その日からゼノの地獄のような修行の日々が再び始まった。気のコントロールやそれらを行うための体力作り。全てが今までよりもよりキツイものであり、何度も何度も死の淵を彷徨ったが、その度にウイスの魔法で回復させられ、修行を続行した。
「うりゃりゃりゃりゃ!!!!」
「うぉ!?」
ゼノの放つ拳の連撃をビルスは両手で次々と捌いていく。
ガシッ
「取った!」
「何の!!」
「!?」
拳を受け止めた直後、ゼノの身体が一瞬にして迫ると、その顔目掛けて蹴りを放ち、ビルスの身体を吹き飛ばす。
「痛いねぇ…」
吹き飛ばされたビルスは自身の頬から垂れる血を舐め取ると、瞳を鋭くさせながら笑みを浮かべる。
「やっぱりあの時…君を拾って正解だったよ!!!」
そう言い拳を交えながら、ゼノと初めて邂逅した日を思い出す。
孫悟空やベジータと戦い、楽しみ、彼らが死んでしまった以来から溜まりに溜まり続けた何百年もの退屈。
それを今、微力ながらも解放できる日々にビルスは心を震わせていたのだ。
悟空やベジータでさえ数年掛かってようやく辿り着けたこの領域に、武術の基礎から始まったこの少年は辿り着いていた。
この少年がこのまま成長していけばどれほど自身を楽しませてくれるのだろう?どれほどワクワクさせてくれるのだろう?
ゼノを拾ったあの日のことを思い返したビルスは、歓喜の表情を浮かべると、全身から最大の気を放出させると、ゼノ目掛けて飛び出した。
「ゼノぉおおおお!!!!!!」
「師匠ぉおおおお!!!!!!」
それに対してゼノも全身から気を放出しビルスへと向かっていく。
そして
「「オラァッ!!!!」」
2人の拳が重なり合い、その周囲一体の星々を揺らしたのであった。
ーーーーー
ーーー
ー
「ハッハッハ!まだまだだね。これでも2割程度だよ?」
「ちくしょ〜!!」
それから戦闘は終わり、ボロボロとなったゼノはその場に倒れ、それをビルスは近くの木の上で笑いながら見下ろしていた。そんなビルスにゼノは言葉に駄々をこねるかのように手足をジタバタさせる。
そんな中であった。ゼノはある事を尋ねた。
「師匠〜。いっつも言ってる悟空とベジータって人、どんだけ強かったんですか〜?」
「う〜ん、そうだね〜」
悟空とベジータ。自身を唯一楽しませた人間の事を尋ねられたビルスは、彼らとの日常や戦いを頭の中に思い浮かべる。
「とにかく、凄い奴らだったよ。やればやるほど、磨き甲斐のある原石みたいに強くなってったねぇ」
「へぇ〜!最終的に師匠より強くなったんですか?」
「どうだろうねぇ。た〜しか、もう何百年も前だからねぇ。しばらく会ってすらないや」
「会えるんですか?」
「いや、悟飯に聞いた話じゃ、アイツら二人は随分と前に他の宇宙の天国に行ったらしいよ。強い奴と戦ってくる〜!とか」
「へぇ〜!死んでもなお戦うなんてさすがサイヤ人ですね!じゃあ、俺はいま、どれくらい強いんでしょ?」
「お前なんてまだまだ小物だよ。君は地球にいる連中の誰よりも強いけど、悟空達に比べたらヒヨッコもいいとこさ」
「えぇ〜!!」
すると
「お二人とも〜!おやつの時間ですよ〜♪」
遠くからウイスの呼ぶ声が聞こえ、それを耳にしたゼノとビルスは同時に起き上がる。
「「わ〜い!おやつ〜♪」」
そしておやつという単語にまるで子供のようにはしゃぎながら向かっていくのであった。
ーーーーー
そして時は流れ、4年という歳月が過ぎていき、次々と世界は、宇宙は変わっていく。
それは地球も例外ではない。
「朱乃、また空なんか見上げてどうしたの?いつも話してた男の子かしら?」
「えぇ…またあの時のように…空から降りてくるかと思いまして…」
「そう。あの日…貴方を助けてくれた男の子よね?会えると良いわね」
「はい…」
黒く長い髪をもつ少女は青く輝く空を見つめ、また、ある“猫妖怪”は動物の感性から何かを感じ取る。
「あら?小猫もどうしたの?」
「いえ…なにか…来るような…」
二人だけではない。世界中のありとあらゆる実力者や感知能力が高い者達が予感し始める。
ビルス星で成長した地球生まれの戦士が今、地球へと戻ろうとしていたのだ。