戦国†無双   作:ウィングゼロ

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第三話

「響さん、これを纏めてそこの棚に置いてくれるかしら?」

 

「了解しました」

 

竹筒で書かれている漢文に真剣に見つめ合い司馬懿は政務に取り込んでいく。

 

そんな中でも周りのことを気にしており、終わった竹筒などをまとめるように響に頼み、それを響は丁重な言葉で受けて処理済みの竹筒を纏め手置物に置き、棚に鎮座させる。

 

「もう、別に畏まらなくてもいいのに」

 

司馬懿は響が丁重な言葉使いを使ったのを聞いて、政務に取りかかっていた手を止めてじと目で言葉づかいを崩してもいいと告げたが、響はわかっているという顔をしていた。

 

響自身、自身が仕えている司馬懿の言葉を受けていつも通りの言葉遣いで話し合いたいと思っている…だが

、そうもいってはいられないのだ。

 

「そうはいいましても、どこに耳があるか…それが司馬防様のお耳に入ればどうなると思うのですか?」

 

司馬防…司馬懿の父親で此処長安の太守。

 

その司馬防のことを何故響は過敏に気にしているのか、それは響が司馬懿の世話役兼補佐になった翌日に遡る。

 

 

司馬懿との再戦、圧倒的完全敗北を決した響は司馬懿の提案通り世話役兼補佐という、かなりの出世を果たした。

 

そして世話役ということで司馬懿の自宅で住み込みで働くことなり自分が生きていく最低条件を完全にクリアした響。

 

司馬懿の自宅で一夜を明かし、早朝は司馬懿の政務の手伝いをこなしたあとお昼頃に司馬懿は世話役を雇ったという報告を司馬防にするために響と共に政庁へと赴いた。

 

太守が居座る場所というだけあり、市街地や司馬懿の自宅などでは感じられない重い空気に響は何時になく気を引き締め司馬懿の後を歩く。

 

そして評定の間へと入ると司馬防に仕える何人かの重鎮の役人や鎧甲冑を着こなす武官などが左右に分かれ並んでおり、その間の中央、家臣達の先には玉座があり、その玉座に座る一人の男性が来客した司馬懿と響を見下ろす。

 

見下ろしただけで、一般人であった響にも威圧が肌で感じ取れるほど。

 

「如月、よく来たな、してお前の横にいる者は先日の」

 

「はっ!その通りでございます、響」

 

重い空気の中口を開いた司馬防は司馬懿に響のことを訪ね、それを肉親であることも関わらず臣下の礼をとり丁重語で返答した。

 

「この度、司馬懿様の世話役と補佐に任命されました。八神響と申します。姓は八神、名は響、字はございません、以後お見知りおきを」

 

司馬懿同様に臣下の礼を取って丁重な言葉遣いで司馬防に自身の自己紹介をする響。

 

一歩間違えば無礼と切り捨てられる…そんな緊張感と恐怖に足元がすくわれそうになりそうになるも何とか堪えボロを出さずに告げると司馬防が口を開けた。

 

「名など聞いておらん、如月よ、やはり在野から求めるなど愚かな行為よ」

 

自己紹介を述べただけで司馬防は響を凡人であると悟り、司馬懿が行った行いを否定する。

 

そのことで少しかんにさわったかむっとした顔つきをほんの少し見せてから平常の顔つきに戻り司馬防に対して反論する。

 

「お言葉ですが、彼は唯一、私の仕掛けた、からくりに気付き、その力量をこの私に見せつけた人物でございます」

 

「まあよい、如月がそこまで言うのであれば勝手にすればよい、だが司馬家に泥を塗るような行いだけはするな…わかったな?」

 

「…はっ」

 

反論を聞いた司馬防は未だ認めてはいないが響の雇用を承諾し、最後に厳しい顔付けで司馬懿に当家の汚点はつけるなと釘を刺すように忠告を突き付け、それを司馬懿は了承をした。

 

そしてそれから2日が過ぎて冒頭のような状態になった。

 

「もう、父上の耳に入ったとしても私が弁解するから気にすることないわよ」

 

「いや、下手したら闇討ちなんかされそうで怖いから遠慮させてもらいます。」

 

司馬懿は司馬防に聞かれたとしても響に弁解すると言って気軽に話しかけるように促すがその反面、響は無礼な態度を取っていれば何時しか司馬防が放った刺客に暗殺させられるのではないかと気が気で無かった

 

「さすがに考えすぎじゃないかしら」

 

そう司馬懿は苦笑いの笑みを浮かべるが相手は司馬懿の父親、何をしてくるか分からないと響は警戒を緩めることをできなかった。

 

「如月ちゃーん!」

 

政務を行っていると家の玄関方面から生き生きとした女の子の声が聞こえてきて、声の内容から司馬懿を知る人物であると推測でき響は視線を司馬懿に向ける。

 

「あの、仲達様、何か呼ばれてるのですが」

 

「この声は…睦月ちゃんね」

 

司馬懿は声で誰なのかを判断できたのか睦月という名前を出し、にこやかな笑みを浮かべるが、全くもって玄関まで行く気のない司馬懿を見てわからないと響は首を傾げる。

 

すると声がしてから少ししてとたとたと司馬懿の部屋に近づいてくる足音が聞こえてきて響達がいる政務室の前…ではなく執務室を通り過ぎ足音がとまると勢いよく扉が開かれる音が響達の耳に届き、そして

 

「如月ちゃん、遊びに来た…あれ?」

 

声から察するに遊びに来たであろう睦月なる、少女の声は誰もいない部屋に響いた。

 

「如月ちゃん、此処じゃないのかな?ということは…こっちかな?」

 

睦月は部屋に如月がいないのを確認するとまたとたとたと走りだすが響達からはどんどんと足音が遠ざかっていくのが聞こえる。

 

「…仲達様、無断で入ってきてる人…遠ざかって行ってますよ?」

 

「あらあら」 

 

何故執務室を通り過ぎ、尚且つ、執務室という居そうな場所に来ないのか、それが気になって、響は少し苦笑いを浮かべ、如月も手の平を顎に当て少し困った顔を浮かべていた。

 

「如月ちゃーん!」

 

「如月ちゃーん!」

 

「如月ちゃーん!あれ?如月ちゃんどこ~」

 

その後3度も部屋を間違え、さすがにと響は司馬懿に対して口を開ける。

 

「あの、そろそろ声を上げて呼んだらよろしいのでは?」

 

3回も部屋を間違え、司馬懿の家を走り回る少女に響は苦笑いの笑みを浮かべながらそろそろ執務室にいることを教えるべきだと司馬懿に助言するとそうねと、わかったように声を上げた。

 

「睦月ちゃーん!私がいるのは執務室よ~」

 

司馬懿の声が発すること数秒後とたとたと間隔が短い、かなり速度を出しているのか、足音がどんどんと響達のいる部屋に近づいてきて、足音は部屋の前でとまるとバーンと勢いよく扉が開かれ開かれた扉の先に赤みのかかった茶髪をボブカットのヘアスタイルで整えられており服装は、司馬懿と全く同じような服を着こなしている。

 

睦月と呼ばれた女の子は司馬懿の姿をしっかりと確認した後、司馬懿めがけて走りだしそして…

 

「如月ちゃーん!」

 

如月に抱きつこうと一直線に飛びつこうとする。

 

だが、此処で問題がある。

 

いま司馬懿は政務中であり、少女が来る前は『机に』置かれている書物と必死に打ち込んでいたことを

 

つまり、睦月と呼ばれた女の子と司馬懿の間には政務中に使われていた机が存在する…故に

 

「へぶっ!?」

 

飛びつこうとした少女は司馬懿に抱きつけることなく間にある机の角にお腹の溝をクリティカルヒットし痛みに悶える少女は机の前で蹲った。

 

「睦月ちゃん…」

 

「…お、おい…大丈夫か?」

 

蹲る少女をみて司馬懿は乾いた笑みを浮かべながら少女の名前を呼び司馬懿の横にいる響でさえ、気にしていた丁重語を忘れ普段のような口調で喋るほど呆気にとられていた。

 

「だ、だい…じょうぶ…」

 

少女は大丈夫と主張するも残念ながら響にはそうは到底思えなかった。

 

それから少しして少女の痛みも和らいだ後、響と司馬懿に対面するように少女はにこやかな笑みを浮かべて口を開けた。

 

「如月ちゃん!ただいま!」

 

「お帰りなさい、睦月ちゃん村各地の巡察ご苦労さま」

 

少女は司馬懿に巡察任務から帰ってきたことを伝えると司馬懿も無事に帰ってきたことから笑みを浮かべて少女に返した。

 

この話し合いから口を閉ざしていた響は司馬懿と少女が真名で呼び合っている仲だと察して、少女が誰なのかわからないために司馬懿に話しかける。

 

「仲達様、こちらの方は…」

 

声を掛けたことで黙っていた響に気がついた司馬懿は少女について語ろうと少女に相槌、少女はそれに頷くと自身の自己紹介をする。

 

「睦月は司馬朗、字は伯達だよ、よろしくね!」

 

「因みに、睦月ちゃんは、如月の姉さんなのよ」

 

睦月…司馬朗は自身の自己紹介をして、それに付け足すように司馬懿は司馬朗は自分の姉であることを告げると響は信じられない表情で思わず口を滑らす。

 

「あ、姉!?妹じゃなくて!?」

 

あのしっかりしている司馬懿の姉だと知った響は、しっかりしていなそうな姉である司馬朗を見て思わず丁重語を忘れ、驚愕の表情を隠せない。

 

「もーう!如月ちゃんより頼りないのは分かるけど、これでも司馬家の長女なんだよ!」

 

響の率直な感想を聞いた司馬朗はぷんすかと、少し可愛いと思える怒りの表情を見せ響にぽかぽかと、痛くないパンチが響の胸に当たる。

 

「あっ!とんだご無礼を!私は八神響、姓は八神、名は響、字はありません、先程のご無礼な口答え、申し訳ございませんでした。」

 

自分が丁重語を崩していたことに気がつき、慌て、丁重語に戻し、先程司馬朗に対して告げた言葉を誠心誠意で、謝罪し自身の名乗りを上げた。

 

「そんなに畏まらなくていいよ~如月ちゃん、この人ってこんな人なの?」

 

「さっきのが素の彼よ、先日父上との謁見の時に釘を刺されてからこんな感じで、私もいいと言ってるんだけどね」

 

響の堅苦しい言葉遣いに司馬朗は苦笑いをしながら、司馬懿に訪ね、その司馬懿もどうしたものかと困った顔で響を見る。

 

「うーん、あっ!そうだ!響さんはお父さんの直臣じゃなくて如月ちゃんの臣下なんだよね、なら」

 

少し頭を悩ませねいた司馬朗だがすぐに妙案が思いつき、笑みを浮かべながら司馬懿の耳に響には聞こえない声で耳打ちをするとそっかと、司馬懿は納得した顔をして響を見る。

 

「響さん」

 

「は、はい、いかがいたしましたか?」

 

突然と畏まった司馬懿の言葉に始めは戸惑った響だがすぐに冷静になって司馬懿の言葉に耳を傾ける。

 

一体、畏まって何をするのか、この畏まりは先程の司馬朗の耳打ちと関係があるのだろうか…と色々と頭の中で思考する響に司馬懿は意を決して発した。

 

「これから、私や睦月ちゃん、丁重語はいいと言った方々達とは普通に接すること…これは命令ですから」

 

と勝ったと確信の笑みを浮かべる司馬懿。

 

その命令を聞いた響もどうすべきか頬引きつる表情をみせる。

 

先日、響と司馬懿は司馬家に泥を塗るなと釘を刺された。だから故に響は何処で聞かれているか分からず、司馬懿や上の立場に立つ高官らに丁重語で話しかけていた。

 

そんな中司馬朗の名案で出された司馬懿の命令、これにより司馬防の警告か司馬懿の命令か完全に板挟み状態へと陥ってしまった。

 

響は頭の中で悩んだ末、溜め息を吐き出し口を開けた。

 

「…わかりました。それでは主君である仲達様のご命令とあれば、従いましょう」

 

結果、仕えた主君の命令を優先することにした響、しかし司馬懿は少し不服のような表情で響を見つめる。

 

「丁重語」

 

その一言だけ零すと響ははっと自分が丁重語を使っていたことに気づいて仕切り直しにもう一度口を開ける。

 

「えっと、これからはこういう風に普通に話せばいいんだな」

 

丁重語を崩したいつも通りの響のしゃべり方、それを聞いた司馬懿はよろしいと言わんばかりの笑みを浮かべて、司馬朗はその二人を見てから元気な声で二人に話しかける。

 

「それじゃあ、如月ちゃん遊ぼ!」

 

当初の予定通り司馬朗は司馬懿と遊ぼうと声を掛けると対面する司馬懿は少し困った顔を浮かべる。

 

「そうはいってもまだ、政務中だし…うーん、あっそうだ!響さん、悪いんだけど睦月ちゃんと一局打っててくれないかしら?私もすぐに政務を終わらせちゃうから」

 

政務中なために、司馬朗の提案を受けることが出来ない司馬懿は少しどうしたものかと考えるとふと視界の端に響が見えて、妙案を思いつき、響に司馬朗と一局、遊ばせようと促す。

 

「別にいいけど、政務、そんなに直ぐ終わるのか?」

 

響も先程とは違い丁重語をなくした普通のしゃべり方で司馬懿に言葉を返すと司馬懿は大丈夫と一言だけ告げ、響は分かったと頷いた。

 

「それじゃあ、ここじゃあ一局出来ないから、俺の部屋で打とう、碁盤なんかは仲達様のを使うけど別に大丈夫だよな」

 

「ええ平気よ」

 

司馬朗と遊ぶ準備を進めて行くため、響と司馬朗は執務室から退出していき、響の部屋へと向かっていく。

 

そして1人残された司馬懿は自分以外誰もいない執務室で少し思ったことを口にする。

 

「仲達様…か…まだ少し堅いわね…いい機会だから私の真名を教えようかしら」

 

字呼びではあったが様付けで、響きとはまだどこか壁があると思った司馬懿は真名呼びを許そうか少し迷ったが止めることにした。

 

「まだ少し早いかしらね…でもいつかは普通に如月って呼ばれたいわね」

 

まだわからない未来に期待を浮かべながら残った竹筒を終わらせるべく再び政務に取りかかった。

 

 




オリキャラ紹介
 

姓 司馬
名 朗
字 伯達
真名 睦月
年齢16
性別 女
長安の太守司馬防の長女
元気な明るい少女、如月よりかは知謀は劣るが前線で兵を率いてことに優れている。

容姿は艦これの睦月
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