿をさらして………生きるなど………一生の恥だ!!早く殺せッ!!」
黒須「嫌だね!情報をあれこれ聞き出してもいないのに、死んでもらうなんて駄目だッ!!」
黒須は俺を押さえ込み、
黒須「ったく!!他のどんなことよりそのへんてこ可笑しなプライドを優先すんのか!?お前はよお!!」
暁「………………へんてこ?可笑しいだとっ!?」
俺はムキになって大声で怒鳴り散らした。
黒須「おおよ!!可笑しすぎて泣きそうだぜ!!なーに、んなしょーもないこと気にしてんだよ!!アホか!?ヘタレか!?」
こいつ………!!
黒須「お前の一番大事なもんは一体何なんだ!?」
暁「そんなこと…………決まっている!!…………勝利だ。………敗北しないということだッ!!!」
黒須「いい加減気付けよ!!勝利の2文字じゃないものをよ!!」
暁「何をだッ!?」
黒須「あーーもう!!良いぜ教えてやるよ!!!…………」
黒須は右手の親指を自分自身の胸に指す。
黒須「命だッ!!!さっきまでやってた勝負もこうやって生きてるからできるんだろ!!」
暁「!?」
黒須は俺の胸ぐらを掴んで、
黒須「さっきのお前の剣は…………楽しそうだった!!まるで……剣が舞ってるみたいだった!」
………ッ!!
黒須「俺に勝ちたいんなら…また勝負してやるッ!!何十回でもいい!お前が!勝つまで!納得するまで、勝負してやるッ!!!!」
何故……この男は……俺のことを心配しているんだ?
黒須「………だからよ…………自分の命ぐらいは大切にしろよ!!……」
暁「……ッ!!…………」
黒須「…………………」
黒須は暁を放して川の方に向かう。
黒須は何かの作業を始めた。
紫「…………………?」
妖怪少女は不思議そうに首をかしげている。
黒須「まあ…………二人ともこっち来て座れよ。魚の丸焼きぐらいなら食わせてやるよ。」
黒須はこう言ったが言い終わった途端に、
グギュルルルルルルルルルルゥゥゥウウウ!
暁「………………」
紫「………………」
ジト目で腹の虫をならした本人を見る紫と暁。
黒須「……………まあ………な!」
ジト目で二人に見られた黒須は苦笑いをしながら、着々と準備を進めた。
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そして、今に至る。
黒須「♪~~~………おっ!焼けた焼けた!」
黒須は嬉しそうに焼けた魚の串焼きを取って、暁に渡してきた。
黒須「………ほら、食えよ!冷めちまうぞ。」
暁は渋々受け取る。
黒須「ほれ、紫!」
黒須は紫にも渡す。
紫「あっ…………あ、ありがとう………」
そして、3人が魚を食べ始めると黒須は一番気になったであろう、あの事について暁に聞いた。
黒須「………なあ、暁。なんで紫を殺そうとしたんだ?」
暁「…………依頼されたから……だ」
黒須「…………誰に?依頼人について教えてくれ。」
なんだろう………この男と話す時は素直になれるな…………
暁「…………わかった。俺はお前といい勝負が出来たからな……依頼なんてどうでもいい。」
黒須「…………そうか………ならいいんだ。」
暁「…………この仕事を依頼してきたのは……………天狗だ。」
黒須「…………天狗…………」
紫「!?………て、天狗!?」
暁「…………ああ。ただの天狗じゃない。天狗の長である『蒼魔』だ。」
紫「………………!!」
黒須「…………へえ………」
紫は驚愕し、開いた口が塞がらないようで、ずっと口ひ両手を当てている。
黒須は黙々と魚を食べている。
暁「…………といっても、その『蒼魔』と対面した訳ではないが……」
黒須「…………いや、これだけ聞けただけでもいい方だ!」
そして、いつの間に食べ終わっていたのか、串を捨てて、
黒須「……………ありがとな!」
笑顔でそういった。
そろそろ行かなければならないな…………この男……守護霊使い『如月 黒須』に勝てるように、武者修行しなければ………
暁「………………そろそろ、おいとまする。」
黒須「…………そう、か」
暁「今度は…………必ず、勝つ。」
黒須「………頑張れよ。俺に勝つためによ!」
暁「…………スキマ妖怪!………八雲 紫……だったか………強くなれよ。」
紫「!………………。」コクッ
そして、瞬殺の暗殺者『翔宝 暁』は森へ向かう。
今度は、黒須に勝つと、心に決めて歩み始めた。
黒須「さあ!次回は俺が家を建てるぞ!!」
紫「第7話、お楽しみに!」