この素晴らしい世界に鉄華団を!!   作:北岡ブルー

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 このすばにハマった直後でオルガのアレ…、
 オルガにはぜひ、この素晴らしい世界で一息ついて欲しい…。そう願って書きました。




#1 この男に終わりを

 ―――パンパンパンッ!!―――

 

 誰もいない静かな火星の都市『クリュセ』に、無数の銃声が響く。

発砲音が鳴りやんだ後に残ったのは、血の池に膝をつくスーツの青年と、後ろの二人だけだった。

 

「だっ…、団長…?」

 

 オレンジ髪の少年――ライド・マッスが力なくへたりこみ、大量の涙が溢れ出る。隣にいる黒肌の青年――チャド・チャダーンも同じだ。

 なぜなら、今まで彼らを、『鉄華団』を導いてきた男の灯火が、今にも消えそうだったから。

 

「なんて声出してやがる…ライド、オレは鉄華団の団長オルガ・イツカだぞ。このくらい何てこたぁねェ…」

 

 この紫かかった白髪を持つ男…『オルガ・イツカ』は、基地で敵に囲まれている仲間のため、アドモス商会に駆け込んだ。

 そこで見つけたのは、世界中に犯罪者として睨まれる中、手を差しのべてくれる旧友たち。

 

 彼らのお陰で、家族が生き残れる可能性が見えた。無駄ではなかったのだ。今まで紡いできた道は。

 

 だが、光が、希望という名の足掛かりが見えたその時。何者かがアドモス商会の前に刺客を送りつけ、オルガはライドを庇って何発もの凶弾を受けたのだ。

 

「そんなっ…、オレなんかのために……!」

「団員を守るのがオレの仕事だ。いいから行くぞッ!みんなが、待ってんだ。それに――」

 

 お前に責任はないとライドを諭し、オルガは赤い足跡を残して前へと進んでいく。いつものように大きな背中を団員たちに見せつけて。

 

 しかし、戦いに身を浸してきた少年兵(かれ)らは悟ってしまう。背中の傷がもう手遅れである事を。だからこそ彼らは様々な感情をない交ぜに、涙をこぼすことしかできなかった。

 

(ミカ、やっとわかったんだ、俺たちに『たどり着く場所』なんていらねぇ。ただ進み続けるだけでいい!とまんねぇ限り、道は…、続く――!)

 

 もう、痛みは感じない。耳も遠くなってきた。後ろで嗚咽を洩らす団員たちの声も、届かない。

 

 今のオルガを動かすのは、商会へ向かう前に交わした親友との、『約束』だった。

 

――あやまったら許さない。――

 

 オルガの親友、三日月オーガス。人一倍小さな彼の力強い目は、今際の際まできても忘れられない。

 

(ああ、わかってる)

 

 時に脅されるように。時に決断を訪ねるように向けられた三日月の眼。

 良くも悪くも、あの眼を向ける親友には最初から最後まで背中を押されてきた。

 

 もちろん、他の団員達にも。

 

 彼らには大きな迷惑をかけた。自分が決断を間違えたせいで何度家族を失い、涙を流させてきたことか。

 それでも付いてきてくれた者たちのために、自分は示さなければならない。自分が得た答えを伝えるのだ。

 

 進み続けろと。生きる限り叫び続けろと。

 

 それが団長としての、最後の仕事。

 

「オレは止まんねぇからよ。お前らが止まんねぇ限り、その先にオレはいるぞ!!」

 

 最期まで家族を、団員たちを想い、空高くへ吼えた男は鉄華(はな)を散らす。

 

 前に倒れ、突き出した手。指した指から続く赤い道。その先に続くのは何か。

 

 

 

 

それを(つづ)った男は、もういない。

 

 

 





 オレは 掴み損ねちまったな せっかくアジーさんやタカキがチャンスをくれたってのによ

ミカはオレが死んだ事を知れば メチャクチャに暴れまわっちまうよな 止めてくれよユージン お前が新しい団長だ

 お前らはしっかり掴むんだぞ みんなが出してくれた手を 離すなよ

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