深雪と達也が朝起きたら既に居なかった。
「おはようございます、主。ミユキとタツヤならつい先程、ココノエのところに向かいましたよ」
着替えてリビングに行くとエプロン姿のアインスが出迎えてくれた。
「それなら起こしてくれても良かったのに」
「タツヤもミユキも昨日の訓練でお疲れだろうから時間いっぱい寝かせてあげよう、と言ってました」
「私どれだけ疲れていてもいつも通り目が覚める体質なの知ってるでしょうに」
「それでも、ですよ我が主」
他愛ない話をしながら料理を運んでくるアインス。
「さて、私も朝食をとって軽く魔法の練習してから学校に向かうとしましょうか」
「本日の予定はどうなっておりますか?」
「特に無いけど、帰りに何かありそうなんだよね。ほら、普通の人など一人たりともいない魔法科高校よ?」
ちなみにその中でも異質なのは十師族の人達と私だったりする。
私の場合、ほら。
あるじゃない?
色々特殊な事象が。
「ミユキは大変そうですね。主はのらりくらりと躱して帰ってきそうですが」
「そんな事しないわよ。終わったら友達と遊ぶ位してくるわよ、きっと」
既に数名の友達が居るもんね!
小中の時とは違うのだよ!
まぁ、小中と共に管理局の方の嘱託魔導師の仕事で忙しかったから関係無かったんですがね。
「ご馳走様、いつも通り美味しかったわ」
「なら、良かったです。洗い物は私がやっておきますので、練習に力を入れすぎて遅刻しないようにして下さいね?」
シーカーがちゃんとしてるから大丈夫だし、時間厳守は管理局に嘱託とはいえ所属しているから基本である。
と言うか、流石に四葉の長女である私が初日から遅刻とか不味い。
「さて、シーカー。今日の訓練は何にする?」
〘朝は基礎トレーニングをしましょう。夜はカートリッジシステム搭載型のレヴァンテインかグラーフアイゼンを練習しましょうか〙
カートリッジシステム搭載といってもまだレイジングハートとバルディッシュはカートリッジシステムは解放されていない。
理由としてはその前にユーノさんやアルフさんの魔法をデバイスなしに使う練習しなくてはいけないのだ。
アルフさんはいいけどユーノさんのバインド頭おかしいレヴェルしてるからなぁ。
「さて、達也達が帰ってくるまで基礎トレーニングを頑張りますか」
〘週末はヴィヴィオ達とストライクアーツの練習をしにミッドまで行くのですから、それ以外の練習は今の内にしておきますよ〙
「ヴィヴィオ達はどれほど強くなってるかなぁ」
そんなことを話しながら達也達が帰ってくるまで練習をしたのだが、シーカーの奴少しずつ私に魔力負荷掛けてきて大変だった。
なんで基礎トレーニングで汗だくになってるのかを深雪に心配されたよ。
それに関しては私も聞きたいです。
◇
クラスが違う達也とは途中で別れてAクラスに深雪と一緒に向かい、教室の扉を開けると教室の中は既に生徒の大半が来ていた。
とりあえず自分の番号の席に向かうと、私の席は深雪の後ろだった。
「とりあえず履修登録をしましょうか」
深雪にそう言いながらキーボードで登録を始める。
脳波アシストも視線ポインタもどちらも使えるが、ミッドでもキーボード操作主流で報告書とか作ってるのでこちらの方が遥かに早いのだ。
どれ位かと言うと私を見つけて近寄ってきた雫とほのかの2人が呆然とするくらい(達也より少し遅いが十二分に早いと深雪に言われた)
「あら、雫にほのか、おはよう」
「おはよう、なのは」
「おはよう」
雫とほのかに挨拶をすると、深雪が後ろを向いて雫達に視線を向けながら私に問いかけてくる。
「あの、お姉様。こちらの方々は?」
「ああ、昨日の入学式で仲良くなった友達の二人よ」
ほのかは深雪を見つめながらポケーっとしていた。
「この子は私の妹の深雪よ」
「初めまして、四葉深雪と申します。私の事は深雪と呼んでくれて大丈夫ですよ」
「私は北山雫、よろしく。雫でいいよ」
「は、初めまして!光井ほのかと言いまふ!」
あ、噛んだ。
哀れほのかは赤面涙目。
あれされると噛んだ方もそうだけど噛まれた方もリアクション取りずらいよね。
アインハルトが私に自己紹介するときに噛んだ時もそうだったし。
「深雪は私の自慢の妹よ、雫もほのかも仲良くしてね?」
深雪の方をチラチラ見てフォローを要請する。
深雪はすぐに察してくれたようでほのかの手を握って笑いかける。
「お姉様とはお友達なのですよね?なら私ともお友達になりませんか?」
「は、はい!こちらこそよろしくお願いします!」
「もちろん、雫とも」
「うん、よろしくね?深雪」
ちなみに私は友達の作り方として普通の方法と高町式の二つの方法を持っている。
まぁ、こっちの世界では高町式は使った事ないけど。
無論高町式とは一度ぶつかり合ってから生まれる友情、或いは家族愛である。
なのはさんはそれで友達のフェイトさん(今はもう夫婦だろと思っているのは内緒)と娘のヴィヴィオを得ているしね!
それは、まぁ、置いておいて
「しかし、美少女の深雪とほのか、雫の三人は絵になるわね」
「なのはも十分美女だと思うけど?」
「あのね、雫。美少女と美女は違うのよ?主に若く見えるかどうかで」
「まぁ、なのはは少し大人ぽっい雰囲気があるよね。雫も昨日言ってたし」
「お姉様はお兄様と同じくらい大人に見えますからね。話さなければ」
話すと私は子供っぽくなると言われるのだが、それは前世からなので仕方ないと思う。
時間になるまで深雪、雫、ほのかと話をして交友を深めた。
そして、時間は過ぎ、問題は起きた。
一回目は達也と昼食を取りたい深雪と深雪と相席したいクラスメイト、それに巻き込まれないようにさっさと食事を終えて去っていく達也達。
まぁ、ある程度は予想していた事だが、如何せんクラスメイトの子達の態度が悪い。
まぁ、原作知識(殆ど機能しない)により知っていたのだが、まぁ、めんどくせぇの一言だった。
そして、今。
ホームルームに忘れ物をしたので深雪に達也を迎えに行かせ、雫とほのかは着いてきてくれたのだが、校門に向かったら達也達とAクラスの数名がもめていた。
いや、達也というか、美月達だが。
「……さて、見なかった事にして帰ろう」
「いや、無理だと思うよ?なのは。さっきから深雪がこっち見てきてるから」
「……」
ほのかの視線は達也に行ってらっしゃる。
今のところ目線から一瞬侮蔑が混じりかけたが考え直した感じかな?
あの人が二科生だったなんて!
みたいな?
まぁ、気にしないでいいか。
恋愛事情に首突っ込むのは両想いの二人をくっつける時だけにしているし。
なのはさんとフェイトさんの二人をくっつけるのは至難の技ですよ。
既に夫婦感すごいのに友達と名称しているのがね?
ヴィヴィオに一回フェイトパパって呼ばせたら二人共顔真っ赤にしてたのは記憶に新しいし私が言わせたのがバレてSLBをくらったのは良い思い出。
ついでにプラズマザンバーもくらいしました。
いい経験になったよ。
それからスバルさん達から憧れみたいな目で見られるようになったのは何故だろう?
まぁ、ほのかの恋は叶わないだろうけどね。
理由としてはアインスと達也をくっつけようと、私と深雪が画策しているから。
イチャイチャしている知り合いを弄るのが私の精神の癒し。
……さて、露骨な現実逃避してないで達也達の援護しますか。
「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点で一体どれだけ優れているというんですかっ?」
そう思っていたら、不意に美月の言葉が耳に届く。
まずい、そう思った瞬間、私は構えをとっていた。
直ぐに駆け出せるように。
Aクラスの生徒達と達也達との間に割り込めるように。
「……どれだけ優れているか、知りたいなら教えてやるぞ」
美月の発言に対してのAクラスの生徒の押し殺したような返答は、言うなれば彼らなりの最後通告だったのだろう。
しかし、
「ハッ、おもしれえ!是非とも教えてもらおうじゃねぇか」
それに対し、大柄の生徒が大声で応じる。
彼は確か、西城レオンハルトだったか。
そんな事はどうでもいい。
買い文句に売り文句だろうと何だろうと、結局のところ、彼らにとっては余程大事なプライドを挑発されたのだ。
感情に身を任せることしか知らないAクラスの生徒が行動に移すのは目に見えていた。
「だったら教えてやる!」
生徒がCADを抜き構える。
「特化型っ!」
「お兄様!」
その声が発されるより早く私は駆け出した。
正確に言えば駆けるというより飛ぶ、と言えるだろう。
数メートル離れた場所へと距離を詰めCADを構えた生徒の腕を掴み、同時にエリカの警棒を指で挟み威力を無くす。
「はい、そこまで、これ以上は危険行為よ。今なら未遂で済むわ」
どちらからも息を呑む音が聞こえる。
彼らからは私が一瞬で現れた様に見えたのだろう。
「校内でのCADの使用は禁止よ」
一瞬生まれた彼らの動揺を利用し状況を有利に運ぶ。
有無を言わさない雰囲気を纏わせながらAクラスの生徒達をメインに戦意を削ぐ。
ふと、視界の外でほのかがCADを構えていたのを捉える。
ほのかはCADで閃光魔法を使おうとしていた。
しかし、まぁ、私の方が早かったわけで。
ほのかが魔法を中止させようにも、状況に混乱して停止させることを忘れかけてるみたいたし、どうするか。
まぁ、敢えてスルーしますが。
「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」
その声と共にほのかの展開していた起動式にサイオンの塊が撃ち込まれた。
皆、そのサイオンの塊を撃ち込んだ生徒を見て固まった。
それを撃ち込んだのは生徒会長である七草真由美その人であったから。
「あなたたち、1-Aと1-Eの生徒ね。事情を聞きます。ついて来なさい」
そう言いながら近づいてくるのは生徒会長の隣に居た女生徒。
風紀委員長の渡辺摩利、だったっけ?
彼女のCADは起動式の展開を完了している。
そんな彼女達の前に達也は平然と歩いて近づく。
「すみません、悪ふざけが過ぎました」
傍から見れば唐突なセリフだろう。
実際、風紀委員長も眉を顰める。
「悪ふざけだと?」
「はい、森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学のために見せてもらうだけのつもりだったんですが、あんまり真に迫っていたもので、思わず手が出てしまいました」
まぁ、そこはさすが達也、舌先三寸で何とか風紀委員長を丸め込む。
正直な所、管理局員としてはこういうのあれなんだけどなぁ。
まぁ、今回は私も援護しますか。
「後から来たので、その事を知らずに、つい、手が出てしまいまして。紛らわしくすみませんでした」
「だからと言って、そちらの生徒が攻撃性の魔法を発動しようとしたのはいただけないな」
そう言いながら風紀委員長はほのかの方を見る。
「彼女が使おうとしたのは目くらまし程度の閃光魔法でしたから、しかも、失敗しても危険なものでもありませんでしたし」
達也が起動式を読み取れるという発言で驚く皆々様。
深雪だけはどこか誇らしげであった。
「ほぅ……どうやら君は、展開された起動式を読み取ることが出来るらしいな」
「実技は苦手ですが、分析は得意です」
分析とはよく言ったものだ。
それは、そんな生易しいものではないだろう
、達也。
「……誤魔化すのも得意なようだ」
風紀委員長の眼差しをよく知ってる。
あれだ、値踏みすると同時に威嚇するシグナム姐さんの眼差しと一緒。
そこで、深雪が達也を援護すべく進み出る。
「兄と姉の申したとおり、本当に、ちょっとした行き違いだったんです。先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」
口先で対応する達也と、それとは真逆な態度で深々と頭を下げる深雪。
勝ち確ですな。
更にそこに生徒会長が援護をして下さり今回の事は見逃された。
貸し作った、って所かな、生徒会長さんとしては。
去り際に風紀委員長が達也と私の方を見て名前を聞いてきたので答えたら覚えておこう、と言われたのでつい反射的に
「忘れていただけると幸いです」
と言っちゃったが、まぁ、気にしない方向で。
あと、達也が男子生徒、森崎君にお前は認めないぞ宣言されていたが、どうでもいいか。
「なのは、風紀委員長に対するあの返答はどうかと思うぞ?」
達也、深雪、私に雫、ほのか、美月にエリカにレオで駅まで一緒に帰ることになったのだが、達也にジト目で怒られた。
「つい、癖で」
ノーヴェとかヴィータさんとかシグナム姐さんに対してはいつもあんなリアクションしてたので、雰囲気が似ていた風紀委員長にはつい癖が出てしまったのは仕方ないと思う。
「と、言うか、なのは凄かったわね。あの一瞬であの距離を詰めるなんて」
「私としてはエリカの剣の腕前も凄いと思うわよ?あの一瞬で彼のCADだけを的確に狙って当てに行けるなんて、かなりのものでしょ」
エリカとそちらが、いやそちらが、と互いを褒める(分析込み)と雫がボソッと
「普通に二人共可笑しい」
「「……そうかしら?普通よ普通」」
エリカとハモったので仲良くハイタッチ。
「エリカとなのはってどことなく似てるな。おちゃらけている所とか」
「え、真面目な方がいい?ならこれからは家でもそうする?」
「お姉様、それでアインスさんに心配されていましたよね」
おふざけやめたら何故か心配されて病院行きましょう!とまで言われたのは解せない。
「……じゃあ、深雪のアシスタントを調整しているのは達也さんなんですね」
「ええ、お兄様にお任せするのが、一番安心ですから」
達也の両隣には深雪とほのかが陣取っている。
写メ撮ってアインスに見せてやろうかしら?
「やめろよ?」
「え〜、良いじゃない。達也のご飯が酷いことになるだけなんだから」
私の考えを読んだ達也が私にクギを刺してくる。
皆は首をかしげていた。
まぁ、アインスの嫉妬で達也だけ晩御飯がめちゃくちゃ質素になるだけだし。
しかも、めちゃくちゃ不味い。
「じゃあ、なのはのCADを調整しているのも達也さんなの?」
雫が雰囲気を変えるために達也へ質問をしていた。
その質問に達也は思わず苦笑いを浮かべる。
「俺は無理だよ。なのはのはかなり特殊なものでね、多分この世界ではなのはともう一人しか調整出来ない。なのはの調整を担当するくらいならエリカのホウキを調整した方がまだ楽でいい」
まぁ、インテリジェンスデバイスですしおすし。
それに、ウチのシーカーはインテリジェンスデバイスの中でもトップクラスの複雑な仕様しているしね。
もう一人とは言わずもがな、アインスさんである。
達也もここ最近、アインスからデバイスの基礎を学んでいるらしい。
あんな美人さんと二人っきり工房に篭っても何も起きなくて、正直お姉ちゃん、達也が不能なのかと心配しています。
「なのはから凄まじく失礼な考えを感じるんだが?」
「気のせい、気のせい」
「と言うか、達也君、これがホウキだって分かるんだね」
エリカは何処か残念そうにしながら先程の伸縮警棒のストラップをくるくるして弄る。
「えっ?その警棒、デバイスなの?」
「どこにシステム組み込んでるんだ?」
エリカがドヤ顔で解説しようとしていたので横からそのお仕事をかっさらう。
「さっきの感覚からして中は柄以外空洞でしょうね。多分だけど、刻印型の術式か何かで強度を上げて振り出しと打ち込みのタイミングでサイオンを流して消耗を減らしているのね」
「……なんで完璧に分かるのよ?」
「色々あるのよ、うん」
相手のデバイスがどんなのかを一瞬で判断して対処法を確立しないと、魔導師戦はこちらが不利になりかねないからね。
「まぁ、原理はなのはが言った通りよ。要は兜割りと一緒ね」
その言葉に一同が鎮まり返る。
「え、何?この沈黙」
「あのね、エリカ。兜割りって、奥義とか秘伝に部類される技術よ?普通出来ないわ」
深雪の発言にうんうんと頷く皆。
エリカはやばっ!みたいに焦るが、正直自業自得である。
「この中ではエリカ以外なら、なのはしかいないな、兜割りなど出来るのは」
「なのはは既に普通じゃないよね」
ほのかの一言が思いのほかクリティカルヒットした。
「ぐふ!な、何も言えない」
「ひょっとして、うちの高校って一般人の方が少ない?」
「魔法科高校に一般人はいないと思う」
雫の一言に皆、何も言えずに今日は解散になったのだった。
遅くなりました!
いや、働き出したら小説書く気力全然湧かなくてですね。
仕事に多少は慣れてきたのでこれからはしっかり書いていく予定です。
なのはは基本チートを地で行くキャラでありネタに走りやすいキャラでもあります。
昨日起きた時に頭の中にビビっと達也×アインス、というネタが降りてきました。
成程、そういうのもあるのかってなりましたね
と言うか、多分なのはは御神流を習っていそう。
設定段階で最強キャラにしたのに更に最強になりそう。