長安から出撃して大凡一刻半、先に放っていた斥候に迫り来る賊の動向を探らせていた。
そして戻ってきた斥候の1部が少し前の賊の動向を司馬孚に報告し、司馬孚はその報告を元に賊の予想経路を予測しその経路に待ち構える形を取り、少し陣を築けそうな、場所に陣取ると兵達に陣営を築くように指示を出した。
指示を出すと直ぐに隅から隅まで伝達されていき司馬孚の部隊の兵達は陣営の建設に取りかかっていく。
陣への簡単な侵入を許さぬために持ってきた木材などで簡易な柵を築き、兵達が休めるようにと陣幕も設置されていく。
「中々手際がいいな」
兵達は戸惑いもせずに陣地の建設に尽力していくのを見て見ている響は、かなり良く訓練されていると感心する
感心をしている響に横にいた司馬懿が響を手を掴む。
「初めて見るのは良いけど、響さんは私達とこっちよ」
そう、司馬懿は掴んだ手を引っ張って響を連れて行き引っ張られた響は当初はぼけっと兵達の動きを見ていたので体制を崩しそうになるが連れて行かれると司馬懿と歩調を合わせて体制を崩さないように付いていく。
司馬懿と響の前で司馬孚と司馬朗も同じ方向に歩いていき、その先には回りの陣幕より一回り大きい陣幕が既に設置されており陣幕の中に入っていくと持ってきていた簡易な机にその回りには椅子が鎮座されていた。
そして何も戸惑わず椅子に座る司馬懿達だが、響だけは立ったままでいた。
「響さんどうしたの?椅子も空いてるから座れば?」
「いえ、自分は仲達様の補佐であるため、仲達様と同じく椅子に座るとは何とお恐れ多い」
座らない響に首を傾げて質問する司馬懿に響は司馬孚がいるために丁重な敬語で座ることを断る。
それを見てまた司馬懿と司馬朗は少し不機嫌な顔をして響を睨んでくる。
「響さん?敬語…私と睦月ちゃんは別に良いって言ってるのにどうして敬語で喋るのかしら?」
響を睨む司馬懿は、敬語などしなくても別に問題ない場所だと理解しているために敬語を話す理由を聞くようにと別の意味合いでここでは敬語は別に良いと言っているように響に言った。
(いやいや、敬語しなくても良いって言うけど、今、伯達様や仲達様の他にも司馬孚様や外には一兵卒達も大勢いるの判ってるよな)
「何を仰いますか、主君の前で敬意を払うのは臣下として当然の行いでございましょう」
司馬懿に告げられるが、しらを切るようにため口で話し合っていることを無かったことにして、当たり前のことを笑みを浮かべて言った。
それを聞いた司馬懿は更に不機嫌な顔をするが、直ぐに勝機があるかのように笑みを浮かべ始め、口を開けて喋り始めた。
「それは、私の主命に逆らうって事かしら?」
そう司馬懿は、響に告げると、思い出したように響は苦い笑みを浮かべて数歩後退る。
司馬朗と初めて会った頃、響自身、堅苦しい敬語で2人に接していたために命令ということで普通に接するようになった出来事。
それを掘り返すように、響の逃げ場を無くし完全に司馬懿が話の主導権を握ることになった。
「そ、それは…その…」
なんとしても巻き返さなければと、焦りの顔を浮かべながらも、言い返す言葉を探す響であるがここに来て司馬朗がとんでもない爆弾な発言が飛び込んでくる。
「それに、如月ちゃんと響さん、少し前に政務室であんなに男女の関係なのに今更だと思うな」
「いやですから!伯達様がいうような疾しい関係ではありませんし、元々あれは仲達様が、悪ふざけで偶発的に起きてしまった事故です!」
司馬朗の爆弾発言に必死になって弁明をする響
未だに誤解されたままだったのかと更に顔を青ざめることになった響、そしてこの気にあれは偶然に起きた事故であったと自身の無実を証明させるようと熱弁したがそれを見ていた司馬懿が動き出した。
「ふーん、別に私は今此処であのときの続きしても良いんだけどね~」
そういって司馬懿は手を胸元に当て、響に服と肌の間の隙間をわざとみせるように空け、甘い声で響に誘惑をしはじめた。
突然の行動に響は慌てて3歩大きく後ろに後退し爆弾発言をした司馬朗もあわあわと慌てふためき、残った司馬孚であっても、あまり表情を見せない彼女だが、頬が赤くなって視線を横にずらし体をもじもじと明らかに恥ずかしがっている仕草を見せていた。
「私は…別に…構わない」
姉の司馬懿の突然の行為に赤らめて恥ずかしがっている司馬孚は曖昧な言葉を返して、それに直ぐさまこの場で一番危険な状況に置かれている響が言葉を返した。
「いや、ちょっと!その意味はどっちなの!?敬語に関してなのか、それとも別の意味でのことなのか!!」
焦った気持ちで完全に敬語が向けてしまった口調で司馬孚に質問をした響、彼の耳にはその言葉が二つある意味合いのどちらなのか判断することが出来ず、はっきりとして欲しいと即答で言葉を返した。
「あ、敬語の方です」
「よーし!というわけだ、仲達様、了承も出たからもう誘惑なんてしないでくれ!このままじゃ、俺のSAN値がごりごり削れるから本当に止めてくれ!」
再び問い詰めたことにより司馬孚が敬語の方だと指摘すると、響は直ぐさま、誘惑してくる司馬懿に向けて命令通りに敬語をやめて話しかける。
「露骨に嫌がらなくても…いいのに」
必死さから司馬懿は少しふて腐れ不満の声を呟くが、慌てていた響には届かない声であった。
「と、とりあえず話がかなり脱線してるから話を戻そう」
それから話が脱線していたために響が本題に入ろうと進め、それからまたとやかく言われるのを避けて仕方なく空いている椅子に座った。
「うん、まずこれを見て」
半ば強引ではあったが漸く軍議を執り行うことができ、司馬孚の言葉から軍議が始まり、机にこの地帯の詳細な地図が広げられていた。
「まず、私達はこの場所に陣取ってる、そしてここから西に8里離れてる所に今、山賊がいると思われる場所」
司馬孚は響達に分かるように指を指してまず、自分達が居る場所を指すと次に賊の現在の居場所を予想した地点を指さした。
そんな中、響はこういった地図を見たこともなかったために興味津々に見ているとふと思ったことを口にする。
「ここら辺、山々に囲まれてるんだな」
涼州は響のいうとおり山岳地帯が多く、道も険しい道のりになっているのが地図を見るだけで頷くことができた。
そんな何ともない響の言葉に同意するように司馬孚も言葉を続ける。
「うん、だからこの先は山と山に囲まれて峡谷みたいになってる、その間で迎え撃つのが一番の勝機」
司馬孚は賊と自分達の間にある峡谷で迎え撃つと言い切る。
今回数で劣る司馬孚の部隊では真っ向から立ち向かうなど自殺行為に等しきこと。
そのためにこの峡谷の地形を利用することが一番良いと司馬孚は思ったのだ。
此処で戦えば数で勝る賊の方が動きをある程度だが封じることができ、道幅が迫りためお互いにだが左右に回りこみ囲んで殲滅するという包囲殲滅をすることが出来ない。
数が多い賊を上手く倒す最善の方法、この作戦には異論を言う者はいなかった。
発言を禁じられている司馬懿と司馬朗良い策だと口では言えないがそういう表情を浮かべて異議があるようには見えず、響にとっては一理あるとその作戦に賛同した。
「私は2000の兵全軍で賊討伐に当たる。お姉ちゃん達は本陣の守りを」
「わかったわ、でも気をつけてね、相手は練度が低いといっても数では負けてるんだから」
作戦が決まった後司馬孚はこれからの行動を言って司馬孚は持てる兵数を動員し賊討伐にあたり、司馬懿と司馬朗は本陣の守りを任せるように指示をして、それを司馬懿は頷いて了承、その後、心配な司馬懿は司馬孚に気をつけるように忠告をすると、司馬孚も分かったといって頷いた。
そして、陣を建築を完了してしばらくして、司馬孚率いる2000の部隊は西の峡谷へと進軍していき半刻が経ち、2里離れたところで賊を待ち構えるように布陣した。
峡谷の道の端から端まで司馬孚の槍兵が横一列に2列並びで並んで、その背後には弓矢を携えている弓兵と司馬孚もいる。
峡谷の地形を生かした完璧な布陣、そして待ち構えること更に半刻ついに、その時がきた。
待ち構えている司馬孚部隊の前方から土煙が舞っているのを視認すると司馬孚部隊に緊張が迸り、司馬孚も次の指示を出した。
「弓隊構え」
そう司馬孚が指示を出すと前列の弓兵隊と司馬孚自身は土煙に目掛けて弓の弦を弾き、そしてその後ろの弓兵隊は角度を取って曲射の構えを取り、発射の合図を待つ。
そして、土煙が見えて少しし、ついに賊の前方部隊がはっきりと視認することが出来た。
頭に山吹色の布を巻いて、仲間との判別をしているのか、年齢も違う男達が司馬孚部隊に着実に近付いていく。
その山賊達の表情はまさに、狂ったよう…いや実際狂っているのだろう、正規兵が待ち構えているのに関わらず、突っ込んでくる。
勝算があるのか、はたまた玉砕か、そんな予想を司馬孚は頭の中で思い浮かべる中、賊達が有効射程内に入ったのを見計らい、短い命令飛ばした。
「撃て」
その瞬間司馬孚と弓兵隊の一斉射が賊に目掛けて放たれる。
司馬孚や直射した弓兵隊の矢は最前線で迫っていた賊達の胸や頭、喉などに突き刺さり、曲射した弓隊の矢は雨のように賊達に降り注ぎ有効射程内の賊達の体中に矢が突き刺さり次々と命が奪われていく。
賊達もただやられる訳ではなく、自らの獲物で上手く矢を弾いて直撃を防ぎ、着実に司馬孚隊との距離を詰めていく。
「距離を詰めて乱戦に持ち込め!そうすれば数が上の俺達の勝ちだ!」
そう賊達の中から轟いてきて士気を鼓舞しそして遂に矢の中を潜り抜けて司馬孚隊の前列の槍隊と接敵する。
「槍隊!いま!」
司馬孚の短い言葉で槍隊は持っている槍を一斉に前に突きだして、迫る賊の胸に一突きして迎撃を開始される。
しかしここまで近づかれては最前列の賊には曲射を撃つことはできない。それを見て司馬孚は曲射を撃つ弓隊に後列で詰めている賊に矢を浴びさせることを指示し他の弓隊や司馬孚は槍隊の援護射撃を行う。
そして開戦して半刻、日も落ち始めた頃、現状司馬孚部隊が優勢であった。
8000もいた賊は既に約3000の賊がこの世を去り、士気も落ちて攻勢も前より激しさがなくなっていた。
しかし、優勢とはいえ司馬孚達も無傷ではない。
約250人の兵が殺され重軽傷者も約400人と賊ほどではないが損害が出ていた。
だがらまだ司馬孚の戦線は崩れてはいないため、まだ勝機がある中、賊の頭が今の状況を見て苦い顔を浮かべていた。
「くそ!流石、長安の太守、一筋縄じゃいけねえ、おい!そろそろお前も働け」
「んあ?ああ、旗色が悪いんだったな、それで俺が敵将の首を取ってくれば良いのか?」
相手は司馬防の軍だと承知で攻めたが勝つ算段がなかったわけではなかった。
ついに、切り札とも言える青年に指示を出し、その青年も素っ気ない返答をしたのち、持っている薙刀に力を入れると、前線を見据えて笑みを零しそして脚に力を入れると思いっきり大地を蹴って走りだした。
その青年の走り、まさに疾風のごとく、並々の馬以上の速力で賊の間を潜り抜けてそして瞬く間に前線に現れた。
「なっ!?」
いきなり現れた青年に槍兵は驚くが驚く暇など無かった。
「おらぁっ!!」
青年は槍兵の前で急停止して走って止まった反動を利用して思いっきり薙刀を、横にぶん回し一気に驚いた槍兵を含め5人の槍兵の胴体を切断させた。
「え…」
突如のことで思考が停止してしまう司馬孚、一体何が起きたのか目の前の現実が理解しがたいものであったために唖然としてしまった。
しかし、戦場ではそんなこと見逃すわけがない。
青年のたった1回の攻撃により、近くにいた槍兵達は恐怖に駆られ、布陣をほっぽかしで逃走を始めて、完全に司馬孚の戦線が崩壊しだした。
本来、こういう混乱を将である司馬孚が収拾しなければならないのたがその司馬孚も思考が止まっていたために直ぐに止めることが出来なかった。
そして逃げまどう兵など賊にとって格好の的である。
先程までの防いでいた兵達が嘘かのように次々と討ち取られていき、弓兵も弓を捨て持っている帯剣を抜剣し賊達の目的であった乱戦に持ち込まれるのことになった。
「司馬孚さま!お退きを!此処は我等が…」
司馬孚の近場にいた兵達が司馬孚を逃がそうと体を張ろうとするがその言葉は戦線を崩壊させた青年に斬られて途中で途切れた。
「あんたが、敵将ね、命が惜しかったら…捕まってくれ」
そう薙刀を構えながら司馬孚を捕まえるように促すが、その司馬孚は目の前の恐怖で声も上げられなかった。
賊だと思って侮っていたわけではない、しかし、まさか賊の中にここまでの豪傑がいるなど聞いたこともなかったために考えていなかった。
そして、その豪傑が自身を捕まえようとしている。
捕まったら最後、どうなるかなど、簡単に想像が付く。使い物にならなくなるまで犯され続ける。
待ち構える最悪の未来に逃げようと司馬孚は恐怖の顔を浮かべながら必死になるが体が動かない、恐怖から身がすくんでしまったのだ。
完全に打つ手なし、涙目になり司馬孚は心の中で一心に今思うことを叫んだ
(誰か…助けて!)
誰にも聞こえない助けの声、その司馬孚の一心の心の声は…
大勢の雄叫びと共に叶った。
「…なんだ?」
不意に青年も突如聞こえてきた雄叫びに聞こえた方向に顔を向ける。
青年が向けた方向は西…つまり五丈原の方から聞こえてきたのだ。
まさか、どっかの賊が合流したか?と呑気に考えたがその考えは直ぐに間違いだと知ることになった。
「し、司馬の旗!司馬の旗だ!」
「敵の奇襲部隊だ!」
五丈原方面…つまり賊の背後からの司馬防に仕える誰かの攻撃。
漸く突破できると思った矢先の奇襲、これにより、賊達慌てて浮き出しだつ。
そして五丈原からやってきた奇襲部隊、それは西涼の馬に跨がった2000騎の騎馬隊、そしてその先頭に同じく馬に跨がる少年の姿。
そして少年は近づく賊達を見て、騎馬隊に号令を飛ばした。
「何とか間に合った!よし!騎馬隊!突撃ぃ!!」
司馬孚隊が完全に敗走していないを見て笑みを浮かべ、少年…八神響は2000の騎馬兵とともに賊の群れの中に突っ込んでいった。
オリキャラ紹介
姓司馬
名孚
字叔達
真名 弥生
性別 女
年齢 13
長安太守、司馬防の三女
元気のある司馬朗や色気のある司馬懿と違って無表情、あまりのことがない限りはポーカーフェイス
武力、知力と姉2人には及ばないがそれなりに身につけている。
戦場では弓矢を使って戦う
容姿は艦これの弥生