「ほぇー、久遠と雪ちゃんがねぇ……」
「俺も意外だったな」
「それでそれで?次は?」
「あぁ、次はその翌日だな」
「おい久遠、開発って何するんだ?」
「そうだな、基本は魔力をカートリッジに込めるだけだな」
「魔力?」
「吸血鬼化したときに使えるようになるエネルギー源みたいなものだな。普段でも訓練すれば使えるようになる」
「まじか……で、カートリッジとはなんぞ?」
「これだよ」
久遠の手にあるのは……
「マガジン?」
「基本的にはそうだな。それをこいつに装填する」
「銃……か?」
「正式名は"試作型魔弾拳銃"だな。これを使うと殺さずに戦闘不能にできる」
「へー……スタンガンとかで良くね?」
「効かない場合があるからな」
「なるほど、理解した」
「じゃあやってみてくれ」
「はいよ」
エネルギーを込めるように……そいっ!
ボンッ!
「やりすぎだ馬鹿者」
「ご、ごめん」
「私が手本を見せるから」
久遠がカートリッジを握ると、わずかにカートリッジが発光している。
「ファンタジーだな」
「諦めろ、お前ももうこちら側だ」
はぁ……じゃ、もう一回やるか。
そっと……力を……。
「おお、成功だ。だが……」
「何か問題でもあったか?」
「いや、この属性……初めて見る属性……」
「属性?」
「ああ。特に強弱関係とかはないんだが、例えば小雪なら"氷属性"。私や一樹は"木属性"だ。だが……」
「俺の場合、それらに該当しない、と?」
「ああ……まぁ、こちらで調べておこう」
「頼んだ。で、後は?」
「今日は十分だ。助かった」
「いいさ。それより、この後委員長とデートだろ?頑張れよ」
「んなっ!……まぁ、頑張る」
はぁ、リア充め。
「んじゃ」
「また明日」
俺はここで帰路に着いた。
「久遠って天才なの?」
「ああ、こちらの方面に関してはな」
「で、次はいつ?」
「いや、まだこの日に事件が起きたんだ」
「あー、疲れた」
吸血鬼化するの、疲れるんだよな。
に、しても……謎の属性か。
「わっかんねぇなぁ……」
「ならば、教えてやろう、少年」
誰だ!?
「ふむ、良い具合に成長している。この短期間でここまでとはな……やはり君は危険だな」
覆面の男……。
「何者だ?」
「反人外派、と言えば分かるか?」
「っ!」
こいつは危ない。
本能的な部分が危険信号を発している。
逃げよう。
「逃がさぬよ」
「ぐぁっ!?」
速い!
「クソッ!」
「甘い」
「ぐっ!」
駄目だ、このままじゃ勝てない。
「少年、本気でかかってくるがよい。まだ吸血鬼化していないだろう」
「ばれてたのかよ……じゃあ、本気でいくぞ‼」
やりたくはないが……仕方ない。
俺が吸血鬼化したときの変化……それは。
「緋色の瞳に真紅の髪が一房。噂通りの見た目だな」
「そこまで知られてんのか。俺も有名人だな」
「当たり前だ。人間が人外になるなど本来有り得ない」
「だが、そのイレギュラーが発生した。そしてその脅威を取り除きに来た、ってとこか?」
「ふむ、良い勘をしている……」
よし、今だ!
「(ガッ)遅いな。予備動作が見え見えだ」
「チッ、まだ見切られるのか」
「ほう、まだ速くなると?」
「ああ。このくらいなっ!」
「(ピッ)む……。ここまでとなると……勝ち目は薄いか……」
「どうする?」
「今日の所は一端退かせてもらおう」
「ああ、そうしてくれ」
「では、さらば」
暴風とか発生させんじゃねぇよ!
わざとだろ!
「ふぅ、助かった……」
ああ、急にどっと疲れが……。
あ、まずっ……力が入らねぇ……。
(ガッ)
ん、誰……だ?
「全く……無理して。駄目だよ?」
「あ……ま、ね?」
「今はゆっくり眠って。おやすみ」
意識が途切れる瞬間、天音に翼と尻尾がついてるように見えたのは気のせいだろうか。
「んで、俺は吸血鬼化を解いたところまでは覚えてるんだけどなぁ……」
「へ、へー。大変だったんだね」
「まぁ、その後家に居たってことは、久遠か一樹辺りが助けてくれたんだと思うんだが……」
「う、うん」
「でも、二人共知らないって言うんだよなぁ……」
「へー……で、続きは?」
「ん、あとは……大体今日から三週間前かなぁ」
「やっと……完成だ」
「やったね、桜坂君!」
「ああ、小雪のお陰だよ」
「あ、ありがとう……」
チッ
「あのー……お二人さん?」
「ひぁっ!?あ、緋月君?」
「どうした霊斗」
「いや、イチャイチャすんなら外行けよ」
「イチャイチャしてないよ!」
「なんだ?羨ましいのかい?」
「その喋りやめい」
「というか。緋月君だって天音ちゃんと散々イチャイチャしてるでしょ」
「っ!?なに言って!」
「図星か」
「図星ね」
「うわぁぁぁぁぁっ!そんな目で見るなぁぁぁ!」
恥ずかしい!恥ずかしいよぉぉぉ!
「まぁ、霊斗。こいつを持て」
「なんだ?魔弾拳銃じゃん」
「お前専用に調整してある。それと、お前の属性は……"神属性"だ」
「は?神?」
「ああ。他に例を見ない属性だが、過去に一人だけ……"神属性"を持った吸血鬼がいた」
「吸血鬼?」
「エリス・ラ・フレイア・カーミラ。吸血鬼カーミラの末裔で、その時代ではたった一人の純血の吸血鬼だったそうだ」
「たった一人……?」
「つまり、この"神属性"は……イレギュラーな存在にしか発現しない、極めて特殊な属性だ」
なんだそれ。主人公感パネェ。
「あと、これはあくまでも噂だが……彼女はまだ生きている、らしい」
「まぁ、吸血鬼だしな。不老不死でもおかしくないだろ?」
「いや、私でも不死ではないな。そもそも純血の吸血鬼以外に不老不死を持つ人外なんていない」
「なん……だと?」
じゃあ、俺も普通に死ぬんか……。
「まぁ、お前の武器は特殊だから、すぐ死ぬことはない……はず」
「おい、断言しろよ」
「まあ、緋月君。なんか凄いし、良いと思うよ?」
「ああ。まぁ、頑張るよ」
「じゃあ、今日は解散で。小雪、帰ろう」
「うん!あ、緋月君、またねー」
「ああ、お幸せにー」
はぁ、いろいろあって疲れたなぁ。
帰ろう。
じゃ、また次回!