吸血鬼に恋愛なんて出来るわけがない!   作:緋月霊斗

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久方ぶりの更新です。


雨のち晴れ

私が目を覚ますと、そこは薄汚れた廃工場のようだった。

「チッ、意外と早く目覚めやがったな」

声の方をみると、そこには先程のナンパ男がいた。

片方は見張りでもしているのか、ここにはいない。

状況を確認しようと視線を巡らすと、窓の外に海が見えた。

あまり場所は移動しなかったようだ。

と、そこまで考えたところで、男が私の制服のボタンをはずし始めた。

「!?」

慌てて逃げようとするも、身体が縛られている。

声を出そうにも口には猿轡が。

「お、いいねぇ。その青ざめた顔」

ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる男に、嫌悪感を覚える。

どうにか逃げ出そうと身をよじるも、縄と男の身体が邪魔をして上手く動けない。

そうこうしているうちに、最後のボタンが外された。

「■■■■■■■」

男が何か言っているが、パニックを起こしかけている私には雑音にしか聞こえない。

笑う男の手が私の胸に伸びる。

「~~~~~!!!」

男の手が私の胸に触れる直前、私は全力の頭突きを男の顔面にお見舞いした。

おでこに鈍い痛みと、固いものが潰れる感触がする。

今ので軽く脳震盪を起こしたのか視界が歪み、猛烈な吐き気がする。

それでも構わず這って工場の入り口に向かう。

(今のうちに逃げれば……!)

しかし、あと数メートルで外につくというところで、追ってきた男に捕まってしまった。

「やってくれるじゃねえか!こいつっ!」

怒りで顔を真っ赤にした男が私の頬を叩く。

バチン!という音と共に頬が熱くなっていく。

同時に、私の身体から力が抜ける。

「やっと効いてきたみたいだな」

だんだん身体が熱くなる。

クスリか何かを打たれたか飲まされたか。

そんなことも考えられないくらいに意識が朦朧とする。

男が私の足に触れる。

ゾクゾクとした感じが背筋を伝う。

それが、不快ではない。

そして男が私のスカートの中に手を伸ばし―――吹き飛んだ。

「!?」

驚く私の前に、人影が。

その人は、笑っていた。

暗く、残酷な表情で。

「■■■■」

彼は短く何かを呟くと、一瞬で男に肉薄する。

そして、何故か既に血に濡れた拳で、男の首を、切り落とした。

そこから先は見れなかった。

見られるわけがなかった。

最後に、何かが弾け飛ぶ音を聴いて、私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

私が再び目を覚ますと、目の前には心配そうな顔をしてこちらを覗き込んでいる小雪ちゃんがいた。

「あ、起きた?」

私は小さく頷くと、起き上がった。

「ここは……?」

私が辺りを見渡しながら呟くと、小雪ちゃんが教えてくれた。

「ここは久遠の研究室だよ、現場から近かったからここに運んだんだ」

「そう……」

周りには謎の機材が大量に置いてある。

そこには、不思議な形状の拳銃――恐らく、霊君の言っていた"試作型魔弾拳銃"だったか――が収納されていた。

そこで、私はとあることに気づく。

さっき私を助けに来てくれた人物。

意識も朦朧としていて、逆光だったから確信はないが、きっと霊君のはず。

私は思いきって小雪ちゃんに聞いてみることにした。

「ねぇ、小雪ちゃん」

「なに?何か欲しいものでもある?」

「霊君はどこ?」

私がそう聞いた瞬間、小雪ちゃんの表情が強張る。

やっぱり。

「何か、あったの?」

私がそう聞くと、小雪ちゃんは少し目を逸らしながら言った。

「私は、緋月君が必死に走ってるところしか見てないから……ごめんね」

「ううん、大丈夫」

そう答えたのに、また涙が出てくる。

あの時、助けに来てくれたのはやっぱり霊君だ。

「天音ちゃん、大丈夫?」

そう聞いてくる小雪ちゃんに、私は思わず抱きついてしまった。

「あ、天音ちゃん!?」

「うぅ……」

涙が止まらない。

嫌われてしまったと思っていたのに、私の事を、助けに来てくれた。

そのことが、ただ嬉しくて。

「小雪ちゃん……」

「なぁに?」

「霊君は、今どこ?」

私がそう言って立ち上がった時だった。

突然ドアが開き、人がはいってきた。

「ったく、後片付けするこっちの身にもなれよ」

「とか言って一樹も殺りすぎるときあるでしょうに」

「久遠は黙ってろ」

騒がしく入ってくる一樹と久遠。

その後ろに居たのは――

「――霊君!」

その姿が見えた瞬間、私は彼の元に飛び込んでいた。

「うわっ!?ちょ、天音!?」

突然の事に慌てふためく彼。

その姿が、懐かしく感じる。

会わなかったのはほんの数日なのに。

「霊君……」

「な、なんだよ……」

至近距離から彼の顔を見上げると、恥ずかしそうに目を逸らす。

少し線の細い、中性的な顔立ちが紅くなる。

「……大好き」

「なっ!?き、急にそんなこと言うなよ!」

そう言って真っ赤な顔を更に紅くする。

でも、すぐに諦めたようにこっちを向くと、彼は言った。

「その、なんだ……心配かけて、ごめん。……俺も天音の事……だ、だ……だ、だ、愛してるよ」

「"だ"関係ないじゃん!?」

でも、きっと、彼の気持ちは伝わった。

だって、こんなにも心が暖かいんだから。




久しぶりすぎて色々わかんなくなってます。
では、また次回!
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