四葉のリリカルでマジカルな魔法少女   作:神無月 雪華

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入学編なの
入学式なの?


 

「納得できません」

「まだ言っているのか……?」

 

栄えある?第一高校の入学式開会の二時間前である現在、我が妹が我が弟に対し不満を爆発させていた。

私の双子の弟である達也の制服にはエンブレムが無く、妹の深雪の制服には八枚の花弁をデザインした第一高校のエンブレムが。

深雪の不満の原因はこれである。

 

「なぜお兄様が補欠なのですか?入試の成績はトップだったではありませんか!」

 

うちの妹は何処から入試の結果を仕入れたんでしょうか?

多分在校生徒からの流された情報でしょうが。

 

「それに!お姉様の方が私より魔法の腕も学力も上のはずです!」

 

おっとぉ?

こちらに飛び火しましたよ?

 

「だって、総代なんてやりたくないもの。私より美少女の深雪の方が皆ちゃんと聞くわよ」

「そんな、お姉様の方が美人です!」

 

美少女と美人は違うんだぞ?

主に若く見えるかどうか……だが。

アイコンタクトで達也にバトンタッチ。

私はシスコン妹の制御が達也より低いのだから仕方ない。

 

「深雪、俺やなのははな、お前の総代を楽しみにしていたんだ。可愛い妹が立派に晴れ舞台に上がるのを」

 

達也がチラッとこちらを見る。

援護しろということですね、分かります。

 

「そうよ深雪。だから、総代を頑張って私たちに自慢の妹だ!って皆に自慢させて?」

「分かりました!お兄様とお姉様の為に頑張ります!」

 

説得成功。

深雪は講堂に小走りで向かって行く。

それでいいのかい妹よ。

 

「深雪も、シスコン、ブラコンがねぇ。もう少し大人しければ良いんだけど」

「まぁ、あれも深雪の良いところだろう」

「そういう事にしておきましょうか」

 

時間までだいぶあるから、ということで達也と講堂から少し離れたところにあるベンチに向かう途中。

 

―――あの子ウィードじゃない?

―――こんなに早くから……補欠なのに張り切っちゃって

―――所詮スペアなのにな

 

心無い純粋な悪意が向けられる。

私に、ではない。

私の隣にいる達也に、だ。

 

「その行為が、悪意あるものと理解していない悪意、即ち純粋な悪意が一番タチが悪い、か」

「俺は、気にしていないさ」

「人として、間違っているものが多すぎなのよ。魔法が使える、と言っても、それ以外の人を蔑ろにしている時点で駄目よ。人間は、気が付かないだけで、あらゆるものに支えられているのに」

「なのはや深雪、母さんや叔母上が俺の事を理解してくれているだけで俺は十分だよ」

 

私は深々と溜息を吐く。

それを尻目に達也はなんだ?と言いたそうな目を向けてくる。

 

「深雪はそれで騙されるかもしれないけど、私は騙されないわよ?」

 

何か言いたそうな達也を無視してベンチの端に座り、ポケットから文庫本を取り出す。

達也も隣に座り、端末を開く。

 

「昔から思うんだけど、本、という財産を蔑ろにしすぎじゃないかしら。紙の本の新作少ないのよ」

「俺は、端末での読書主体だから分からないな、その感情」

「紙の本を捲るのがいいんじゃない。まぁ、私の好みってだけで電子書籍が悪いって言っているわけじゃないけどね。電子書籍でしか読めない本もあるし」

 

昨日発売されたミステリー小説を読みながら時間を潰す。

 

『主、そろそろ時間になりますよ』

 

後ろから声がかかる。

勿論、後ろには誰も居ない。

まぁ、見えていないだけだが。

 

「あら、もうそんな時間なのね。ちょうど読み終わったところよ」

「その本はどうだった?」

「良かったわよ、ただ、モブが場をかき乱すのはあまり好きじゃないのよねぇ」

 

ベンチを立ち上がり講堂に向かおうとすると声が掛けられる。

 

「新入生ですね?開場の時間ですよ」

 

先程、私に時間を知らせた声ではない。

振り向くとそこには左腕にブレスレットを付けた女性がいた。

 

「ありがとうございます。すぐに行きます」

 

達也と二人でお礼を言い立ち去ろうとする。

私は目の前の女性を知っていたから。

達也は生徒会役員であろう彼女と積極的に関わり合いたくないから。

 

「感心ですね、スクリーン型ですか」

 

女性の視線が達也に向かう。

達也の持っている端末がスクリーン型であり、その事を感心したようにこの学校では仮想型ディスプレイ端末が禁止されているのを話す。

まぁ、そんなもの持って来てない私には関係ないことだが。

 

「仮想型は読書に不向きですので」

 

達也の返答に感心の色を強くする女性。

と言うか、紙の本のほうが読み応え感じる派の私としてはこう、なんというか。

 

「動画ではなく読書ですか。ますます珍しいです。私も映像資料より書籍資料の方が好きだから何だか嬉しいわ」

 

南無、達也は目をつけられている。

 

「あっ、申し遅れました。私は第一高校の生徒会長を務めています。七草真由美です。ななくさ、と書いて、さえぐさ、と読みます。よろしくね」

 

最後にウインクが付けられそうな口調で自己紹介してきた女性、七草家長女、七草真由美に達也は一瞬顔を顰めそうになっていた。

 

(数字付き(ナンバーズ)……しかも、当主がめんどくさい「七草」かぁ)

 

自己紹介をされたので返すしかあるまい。

訓練され尽くした笑みを浮かべ自己紹介をする。

 

「私は、四葉なのはです」

「俺、いえ、自分は、四葉達也です」

「貴方達があの、今年度入学した三人の四葉、ね。あらゆる試験で尽く2位の四葉なのはさんに、入試試験の七教科平均、百点満点中九十六点の四葉達也くん」

 

まぁ、深雪が新入生総代になる様に実技は手を抜いたし、学力では達也を目立たせるために達也より下の学力という脳内設定で受けて手抜きましたし。

4位ぐらいにしておけばよかったと終わってから気がついたのは内緒。

全力全開でやったら深雪とお母様、叔母様がまた騒ぎ出しそうだった。

それが無ければ1位目指してたのに。

達也は褒められている学力試験の結果をペーパーテストの成績として愛想笑いを浮かべる。

 

「そんな凄い点数、少なくとも、私には真似出来ないわよ?」

 

達也はあの生徒会長が苦手らしい。

仕方ない、助け舟を出してあげましょう。

 

「すみません、そろそろ時間なので、失礼致します。達也も行くわよ」

「では、これで」

 

まだ何か言いたそうな生徒会長にそう告げて歩き出す。

 

距離が離れたところで達也に一言。

 

「助けたので帰りにデザートを奢ってね?深雪もセットで」

「……はぁ、分かった。だが、高いのはやめてくれ」

 

それは振りかね?

 

「振りじゃないからな」

「バレたか」

「このやり取り、何年間してると思ってる」

「十数年ですが?」

 

達也は頭痛がするのかこめかみを抑える。

いつもの事なのでスルーして先に進もう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「物の見事に分かれているわね」

 

講堂に入った私は驚きを隠せないでいた。

前半分を一科生、後ろ半分を二科生で綺麗に分かれていたのだから。

まさか、ここまでとは。

今まだ入学式始まってすらいないのよ?

差別意識高すぎない?

達也の隣に座ってやろうかと考えていた私に、達也は視線で流石にやめろよ?と訴えてくる。

可愛い弟のために渋々了承して前の方の席に向かう。

 

後ろの方が楽なのに。

 

椅子に座るとポケットから先程とは別の本を取り出す。

先程の本をしまった場所から。

うん、転送魔法優秀ですねぇ。

こんな事で使うな!って言われそうだが、これは転送魔法をどれほど流れるように出来るか、の練習を兼ねている。

空間の指定演算が大変で大変で。

まぁ、脳みそがスパコン呼ばわりされた事のある私の前ではたいしたことなかったね(震え声)

 

ミステリー物の後はSF物ですよ。

この世界がSFなのは気にしてはいけない。

 

はぁ、ライトノベルが読みてぇ。

 

この世界の難点はアニメとライトノベルがない事だと思います(オタク感)

 

まぁ無い物ねだりは仕方ない。

 

「あの、隣空いてます?」

「うむ?」

 

本読むのに集中してたら変な返事をしてしまった。

隣は空席が連なってるのは見てわかるから、これはあれか、ここに友人とかがあとから来るかどうか、という事か。

残念!私の友達はコチラには居ない!

ちくせぅ!

 

「空いてるから大丈夫よ」

「そうですか」

 

そう言ってたわわおっぱいちゃん(セクハラになるから口にはしない)とその後ろにいた黒髪の少女は座る。

 

……ところで、皆さん。

一目惚れって信じます?

はい、小柄な黒髪少女の北山雫ちゃんに惚れました。

最近劣等生のキャラ知識が仕事してなかったせいで一瞬誰だかわからなかったぜ。

なのは知識さんはフル活用してたのにねぇ?

まぁ、高校入学前のストーリーが沖縄戦のあれ位しかないからね。

 

「あの、私は光井ほのかっていいます。よろしくお願いします」

 

あぁ、自己紹介ね。

キャラ知識あるせいで初対面感薄かったわ。

 

「私は北山雫。雫でいいよ。よろしくね」

「私はなのは、四葉なのはよ。よろしくお願いするわ。光井さんも雫も」

「あ、私もほのかでいいですよ。ところで、四葉ってあの四葉ですか?」

 

初めてあった人から良く言われる言葉である。

この世界は、物語の魔法科高校の劣等生の歴史をそのまま辿っているわけじゃないので、四葉家はアンタッチャブルとは呼ばれて恐れられてはいない。

しかし、十師族というだけで恐れられている節はある。

友達出来なかったのこの所為なんだよね。

辛い。

 

「どのよつばか分からないし、私の家以外のよつばを知らないからなんとも言えないけど四葉のクローバーの四葉よ?」

「それにしては随分と軽い対応」

「雫、それ言っちゃう?」

「いいわよ、別に。私は四葉と言うだけで、継承権ある訳じゃないから自由なほうだし」

 

しかしそのしわ寄せは深雪に行っているのよねぇ?

まぁ、うちの姉兄の中で一番ちゃんとした魔法が使えるの深雪だし。

私の使う魔法はリリカルなのはの世界の方だからね。

 

「二人は同じ中学校?」

「うん、幼なじみ」

「小さい頃から一緒なんです」

「そっか、私そういうのいないから羨ましいわ。まぁ弟と妹がいるから寂しい生活はしてないけど」

 

まぁ、小学校中学校共に友人と呼べる人など居なかったんだけどね。

 

「十師族ってけっこう畏怖の念を抱かせるって言うらしいけど、本当?正直に答えてくれない?」

「私は大丈夫」

「わ、わたしも大丈夫です」

「つまり、友人としてよろしくお願いしてもいい?」

 

こうして、ほのかと雫と友人になった。

いかん、雫ちゃんが可愛すぎで暴走しそう。

この感覚、恋!

そして私はレズ?

百合、と言いたいところだ。

最近仕事でストレス発散も出来てないし、思考がネタ方向に向かうのは仕方ないという事にしよう。

 

今度皆と魔法訓練しに行こう。

 

「何読んでるの?」

「一昔前のSF小説。紙媒体の本が好きなのよ」

「珍しいですね」

「弟にも言われたよ。おかげで私だけ部屋を生活用と本収集用で二つ使ってるから片付けが大変なのよ」

「……それは凄い」

「再従姉弟からの実家の部屋の評価は小型図書館よ?わりかし何でも読むからジャンルの偏りが無いのが自慢ね」

 

ただ、BLは無いです。

ゲイはノーセンキュー。

 

「面白そうな本とか色々ありそうですね」

「でも、妹はあまり本読まないし、弟は電子書籍だし……これが時代か!」

「紙媒体の本は貴重で管理も大変だから仕方ないと思いますけど。なのはさんは管理は大丈夫なんですか?」

「なのはでいいわ。それがね、私が持ってる本、整理しようとすると家族の一人が『怪我をしたらどうするおつもりですか、私がやります』って言ってやらせて貰えないのよ」

 

あやつめ、私がそんなか細く見えるのかね?

まぁ、やること無くて暇なんだろうな。

 

『はい、最近は主も私を連れていってくれませんから』

〖だって連れてくと明らかに過剰戦力なのが更に過剰戦力になるじゃない。というか、今出てこられると困るのでお家待機してなさい〗

 

びっくりはしないけど、うっかり声に出したら変な人扱いされるでしょ。

 

 

「そうなんだ。あ、そろそろ始まるね」

 

ほのかの言葉通り、入学式が始まった。

 

 

 

 

深雪の答辞だが、見事なものであった。

「皆等しく」とか「一丸となって」、「魔法以外にも」、「総合的に」などのギリギリのラインを攻めているフレーズが多々あり、私としてはそれでも良かったが達也の胃が大丈夫かが心配になった。

まぁ、深雪の可憐な美貌にやられている子が大半だったので問題ないだろう。

明日から大変だろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

IDの交付のため並んでいると後ろから怒鳴り声が上がった。

 

「何故二科生(ウィード)が先に並んでいる!」

 

どうやら余程プライドが高いといえば聞こえの良い思想の方がいる。

人間としては最低の部類だとなぜ気が付かないのかね?

と言うから、多分一科生の大半はその思想の持ち主達なのだろう。

 

「おい!そこをど!?」

 

退け、と言おうとしながら交付をしていた女子生徒に割り込もうとした男子生徒の手を掴み上げ、静かに、けれど響く声で言う。

 

「魔法が優れているというだけで、人としての礼節は最低ですね」

「な!何だお前!」

「なんだ、と言われましても、私はその子の後ろに並んでいた者です。彼女の方が先に並んでいましたよね?」

「だが!」

「彼女が二科生だから、ですか?下らない。と言うか、あなたが邪魔しないでいただければすぐにあなたの番なんて回ってきましたよ?それに、後ろに並んで待っていた私たちを追い越して貴方が先に登録するんですか?」

「そ、それは」

「なら貴方はきちんと並ばないと登録出来ませんよ?」

 

大変ですね、今から一番後に並び直すのは、と威圧を彼にだけ向けて話す。

周りからは私の説得が効いて、彼が後ろに並び直しているように見えるはずだ。

もう少しごねてたら腹パンしてたかも知れないから危なかった。

 

「ほら、どうぞ」

 

先程の女子生徒に優しくほほ笑みかける。

 

「あ、ありがとうございます!」

「いえ、お気になさらず。どの道、彼が割り込んでいたらその後ろに並んでいる全ての人が迷惑を被り、不満が出来ただけですから」

 

と言うか、これで差別意識がまだ根付いていない人達に、これでいいと言う事を教えたいんだけど、駄目かね?

 

私が交付していると、雫が先程の女子生徒に私の名前を教えていた。

四葉なのは、と。

四葉家の人間がきちんと並んでいるのに自分達が並ばないのは不味いと思ってか、私が居なくなってから同じようなことをやろうとしていた先程の生徒以外の者達も冷や汗かいているのがよくわかる。

 

そんなこんなで交付は終わった。

 

「なのははどのクラスだった?」

「雫とほのかは?」

「私はAクラス」

「あ、私もです」

「私もよ。改めてよろしくね」

 

同じクラスになれたことを喜びながら、今日はこれで、と雫達と別れ達也達を探しに行く。

 

 




主人公のなのはの容姿は魔法少女リリカルなのはStrikerSのなのはさんの髪の色を黒めにして少し幼くした感じです。
髪型はリリカルなのはStrikerSの時の普段のフェイトさんの後ろでリボンで纏めた髪型です。
ちなみにプロローグの時のなのはさんとフェイトさんは14歳かそこらです。
大怪我おった後かな?
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