ふと思いついて書いてみました。
ルールはリンク召喚とか出る前のやつです。
デュエルアカデミア
いまや世界を回す重要な要素となっているデュエルモンスターズ。
その専門的な知識・技術を養成するため設立された教育機関で
現在では日本だけでなく世界各地に分校を持つ名門校。
その入学試験が今日、行われていた。
「まだ現れないのか?その…なんて言ったっけ?」
「渋谷です。渋谷遊騎」
受付の係員が退屈そうに会話をしていた。
それもそのはずで、最後の受験者が来てからかれこれ20分が経過している。
残るは一人。受験者表を見ると渋谷遊騎と書かれた少年のみだった。
「まったく。受験の日に遅刻たぁ、随分なやつだな」
「冷やかしだったりして」
「そうかもなー」
そんなやりとりがされているとも知らず、走る少年が一人。
「やばいやばいやばい!大事なこいつを忘れるなんてな!」
首からかかったペンダントを握りしめ、最後の力を振りしぼる。
一方会場の中では、入学実技試験が行われていた。
実技場内狭しと繰り広げられる熱い決闘。
「これで終わりだぁ!」
その一つで、決闘の決着がついた。
「ふむ。考えが甘い。読みが浅い。入学のレベルではないなあ」
長い髭を生やした男性が受験者の少年に向けて叫ぶ。
「そんな、強すぎる…」
「まあわかってると思うが、結果は覚悟しておくんだな」
彼の名前は試験監督の牛田。通称ブル。
その気性の粗さと八つ当たり率の多さは生徒たちから反感を買っている。
入学試験でさえ、試験用のデッキではなく自前のものを使う性格の悪さである。
彼の試験を受ける学生は例年悲惨な結果となっていた。
「次はだれだあ?」
「とりあえずは大丈夫です。次が来るまで…」
「ああ?まだ来てねえやつがいんのか」
「はい。一人だけ。先生にはその受験者の…」
言い終わる前に牛田が叫ぶ。
「そんなやつは失格だ!名前はなんて奴だ!」
「あ、えっと、渋谷遊騎というこです」
「そのマイク貸せやぁ!」
「受験番号0366。渋谷遊騎!受付時間に会わなかったため失格に…」
「ちょっと待ったぁー!」
牛田の声を遮り、大きな声が響く。
会場内の全員が思わず視線を移すほどの声。
そこにいたのは赤い髪をした一人の少年だった。
「すいません。少し遅れましたが、渋谷です!」
「なにをっ!貴様はもう…」
「う、牛田さん。時間には間に合ってますから受けさせないのはまずいですよ」
係の人間が言った正論にバツが悪そうになる牛田。
「…ふんっ。いいだろう。ちょうど物足りなかったところだからなあ」
「渋谷!第4コートにはいれ!」
牛田の声が会場に響く。
また被害者が出るのかと全員がざわめき、第4コートに視線が注がれる。
「あ、よろしくおねがいしますっ!」
「御託はいい。さっさと始めるぞ」
二人の視線が交わる。
遊騎は無邪気な笑顔を向け、ワクワクしている様子だった。
「俺も精一杯やらせてもらいます!」」
「「デュエル!!」」
二人の声が響きわたり、デュエルディスクが開いて決闘の開始を宣言する。
TURN-1 牛田:4000 遊騎:4000
「俺のターンだ!カードを2枚セット!」
「そして”ワンハンド・ガンマン”を召喚!ターンエンドだ!」
牛田 手札:2枚 伏せ:2枚
ワンハンドガンマン ☆4 戦士族 ATK/1800 DEF/1500
牛田の場に右腕が大きな拳銃と化した西部のガンマンが現れる。
遊騎がまだあったことのないカードなため効果は不明であった。
TURN-2 牛田:4000 遊騎:4000
「俺のターン。ドロー!」
いつもより気合を入れてドローする。
引いたカードは黒装束に身を包んだ大きな鉤爪をもつ戦士。
「手札より”F-B 先勝のクロウ”を通常召喚!さらに…」
F-B 先勝のクロウ ☆4 戦士族 ATK/1900 DEF/1500
「ちょーっと待ったあ!」
続けてカードを発動しようとしたとき、牛田の声が響く。
「速攻魔法”ブレイク・トリガー”」
「相手が通常召喚をしたとき、手札を1枚選択して破壊する!」
「折角だぁ、その手をかけた1枚を捨ててもらおうか」
「うっ。ええー」
カードの効果により、遊騎は手札の”F-B 赤口のアキト”を墓地に置く。
「さらに、”ワンハンド・ガンマン”は相手のカードが破壊された時、フィールドのカードを1枚、更に破壊できる!」
「その黒いのも破壊だあ!」
ガンマンの銃口がクロウに向けられ、間髪いれずに銃弾が発射される。
直撃したクロウはたまらずに爆発。破壊されてしまった。
「さあ、ターンを続けるといい」
得意げな顔で牛田がいう。
「さすが先生。相手のターンに的確に妨害してくるなんて」
「実力差がわかったのならサレンダーをしろ。時間の無駄だ」
「冗談でしょ!面白くなるのはこれからですよ!」
「俺はカードを2枚セットしてターンエンド!」
遊騎 手札:2枚 伏せ:2枚
TURN-3 牛田:4000 遊騎:4000
「俺のターンだ。ドロー」
「場のワンハンドをリリースすることで、手札から”ツーハンド・ガンマン”を特殊召喚する」
ツーハンド・ガンマン ☆6 戦士族 ATK/2200 DEF/1800
「更に、手札より”ミニマムボム”を召喚!」
牛田 手札:1枚 伏せ:1枚
ミニマムボム ☆3 ATK/1000 DEF/1000
「バトルだ!ツーハンドでダイレクトアタック!」
両腕の巨大な拳銃が遊騎を狙い、弾丸を発射する。
「トラップ発動!”バトルリフレクター”」
「攻撃を無効にして、相手に攻撃力の半分のダメージを与える!」
「無駄だ!ミニマムボムは相手のカード効果が発動したとき、リリースすることで無効にして破壊する!」
「なんだってっ!?」
現れた光の壁に吸着したミニマムボムは、そのまま爆破。
あたりには黒い煙が立ち込める。
「そしてツーハンドは相手のカードが破壊された時、場のカードを1枚破壊し相手に1000のダメージを与える」
黒い煙の中、鈍く光る銃口から火花が上がる。
まっすぐと伸びる弾丸は遊騎の伏せカードとそして遊騎自身に直撃した。
「うわぁー!」
遊騎:4000→3000
「ツーハンドの攻撃は続いているぞ!」
吹き飛ばされた遊騎にツーハンドのさらなる一撃が直撃する。
「ぐはっ!」
遊騎:3000→800
「俺はこれでターンエンドだ。もういいだろう。サレンダーするんだな」
「いやいや、まだですよ先生…」
遊騎はフラフラと立ち上がる。
その顔はデュエルが始まった時と変わらない。いや、むしろそれよりもワクワクした表情をしていた。
「まだライフは残ってます!やれます!」
「ふん、あきらめの悪さだけはいっちょ前か」
TURN-4 牛田:4000 遊騎:800
「いきますよ!俺のターンドロー!」
遊騎 手札:3枚
「ここでトラップを発動。”威嚇射撃”!」
「こいつはガンマンがいるとき発動できる。お前はこのターン、通常召喚を行うことが出来ない!」
場内が騒然とする。
いつの間にかほかの試験は終了しており、二人のデュエルを多くの観客が見ていた。
多くの受験生、試験管、在校生がこの決闘は決した。そう感じた瞬間だ。
「決闘の核である通常召喚はできず、場にカードもない。諦めろ…ん?」
「あーして、こーして。で、どうするかだな。」
「聞こえてねえのかこいつ」
牛田の言葉も聞こえない様子で遊騎は真剣に考えていた。
何を考えていたか。もちろん、逆転の一手だ。
「よーっし、これで行く!」
いきなり大きな声を出した遊騎は手札から勢いよく1枚のカードをディスクに置く。
「おれは手札から魔法カード”奇跡の召喚”を発動!」
「こいつはデッキから、ランダムにモンスターを特殊召喚するカード!」
「ランダム?ふん、運任せか」
「運は運でも運命だぜ!」
「そんなものはない!!!おれは手札の”セカンダリーボム”の効果発動」
「墓地にミニマムボムがいるとき、こいつは手札から捨てることでも効果を発動できる。」
「そしてその効果はミニマムボムと同じだ!」
ミニマムボムよりもさらに巨大な爆弾がフィールドに姿を現し、今まさに現れようとしている戦士に吸着する。
「消え去れー!」
大きな音を上げ、爆発する。
周囲には先ほどよりも濃い黒煙が充満し、何も見ることが出来ない。
「そしてツーハンドの効果が起動する!これでお前のライフは0だなぁー!?」
ツーハンドの銃口がひかりだし遊騎を狙う。
この瞬間、牛田は勝ちを確信した。
しかし、それを制するかのように鋭い声が刺さる。
「…それはどうかな?」
「なに!?」
黒煙を払うように眩い光があたりを照らす。
その光の中心は遊騎だった。
「おれは、手札の”F-B 先負のナギサ”の効果を発動!」
「相手の攻撃宣言もしくは効果の発動時、手札のナギサを墓地に送ることでそれを無効にする!」
「手札誘発だと!?」
「やっぱりなー!先生の手札、なんかやな感じがしたんだよ!」
「これで手札は0!逆転に一直線だぜ!」
会場が再びどよめく。
教官である牛田の手を読み切り、手札を使わせそして逆転すると宣言した受験生に対してだ。
遊騎 手札:1枚
「しかし、お前の状況は変わらねえ!通常召喚もできない以上、手札1枚で何ができる!」
「先生に見せてあげるよ!F-Bは未来から力を託された戦士たち」
「その力のありかは…未来!」
遊騎は手札から1枚のカードを取り出す。
「"F-B 仏滅のシャナ"。このカードは、デッキから同名カードを除外することで特殊召喚することが出来る!」
「ただし、この効果を使用したターン、通常召喚もF-B以外の特殊召喚も行えない」
「なんだと!?」
「更に、シャナは特殊召喚された時、墓地の仲間を呼び戻す!」
「こい!”赤口のアキト”」
F-B 仏滅のシャナ ☆3 戦士族 ATK/1300 DEF/800
F-B 赤口のアキト ☆4 戦士族 ATK/2000 DEF/1500
遊騎の場に2体のモンスターが立ち並ぶ。
シャナ、紫のパーカーに身を包んだ不思議な雰囲気を持つ少女。
アキト、真紅の鎧に身を包む2本の剣を持つ少年。
2体の瞳は、まっすぐに自分たちが戦うべき相手へと向いている。
「だが、それでも攻撃力は及ばない!」
明らかに動揺している牛田に対して、にやりと笑う遊騎。
「いくよ先生、チューナーモンスター仏滅のシャナに、赤口のアキトをチューニング!」
「仲間との絆が未来の炎を呼び覚ます!燃え上れ!宿曜のアキト!」
光に包まれた2体が一つとなり、まだ少年だったアキトは、青年へと姿を変える。
その姿はたくましく、頼もしい戦士となっていた。
F-B 宿曜のアキト ☆7 戦士族 ATK/2500 DEF/2000
「宿曜のアキトの効果!相手モンスターを破壊し、その攻撃力を得る!!」
「なにぃ!!俺の場のモンスターは…」
「当然、ツーハンドを破壊!2200のアップだ!」
アキトが操る炎が凶悪なガンマンを破壊する。
そしてその炎はアキトへと戻り、さらなる力を与えた。
宿曜のアキト ATK/2500→4700
「これで先生を守るものは何もない!バトルだ!宿曜のアキトでダイレクトアタック!」
「烈火剣!クリムゾンスラッシュ!」
「くっ!うぉぉぉぉぉ」
炎に包まれた二本の剣が牛田を切り裂く。
その熱風は会場全体に吹き荒れ、ほとんどの人々が思わず手で顔を覆った。
覆っていた手をもどした瞬間、目に飛び込んできたのは試験監である牛田が倒れている姿であった。
『え、ええー第4試験場の決闘、勝者は渋谷遊騎!試験合格です!』
面くらっている会場の人々に向けて少し遅れてアナウンスが入る。
「お、おっしゃー!やったぜ!」
それを聞いた遊騎は体全体で喜びを表現する。
跳んだり跳ねたり、跳んだり…と。
しかし、遊騎はまだ気づいていなかった。
この決闘により、自分がマークされる存在となったことを。
☆今日の最強カード☆
【F-B 宿曜のアキト】
☆7 戦士族・シンクロ ATK/2500 DEF/2000
「F-B」チューナー+「F-B 赤口のアキト」
①このカードが特殊召喚に成功したとき、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動できる。そのモンスターを破壊し、その元々の攻撃力分このカードの攻撃力をアップする。