「はぁっ!」
私と一緒にパーティーを組んでいるアスナちゃんは気合の声を上げながら、細剣基本ソードスキル『リニアー』がフレンジーボアと言う、最初のフロアに相応しい強さの猪のモンスターに直撃し憐れな悲鳴を上げながら猪は、ポリゴンを飛散させ消えていった。
其れを見ながら驚く、リニアーと言うソードスキル…ソードスキルと言うのはこの魔法が存在しない世界で魔法の代わりになる技で各武器毎に設定された予備動作をシステムが検知することで発動する必殺技の様な物で、ソードアート・オンラインにおける醍醐味の一つだ。
そんな一般的なスキルである、ソードスキルを見て驚いたかと言うと先ず一つ彼女…アスナちゃんはソードスキルを教えそして其れを使う迄のスパンが余りにも短かった。
まるで水を吸ったスポンジの様に私が教えた技術と言うかゲームのシステムをどんどんと覚えていった、正直恐ろしかった…才能って恐ろしいって今更ながら痛感したね。
そして二つ目はアスナちゃんが放ったソードスキル リニアーが余りにも速かったのだ、元々アスナちゃんが使う細剣の技の殆どが突きを中心としている為他の近接武器よりも比較的攻撃速度が速い事はベーターテスター達には広く知れ渡っている、そして細剣のソードスキルは最速と言うのもだ。
何で細剣が他の武器よりも速いと言うと、剣は構え振るうの二つの行動を取る
細剣も剣と同じ行動を取る事になるが、剣と細剣の違いとは振るうか突くの違いで、その違いが敵の体に到達する時間の違いを明確に表す。
とはいえベーターテスターであった私自身他の細剣使いを見てきたがあんなに速いリニアーは見た事が無かった。
恐らく原因はソードスキルだけに頼るのでは無く、システムアシストに合わせ身体を動かした筈…そうじゃなきゃあそこ迄速いリニアーになる筈が無い。
だけど…ソードスキルのシステムアシストに合わせ身体を動かすと言うのは、そのソードスキルの威力、攻撃速度が向上する裏技の様な技だ。
ベーターテスター間でもこの技を使えるプレイヤーと言うのはかなり限られていて、私は使っているプレイヤーは『黒い剣士』以外見た事が無かった。
と言うのもこの裏技はシステムアシストの妨害をしない適切に身体を動かさないとソードスキル自体がキャンセルされ、発動した後の硬直状態に入ってしまう、つまり下手にこの裏技を使えば強制的にソードスキルがキャンセルされ致命的な隙を晒してしまう事になってしまう。
そう言った経緯からこの裏技は何らかの武術を嗜んだ事がある人間位しか使えない物になったんだけど…アスナちゃんが何らかの武術を嗜んだ事がある様には見えないし、さっきアスナちゃんにこの裏技の軽い説明と実際にアスナちゃんに分かりやすく教える為に買った細剣で実践してみた所…何回か失敗しアドバイスをした結果……物にしてしまった。
うむむ…なんたる才能……まるで弟を見ているみたいだ、弟もアスナちゃん見たいに才能溢れる子で正義感もあって……この話はやめよう。
「んっ…もう夕方か」
仮想の空を見れば、其れはもう夕方でそろそろログアウトすべきかも知れない……と言うかアスナちゃんはもうログアウトすべき、流石にアスナちゃん見たいな未だ若い子がゲーム廃人になるのべきでは無い。
「アスナちゃん…そろそろログアウトしよう「ない…」はっ?」
「ログアウトボタンがない…」
取り敢えずアスナちゃんにログアウトを促そうとしたが、其れを遮る様に言った彼女の問いに固まるそして更にアスナちゃんはまた言った。
ログアウトボタンが無い?
そんな馬鹿な話がある訳が無い、とは言え私も確認するために常に自分の左端に置いているウィンドを中心に持ってくる、常にウィンドを開く行為自体戦闘に非常に不便だが…私のプレイスタイル的にこういった行為をしている。
そして…ウィンドを見るが確かにログアウトボタンが無かった、元々其処には無かったかの様に忽然と消えていた。
「どういう事?」
アスナちゃんが此方を見ながら困惑した表情で聞いてくるが、私にだってよく分からない
「分からない…多分何かのバグかも……」
そう曖昧に答えるしか無かった…だけど此れだけは分かった、此れからヤバい事が起きる…私が前世で死んだ日と同じ位酷い雰囲気がこのソードアート・オンライン全体を包んでいる気がした。
このフィールドにいる他のプレイヤーを見れば、その殆どが私やアスナちゃんと同じく困惑していて、一部ほんの一部のプレイヤーは此れから何かが起こるのかを分かっているのか冷静に在ろう事かモンスターを狩っていた。
そして…その表情を見ればニヤリと不気味な笑みを浮かべいた
明らかな異常、何かが可笑しい、此処に居ては駄目だ
そう私の危機管理センサーが警告を発するが何も出来ない…不安で不安で不安で頭が一杯になり泣きそうになる。
そうしている内に私達はフィールドから転送され始まりの街に居た。
あぁ……神様、此れは私が余りにも身勝手だったから其れへの罰なんですか?
私が自分の事を優先して、家族を捨て皆の期待を捨て何もかも捨てた私への罰なんですか?
「ようこそ私の世界へ」