「ただいま~」
「エイラか、おかえり」
帰ったらお母さんが迎えてくれるっていいね。
そうだ、それよりもお兄ちゃんだ!
「お母さん、お兄ちゃん部屋にいる?」
「ああ、だがもう寝ると言っていたが……」
「よーし、起こしちゃえ!」
「あ、こらエイラ!」
早くお兄ちゃんと色々するんだもん!
階段を昇るのももどかしい。
早く会いたいよ、お兄ちゃん!
「お兄ちゃーん、開けるよ(ガキン)……え?」
鍵?
「お兄ちゃん?なんで鍵かけてるの?」
返事がない、ただのしかb違う違う!
寝てるのかな?
体調が悪いんだったらそっとしておいた方がいいよね?
「……お大事にー」
私は部屋に戻ることにした。
チャイムを鳴らす。
「はい……久遠に一樹か」
来たのは霊斗……ではなくエリスさんか。
「霊斗から反人外派が現れたと聞いてきたのですが……」
「うむ、私と霊斗で片付けた」
「流石伝説の吸血鬼……滅茶苦茶ですね」
おお、珍しく……でもないが久遠が呆れてる。
「で、霊斗は?」
「寝るから誰か来ても追い返せと言われたのだがな……」
「起きてますね」
「やはりか……」
久遠は気付いてるか。
さて、ならば……。
「エリスさん」
「なんだ一樹」
「奴を引きずり出しても?」
「構わん。家の一棟くらいなら余裕で建て直せる」
どんなオーバースペックだよ……。
「じゃあ、久遠……やるか」
「了解――時雨桜鳴雷」
どうでもいいけど久遠が吸血鬼化してんの久しぶりに見るなぁ。
俺も戦闘形態――銀人狼の姿になり、手に鎌を持つ。
「一樹のその格好、久しぶりだな」
なにおんなじ事考えてんだよ。
「さて、とっととあいつを引きずり出して話を――っ!?なんだ今の魔力は!?」
普通じゃない!
なのになぜこいつらは平然としている?
「霊斗の魔力、一段と強くなってんなぁ……」
「流石私の息子といったところか」
は?今のが霊斗の魔力?
「急成長しすぎだろ……」
「しかし、やるしかないよ」
「わかってる、久遠は中から頼む」
「はいよ」
久遠が室内に飛び込んでいく。
よし、俺もやるか。
「闇に燻りし冥界の焔よ、我が刃を包み込み悪しき血を焼き払え――」
俺の祝詞と共に鎌に黒い焔が灯る。
「――『
そう唱えると同時に俺は飛び上がり、窓に鎌を叩きつける。
「よし、割れ――は?」
窓には傷一つついていなかった。
「これは――物質硬化魔法!?」
あいつが魔法を使えるなんて聞いてないぞ!?
「なんであいつが魔法を……」
「ああ、私が教えた」
「あんたかァァァァァァ!」
エリスさんなにしてんだよ!
しかしそうなると……。
「一樹」
「久遠か、どうだった?」
「無理だね、解除術式も効かない」
まあそりゃそうだろなぁ、伝説の吸血鬼直伝の魔法だもんなあ。
「じゃあ……」
「うん」
「「帰るか」」
満場一致で帰宅を選択。
「うむ、気を付けてな」
「はい、お邪魔しました」
「じゃあまた」
俺たちはエリスさんに挨拶をすると帰路についた。
「えっ?寝るから誰か来ても追い返せ?」
思わず聞き返してしまった。
「そうだ、霊斗がこの時間に眠るなどないことなのだがな……」
「そうですか……ありがとうございます、お義母さん」
「いやいや、こちらこそ。ヘタレで情けない息子だが、末永く頼む」
「はい、それじゃあ失礼します」
そう言って私は自分の家に帰る。
そのまま自室に直行する。
「よーし、寝てるんなら私の能力の出番だねっ」
そう言って私は意識を集中させる。
しかし、いつまでたっても霊君の夢に入り込むことが出来ない。
「おっかしいなー……あれ?」
私の部屋の窓は霊君の部屋の窓と向かい合っている。
そしてその部屋の窓から微かに光が漏れている。
「霊君……起きてるの?」
何かあったのかな。
心配になって電話を掛けてみる。
『お掛けになった電話は電波の――』
「駄目かぁー……」
電源が入ってないって事は、あの光はパソコンのディスプレイの光……。
「パソコンにも確かメール機能ってあったよね?」
たしか霊君がセットしてくれたはず……。
「あった……えっと、本文……」
なにかあったの?大丈夫?っと……。
送信は……これか、えいっ。
よし、送れたね。
じゃあ、あとは……。
「待つだけだねっ」
天音からメール?
いまいいところなのになぁ……。
というか今更なんだ?
「ま、いいか……ロクな内容じゃないだろ」
それよりも俺はゲームで忙しいんだ。
メールのタブを閉じて俺はゲームを再開した。
夜中に喉が渇いて目が覚めた。
私は水を飲もうとキッチンに向かう。
その途中、お兄ちゃんの部屋の前を通ると微かにマウスを操作する音が聞こえる。
「お兄ちゃん……」
まだ起きてるの……?
寝る前、天音さんからメールをもらった時は気にしなかったけど、流石にここまでとなると心配になる。
水を飲みつつ原因を考える。
思い当たること……あ。
いや、流石にお兄ちゃんといってもそんなこと……。
「ない、よね?」
結局その後は明け方まで眠れなかった。
今回はここまで。
ではまた次回。