レポート
悪魔について
悪魔は日本の街を拠点に活動しており、内容は主に奉仕活動。また、階級も別れており、上級悪魔は『悪魔の駒(イーヴィルピース)』というアイテムを与えられ、それを扱い自身の眷属を増やす事ができる。死亡して間もない人間を悪魔に転生させる形で蘇生する事も可能。
この事から、人間界で強力な力を持つ人間を秘密裏に殺して眷属にする可能性が考えられるため、対策が必要
街の管轄者について
『リアス・グレモリー』
性別 女
駒王学園3年生
悪魔の駒を与えられた上級悪魔であり、駒王町の管轄者。責任感は強いが、はぐれ悪魔の出現の見落としなどがあるため、実力は未熟。
他にも堕天使と似た気配が複数見られるため、易々と活動を見過ごしていると思われる。
「…とまぁ、こんな感じか」
報告書をPCで打ち終えた整理したゼノはゆっくりと背筋を伸ばす。
「まぁ…破壊するのはまだ先だが、念入りに入れ込む必要がありそうだな」
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はぐれ悪魔の件より数日。
「ゼノ、そろそろ見せてもらえないかしら?あなたの力」
「俺の?」
放課後、珍しく部室でどこから買ってきたのか、特大のロールケーキを小猫と頬張りながらくつろいでいたゼノにリアスが尋ねる。
「夕方、この旧校舎の庭で悠斗や小猫、朱乃と模擬戦をしてみてほしいの。だから__」
そう言いリアスは続けるも、ゼノは小猫と一緒に食べる手を止めず、次々とロールケーキをリスのように頬張っていた。
「もぐもぐもぐ…」
「ハグハグハグハグ…」
「……ねぇ朱乃、何故かこの二人を見てると凄く癒されるのは気のせいかしら?」
「うふふ」
すると、先に食べ終わったゼノが手を上げる。
「悪いけど無理。このあと予定がある」
「えぇ!?しょうがないわね…なら別の日に頼むわよ」
「ん」
そんな中であった。ゼノはあることを尋ねた。
「それよりも、兵藤一誠だっけ?アイツの調子が悪いみたいだけど、何かあったのか?」
「それは…」
ゼノから尋ねられたリアスは最初は躊躇したが、改めて事情を話した。
「前に契約を取りに行かせた場所に[はぐれエクソシスト]がいたの」
「はぐれエクソシスト?」
初めて聞く単語にゼノが首を傾げると、横に座っていた小猫が説明する。
「教会に所属する人達…私達悪魔の天敵だよ。一般人には手は出さないんだけど、昨日会ったエクソシストは…悪魔と関わってた依頼主を殺したの。ゼノくんも…私達と会ったりしてるから…危ない」
「殺される危険性があるって事か」
小猫の説明にゼノは納得すると同時に、もう一つ整理すべき事ができた。
「(この街には悪魔、堕天使のみならずエクソシストもいるのか…待てよ?そのエクソシストってのも悪魔だけじゃなく堕天使も狙うのか…?)……ん?それだけであんなに落ち込むのか?」
「まだ先があるのよ」
改めてゼノが尋ねるとリアスは続けた。
「もう一人、シスターの子がいて、その子とは顔見知りらしいの。私達は後からはぐれエクソシストがいる事に気づいて転移して加勢しようとしたけど、複数の堕天使も近づいていたから、撤退せざるを得なかったの。イッセーはその子も連れて行こうとしてたけど、魔法陣で転移できるのは悪魔のみ。だからその子は連れてこれず、置いてきてしまったのよ。そのシスターの子が、どうしても心配みたい」
「なるほど。アンタら全員でも複数の堕天使は危険なのか?」
「今の所ね…だからゼノ、貴方にも忠告するわ。複数の堕天使と遭遇した場合は、すぐに逃げなさい」
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その後、ゼノはリアスから話を聞き終えると、部室を後にして帰路に着いていた。
「なんでお前がついてくるんだよ」
「方向が一緒なだけ」
因みに今日は朱乃ではなく、小猫が隣についていた。小猫とは食べ物関係で話が合い、いつのまにか彼女自身もタメ口で話す程に仲は良くなっていた。
「そういえば、ゼノ君はお師匠さんからどんな闘い方を教えてもらったんだよね?」
「あ〜。武術と“気”の扱い方だな」
「気…」
その単語を耳にした途端、小猫の表情が曇り出す。
「ん?どうした?」
「いや…なんでもない。気って、どんな使い方教えてもらったの?」
「例えば、それを感知する方法と、あとそのオーラを練り出してエネルギーとして放出する方法。他にも多種多様なの教えてもらったな」
「そうなんだ…“暴走”とか…しないの…?」
「暴走?」
「いや…なんでもない」
そう言い小猫は会話を強制的に断ち切った。不意に断ち切ってもゼノは興味がないのか、特に質問することはない。
その時であった。周囲の空気の色が変わった。
「あ?なんだこれ」
「…!!」
その光景を見た途端に小猫は即座に戦闘態勢を取る。
「気をつけて!これは堕天使の結界…!!」
「結界?あ〜あの時の」
すると、その気配はすぐさま現れる。
「ふん。まさかあの時の人間が悪魔を連れているとはな」
上空から声が聞こえ、見上げるとそこには地球に来た際に遭遇したシルクハットを被った堕天使『ドーナシーク』の姿があった。ドーナシークはゼノの姿を見るとニヤリと笑みを浮かべる。
「あの日以来だな…人間…!」
「え?………………………あぁ。はい…」
それだけではない。
「なんだ。待ち伏せしていれば、あの男ではなく、人間と悪魔1匹か?不漁だな」
「しかも二人ともちょ〜チビじゃん!」
更に二人の堕天使が現れる。一人は裸の上にボディコンスーツを身につけた大柄な女性ともう一人はゴスロリ服を身に纏う幼い少女だった。
「カラワーナ、ミッテルト。貴様らは帰っていろ。この二人は俺一人で事足りる」
「そのようだな。帰るぞミッテルト。それに今日は儀式の日だ」
「は〜い♪」
ドーナシークに頷いたカラワーナとミッテルトは背を向けて飛び去ろうとした。その状況に小猫はホッと息を吐き胸を撫で下ろす。
「ふぅ…(良かった…3人は不味かったけど…一人なら何とか…)」
その時であった。
「いやいや。ケチくさい事言うなよ。仲良く3人でくれば良いだろ?」
「「「「「!?」」」」」」
ゼノの言葉がその場に響き渡り、そのセリフを聞いた一同の視線がゼノへと集まった。
「人間…貴様今なんと言った…?」
目元を血走らせながら尋ねてくるドーナシークに対して、ゼノは青く輝く瞳を向けながらもう一度答える。
「仲良く3人でこいって言ったんだよ」
「ぎぃ…!!!」
その言葉を再び聞いた瞬間 3名の堕天使の目が鋭くなりゼノへと向けられる。
「貴様ぁ…戯言とはいえ許さんぞ…!?」
「はっ!落ち着けドーナシーク。掃除する時間が短くなっただけではないか」
「そうっスよ〜。あの白髪のロリっ娘は魔力低いし、啖呵きったあのガキなんて魔力感じれないし♪」
「そうだな…憂さ晴らしに殺してやる!!あの世で後悔するんだな!!」
そして全員の光の槍が小猫とゼノへ向けられる。
一方で、完全に状況が悪化してしまった事で小猫は即座に戦闘体制を取る。
「く…!ゼノ君は下がって!ここは私が__ゼノくん…?」
小猫がゼノを守るべく前に立とうとした時、それをゼノは手を出す形で制止させる。
「俺が一人でやる」
「えぇ!?」
そう言いゼノは堕天使達の前に立った。
「ちょっとゼノ君…!何言ってるの!?相手は堕天使なんだよ!?君が強くても3人同時は危ない!だから私と一緒に!」
「いいや。俺一人でやる。ここ最近、トレーニングばかりで戦ってなくて退屈してたからな」
小猫の言葉を一蹴したゼノは、ゆっくりと呼吸を整えながら構える。
すると____
____その全身からはオーラが放たれ始めた。
「なんだあのオーラは…それにこの感じ…奴は本当に人間なのか…?」
人間には決して見られないその芸当と、微かに感じられる人間とは全く異なる異質な気にカラワーの驚く声が聞こえていく中、構えたゼノは3人を見据える。
「来いよ。久々の運動だ」