想定外。
それ以外に形容できない。
彼がまさか……。
「素質は昔からあったけど……このタイミングでか……」
私の迷いを表すかのように尻尾がふわふわと揺れ動く。
「んー、でもなっちゃったもんは仕方ないよねぇ」
仕方ない……果たしてそう言いきれるだろうか。
だってこれは……彼が人外になったのは……。
「長時間人外と一緒にいると影響が出るっていうけど……」
だけど、[人外そのものになる]という前例はない。
従って、治す方法も不明。
「まぁ、強くなったんなら良いよね―――」
そう……強ければ強いほど良い。
「――良質な精が手にはいるから」
吸血鬼の彼とサキュバスの私。
これほどお似合いなカップリングはない。
「じゃ、今夜も夢にお邪魔しまーす」
私は彼の夢へと
「朝か……」
吸血鬼になって二日目の朝。
とりあえず眠い。
「にしても……変な夢見たなぁ……」
全く、天音が下着で迫ってくる夢なんて……。
「うっ、思い出したら恥ずかしくなってきた……」
なんだろう、欲求不満なのか?
まぁ、現実ではあり得な……あ。
「昨日の答え……考えてない……」
どうする、どうする俺!?
落ち着こう。
「ゆっくり深呼きゅ(ピンポーン)誰だよ畜生!」
全く……出るか。
「はーい、どちら様……で……」
「おっはよー、霊君」
「さらばだっ!」
ガチャ。
し、しまった。つい衝動的に閉めてしまった。
『ねぇ!なんで閉めるの!?霊君!開けてよ!!』
罪悪感で死にそう\(^o^)/。
「(ガチャ)なんだよ……」
「学校行こ!」
「断る」
「即答!?」
「き、今日は体調が優れなくてな……」
「元気そうだけど?」
「お腹が痛いんだ」
ヤバイ、ほんとに胃が痛くなってきた……。
「わかった、じゃあ。昨日の答えだけ聞かせて?」
「さらばっ!(ガチャン!)」
『元気じゃん!出てこい!』
「やだ!今日は休む!」
『ふーん……じゃあ、霊君は私の下着を見て喜ぶ変態だって噂を流そうかな……』
「今日もいい天気だな。さぁ、学校に行こう」
「早っ!?」
し ん で た ま る か
「ほら、置いてくぞ?」
「あ、待って!」
全く、人を脅迫するとは……そんなに俺と行きたかったのか?
「んなわけあるかぁっ!」
「(ビクッ)ど、どうしたの?」
「あ、ああ。すまん、寝ぼけてた」
うわぁ……って顔すんなよ、傷つくだろ。
「……で、霊君」
「今の間が気になるが……なんだ?」
「昨日の返事は?」
「あー……うん、あれだ」
「なに?(ワクワク)」
「……もうちょっと待ってくれるか?」
「へ?」
「その……お前のことは好きだし、付き合いたい……けど」
「なら……」
「けど、もっとしっかり考えたい」
「……」
「納得出来ないかも知れないけど……」
「わかった」
「へ?」
「でも、期限はつけさせて」
「あ、ああ」
「そうだね……修学旅行までかな」
「以外と長いのな」
「じゃあ、夏休み前まで」
「う……わかった」
「じゃ、行こ」
「お、おう」
もっと怒られると思ったんだがな……。
まぁ、夏休みまでに答え位だしてやる――――
「明日から夏休みだね、霊君」
「どうしてこうなった」
まだ新学期始まったばかりだった気が……。
「はっ!まさか……作者のやるk――」
「霊君、それ以上は消されちゃうよ?」
「すまん、ちょっと錯乱してしまっただけだ」
「まぁ、いいけど……で、今日が期限だけど」
「Oh……」
なんてこったい。なんも考えてなかったよ。
どうしたものか……。
天使霊斗『付き合うべきだよ!天音ちゃんのためにも!』
そうだよなぁ……。やはり付き合うべきか……。
悪魔霊斗『いや、何を企んでいるのかわからない女だぞ?危険だろう』
そうだな……利用するだけして捨てられる可能性も……。
天使『でも彼女の性格は僕ら自身が一番良く分かってるじゃないか』
悪魔『だからこそ利用しやすいんだろう?』
ま、まぁまぁ。落ち着けって。
天使&悪魔『お前(君)がさっさと決めないからだろ!』
は、はい。すんません。
うーむ……じゃあ、こうしよう。
「期限の延長とかは……」
「ビンタしていい?」
「嘘です冗談だからその手を下ろして!」
おお怖い……。
さて、どうするか……。
「うー……」
「……(ワクワク)」
あまりキラキラした目で見るなよ……。
はぁ……腹をくくるしかないな……。
「……あー、その……」
「うん……」
「お、俺で良ければ」
「ぇ……」
「な、なんだよ。なんかおかしなこと言ったか?」
「い、いや。霊君はさ、昔から……そういうの断ってたから……」
「意外だったと?」
「うん。断られるかと思った」
「むしろこんだけ待たせて断るとか、鬼畜だな」
「うん……でも、うれしい……(ぴょこん)」
なんだ、喜んでもらえたなら……ぴょこん?
「霊君?どうしたの?」
「いや、俺……疲れてんのかな……」
「え?……あっ!」
よし、もう一度眼を開いてあったら掴もう。
「あれ、ない?」
「さっきからどうしたの?」
「いや、ここに尻尾があった気が……」
「尻尾?なに言ってるの?」
「いや、なんでもない。疲れてるだけだ」
「ふーん……じゃ、帰ろっか?」
「ああ」
まぁ、二人で帰るのは慣れてるから全然大丈――
「……」
「……」
かいわがない。
「……」
「……」
まってよ、いつもの口数の多さはどうしたの?
「……」
「……(ギュ)」
「¥@'#¥$+/^%。!?!?!?」
急に無言で手を掴むなよ!
あ、まずい……。
「~~~~ッ!」
吸血衝動がぁっ!?
まずいまずいまずいまずいまずい。
「れ、霊君?苦しそうだけど……」
「だ、大丈夫だから……とりあえず手を離してくれ」
「え……嫌だった?」
「ち、違うんだ!そう言うことじゃなくて……た、体質的に?」
「?どゆこと?」
「う……お、襲っちゃうぞ」
「え……ど、どうぞ?」
違うだろぉぉ!
「すまん、冗談抜きに襲いそう……」
「ひっ!?(ズザッ!)」
そんな距離取らなくてもいいじゃん……。
あ、でも治まってきたかな……。
「ごめん、もう大丈夫だよ」
「そ、そう?なら……(ギュ)」
おお、予測出来てれば大丈夫だ。
にしても柔らかいなぁ……あ。
「―――」
っとあぶねぇ!
はぁ……俺の今後の生活、大丈夫かなぁ……。
「む、少年の隣に居るのは……夢魔の女……?」
ほう……わが従僕に手を出すとは……。
「いい度胸だ……」
見せてもらおう。
「我が従僕を虜にできるのか……夢魔のお手並み拝見と行こうか」
疲れた。
じゃ、また。